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北陸農政局

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食と料理の研究家/野菜ソムリエ 木村正晃氏 (新潟県新潟市)

更新日:令和3年11月30日

木村正晃氏 

農政局:

まずは、野菜ソムリエになられたきっかけから教えてください。


木村氏:

野菜ソムリエになるきっかけは、転職で東京から新潟に戻ってきたとき、車窓から見える田んぼの緑を見て「新潟県のために何か仕事がしたい」と思いました。ちょうどそのとき、たまたま野菜ソムリエの資格が始まったばかりだったのでそれを取りました。ずっと食べることも好きで、周りに農家もたくさんあり、大学でも食品工学を学ぶなど、食に関わる環境があったので自然とそれが仕事になった感じです。ソムリエになってから、野菜は自然との関わりが多く、その土地の気候や天候が大きく影響していることがわかってきました。

農政局:

6次産業化にも取り組んでおられますね。

木村氏:

新潟県は縦に長く面積も広い。2千メートル級の山もあり、高低差もあるため、色々な作物が長い期間取れます。野菜だけではなく、肉や魚の種類も多く、バラエティに富んだ食材に恵まれています。
在来作物も意外と新潟には多くあって、特にナスの種類が非常に多いんです。ナスは、食べ方も地域で違って、下越では「焼きナス」、上越では「ふかしナス」といったように、ナスの品種にあった食べ方をしています。新潟県は、ナスや枝豆の生産量は多いのに出荷量が少ないのは、主に自家消費されているからなんです。
そうした多彩な食材、多様な食文化を生かして、6次産業化を支援しています。いつも食べている郷土料理だと商品化は難しいので、一度分解して再構築することにしています。例えば「のっぺ」の具でカレー味にしたりとか。でも、奇をてらったものは商品化するにはリスクがあってなかなか難しいのも事実です。

僕のレシピの特徴でもあるんですが、素材のいい所を残したシンプルな料理を心がけています。大根なら、その存在感を残しつつ、新しく組み立てなおします。出汁もいろいろな種類があるんですが、あまり多用すると似たような味になってしまうので、多く使わずに素材の味を生かせるようにしています。反対に、たくさんの具材を入れる料理は、それぞれの具材からいい味がでるので、出汁は使わないこともあります。
経験や実績にとらわれず、新しい料理を作りたいと考えています。ルッコラなどのまだまだ新しい野菜は古くからある胡麻和えなどの調理法で、逆に古くからある野菜は西洋料理の新しい料理法でと心がけています。新しい素材は食べ方を見せてあげると取り入れてもらいやすいです。

農政局:

「和食・食文化」についてはどのように捉えていらっしゃいますか。

木村氏:

カレーやラーメンなども含めて食事全般を「日本食」、伝統的な懐石料理や郷土料理を「和食」と捉えています。食文化は、長い歴史の中で作られてきたものです。野菜や魚も、気候、風土と大きく関わっていて、地域のお祭りとかと相まって、積み重なって出来ているものだと思います。季節になれば祭りがあり、その時の料理は、旬のもの、季節のもので出来ています。昔からある郷土料理は、今の料理のベースにもなっているし、残ってきている意味があるんだと思います。だから、多少形は変わっても、残していかければいけないと思います。昔からの形のままじゃなきゃだめということではなく、のっぺにトマトを入れたりするなど新しい食べ方を提案しています。

 泥漬け
 夏野菜の泥漬け(新潟県阿賀野市の安田・笹神地域に伝わる郷土食)(木村正晃氏ホームページhttp://masa.kimより)

農政局:

「郷土料理」についてもう少しお話をお聞かせください。

木村氏:

料理はいろんな味がありますが、地元の味っていうのは、「ほっとする味」だと思います。地元の味で緊張したくないですからね。お味噌汁なんか特にそうですね。ほっとするのが郷土料理ではないかなと思います。ほっとするって落ち着くし、それがいいのかなって思います。

農政局:

「若い人の和食離れ」についてはどのようにお感じになっていますか。

木村氏:

麺類やカレーなど、一食で完結する様なお料理を調理する場合、素材を切って炒めたり煮込んだりと、ひとつ鍋やフライパンで済むことが多いと思いますが、和食だと下ごしらえや下処理があり結構煩わしいんです。ですから私は、「毎日ではなく、たまには生活が豊かになるように丁寧に生活するために和食を取り入れてみませんか」と呼び掛けています。素材に合わせて煮て合わせるとか、魚だと鱗を取ったり、三枚におろしたりなどをたまにはやってみるのもいいのではないかということです。

潮流には逆らえませんが、時間があるときに作るきっかけがあれば、和食や郷土料理は作られていくと思います。料理教室も普段の料理よりも郷土料理の方が人気があり、潜在的なニーズはあると確信しています。料理教室では、若いお母さん方が友達と一緒に習いに来ます。核家族やライフスタイルの変化もありますが、習った料理をSNSにアップするなど楽しんでいて、郷土料理を作れるとおしゃれだというような流れもあるようです。ですから、現代風に合わせて、調理法も作りやすく工夫しています。

毎日、おいしく作ろうとか、かっこよく作ろうではなく、肩の力を抜いて料理する社会になっていけばいいなと思います。食事をしない人はいないから。自然な形で和食を食べる機会が増えていくと、伝えられる情報が多くなり、より和食を楽しんでいけると思います。地元の料理を食べてもらって、いつしか誇りになって、他の地域に自慢できるようになれば、食の話題で盛り上がってくると思います。地元の味に興味が持てるようにSNSをうまく使って、情報発信していければいいなと考えています。私の地元、村上市では、子どもたちが自分で授業で塩引き鮭を作っています。小さいときはわからなくても大人になってから振り返れば、気づくことが多いし、味覚は経験がとても大切で、経験をして育てていかないといけません。どこかで何らかの機会、経験した味でないと、「おいしいなぁ。」と感じにくいのです。

 ナムル
 黒にんにくともやし、ほうれん草のナムル(新潟市南区の黒にんにく生産者の皆さんに提供)(木村正晃氏ホームページhttp://masa.kim/より)

農政局:

今後の活動を教えてください。

木村氏:

今後は、村上市のおもてなし講座を令和4年2月に開催する予定です。ミシュランガイドで星を取ったシェフに来てもらって、村上の食、これからの食について、僕を含めた鼎談(ていだん)スタイルで大いに語ってもらうことを考えています。
※鼎談とは「3人が向かい合って話をすること」(広辞苑)

農政局:

最後に「食文化・和食」に関してメッセージをお願いします。

木村氏:

日本には海、山、川が近くにあって、自然も豊かです。四季もはっきりしていて、おいしいものが海、山、川から取れます。それをうまく料理できたら、最高の料理、おかずになると思っています。季節を料理で楽しんでほしいですね。

農政局:

本日はありがとうございました。

プロフィール

木村 正晃(きむら まさあき)新潟県新潟市在住。
新潟県で最初の野菜ソムリエ。日本大学農獣医学部卒業。
紀ノ国屋インターナショナル青山店、ネスレマッキントッシュ株式会社などを経て独立。
野菜の通信販売事業を展開したのち、2007年1月に新潟県在住の野菜ソムリエを組織した「ベジフルコミュニティ新潟」を設立、初代代表に就任。
6次産業化プランナー、村上市うんめもん大使、新潟市アグリパーク食品加工支援センター講師
詳しい活動内容は、ホームページで URL https://masa.kim/

お問合せ先

経営・事業支援部 地域食品・連携課

代表:076-263-2161(内線3995)
ダイヤルイン:076-232-4890
FAX:076-232-4178