クローズアップ研究者 三宅 良尚
農林水産政策研究所 主任研究官(農業・農村領域)
専門: 農業地理学、経済地理学、有機農業
これまでの研究はどのようなものですか?
これまで農業地理学から主に研究をしてきました。農業地理学は、自然環境、社会経済、さらに文化的な要因を考慮しつつ、特定の農業、農法が地域において存在する理由や、プロセスについて研究をすることが基になっています。具体的には、どんな作物がどこで生産されているかを調べ、理由や過程を分析していく学問になります。
このような学問的な背景から、大きく二つのテーマについてこれまで調査研究を行ってきました。一つは、東北地方における集落営農の推進に関するものです。2000年代後半に推進された品目横断的経営安定対策で政策の対象となった集落営農の形成のメリットについて秋田県大仙市を中心に調査をしました。結果として、集落営農が集落営農法人へと発展する経営展開の可能性、課題について抽出、分析し、博士論文を執筆しました。
もう一つは、現・東京大学香坂玲教授が代表を務めた農林水産政策科学研究委託事業に参加し、EUの有機農業政策を調査しました。調査を踏まえ、我が国の情勢と比較しながら、政策提案をする分析を行いました。結果として、EU、各国政府から州政府まで連携した政策、それらがきめ細やかに実施されている様子を明らかにしました。
さらに、農業地理学の手法を活用しながら、原木しいたけ生産の気候変動適応策についての調査や、培養肉の振興策の国際比較のレビュー論文なども執筆しています。
今後の抱負を教えてください。
農業を始めとする農林水産業や農村への興味を人一倍持ちながら、農業・農村振興、地球環境保全、食料安全保障に貢献する精度の高い政策提案を行い、積極的な国際発信ができる研究者になれるよう頑張ります。
宮城県出身、2014年ハワイ大学マノア校大学院博士課程修了(Ph.D.(地理学))。ハワイ大学マノア校非常勤講師、名古屋大学研究員、東京大学特任研究員等を経て、2023年4月より現職。 |
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