平成30年度採択課題(研究期間:平成30年度~令和2年度)事後評価結果に基づく対応措置
研究テーマ1
世界の有機食品市場の動向を踏まえた我が国の有機食品市場の見通しに関する研究
研究課題名 研究総括者名 |
評価会における評価結果 | 評価結果に基づく 対応措置 |
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総合評価 | 評価所見 | ||
欧米の有機農業政策及び国内外の有機食品市場の動向と我が国有機農業及び食品市場の展望 学校法人 立教大学経済学部経済政策学科 准教授 大山 利男 |
目標を上回った | (科学的観点) これまでに扱われてこなかった有機農業や有機食品市場の流通実態・構造をめぐる広範な研究対象について緻密な研究がなされており、多くの知見が得られた。他方で、これらをまとめた全体的な総括がやや希薄な印象がある。本研究の主目的とも言える日本国内の有機食品市場規模の推計については、情報収集の限界の中で実施され、今後取り組むべき事項は多いとは言え、目標どおりと評価できる。一方、関連する日本国内の有機食品の流通や輸出実態、欧米の有機市場の分析については、目標を上回る有益な研究がなされていると評価できる。 (政策的観点) 欧米諸国の有機農業・食品市場の実態や日本国内の流通事情についてそれぞれ明らかにされており、今後の政策立案において参考になる。また、国内の有機食品市場規模の推計については、今後、本研究で明らかにされた方法論やデータ収集についての問題点を踏まえ、官民協力して取り組むべき事項であり、その参考となることが期待される。 |
左記の評価所見を踏まえ、研究成果が活用されるよう広く情報提供に努めること。 |
有機農産物及び食品の生産振興の諸条件の解明:EUの分析と我が国への示唆 国立大学法人 名古屋大学大学院環境学研究科 教授 香坂 玲 |
目標を上回った | (科学的観点) フランス、ドイツ、オーストリア、イタリアのEU4か国の政策分析、日本国内の取組についての分析ともに新しい視点を提供している。特に、EU4か国の政策調査は、多段階・時系列分析が従来にないアプローチである。国内の有機農業分析についても、酪農、鶏卵、稲作等の有機農業生産者の時系列ごとの分析などの新しい視点を提供している。自ら掲げた研究内容の4本の柱が適切に組み合わさり、総合的な考察もしっかり行われており、目標を上回る成果を上げていると評価できる。 (政策的観点) EU4か国の時系列及び多段階における政策の展開やその具体的内容を明らかにして、具体的かつ実現性の高い政策的提言がなされており、日本の有機農業振興政策の立案の参考となる。国内の事例や地方自治体へのアンケートを基にした現状分析も有益である。研究成果の社会への還元についても、論文、一般書、ウェビナー、メディアなど多様な手段で積極的に発信しており、高く評価することができる。 |
左記の評価所見を踏まえ、研究成果が活用されるよう広く情報提供に努めること。 |
研究テーマ2
「日本型持続可能な開発目標(SDGs)モデル」の構築に資する農業分野における成長市場の創出やイノベーション推進に関する研究
研究課題名 研究総括者名 |
評価会における評価結果 | 評価結果に基づく 対応措置 |
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総合評価 | 評価所見 | ||
日本農業の生産性向上、イノベーション推進に向けた農業ICTの社会実装と農地集積の市場デザインに関する実証的研究―日本型持続可能な開発目標(SDGs)の構築を目指して― 学校法人 明治大学農学部食料環境政策学科 専任准教授 中嶋 晋作 |
目標どおり | (科学的観点) 「ミクロ・パネルデータを用いた日本農業の生産効率性の計測」をはじめとする個別の研究成果には、多数の有意義な分析が行われているなど有効性が認められ、また、多数の成果発表を行ってることから、研究成果の社会還元という点でも評価できる。一方、要素間の関係の一層の考察や、一部にはより仮説の実証を期待したい研究項目もある。 (政策的観点) 農業の生産性向上の分析という視点から、我が国の農業構造から個別経営体の経営改善に資する観点まで幅広く定量的に分析が行われており、農業政策全般としても重要な研究成果として評価できる。「農地集積のマーケットデザインの構築」においては、実際の集積を行う営農現場での実装部分などの課題が見られるが、研究をさらに深掘りすることで、政策の企画立案への活用が期待される。 |
左記の評価所見を踏まえ、研究成果が活用されるよう広く情報提供に努め、また、今後、研究を深めることが期待される。 |
農業分野におけるイノベーションが持続可能な社会を実現するプロセスおよびそれを後押しする政策に関する研究 学校法人 早稲田大学人間総合研究センター 客員次席研究員/研究院客員講師 西原 是長 |
目標どおり | (科学的観点) すべての研究項目を通じて、数多くの有意義な事例分析を実施し、それぞれから一般化の考察が行われている点は評価できる。他方で、一定程度は体系的な把握が行われているものの、SDGsとのシンプルな関連付けで終わっている印象もあり、分析結果のまとめの段階で更なる深掘りがなされれば、より充実したものになると考えられる。 (政策的観点) 農業、広域システム、農村資源を通じた地域イノベーションを、多くの事例分析を通じて解明することに挑戦しており、農村の持続性確保に対する示唆に富んだ内容を含んでいる点が評価できる。ただし、政策の企画立案への活用可能性が認められるものの、やや直截的でないことから、今度の研究の進展を期待する。 |
左記の評価所見を踏まえ、研究成果が活用されるよう広く情報提供に努め、また、今後、研究を深めることが期待される。 |
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農林水産政策科学研究委託事業推進事務局
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