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農林水産政策研究所

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農業・農村に若者を呼び込むための戦略に関する研究(所内プロジェクト研究)

1. 研究の背景

  農山村地域では農業者の減少・高齢化が進展しており、後継者を確保できずに離農する農家数の増加や、学校の廃校等を理由として、更なる人口流出が引き起こされている。これら農山村地域を維持・強化するためには、地域外の若い世代を農山村に呼び込むことが喫緊の課題となっている。

  他方で、農山村を自己実現の場として注目する若者の増加が見られ、具体的に農山村でのゲストハウス開業が移住者や若者の間でブームになるほか、過疎地域に指定された自治体の約41%で30代女性が流入超過の状態になっている。

  これまでの研究で、農村の現場で農福連携や都市との交流、農泊等に取り組んだところ、結果として、若い世代の就農や農村移住に結びついた事例があることが明らかになっており、こうした取組が農業・農村へ若者を呼び込むための入口になり得る可能性が示唆された。

  これらの実態解明は、農山村地域の維持・強化につながると考えられるため、より掘り下げた研究が必要となっている。さらに、一部の研究者からは、過疎地域への移住希望者は、多様性と農的志向を持ち、自由業やフリーランスを兼ね、有機農業を好む傾向があるという指摘があり、こうした面にも着目していく必要がある。

  これまでの調査研究で、都市に住む若者にとって、体験農園、農福連携、CSA(Community Supported Agriculture)等の都市及び都市近郊の農業は“農業や農のある暮らし”に関心を寄せる契機となり、やがてそれが、より遠方の農村地域への関心を高める契機となっていく可能性が示唆されている。これらの多くは有機農業を前提にした取組であり、有機農業に関心を持っていた都市及び都市近郊に住む若者が、体験農園、農福連携、CSA等に触れることにより、より一層、農業への関心を深めるという可能性が考えられる。

  そこで本年度は、農業が都市及び都市近郊に住む若者を引きつける要因に焦点を絞り、関連施策の効果的な連携のあり方について分析する。その際、様々な農業・農村への入口が考えられる中で、特に体験農園、農福連携、CSA、都市農村交流を中心に、これらの取組が若者の呼び込みに、どのような効果があり、そのような取組の中で有機農業がどのような役割を果たしているのか明らかにする。

  なお、コロナウィルス感染症流行により、人々は物理的な隔離を余儀なくされてしまっている。有機農業を軸とした体験農園、農福連携、CSA等は分断された人々の関係の再構築にも貢献する可能性があり、その点にも留意して研究を進めていく。

2. 研究内容

1)体験農園、農福連携、CSA、農村との交流等による若者の農業・農村への呼び込み効果の解明

 先行研究のレビューを踏まえ、各地域での聞き取り調査を実施する。

必要に応じてアンケート調査を実施する。

農福連携やCSAが果たしている効果について事例別に類型化する。

2)体験農園、農福連携、CSA、農村との交流等における有機農業の役割の解明

先行研究のレビューを踏まえ、各地域での聞き取り調査を実施する。

必要に応じてアンケート調査等を実施する。

3)効果的な施策の組合せについて考察

上述の実態解明を基に、効果的な組み合わせを取組の類型ごとに解明する。

有識者からの聞き取り調査を実施する。

お問合せ先

企画広報室広報資料課

ダイヤルイン:03-6737-9012