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農林水産政策研究所

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主要国における農業政策の改革の進展とそれを踏まえた中長期的な世界食料需給に関する研究(プロジェクト研究)

1. 研究の背景

  EUでは「農場から食卓へ戦略」が策定され、次期の共通農業政策においては、持続可能な農業生産という観点からも農業政策の改革が進められていくことが見込まれる。他方、中国では、食糧安全保障を重視し、構造改革以上に生産確保を優先する傾向が強まっている。また、国際的な食料需給では、新興国・途上国において継続する需要増加に対して、南米等から輸出が拡大して主要輸出国が偏在化するという構造変化が注目される。さらには、ロシアによるウクライナ侵略や新型コロナウイルスの世界的な感染拡大等による世界の食料サプライチェーン不安定化等食料需給に影響を与える不確実性が高い要因が生じている。

  農林水産政策研究所では、これまでも我が国の農業政策の立案や食料需給の観点から重要となる国や地域を対象として、農業政策・貿易政策や主要農産物の需給動向の把握・分析を、世界食料需給分析と連携しながら行ってきたところであるが、今後も主要国における農業政策の改革は引き続き行われるとともに、世界の農業生産や食料需給に影響を与える不確実性の高い事象が絶えず生じていることから、主要国の農業政策や食料需給の動向を継続して分析する。その際、政策立案に資する有効な知見を獲得するために、地域や課題のまとまりを捉えて、各国間の相互関係も考慮した各国横断的な分析も継続して実施することが重要である。

  また、世界食料需給分析についても、食料需給に影響を与える不確実性の高い要因等に対応した需給予測モデルの改良を図りながら実施する。

2. 研究内容

(1)主要国の農業政策・需給動向の把握・分析

  我が国の農業政策の立案や食料需給の観点から重要となる、EU、英国、ロシア、ブラジル、アルゼンチン、中国、インド、ASEANやアフリカ諸国などを対象として、各国・地域の農業政策・貿易政策や主要農産物の需給動向の把握・分析を、世界食料需給分析と連携しながら行う。
また、各国横断的な分析を以下のテーマを取り上げて行う。

1)持続的食料システムの構築に関する国際比較研究
  各国では、食文化等により消費者が求める食品の特徴が異なり、近年、有機農業の発展、新たなタンパク資源の利活用等の持続可能性への志向から食料消費の変化も見られる。これらの状況を踏まえ、各国の長期的な食料消費の変化に繋がる食生活・食文化の変化を把握するとともに、食料システムの地域性(固有性)を整理する。そして、各国の持続的食料システムの構築に向けた多様なアプローチと課題を解明することを通じて、我が国における「みどりの食料システム戦略」の実現に寄与することを目指す。

2)海外における日本食の消費者選好に関する研究(令和4年度)
  「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録される等、世界中で日本食が受け入れられている。このような人気を日本食の食材の輸出に繋げるため、どのような要因が日本食の消費へ影響を及ぼすのかについて分析し、日本食の普及策について政策的含意を提示する。対象国は、日本にとって最も重要な農産物輸出先の一つである中国とし、アンケート調査等を通じて、中国の消費者の日本食に対する選好を分析する(前期プロジェクト研究からの継続)。

(2)世界食料需給分析

  農林水産政策研究所で開発した世界食料需給モデルの改良を図りながら、中長期的な需給予測や予測の前提となる与件の変化に対応したベースライン予測やシナリオを検討し、主要国の農業政策・需給動向の把握・分析と連携して、食料需給の定量的な見通しと変動要因等の影響を分析する。

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