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農林水産政策研究所

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ポスト新型コロナウイルス時代における食料安全保障のあり方に関する研究(連携研究スキームによる研究)

1.研究の背景

  新型コロナウイルス感染症の拡大は、食料・農業・農村分野にも大きな影響を与えつつある。そして、その影響の中には、短期的な対応だけでなく、中長期的に対処すべき課題も多くあることが見込まれる。特に、輸出国の輸出規制の動きや食生活の大きな変化により、一時的に不足する食品があった一方で逆に過剰となった食品もあり、食料安全保障のあり方について、考えさせられる事態となった。こうした変化は、新型コロナウイルス感染症の収束により、一時的なものとして元に戻る変化もあれば、不可逆的に戻らない変化として「新常態(ニューノーマル)」の社会環境が成立するものと考えられる。

  このため、社会科学的なアプローチで、新型コロナウイルス感染症による中長期的な食料需給への影響を定量及び定性的に明らかにするとともに、ポスト新型コロナウイルス時代における食料安全保障のあり方について研究を行うこととする。

  こうした研究を行うためにも、現時点で行うことが可能な新型コロナウイルスによる影響の把握について早急に着手し、可能な限り分析を行っておくため、農林水産政策研究所内で横断的な研究体制を立ち上げるとともに、外部の有識者との機動的・有機的な連携が図れるよう、新たな連携研究スキームによる研究で実施することとする。

2. 研究内容

(1)食料の安定的な供給体制の構築に関する研究

  消費者の購買履歴データとともにネット調査から食料消費に与える構造的・中長期的な影響を解明する。同時に、卸売市場価格やPOSデータ等の店舗販売動向から食料供給の構造変化についても明らかにし、委託研究とも連携することで、ポスト新型コロナウイルス時代におけるフードシステムの方向性とともに、食料の安定的な供給体制や食料安全保障のあり方を解明する。

(2)食料の安定的な確保のための国際市場に関する研究

  ブラジルをはじめとする南米地域における穀物(油糧種子含む)生産動向のほか、日系穀物商社の穀物等の調達・事業戦略について把握するとともに、穀物を輸入している我が国の実需企業(植物油製造業)による安定的な原料調達に向けた企業動向について調査・分析を行う。その分析に基づき、国際市場から安定調達に必要な方策を解明するための含意を得るとともに、委託先と連携することで、南米以外の調達先の事情や畜産業などの国内の実需者の動向も踏まえた、我が国の食料需給に関する的確な展望に貢献する。

(3)国産農林水産物の国内外の需要動向を踏まえた供給体制に関する研究

  中長期的な国産農水産物の国内外の需要動向を踏まえた輸出のあり方について、統計分析、ヒアリング調査等により明らかにし、委託研究とも連携することで、水産物を中心に、ポスト新型コロナウイルス時代の農林水産物の国内への安定供給と輸出の拡大に向けた総合的な対策を解明する。

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