このページの本文へ移動

農林水産政策研究所

メニュー

世界の食料供給体制の変化と日本の食料安全保障に関する研究(連携研究スキームによる研究)

1.研究の背景

  現在の世界は、ウクライナに対するロシアの軍事侵攻を背景に、小麦やトウモロコシ価格の高騰という状況に直面している。しかし、ウクライナ情勢が緊迫化する以前の2022年1月6日付国連食糧農業機関(FAO)による報告では、2021年の穀物・植物油・食肉のいずれの食料価格が前年よりも大きく高騰しており、21年の食料価格指数が名目ベースで2011年以来、実質ベースで1975年以来の高水準であったことが指摘されていることから、これらの食料価格高騰は、ウクライナ情勢以前から世界の食料事情が抱えていた課題と考えられる。

  近年の食料事情は、世界人口の増加による需要拡大や限りある土地・水資源という供給の制約という構造的問題を所与の条件として、今日的な視点では新型コロナウイルス感染症対策によって冷え込んだ経済を立て直すべく取られた金融緩和政策を背景とした過剰流動性、天候不順、または環境問題対策を要因としたエネルギー価格の上昇やバイオ燃料に対する需要増等といった環境の中にあった。

  そのような状況において、価格動向のみならず、我が国の食料調達に最も影響を与えていることは、中国を筆頭とする新興国の旺盛な需要、またその需要を満たすための調達行動である。これまでの食料貿易は、欧米を中心とする少数の多国籍企業が世界の大部分を占めていた寡占的な状況であったが、2010年代以降、新興国の食料関連商社が台頭するとともに、中国の食料輸入における国家の存在感が高まった。

  本研究では、これらの食料市場の構造変化の一端を理解するために、ウクライナ情勢やCOVID-19などの特殊な外部要因にも配慮しつつ、油糧種子・穀物や食肉のほか、農業生産の礎である農薬や肥料などの農業資材を対象に、国家や多国籍企業等の動向を俯瞰するべくフードレジーム論をベースとして、中国やブラジル等の新興国を軸とした世界の食料供給体制の変化について分析を行う。

2. 研究内容

 「食料のグローバルバリューチェーンにおける周辺から中心への変容を試みる南米地域の実態に関する研究」として、ブラジルをはじめとする南米南部における油糧種子・穀物や食肉産業、また農業資材部門が、いかに事業展開・拡大を遂げ、その過程における国家の役割について調査・分析を行う。

 また、日系企業の動向のほか、韓国系企業の南米大陸における穀物集荷戦略等の分析も加味することで、南米大陸における東アジア諸国の動向について網羅的に把握することに努める。
 その分析に基づき、南米の農業・食料サプライチェーンの実態を理解するとともに、委託先と連携することで、米州と東アジアにおける食料をめぐるサプライチェーンの動態を把握し、我が国の食料需給に関する的確な展望に貢献する。

お問合せ先

企画広報室広報資料課

ダイヤルイン:03-6737-9012
FAX番号:03-6737-9600