持続可能な土地利用の実現に向けた、政策決定及びコミュニティの意思決定に対する支援方策に関する研究(所内プロジェクト研究)
1. 研究の背景
2022年4月に『地方への人の流れを加速化させ持続的低密度社会を実現するための新しい農村政策の構築』が取りまとめられ、粗放的管理を含めた人口減少社会における長期的な土地利用のあり方が検討されている。
条件不利地域では、営農の継続が困難になることで農地の荒廃が進み、さらには、営農の継続を支援する制度にすら取り組むことができない地域が顕在化している。他方で、比較的条件のよい地域では、より効率的な経営を実現するための農地利用に向けた取組が進行している。
これに伴って、土地利用の状況をはじめとした基本情報をGIS(地理情報システム)上に整理し、有効活用する取り組みが農林水産省のeMAFFなど広がりを見せているほか、各自治体等でも主に業務効率化を契機に取組が進みつつある。
このような高精細度のデータ整備は、エビデンスに基づく政策決定や、コミュニティの意思決定に資するためのデータとして極めて重要性をもつ活動である。
2. 研究内容
日本型直接支払の実施に当たって市町村が作成している『促進計画』(多面的機能支払・中山間地域等直接支払・環境保全型農業直接支払を市町村内のどこで実施可能かを計画したもの)といった、各市町村がWebサイト上で公表しているデータ等を用いて、中山間地域等直接支払の実施状況と対応させ、対象農用地のうち、実際にどの程度の面積で取り組まれていたのかを明らかにする。このことにより、中山間地域等直接支払の分析を行う上で、実証上の大きな課題であった、該当農業集落にどの程度中山間直払を実施可能な農地が存在するかという課題を解決することが可能である。
さらに、日本型直接支払を例として、GISを用いた業務効率化等を図っている地域の現地調査や、農地を含めた土地利用の状況、実施主体への聞き取り調査を実施する(市町村・協定・事務委託企業等)。
以上から、「これまで」の土地利用の変化が、集落機能の変化や計量経済学を用いた政策効果分析を可能にし、EBPMに資する。さらに、「これから」の土地利用の変化を継続的に収集することは、将来的には、地域が目標を策定する際の基礎資料として直接活用されることが期待される。さらには、その目標がどのように将来の土地利用ひいては地域社会のあり方を変容せしめるかを検討する。
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