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農林水産政策研究所

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持続的な農山村・農林業を支える地域資源循環の推進に関する研究(プロジェクト研究)

1. 研究の背景

  近年、世界人口は急増し、食料需要も増加する一方、気候変動による異常気象の頻発化や地政学リスクの高まりにより、世界の食料生産・供給は不安定化している。加えて我が国では長期にわたるデフレ経済下で経済成長が鈍化したのに対して、中国やインド等の新興国の経済は急成長した結果、世界における我が国の相対的な経済的地位は低下し、必要な食料や農業資材を容易に輸入できる状況ではなくなりつつある。

  上記のような状況に加え、我が国の農山村では都市部に先行し人口減少、高齢化が進み、また基幹的農業従事者は2000年の240万人から2023年には116万人と半減し、今後、食料供給や農山村の持つ多面的機能の発揮に影響を及ぼすことが考えられる。加えて、国内外でSDGs(持続可能な開発目標)の取組・意識が浸透し、農林業・農山村において、資源の循環利用、環境負荷削減、生物多様性への配慮・対応が求められ、このような配慮・対応が農林業・農山村の持続的な発展や新たな成長のための重要課題として認識されるに至っている。

  このような情勢を踏まえ、農林業従事者、農山村住民、都市住民が関与して農山村の地域資源を循環的に利用する取組を、廃棄物の循環利用、未利用林地残材の活用、生物多様性の保全等の視点から最新のデータに基づく分析と実態調査を組み合わせて多角的に分析するとともに、地域資源の循環利用を取り巻く農林業・農山村の変化の経緯や、現状の問題点を明らかにし、農林業・農山村の持続的な発展や新たな成長に結びつく地域資源循環のあり方を提示していく必要がある。

2. 研究内容

(1) 農山村地域における地域資源の活用・循環への取組みに関する研究

  農山村地域おける地域資源の維持・循環に関する取組みを促進するため、各種活動主体に対して、以下の通り現地調査などを行う。また、集落分析の結果に基づき、地域農林業の現状、その将来動向に関し検討する(令和8年度以降)。

  条件不利地域において農地保全に寄与する集落営農については、全国的な動向を集落営農実態調査等の統計データから明らかにするとともに、現地事例の予備的調査を実施する。

  市町村農業公社については、そのアンケート調査の分析結果を踏まえて現地調査を実施し、地域資源管理に果たす役割と課題を明らかにする。

  小さな林業については、人材確保への取り組みを大学校等の研修・教育機関への調査から明らかにするとともに、現地調査を通じて小さな林業の経営面での状況、地域における位置づけを考察する。

(2)環境負荷低減の取り組みの促進に関する研究

1) 農林業センサスなどの農業統計の検討、関連する農業・農業政策についての文献レビュー、多様な地域・主体間の連携に基づく畜産を含む農業生産活動と地域資源循環についての勉強会を通じて、農業分野に関わる地域資源循環の取組の現状についての情報を収集する。

2) 質問票、ヒアリング調査、多変量解析・シミュレーション分析などから、地域資源循環の取組が農業振興に及ぼす影響、相互作用について地域における具体的な状況を配慮しながら解明する。調査結果から、地域における取組みの有効性、課題を含めた対応方向などについて明らかにする。

お問合せ先

企画広報室広報資料課

ダイヤルイン:03-6737-9012