持続可能な食料システムの構築に向けた多様な食料消費の在り方に関する研究(プロジェクト研究)
1. 研究の背景
食料消費の多様化が進むなかで、「国民一人一人の食料安全保障」という当省の基本理念を実現する上では、多層的で安定的な食料システムの維持が不可欠の条件となる。一方で、昨今では、地政学的な緊張の高まりや、気候変動、国内の人口減少等が同時に進行しており、この条件の成立を妨げかねないリスク要因となっている。
こうしたリスク要因の影響を緩和する上では、第一に、リスク要因やそれを受けた制度の変革に対する食料システムの適応の挙動を長期的な視点から分析し、有効な対応策の方向性を明らかにすることが必要となる。第二に、新技術の適用や、対外輸出を含む新市場開拓等のイノベーションが食料システムの強靭化に寄与する可能性と要件を探索し、その推進策の策定に向けた一助とすることが求められる。
本事業では、以上の2つの観点に基づく研究を推進することにより、食料システムの持続可能性の担保に寄与することを目的に下記の取組を実施する。
2. 研究内容
(1)外的要因によるフードチェーンへの影響に関する研究
食品価格の高騰に対する消費者・小売店の行動変化について、空間・プレイヤータイプの異質性を考慮しつつ、消費者購買データの分析を中心にデータマイニングに重きを置いた消費者行動の実態把握のための統計的な分析を行う。そこで得られた消費者行動とその要因について経済理論による整理を行い、そこで得られた仮説を元に消費者・小売店の行動が価格高騰にどのような影響を与えていたのかを統計的に検証する。鶏卵については、特に長年安定した価格が形成されてきたものが大きく価格変動を生じさせていることから、過去のフードチェーンの形成要因と流通構造・費用構造や取引形態の実態把握を行い、経済理論の観点から近年の不安定化の要因を検討する。物流については2024年問題の影響評価を念頭に、影響の実態把握と流通業者の対応について調査を進める。
(2)我が国の食料供給体制の強靭化に向けたイノベーションに関する研究
イノベーションを新技術の適用と新市場開拓の2側面から捉え、研究を推進する。新技術の適用については、主にヒアリング調査結果を定性的に分析し、フードテック等の先端的な生産技術を適用した農林水産物・食品の供給体制の構造や課題を把握する。また、新技術の適用に際して発生し得るリスクコミュニケーションの問題への対応方法を検討すべく、消費者等のリスク認知の特徴を定性・定量的に分析する。
新市場開拓については、国内のブランド産品の輸出や海外展開にかかるバリューチェーンの実態を、構造、主体間の資源交換・戦略調整、成果・影響等の側面から明らかにする。加えて、地域の食を核としたインバウンド等の観光に着目し、関係主体の連携の仕組みと、食文化の継承に向けた人材育成の仕組みに重点を置いて分析する。
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