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農林水産政策研究所

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農林水産政策研究所ニュース No.294(2022年1月28日発行)

目次

【1】新刊案内:農林水産政策研究 第35号(令和3年12月

【1】新刊案内:農林水産政策研究 第35号(令和3年12月)

【研究ノート】
個票データを用いた労働・資本収益性の部門別計測
 川崎 賢太郎(東京大学(元農林水産政策研究所))

<論文概略>
 「農業経営統計調査」の個票データを用いて、個別経営体の労働および資本当たりの農業所得を比較しました。労働収益性(家族労働1時間当たりの農業所得)は、高い順に畑作(北海道)、酪農、施設野菜、果樹、露地野菜、水田作で、近年の傾向としては、酪農で年率6%、他の部門で年率1-2%の上昇トレンドにありました。水田作、畑作(北海道)、露地野菜では大規模化・構造変化がこうした成長を牽引しているのに対して、施設野菜、果樹、酪農では個々の経営体の収益性の改善が、全体の成長につながっていることが分かりました。資本収益性(固定資産当たりの農業所得)については、いずれの部門でも成長率は年率5-13%と高く、特に2010年以降顕著な伸びを示しています。この成長は、大規模化・構造変化ではなく、個々の経営体の収益性の改善が主因でした。つまりいずれの部門、いずれの規模階層でも、資本収益性の改善が進んでいることが示唆されます。


【調査・資料】
農業政策の効果測定手法:差分の差分法
 川崎 賢太郎(東京大学(元農林水産政策研究所))

<論文概略>
 近年、農業政策分野においてEBPM(Evidence-based policy making、エビデンスに基づく政策立案)という考え方が浸透しつつありますが、そこでの最も重要な概念は、政策が各種アウトカムに与える「因果関係」です。本稿では因果関係を推計する手法の一つである、「差分の差分法(Difference-in-differences)」に焦点を当て、その基本的な概念や農業経済学分野における応用例について紹介しています。


【調査・資料】
都市農業経営における常雇導入の意義と特徴
― 首都圏特定市を対象とした事例分析 ―
 吉田 真悟(農業・農村領域 研究員)

<論文概略>
 本研究では、首都圏特定市(横浜市、市川市、松戸市)の農業経営者に対するアンケート結果及び市川市の果樹農家を対象としたヒアリング調査結果を用いて、常雇導入型経営の経営管理の実態を解明しました。アンケート調査結果より、常雇の導入量によって経営発展段階の差が確認されました。とくに常雇2人以上の経営は、地域貢献などの非経済的経営目標を重視し、様々な人的ネットワークを駆使して、多様な事業に多角化しているという特徴がみられました。さらに、ヒアリング調査結果より、同様の経営規模だとしても経営目標や家族従業員に対する考え方の違いによって、常雇の役割や今後の人的資源管理の在り方が異なることが示されました。


【調査・資料】
農山漁村滞在型旅行における旅行者の行動の実態
 八木 浩平(神戸大学)
 佐藤 彩生(農林中金総合研究所)
 平形 和世(農業・農村領域 上席主任研究官)

<論文概略>
 本稿では大規模なアンケート調査を行い、農山漁村滞在型旅行での旅行者の行動を詳述しました。主な結果例は、次のとおりです。まず、農業体験や調理体験等の各種体験を行う層は男性の割合が高いものの、農山漁村への宿泊者に絞ると女性の割合が高いことが分かりました。旅行の情報源の利用割合は、インターネットの利用層が非常に多く、また高年齢層で「ガイドブック」や「メディア」が比較的多い一方、若年層では「宿泊・旅行関連のサイト」や「知らない人のSNS」が比較的多い状況にありました。旅行後に「(旅行先の)農家から農産物を購入」や「地元住民との交流」等の行動の変化があった割合は、個人旅行より団体旅行で高い状況にありました。

以下のURLから御覧ください。
https://www.maff.go.jp/primaff/kanko/seisaku/035.html


お問合せ先

企画広報室広報資料課

ダイヤルイン:03-6737-9012