農林水産政策研究所ニュース No.369(2025年12月26日発行)
研究成果の紹介:農村景観評価に対するモバイル・ビッグデータ活用の検討 ―棚田を事例として―
國井 大輔(企画広報室 企画科長)・林 岳(食料領域 総括上席研究官)・佐藤 真行(神戸大学大学院 人間発達環境学研究科 教授)
棚田をはじめとする農村などのオープンスペースでは、実際に何人がそこを訪れているのかを正確に数えることが難しく、農村景観の価値を評価するうえで課題となっています。そこで近年では、人々の移動に関する分析をするため、スマートフォンの位置情報を利用したモバイル・ビッグデータの活用が注目されています。
本研究では、農林水産省の「棚田百選」に認定されている複数の棚田を対象として、モバイル・ビッグデータを用いて来訪者数の推移と来訪者の特徴を分析しました。その結果、コロナ禍によって移動が制限された 2020年5月でも来訪者が減少しない棚田、一度は減少するもののその後増加に転じる棚田、移動制限で減少したまま回復しない棚田があることがわかりました。また、来訪者の平均的な移動距離についても、コロナ禍で著しく減少する棚田と大きな変化のない棚田があるという違いが明らかとなりました。
なお、モバイル・ビッグデータから得られた数値の解釈には注意が必要ですが、こうしたデータを活用することで、棚田のようなオープンスペースへの人の流れや来訪者の特徴等の詳細な分析が可能であることが示されました。本研究成果は,農村景観の保全施策の立案等に関する基礎情報として活用されることが期待されます。
https://primaff.repo.nii.ac.jp/records/2000137
この成果は「農林水産政策研究 第40号」に掲載されております。
https://www.maff.go.jp/primaff/kanko/seisaku/040.html
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