農地の受け手となっている担い手農家が、出し手に転じる可能性(都府県水田農業の担い手に関する実態調査・分析)
高齢農家のリタイアに伴う農地の流動化等によって、各地で担い手への農地集積が進行していますが、こうした担い手の中には、農業後継者を確保できていない担い手農家も少なくありません。
農業センサスを分析したところ、2010年から2015年にかけて経営田面積が5ha以上拡大した都府県農家(5,370戸)のうち、14%は経営主が65歳以上であり、なおかつ同居農業後継者がいないということが明らかとなりました。
そこで、山形県の旧鶴岡市を事例に、農地の受け手となっている担い手農家における農業後継者の確保状況と面積拡大意向を調査・分析しました。
その結果、農地の受け手であっても農業後継者が確保できていない実態があり、経営主の高齢化に伴って、農地の受け手から出し手に転じる担い手農家が出現すると予想されます。
こうした状況を踏まえると、人・農地プランを見直す際に、農業後継者の確保状況を見極めた農地集積を進めることや、雇用労働力の導入、第三者継承も念頭に置いた法人化、新規就農者の育成を図ることが重要と考えられます。
表 旧鶴岡市の担い手農家における農業後継者と規模拡大 |
農家 | 経営田面積 | 5年間の面積変化 | 面積拡大意向 | 労働力 | 農業後継ぎの状況 |
|||
世帯主世代 | 後継者世代 | |||||||
世帯主 | 妻 | 後継者 | 妻 | |||||
A | 8.3ha | 3.4ha 増加 |
拡大 | 52歳 農業専従 |
51歳 農業専従 |
25歳 会社員 |
なし | 不明 |
B | 8.0ha | 1.9ha 増加 |
拡大 | 59歳 契約社員 |
57歳 会社員 |
35歳 会社員 |
34歳 会社員 |
不明 |
C | 7.8ha | 5.2ha 増加 |
維持 | 68歳 農業専従 |
67歳 農業専従 |
44歳 会社員 |
44歳 会社員 |
不明 |
D | 7.0ha | 2019年 2.4ha 増加予定 |
拡大 | 60歳 農業専従 |
59歳 主婦 |
27歳 会社員 |
なし | 継がせる |
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