農福連携によるネットワーク構築の類型別にみた特徴
農福連携の先進的な事例では、農福連携を契機に地域内で新たなネットワークが構築されることで、農村地域での雇用創出や地域の農家等の所得増加といった経済的な効果や、新たなコミュニティの形成や人的な交流の拡大といった社会的な効果もあることが明らかになっています。
各事例をネットワーク構築の特徴によって類型化したところ、(1)地域内でのネットワーク化に力を入れる取組、(2)他地域への展開に力を入れる取組、(3)全国的な展開に力を入れる取組と大きく三つに類型化できました。また、それぞれの類型ごとに、(1)では主体が農業サイドか福祉サイドか、(2)では消費地に近い地域か否かなどにより、さらに類型化することができ、こうした類型間で効果の発現の度合いも異なることが分かりました。
表 調査事例のネットワーク構築の特徴による類型化 |
経営展開の特徴 | 施設名 | 取組内容 | 参入経路 | |
地域内でネットワーク | <福祉サイドが直売を軸にネットワーク化> 福祉サイドから直売所を軸に、周囲の農家、福祉事業所、地域住民と新たなネットワークを構築 |
社会福祉法人「こころん」 | 直売所にカフェを併設し、農産物加工施設も新設 | 福→農 |
NPO法人「ピアファーム」 | 直売所、観光農園、農産物加工施設 | 福→農 | ||
<農業サイドが障害者による援農受け入れ等でネットワーク化> 農業サイドから、援農の受け入れ等を通じて、障害者福祉施設や特例子会社との関係を強化し、新たなネットワークを構築 |
株式会社「京丸園」 | 特例子会社と8戸の農家・農業法人とによるネットワーク | 農→福 | |
株式会社「おおもり農園」 | 農家による障害者福祉事業所の取り込み | 農→福 | ||
株式会社「菅野農園」 | 農家による障害者福祉施設からの援農受け入れによるネットワークの構築 | 農→福 | ||
他地域へ展開 | <町部から市部へ> より消費地に近い地域に二つ目の事業所を開設し、取組規模を拡大しつつ、新たな施設には直売機能、地域住民との交流機能、情報発信機能を持たせる取組 |
社会福祉法人「くりのみ園」 | 小布施町から長野市へ進出し、直売所、農産物加工施設を新設 | 福→農 |
社会福祉法人「白鳩会」 | 南大隅町から鹿児島市へ進出し、農産物加工施設、直売所、カフェを新設 | 福→農 | ||
<市部から町部へ> 新たな施設の開設先の地域の農業事情を踏まえて、それぞれの地域に応じた農業や農業関連事業を展開している取組 |
社会福祉法人「E.G.F」 | 萩市から阿武町へ進出し、カット野菜工場建設、集落営農組織への援農を拡大 | 福→農 | |
有限会社「岡山県農商」 | 岡山市から久米南町へ進出し、ミニトマト栽培。芋掘り交流会を地元で毎年実施 | 農→福 | ||
全国展開 | <同じコンセプトで全国展開> 全国的な展開によりブランド化、販売の広域化、生産情報の共有に力を入れる取組 |
一般社団法人「農福連携自然栽培パーティ全国協議会」 | 愛媛県から全国へ展開。自然栽培の内容は多様。ブランド化、共同販売。6次産業化に熱心な施設もある。 | 福→農 |
PDF版ダウンロード(PDF : 221KB)
お問合せ先
企画広報室広報資料課
ダイヤルイン:03-6737-9012
FAX番号:03-6737-9600