農業分野における雇用労働力の動向と課題
農家の減少や農家世帯員の高齢化、農業法人の増加が進む中、農業労働力において雇用労働力の存在感が増しています。本研究では、「就業構造基本調査」の個票データを用いて、農業分野における雇用労働力の動向を分析しました。
農業就業者に占める雇用者の割合は、9.7%(H19)、14.1%(H24)、17.2%(H29)と上昇しています。農業雇用者数は、正規・非正規ともに増加していますが、非正規の伸びが大きいため、全体では非正規の割合が増加しています(H19 57.6% → H29 62.6%)。また、男女別にみると、女性の8割近くはパートなどの非正規ですが、男性では過半数が正規となっています(H29非正規割合 女性:77.8%、男性:46.8%)。
「就業構造基本調査」では、農業雇用者の労働条件に対する意向や、就業異動(転職者等)の実態も把握することができます。近年、農業の男性正規雇用者では、年間労働日数に着実な減少傾向がみられます(図)。他方で、本調査では、正規雇用男性の転職希望者の多くが労働時間を減少させたいと考えていることや、男性正規雇用者では農業内部で転職する動きが強まっている実態も明らかになっています。これらの事実は、農業分野が今後も正規雇用の労働力を確保していくためには、休日の増加など就業条件の一層の改善が必要であることを示唆しています。
図 男性正規の年間労働日数別雇用者割合の推移 |
資料:総務省「就業構造基本調査」(組替集計) 注. 平均年間労働日数は、各項目の中位数(300日以上は330日)を乗じることで計算した。 |
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