中長期的には、穀物等の需要が弱まり価格の下押し圧力も強まる見込み(2031年における世界食料需給見通し)
1. 農林水産政策研究所は、自ら開発した「世界食料需給モデル」を用いて、2019年(2018~2020年の3か年平均値)を基準年として、2031年における世界の食料需給見通しを公表しました(注) (2022年3月公表)。
2. 2020年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行により急激に減速した世界経済は、2021年には回復が進んだものの、COVID-19の再拡大の下で各国経済の回復はまちまちとなり、反動的急回復は抑えられ、中期的に世界経済はこれまでより緩やかな成長となる見込みです。また、世界の総人口は中国を含めて一部新興国で伸びが低下するものの緩やかな増加を継続する見込みです。これらのことから、世界の穀物及び大豆の需要量の伸びはこれまでより緩やかとなるものと予想され、この結果、畜産物需要の伸びも鈍化して価格の下押し圧力が強まり、穀物等の国際価格(実質価格)はやや低下傾向を強める見通しです。
3. ただし、エネルギー等価格の高騰によるインフレや労働力不足を含むサプライチェーンの混乱の継続に加えて、ウクライナ情勢の不確実性等を背景に、2022年以降、短期的には穀物等価格が大きく上振れするリスクがあります(図)。
(注)2022年2月に発生したロシアのウクライナ侵攻は、世界の農産物需給・価格に大きな影響を及ぼしつつあるが、本見通し作成における最終段階において発生し、事態もいまだ流動的であることから、本見通しにはその影響は織り込まれていない。
図 主要穀物及び大豆の国際価格 |
注. 2021年までが実績値で、2022年から2031年までは予測値。小麦、とうもろこし、米、大豆は製造業輸出単位価格指数(MUV: Unit value index of manufacture exports、世界銀行によるインフレーション指数の一つ)を基に算出。 |
この成果の詳細については、農林水産政策研究所Web サイトをご覧ください(以下参照)。
- 2031年における世界の食料需給見通し
https://www.maff.go.jp/primaff/seika/attach/pdf/220331_2031_01.pdf
https://www.maff.go.jp/primaff/seika/attach/pdf/220331_2031_02.pdf
- 令和3年度カントリーレポート
プロジェクト研究 [主要国農業政策・貿易政策] 研究資料 第12号(2022年3月)
https://www.maff.go.jp/primaff/kanko/project/attach/pdf/220331_R03cr12_04.pdf
- 農林水産政策研究所レビューNo.108(2022年7月)
https://www.maff.go.jp/primaff/kanko/review/attach/pdf/220729_pr108_03.pdf
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