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農林水産政策研究所

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食料価格は一時の高騰から低下したものの、ロシア・ウクライナの動向は引き続き国際市場の不安定要因

1. FAO食料価格指数は、ロシアのウクライナ侵攻直後の2022年3月に過去最高(食料平均:159.7、穀物:170.1、植物油:251.8)を記録しました。コロナ禍の反動需要の過熱などから、2021年の終わり頃には既に過去のピーク(2008年、2011年)に並ぶ高水準となっていたところに、ロシアのウクライナ侵攻による供給への懸念が加わったためです。その後、FAO食料価格指数は低下に転じ、2023年6月(食料平均:122.4、穀物:126.6、植物油:115.8)まで低下が続きました(下図参照)。

2. その背景には、2022/23年度(2022年7月~23年6月)のロシア・ウクライナからの穀物等の輸出が、当初の懸念に反して活発に行われたことがありました。

・2022年のロシア産穀物は史上最高の豊作で、穀物輸出については、経済制裁の影響で船便の確保、貨物の保険、代金の決済等が制約を受けているとのロシア側主張はあるものの、2022/23年度の輸出量は結果的には史上最高となった模様です。

・ウクライナの穀物輸出は、2022年7月にロシア、ウクライナ、トルコ、国連の間で「黒海穀物イニシアティブ」が合意されて以降進展しました。同イニシアティブによる穀物や食用油等の輸出量は総計3,286万トン、うち穀物2,715万トンに達しています。

3. 2023年7月にロシアが黒海穀物イニシアティブへの参加停止を表明すると、その影響で同月のFAO食料価格指数が若干上昇しましたが、その後再び低下しています(同年9月は食料平均:121.5、穀物:126.3、植物油:120.9)。ウクライナ侵攻が長期化する中、ロシア・ウクライナの動向は見通しがたく、国際市場の不安定要因として引き続き注視していく必要があります。


図 FAO食料価格指数の推移(2007年1月~2023年9月)

 図  FAO食料価格指数の推移(2007年1月~2023年9月) 
資料:FAO Food Price Indexから作成


この成果の詳細については、農林水産政策研究所Web サイトをご覧ください(以下参照)。

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