「持続可能な漁業管理」は日本で付加価値となり得るか
1.近年水産エコラベル認証の取得が促進されています。世界でも最もシェアが高いMSC(Marine Stewardship Council)や我が国発の水産エコラベルであるMEL(メルジャパン)があります。しかし、海外に比べて国内漁業の認証取得は進んでいない状況です。その阻害要因として、認証取得の高額な審査費用と維持コストがあります。
2.この問題への一つの対処法として、漁業改善プロジェクト(FIP)があります。FIPは認証制度ではなく、認証取得を考える漁業に対し、持続可能な漁業へ改善するための民間ガバナンスに基づく自主的なプロジェクトです。一連のステークホルダー(漁業、小売、流通、NPO、加工、商社など)が協力し、持続可能性へ取り組み、商品を売り出します。もしFIPに付加価値があれば、水産エコラベル認証の取得を検討する漁業が増える可能性があります。
3.本研究では、メバチマグロ刺身商品を対象にウェブ調査を実施し、水産エコラベルやFIPに対する消費者の意識を調査し、消費者がFIP参加漁業から調達された魚介類に対する付加価値(支払意思額)を推定します。
4.推計の結果、602円(推定値)のラベル無しのメバチマグロに対して、MSC、MEL、FIPは、それぞれ13円、32円、17円高く評価されました。つまり、エコラベルと同様にFIP商品に対して17円という有意な正の価格プレミアムが存在することを初めて示し、日本の消費者がエコラベル認証漁業と同様に、持続可能な漁業管理に対してお金を払う意思があることが示されました。
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図1.購買要因ごとの付加価値 |
図2.ウェブ調査に使われたメバチ |
この成果の詳細については、農林水産政策研究所Web サイトをご覧ください(以下参照)。
- 農林水産政策研究所レビューNo.116(2023年11月)
https://www.maff.go.jp/primaff/kanko/review/attach/pdf/231130_pr116_06.pdf
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