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農林水産政策研究所

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持続可能な取組が農業法人の経営発展に貢献

1.農業法人の活動は自然環境や地域社会と強く結びついており、また、温暖化や肥飼料価格高騰などの急激な環境変化への対応は、経営の維持・発展に不可欠です。そこで、本研究では農業法人による環境や社会の持続可能性に関わる取組(持続可能な取組)の実態を、客観的なデータ(2022年度の全国農業法人実態調査(配布 2,068 法人、有効回答 1,412 法人)の結果)を用いて分析しました。

2.環境・外部社会(地域や市民)・内部社会(従業員)に関する59項目の取組の有無を尋ねたところ、環境に関しては堆肥の利用、減農薬・減化学肥料の取組、省エネ・スマート機器の導入、外部社会に関してはトレーサビリティの確保、耕作放棄地の解消、農業体験の実施、内部社会に関しては定期健診の実施、年次有給休暇制度の整備、福利厚生の充実の取組が活発でした(図1)。

3.さらに、因子分析の結果、これら59項目は、従業員への配慮、社会や自然との共生、持続的な畜産、持続的な農地利用、気候変動対策、農福連携という6つのテーマに分類できました。この6つのテーマへの積極性を得点化し、いずれかの得点が上位5%に入る295法人(24.5%)を「トップランナー」とし、その他法人と比較すると、トップランナーは平均売上高が大きい傾向がありました(トップランナー:4.7億円>その他:2.3億円)。また、経営理念の策定や売上げ以外の財務目標の設定などのコーポレート・ガバナンスにもより積極的でした(図2)。その結果、トップランナーは後継者の確保割合が高く、同時に、過去1年間の売上高成長率も高いことが明らかとなりました(図2)。

 図1 主な持続可能な取組の選択割合
図1  主な持続可能な取組の選択割合

資料:アンケート調査より筆者作成。
注:緑=環境、オレンジ=外部社会、黄=内部社会、の分類を表す。
図2  トップランナーとその他法人の特徴の比較1 図2  トップランナーとその他法人の特徴の比較2 
図2  トップランナーとその他法人の特徴の比較
資料:アンケート調査より筆者作成。
注:赤数値はトップランナーとその他法人の間で有意差(p < 0.05)となった項目を表す。

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企画広報室広報資料課

ダイヤルイン:03-6737-9012

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