3.地域の農業と課題【事業に至る経緯】
全国トップクラスの農業県へ
両総用水によって九十九里(くじゅうくり)平野の水不足は解消され、また、佐原(さわら)地区においては河川改修が進展したことで洪水被害も著しく軽減されました。これにより、水稲作の安定、畑作の振興が図られ、県内有数の農業地帯に発展しました。
また、受益地の大半を占める東金市、旧成東町、九十九里町、大網白里町、白子町、長生村、旧松尾町、旧蓮沼村及び旧横芝町の1市6町2村においては、米生産の安定が図られるとともに、昭和40年代からは野菜生産が大きく伸び、品目によっては、県内有数の産地に成長しました。
またこの地域の認定農業者も着実に増加しており、米作と露地・施設野菜を組み合わせた営農形態が最も多く、全体の約41%を占めています(稲作単一経営は約6%)。
関係市町村における農業粗生産額の推移
(出典:千葉農業水産統計年報)
主要品目の収穫量の推移
(出典:千葉農業水産統計年報)
一方、佐原地区では、平成8年より利根川(とねがわ)の浚渫土(しゅんせつど)を水田に投入して50cmかさ上げする事業が行われました(「経営体育成基盤整備事業」)。これにより、地下水位が高すぎて無理であった畑への転用が可能になり、大豆や小麦も生産されるようになりました。
これにより、例えば、農業法人「みらい」の経営面積は年間80haを超え、「北清水営農組合」は88haの水田で米・麦・大豆を生産するなど、経営拡大が進んでいます。
そして、平成6年、千葉県の農業産出額は北海道に次いで全国2位(野菜は1位)となり、その後もずっとトップクラスの座を維持し続け、首都圏の食料供給に大きな役割を果たしています。
山武管内認定農業者数の状況
施設の老朽化
地域に多大な貢献を果たしてきた両総用水も、事業の完了からすでに30年以上が経過しました。施設は著しく老朽化し、維持管理に多大な労力と費用を要するようになってきました。また、千葉県東方沖地震(昭和62年)や同中部沖地震(平成2年)、台風等の災害によりしばしば通水に支障をきたす状況が発生しています。
また、当時の技術では、広大な九十九里平野の隅々まで用水を行き渡らせることには限界があり、従来から海沿いの地域からは用水不足の声が上がっており、用水配分の不公平感が存在していました。
さらに、足腰の強い農業を構築するため、水田の汎用化(畑としても活用できる水田)、水利用の効率化なども緊急な課題となってきました。
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