【GCP】
1.GCP体制
ただし、治験計画の届出及び規制当局への副作用等の報告については、当該業務を受託機関に委託することはできません。
また、治験の依頼及び管理に係る業務の全部又は一部を受託機関に委託した場合でも、治験に関する最終的な責任は、常に治験依頼者が負うことになります。
・治験の依頼と管理に係る業務を行う治験依頼者と受託機関
・治験を実施する実施機関
実施機関とは、「治験の実施の依頼を受け、治験を行う機関」であり、「被験動物の診療・検査等を行う機関(単に被験動物の飼育のみを行う飼育施設を含まない)」とされています。
そのため、農場の管理獣医師や動物病院の獣医師が被験動物へ治験薬の投薬や診療等を行う場合は、「管理獣医師がいる農場」や「動物病院」は実施機関となります。
その場合、実施機関の要件調査も必要です。
※実施機関の要件
・十分な臨床観察ができるあるいは十分な試験検査ができる
・緊急時に必要な措置をとることができる等の治験を適切に実施し得るもの
<多施設共同治験の場合>
ひとつの治験実施計画書に基づき、治験依頼者が複数の実施機関に対して治験を行う場合、治験依頼者は実施機関における治験実施計画書その他の治験の細目について調整する業務を治験調整責任者または治験調整委員会に委嘱することができます。
・治験調整責任者
治験を適正かつ円滑に行うために必要な知識及び経験を有する責任者
・治験調整委員会
治験を適正かつ円滑に行うために必要な知識及び経験を有する複数の者で構成される委員会
2.契約
GCP省令で規定される「契約」は、2種類あります。
・委託契約・・・GCP省令第10条
・実施契約・・・GCP省令第11条
(1)委託契約
「委託契約」とは、治験を依頼しようとする者が、治験の依頼及び管理に係る業務の全部又は一部を委託する場合、治験の依頼をしようとする者と受託機関との間で行う契約です。
委託契約書に記載すべき事項は、局長通知第3の2の(2)のエに定められています。
(記載すべき事項)
・委託した業務の範囲
・委託に係る業務の手順に関する事項
・手順に基づき、委託に係る業務が適正かつ円滑に行われていることを治験を依頼しようとする者が確認できる旨
・受託者に対する指示に関する事項
・指示に対し措置が講じられたかを治験を依頼しようとする者が確認できる旨
・受託者が治験を依頼しようとする者に対して行う報告
・受託した業務に係る被験動物の所有者に対する補償措置
・その他委託に係る業務についての必要な事項
(2)治験契約
治験契約とは、治験の依頼をしようとする者と実施機関の間で行う治験の実施に関する契約です。
治験契約書に記載すべき事項は、局長通知第3の2の(2)のオに定められています。
(記載すべき事項)
・契約を締結した年月日
・治験の依頼をしようとする者の氏名・住所
・業務の一部を委託する場合、受託者の氏名、住所、委託した業務の範囲
・実施機関の名称・住所
・契約担当者の氏名・職名
・治験実施責任者等の氏名・職名
・治験の期間
・目標とする被験動物数
・治験薬の管理に関する事項(局長通知)
・記録(データを含む)の保存に関する事項
・GCP省令の規定により治験依頼者や実施機関が行う通知に関する事項
・被験動物の所有者の秘密の保存に関する事項
・治験の費用に関する事項
・実施機関が治験実施計画書を遵守して治験を行う旨
・実施機関が治験依頼者の求めに応じ、監査やモニターの記録を閲覧に供する旨
・治験の契約の解除
・被験動物の健康被害の補償に関する事項
・その他治験を適正かつ円滑に実施することの必要な事項
治験の依頼をしようとする者が治験の契約と管理に係る業務の全部及び一部を委託した場合、治験依頼者・受託機関・実施機関の三者の間で治験の契約を結びます。
なお、治験依頼者による治験の準備及び管理に関する業務、実施機関における治験の実施に関する業務が円滑に行える場合にあっては、治験依頼者・受託機関・実施機関の三者の合意の上、受託機関と実施機関の二者の契約としても差し支えありません。
3.GCP体制(事例)
ここで示すGCP体制は、治験依頼者・受託機関・実施機関との契約と治験薬の流れを事例としてお示しするものです。 不明な点等があれば技術指導課にご相談ください。 |
【食用動物を対象とした治験(農場で実施する治験)の場合】
【動物病院等で治験を実施する場合】