動物用抗菌性物質製剤のリスク管理措置 Risk Management of Veterinary Antimicrobial Medicines
動物に用いられる抗菌性物質のうち、動物用医薬品である動物用抗菌性物質製剤については、以下のリスク管理措置を行い、適正使用の確保に努めています。
(1)要診察医薬品制度
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獣医師法第18条(獣医師は、自ら診察しないで診断書を交付し、若しくは劇毒薬、生物学的製剤その他農林水産省令で定める医薬品の投与若しくは処方(中略)してはならない。(以下略))に基づき、動物用抗菌性物質製剤の使用に際して獣医師による診察を義務付けています。
(2)要指示医薬品制度
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医薬品医療機器等法第83条において準用する第49条第1項(薬局開設者又は医薬品の販売業者は、医師、歯科医師又は獣医師から処方箋の交付又は指示を受けた者以外の者に対して、正当な理由なく、農林水産大臣の指定する医薬品を販売し、又は授与してはならない。(以下略))に基づき、獣医師の診察に基づく指示を受けた者以外への動物用抗菌性物質製剤の販売を禁止しています。
(3)使用規制制度
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医薬品医療機器等法第83条の4第1項(農林水産大臣は、動物用医薬品(中略)であつて、適正に使用されるのでなければ対象動物の肉、乳その他の食用に供される生産物で人の健康を損なうおそれのあるものが生産されるおそれのあるものについて、(中略)使用することができる対象動物、対象動物に使用する場合における使用の時期その他の事項に関し使用者が遵守すべき基準を定めることができる。)に基づき、使用対象動物、使用量、使用禁止期間など使用者が遵守すべき基準(使用基準)を「動物用医薬品及び医薬品の使用の規制に関する省令」(平成25年農林水産省令第44号)[外部リンク]により設定しています。
(4)第二次選択薬としての取扱い
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人の医療上重要な抗菌剤であるフルオロキノロン系合成抗菌剤や第三世代セファロスポリンなどについては、第二次選択薬として他の抗菌性物質製剤が無効の場合にのみ使用するよう注意喚起するなど、より薬剤耐性菌が選択され難いようにしています。
- (参考)家畜に使用するコリスチン製剤(動物用医薬品)の第二次選択薬への位置付けについて(通知)
(5)食品安全委員会でのリスク評価と農林水産省でのリスク管理措置
- 1) 食品安全委員会でのリスク評価
食用動物に使用される動物用抗菌性物質製剤については、食品安全委員会において、リスク評価(動物用抗菌性物質製剤の使用により選択された薬剤耐性菌が、食品を介して人の健康に与える影響が評価されます。)を受けています。このような製剤ごとの詳細なリスク評価を行っているのは日本だけです。- A)食品安全委員会での動物用医薬品のリスク評価の評価書(薬剤耐性菌に係るもの以外を含む。)[外部リンク]
- B)食品安全委員会の薬剤耐性菌に関するワーキンググループにおける状況(平成27年9月以前は、肥料・飼料等専門調査会の開催実績のうち、微生物・ウイルス合同:薬剤耐性菌に関するWGをご覧ください。)[外部リンク]
(参考)
- 2) リスク評価とリスク管理措置
食品安全委員会での評価が終了した動物用抗菌性物質製剤については、評価結果を踏まえて、動物用抗菌性物質製剤のリスク管理措置策定指針に従い、追加のリスク管理措置を講じることとしています。
これまでに講じた追加のリスク管理措置は以下のとおりです。- A)牛及び豚用フルオロキノロン剤のリスク管理措置について(掲載:2012年6月25日)
- B)豚用ツラスロマイシン製剤のリスク管理措置について(掲載:2012年12月25日)
- C)牛用ピルリマイシン製剤のリスク管理措置(掲載:2013年9月17日)
- D)鶏のフルオロキノロン系抗菌性物質製剤のリスク管理措置について(連絡)(2014年8月4日付け26消安2313号消費・安全局長通知)
- E)フルオロキノロン系等製剤に係る表示等の記載について(平成26年11月21日付け26動薬第1618号動物医薬品検査所長通知)
- F)牛及び豚に使用するセフチオフル製剤のリスク管理措置について (平成29年4月3日付け29消安第5945号農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課長通知)
- G)牛及び豚に使用するセフキノム製剤のリスク管理措置について (平成29年8月8日付け29消安第2506号農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課長通知)
- H)家畜に使用するコリスチン製剤のリスク管理措置について (平成29年9月20日付け29消安第3385号農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課長通知)
- I)牛に使用するガミスロマイシン製剤のリスク管理措置について (平成29年12月26日付け29消安第4836号農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課長通知)
- J)豚に使用するガミスロマイシン製剤のリスク管理措置について (平成30年5月17日付け30消安第1017号農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課長通知)
(参考)
- A)飼料添加物として使用される抗菌性物質[外部リンク] (表中の合成抗菌剤及び抗生物質)
- B)飼料添加物における薬剤耐性菌関係情報[外部リンク]
- C)農薬として使用される抗菌性物質[外部リンク] (明確なリストではないため、農薬登録情報から抗菌性物質を探す必要があります。)