このページの本文へ移動

東海農政局

メニュー

事例集_ヘルシーメイト

我々にとって一番大事なのは、どんなものを仕入れるか。独占できる良いものを持つことは、店の強みになります。
株式会社ヘルシーメイト(愛知県岡崎市)
ヘルシーメイト

オーガニックスーパーとして地域に根付いて40年。仕入れを大切にしながら品目を増やし、独自の品ぞろえに力を入れてきた。

店舗の運営だけでなく、環境問題や有機農業をテーマにした本を扱う書籍卸の運営や、ネット通販の構築、卸業に取り組み、新たな販路や繋がりが広がっている。

きっかけは無添加のチキンハム

ヘルシーメイト会長の山田和也さんは商社の社員として営業をしていた頃、友人が経営していたチキンハムの会社に出資した。45年ほど前のことだ。友人は卵を産まなくなった廃鶏を原材料にチキンハムをつくっていたが、無添加の商品を開発することになったと聞き、興味を持った。できあがった無添加ハムの営業を自分でやってみたところ、「面白かった。競争も少ないし、買いたたかれることもない。こんな分野があったんだと知りました。」

オーガニック志向の消費者団体が一定数あることもわかり、売先への不安を感じなかったことから、有機宅配をメインにした店舗と事務所で事業をはじめたのは1983年のことだ。まだ名古屋市では有機農産物を扱う大きな団体は生まれていない時期だったが、東京では大地を守る会・ポラン広場・長本兄弟商会などがすでに活動をはじめていた。

その後、岡崎市内の現在の場所に移転するとともに、2005年に2店舗目である名古屋焼山店を立上げ、それぞれ長男と次男の家族を中心に山田さん夫妻がサポートする形で運営している。また、雇用している15人のパート従業員の力も大きい。

大切なのは仕入

「当初は無添加チキンハムが主力商品でしたが、自分がいいと思った商品を増やしていきました。しばらくは卸業が中心で、愛知県の学校給食会を通して県内すべての保育園に無添加のお菓子を卸していた時期もありました。売上は大きかったのですが、利益は少なかったですね。そのうち配送にあたる人材が不足するようになったので、次第に店舗での販売にシフトしていきました。」

最近の売上は、有機農産物への関心の高まりやコロナ禍による巣ごもり需要もあり増加している。店舗の客層は主婦が中心だが、年配の夫婦や子ども連れの家族も多い。

また、店舗と並行して、従来から取り組んでいる生協や有機宅配業者への卸業は売上の半分ほどを占めている。

有機農産物の仕入れは、問屋ルートと直接ルートの2つ。売上で見ると、問屋からの仕入が7割、残りの3割は生産者等からの直接仕入によるもの。

「生産者等が訪ねてきたら、栽培方法や商品等を確認し、今後、取引をはじめるか判断しています。我々にとって1番大切なのは仕入だからです。良い仕入先を持つことが店としての強みとなります。」

その結果、現在の仕入先は約200か所となり、取引が煩雑になっていると話す。

店舗に、より多くの商品を並べたいが、名古屋店は90坪、岡崎店は名古屋店の半分程度のため物理的な限界から、商品の陳列に苦労している面がある。

また、近隣の店舗で扱っていない加工食品を仕入れたり、オリジナル商品を開発・製造することにも力を入れている。その結果、約4000という取扱品数につながった。取扱品数を背景にコロナ禍以降はネット通販も伸びており、全国から注文が届く。ネット通販は次男の倫大さんが、時間と努力を積み重ねて構築したものだ。

ネット時代になり、運営の主軸を担う子ども達がネットでPRをするようになったおかげで広告費がかからなくなった。当初の20年間は新聞の折り込みちらしを中心に年間100万円以上の広告費をかけていた。

2006年からは知人から「本コミ企画」という環境問題や有機農業などをテーマにした本を扱う書籍の卸業を引き継いだ。こちらの運営にあたっているのは、ヘルシーメイトの代表取締役を務める長男の展大さんだ。生協や有機宅配業者向けに、環境問題や有機農業分野の本を販売している。

「もうかる仕事ではないが、そこからさまざまなつながりが広がるという魅力はあります。」

有機拡大のポイントは流通機能と認証

「有機農産物の問題点は、いわゆる『流通』がないことですね。流通機能がしっかりしていると安い輸送費で動かすことができます。例えば、全国から有機農産物を1か所に集めて、そこから出荷するとなると、最低でも2日~3日経ったものしか届かないことになる。それではお客さんが満足するものは扱えない。大量に流通させるためには、まず流通機構を整えることが必須で、それがなくては広がらないと考えます。」

店舗にとって最も大きな課題になるのは商品の品揃えであり、山田さんが起業した頃、小さな自然食品店はたくさんあった。しかし、山田さんは大きな店舗で、より多くの商品をそろえることを目指した。

「小さな店舗ばかりでは、いつになっても有機が広がっていかないと思ったから、お金をかけてスーパーのような店にしました。セレクトショップのように、自分たちの価値観で商品を仕入れ、それをお客さんに選んでもらうことを目指しています。」

また、有機農産物については、消費者自らが判断することが重要であり、「慣行栽培で生産された農産物も含め、使用した肥料や農薬の情報を明らかにし、消費者はその情報から有機農産物や慣行農産物の価値を考慮して購入する必要があるのではないでしょうか。」と問いかける。

「有機農業に関わる人には、『お金が目的ではない』という人が多いですが、結果として収入が安定しないと、経営は継続しない。生産者の皆さんにゆとりが生まれれば、もっと有機農業に取り組む方が増えると信じています。」

株式会社ヘルシーメイトヘルシーメイト店内

代表者:山 田 展大のぶひろ(代表取締役)
所在地:愛知県岡崎市柱曙1-10-11
創  業:1983年
事業形態:オーガニックスーパー
店  舗:岡崎本社店・名古屋焼山店
お店のホームページ(外部リンク)

お問合せ先

経営・事業支援部食品企業課

代表:052-201-7271
ダイヤルイン:052-746-6430

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。

Get Adobe Reader