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東海農政局

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事例集_株式会社yaotomi

「野菜の美味しさを沢山の人に知ってもらいたい」との思いで、八百屋からファーマーズキュレーターへ
株式会社 yaotomi(愛知県南知多町)
yaotomi

キュレーターとはもともと学芸員だが、転じて専門的な視点で情報を届ける人の意。ファーマーズキュレーターとは農家としての誇りと自信を持って美味しい農産物を届ける人、という当社の姿勢を示す社長の造語。

そのため、自ら大規模に有機栽培を行いつつ、業種を超えた連携で有機野菜の活用領域を広げるとともに、新たな価値創造にも挑み続けている。

きっかけは、きゅうりの一本漬け

2009年、地元の夏祭りに出店した際、入手できたオーガニック栽培のきゅうり500本を一本漬けにしたら、あまりの美味しさに感動した。そして、実際に販売したら、美味しさが評判となり、リピーターも続出して完売となった。

この経験を通して、美味しい農産物は人と人とを結びつけ、地域を動かす力を秘めていることに気づき、友人と共同出資して当社を設立し、野菜を農家から直接仕入れて販売する事業を2010年から始めた。

軽トラから八百屋、そして産直へ

最初は軽トラでの移動販売でスタートし、1か月後、空店舗を借りて八百屋を開店した。数軒の農家からの直接仕入であるため品揃えが限られ、店頭販売での売上は伸び悩んだ。このため、前職(飲食関連上場企業の経理)の人脈を生かして飲食店向けの業販に力を入れた結果、売上は軽トラ販売時の月50万円から八百屋開店後は月100万円に伸長した。しかし、八百屋でお客様からの要望に接していると、生産者とお客様との板挟みになることも多く、悩んだ末に「美味しい農産物を届けるためには、立場の弱い生産者側に立つ必要がある。」と気づき、思い切って2年半で八百屋を閉め、産直一本に絞ることにした。

生産者志向を貫き、販路を広げる

八百屋閉店後は売上減少が懸念されたが、飲食店や個人向けの配送販売に注力した結果、逆に売上は月150万円程度まで増えた。市場や仲買から仕入れて売るのは簡単だが、当社は創業から現在まで農家からの直接仕入れを貫いている。このため、取引先からみると、品揃えは限られ、供給量なども変動し、価格も若干高いが、それを理解して受入てくれることが取引の前提となる。時間はかかるが、このようにして生産者に対して理解をしてくれる取引先を広げ、現在の売上は月1億円まで拡大している。

5年がかりでの量販店への売り込み

例えば、ある量販店への農産物の売込には、あえて時間をじっくりかけた。まずは、量販店側が主催するイベント販売に積極的に出店を重ね、現場の人に顔と名前を覚えてもらい、役員クラスが来る大きなイベントには、あえて売上より耳目を引く商材を持ち込んで、現場から役員へ紹介してもらえるようにした。また、有機野菜を用いて自社開発した化粧品を持ち込んで、話題となるよう仕掛けた。こうして上層部にも面白いと認識してもらえてから、本命の農産物の売込を「上からも下からも」両面作戦で一気に仕掛けていく。現場のバイヤーにとっても上からの一声があれば、取り上げやすくなる。加えて、当社と取引先(量販店)が、対等な立場で商談が可能となる。結果的に5年ほど要したが、今では、この量販店の9つの店舗に、自社野菜の専用コーナーが常設されるまでになっている。

有機野菜の自社生産で高まった力

3年ほど前に19haもの広大な有機認証圃場を引き受けてくれないかとの要請があり、供給面や品質面でのレベルアップの機会と捉え、取得を決断した。初期投資や販路の確保には、取引先も巻き込んでじっくり時間をかけて協力体制を作り上げた。

生産の開始後も苦労は絶えなかったが、供給力や品質管理力が向上したほか、加工施設も取得できたので、カット野菜などにも対応できるようになった。また、自社生産により野菜に対する目利き力が高まったことも、生産と消費をつなぐ立場の当社として、社員教育としてプラスになっている。

有機認証はバイヤーの安心材料になる

「きゅうりの一本漬け」の感動を届けたいとの思いで、美味しさ重視で野菜と向き合っており、鮮度や信頼性を担保するため、生産者からの直接仕入れとしているが、取引先が多くなると品質保証の見える化を求められるようになる。美味しさや鮮度に加えて、品質について第三者認証があれば新たな先への食い込み等に有効で、その意味で有機認証は大きな力になる。広大な有機認証圃場を取得したこともあり、要望があれば協力農場の認証取得支援も検討している。有機認証の取得は、現在では消費者というよりむしろバイヤーの安心感につながっているようだ。

オーガニックの「見える化」に挑む

現在、大学、認証機関、分析事業者等とチームを組み、有機野菜の加工食品の開発を進めている。まだ開発途上だが、完成して販売する商品には、1.栽培方法、2.栄養価値、3.環境価値の3点を簡潔に明示したいと考えている。

消費者は栽培方法だけでなく、栄養価値や環境価値も知りたいはずで、それらを簡潔に明示することが有効だと考えている。この取り組みで生産方法に偏っていた有機農産物の価値が幅広いものとなり、潜在需要を喚起できると考えている。

加工、観光も取り込み新たな価値を訴求

広大な有機認証圃場については、取得の経過から別会社としているが、このほか、地元を中心に協力農場が存在し、次第に広がりつつある。また、前述の加工食品開発に加えて、道の駅などの複合拠点開発にも取り組んでいる。この取り組みにより、従来の販路にはない、加工、観光、インバウンド等を取り込んだワクワクする現場を創出することができると考えている。そうした有機農産物の新たな価値を訴求する拠点作りを進めつつ、気軽に有機野菜を入手しやすいよう宅配にも力を入れている。

株式会社 yaotomi
yaotomiタマネギ畑yaotomi野菜

代表者:代表取締役 犬飼 亮
所在地:愛知県知多郡南知多町豊丘旭台62
連絡先:☎0569-89-9715
創  業:2010年
事業形態:有機宅配、卸業
お店のホームページ(外部リンク)

お問合せ先

経営・事業支援部食品企業課

代表:052-201-7271
ダイヤルイン:052-746-6430

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