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東海農政局

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事例集_わらべ村・桜井食品株式会社

オーガニックが特別なものではなく、どこでも手に入る当たり前のものにしたい。
わらべ村・桜井食品株式会社(岐阜県美濃加茂市)
わらべ村前

桜井食品は、オーガニックに30年以上取り組んでおり、草創期から全国の有機宅配を支える存在となってきた。
わらべ村を開店した25年前からは、地域の有機生産者にも視線を注ぐ。未来を見据え、オーガニック給食の納入にも力を入れている。

30年にわたるオーガニックの取り組み

わらべ村はオーガニック食品を中心に扱っている自然食品店で、1994年に岐阜県美濃加茂市で誕生している。わらべ村の母体は桜井食品株式会社で、創業は1910年。製麺・精米・精麦加工・小麦製粉を行っていたが、1968年から無添加製品の製造に乗り出している。

人工着色料や漂白剤が大量に使われていた時代だったが、健康に良くない影響を与えると知った先代が、「食品は身体にやさしい無添加・無着色にするべきだ。」と考えるようになったためだ。そうした背景から、現在社長を務める桜井芳明さんは早い時期からオーガニック食品に目を向け、熱心に取り組んできた。

「桜井食品は1978年からラーメンの輸出を始めたのですが、1980年代後半にアメリカのお客さんからオーガニックに対応してほしいという要望が寄せられたことが、オーガニック認証に取り組んだきっかけです。まだアメリカにもヨーロッパにも認証がない時代でしたが、1993年頃からアメリカでオーガニックに関する法整備が始まったので認証に向けた勉強をはじめ、1998年以降はアメリカの有機認証機関であるOGBAに原料の栽培地、製粉、加工、出荷等の製造段階の検査を受け、オーガニック認証を取得しました。」

その後、オーガニック認証を取得したインスタントラーメンのアメリカへの輸出を開始した。

アメリカの有機宅配業界も草創期で、オーガニック製品のラインナップがまだ十分ではない中、桜井食品の小麦粉や麺類は大きな存在感を示した。2000年の有機JAS法制定以降は認証取得にさらに力を入れ、現在はエコサート認証を受けている。2005年には岩手県に約6haの農地を取得して自社農場を設立、有機JAS認証を取得して小麦・大豆・そば・大麦を栽培している。

わらべ村が目指していること

1993年、長女の祐子さんが、「自分が安心して食べられるものを販売していきたい。そのひとつがオーガニックのもの。」と宣言して、通信販売をはじめた。1年後には桜井食品の隣に事務所を兼ねた店「わらべ村」を設立する。

「わらべ村は各地の生産者から有機農産物を仕入れていますが、始めた頃は農家の方とのネットワークもなく、生産者を探すのに苦労しました。」(桜井社長)

取り扱う農産物は有機JAS認証がない物もあるが、基本的にはオーガニックで、全体の仕入れ額の2割を占める。残りの8割は加工品だ。

毎月第3金曜日には店の前でファーマーズマーケットを開催しており、生産者と消費者の交流の場となっている。コロナ禍で2年間休んだものの25年の歴史がある。

祐子さんは消費者と生産者がつながる機会を多くすることを目指しており、試みのひとつとして米作りも行っている。

「はざ架け米がほしいというお客様が多いのですが、農家は手間がかかるので簡単には取り組めない。そのため、数年前から白川町の田んぼでお客様と米づくりをしています。乾燥はもちろんはざ架けです。コロナ禍の時期は休みましたが、令和5年は再開します。」

昨年はキッチンカーを製造した。店やファーマーズマーケットに来てもらうだけではなく、自らイベントに出かけて、オーガニック食品を直接食べてもらう機会を増やしている。

「お店のファンはもちろん大事ですが、商品の背景をアピールしながら、農産物や加工品を作った方のファンを拡大することが、私の役割だと思っています。」

オーガニックを当たり前に

「保育園の依頼で、給食やおやつに使うオーガニック野菜やお米を納品しています。子どもはオーガニックだと食べてくれるということはよく聞きます。ただ、野菜の仕入量が不足しているので、仕入先の生産者を増やしていきたいと思っています。」

慣行栽培の生産者が使っていた農地をオーガニックに切り替えるには、3年間、無農薬・無化学肥料で栽培する必要があり、その期間は「転換期間中」という扱いになり、有機農産物としての取引価格とならないため、減収の不安が伴う。

「移行期の減収の対応を考えているのですが、大豆や米のトラストのように一口の金額を決め、多くの参加者で応援できたら、安心してつくれるのではないか。」と提案する。

生産者は農産物を販売してはじめて収入が得られるが、大豆や米は収穫し換金するまで時間が掛かることから、生産者を支える仕組みとして生まれたのがトラストだ。

生産者が栽培に関する情報を開示し、参加者は1口当たりの金額を先払する。そして、収穫できた作物を参加者で分け合うことで、生産者の喜びも厳しさも、一緒に分け合う仕組みになっている。移行期間中や新規の生産者にとっては収入が保証されるので、安心して栽培することができ、ひとつの可能性ではないか語る。

「オーガニックが特別なものではなく、どこでも手に入って当たり前になるようにしたいですね。」と祐子さんは思いを込めて語った。

わらべ村わらべ村全景

代表者:桜井祐子
所在地:岐阜県美濃加茂市加茂野町鷹之巣342
創  業:1994年
事業形態:自然食品店(美濃加茂店)
お店のホームページ(外部リンク)

桜井食品株式会社

代表者:桜井芳明(代表取締役)
所在地:岐阜県美濃加茂市加茂野町鷹之巣343
創  業:1910年
事業形態:麺類製造販売・輸入オーガニック食品販売

お問合せ先

経営・事業支援部食品企業課

代表:052-201-7271
ダイヤルイン:052-746-6430

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