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東海農政局

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事例集_フレンチレストラン_ペルージュ

「美味しい素材を追求していたら、野菜は自然にオーガニックになっていた」
フレンチレストラン  ペルージュ(愛知県名古屋市西区)
ペルージュ

名古屋発祥の地に近く、下町情緒あふれる那古野地区にたたずむ、フレンチの名店「ペルージュ」。

オーガニック野菜そのものの美味しさを追求する、オーナーシェフの今泉氏に、ご自身の足跡と重ね合わせて、オーガニック野菜のニーズを高めていく道筋を示していただいた。

美味しい素材を求めて

15年前(2008年)に開店した時は、特に有機野菜へのこだわりはなかったという。素材本来の味をできるだけ引き出すのが今泉氏の料理のスタイルなので、味のいいものを使うというのが野菜を含む素材選びの基準で、それは現在に至るまで変わらない。味のいい素材でないと美味しい料理はできないと考えているからだ。現在、お店で使っている野菜の8~9割は有機野菜となっているが、意図的にそうしたわけではなく、気づいたら使う野菜のほとんどがオーガニックになっていたようだ。

自然派ワインがオーガニックの入り口

自然派ワインとは、原料となるブドウを農薬等を使わずに育て、ブドウが本来持つ自然酵母で、添加物を加えずに自然に醸造したワインだ。それがワイン本来の姿であるが、「生産性」と「効率」が重視された結果、農薬を使ってブドウを栽培し、添加物を使って醸造されたワインが、現在は流通の大半を占めている。しかし、今泉氏は味わいが明らかに違うとして、ペルージュの開店前から自然派ワインには強いこだわりがあり、好きなワインに合う食材を探す中で、有機野菜との相性の良さに惹かれた。そして、自然派ワインと有機野菜が、ともにできるだけ自然な状態で、手間を惜しまず生産されていることに気づいたという。

レストランのシェフとして

レストランの語源はラテン語で「良い状態にする」「回復する」などの言葉に由来しており、レストランの食事は「美味しく」「楽しく」「優雅で」「身も心も癒されるようなひと時」でなければならないと考えている。レストランで提供する食事は、健康を害するものであってはならず、ワインや食材にこだわって吟味しているのはそのため、と今泉氏は言う。

「良い食材とは、「自然を尊重」し、「人の手」が込められ、「健康」で、そして何より「美味しい」のです。無農薬で育てられた野菜、抗生物質などを与えられずに育てられた肉類、大自然に生きた獣、大海に生きた魚介…ペルージュではそんな食材をできる限り探し、選び、お客様に提供しています。」と、オーナーシェフとしての矜持を語っている。

使う野菜はほとんどオーガニックへ

自然派ワインと有機野菜との類似性に気づいた今泉氏が、有機野菜の使用を増やしていったのは自然な流れで、現在お店で使う野菜の8~9割はオーガニックだ。有機農産物は、1.味が良いものが多く、2.農家のこだわりが詰まっていて、3.口に入れた時だけでなく、咀嚼して飲み込んだ後も何かほっとするような安心感がある。このことでお客様に共感、満足感、安心感といった価値も有機野菜は提供できる、と今泉氏は考えている。

お任せ仕入にチャレンジ

しかしながら、レストランの営業に必要な有機野菜を安定的に仕入れることは難しい。市場やJA、仲買人であっても、有機野菜の品揃えが充実している事業者は全国をみても探すのは難しい。これは、有機野菜の生産者は零細な農家が多く、多様な需要への対応が難しいからだ。そこで、今泉氏は仕入ルートを組合せ、一部を生産者が出荷しやすいお任せ仕入にすることで、必要な有機野菜を確保している。

1つ目は、地元愛知県でも屈指の有機生産者であるyaotomiさんからの仕入で、出荷可能野菜リストから選んで注文する方法。

2つ目は、オーガニック生産者が週1回開催する朝市で直接仕入する方法。yaotomiと朝市だけで調達できれば地産地消の実践になるが、これだけでは品揃えが不足する。

そこで、3つ目は淡路島の西洋野菜菜園からの仕入で、これは原則として金額を指定するだけで内容は先方にお任せとなる。これではメニューが作りにくいのではと心配になるが、「何が来るのか分からないドキドキ感があり、来た野菜の個性をどう引き出すかというワクワク感もあるので、料理人としての修業の場とも考えている。」と前向きな姿勢。このように3つのルートを使い充実した仕入を可能としている。毎月、10万円弱の有機野菜を購入しているが、有機野菜の流通が限られる現在、レストランで使うには生産者との直接的な取引が欠かせないようだ。

有機野菜への関心を高めるために

今泉氏は、「料理人として素材へのこだわりは当然あるが、ご来店されるお客様は料理の美味しさを求めている。」という。料理を食べて美味しいと感じることで、初めて素材としての有機野菜や調理方法への興味が湧くので、給仕する際には、素材の説明をしすぎないようにしている。食べる前にあれこれ素材の良さを説明するよりも、お客様から美味しいと言われてタネ明かしをした方が有機野菜の美味しさが印象に残るのではないか、と考えているからである。

「例えば野菜に関心のない大人や野菜嫌いの子どもにも美味しいと感動してもらえる料理を作るのが、私たちの役割だと考えていますが、美味しさは料理店に限ることではない。例えば家庭や学校でも、野菜の美味しさを引き出す調理法の工夫はできるし、農業体験による野菜との関わり合いで感動を体験することがあるかもしれない。まずは、感動を入口にして、野菜への関心を高めることが必要ではないか。その点、有機野菜はストーリー性もあり、味が良いので感動が生まれやすい。今の子供たちは環境に対する意識も高く、学校で有機野菜を育てる体験や給食で有機野菜を食べる経験を、もっとして欲しい。そして、たまにはプロが調理した美味しい野菜を食べに来て欲しい。子どもの感動は家族や周囲に波及するので効果は大きいのではないか。」と今泉氏は考えている。

フレンチレストラン  ペルージュ
ペルージュ料理ペルージュ店内

代表者:今泉智成
所在地:愛知県名古屋市西区那古野1-23-9
連絡先:☎052-583-9222
創  業:2008年
お店のホームページ(外部リンク)

お問合せ先

経営・事業支援部食品企業課

代表:052-201-7271
ダイヤルイン:052-746-6430

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