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東海農政局

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事例集_旬楽膳

事例集タイトル
いま農家が出荷できる野菜をそろえることで、結果的に、旬の最もおいしい野菜が店頭に並びます。
旬楽膳(愛知県一宮市)
旬楽膳

5店舗を抱える愛知県最大のオーガニックスーパー。有機認証を求めず、独自のランク付けで栽培状況を消費者に提示している。

全国の生産者とつながりを持っているが、最近は、地場の若手生産者も大切に育てている。

有機農産物をメインに据えた店舗づくり

旬楽膳は愛知県内に5店舗を持つオーガニック&ナチュラルフードストア。愛知県を中心に3業態83店舗を運営する大型スーパーマーケット「株式会社カネスエ」が母体となっている。今尾幸造さんは2000年の準備段階から関わり、2001年に最初の店舗を立ち上げた。

「旬楽膳をはじめる前のカネスエにいた頃、有名ホテルのシェフに『おいしい野菜がある』と有機野菜の存在を教えられ、その時はじめて知りました。『じゃあ、一度売ってみるか』と仕入てみたものの、全然売れませんでした。有機農産物と慣行農産物を並べても説明しにくいし、売りにくい。両方が混在している状態では売れないと実感しました。」

旬楽膳の立ち上げが決まってから、さまざまな有機農業者とつながりを持っている農業者とともに全国の産地を回って、有機農業を学びつつ準備を進めた。

「旬楽膳をはじめるとき、『野菜は有機をメインにする』というコンセプトは決めていました。最初の頃は慣行栽培や特別栽培の野菜もありましたが、今は9割以上が有機農産物です。当初は生産者に有機JAS認証を求めていましたが、今は求めていません。」

その理由として、「有機JAS認証制度は、事務的、金銭的に生産者にはハードルが高いと感じる。」ことを挙げた。「有機農業を目指す生産者にとって、負担が少なく取り組みやすい認証であるなら意味がある。」とも話す。

現在、旬楽膳の店舗では独自の基準で、栽培状況を消費者に分かりやすく示している。有機JAS認証を求めなくなったことで、仕入農家の幅は広がっている。

旬楽膳の当たり前
1 野菜・果物はほぼ有機農産物だけ!
有機JAS農産物及び栽培期間中に化学合成農薬、化学合成肥料を不使用の野菜・果物を販売します。
2「夏には夏の」「冬には冬の」が基本。
ほぼ有機だから、その季節にできないものは扱いません。
3 形や大きさは揃っていません。
畑には大きなものも、小さなものもあります。なるべく全部いただいています。
旬楽膳の野菜・果物には栽培方法等がわかるように、
値札の右上に色で表示をしています。
有機JAS農産物又は、栽培期間中に化学合成農薬、化学合成肥料を使用しないで栽培したもの。
栽培期間中、化学合成農薬、化学合成肥料を減らして栽培したもの。
収穫後に防カビ剤や防腐剤を使っていないもの。
一番旬なものが並ぶ売り場づくりを大切に

農産物の仕入は、大きく分けて2つのルートがある。全体の7割程度は全国37の法人・グループ・生産者から直接仕入ており、残りの大部分は有機農産物を扱っている大きな業務用卸会社から調達している。創業当時から、業務用卸会社には自社でできないところを補ってもらっている。

今尾さんは通常のスーパーマーケットの商品構成や売場を一度忘れるよう、7人の社員と160人のパートナー(パートタイマー)に伝えている。時期を考えずに、「きゅうりがなくちゃだめ」「トマトが必要」と考えていると、きゅうりが100本売れたら100本発注することになるが、今農家が出荷可能な旬の野菜を並べることが大切で、無理して出荷してもらうことをしなくでよいと説く。

「結果的に旬の時期の最も良い野菜が店頭に並ぶことになる。売場の構成は年中変わるけれども、お客様に良いものが届けられるわけだから、お互いに良いと思います。」

ふぞろいのススメ

最近、スーパーマーケットの売場の平均面積は500~600坪にまで拡大している。そのような状況では、お客様の目に触れないものが売れないのは当然のことだ。気づいてもらうにはどうするか。

「そのため、『ふぞろいなものを揃えよう』というのが、今取り組んでいること。いろいろな大きさの野菜が混在している状態にしておかないと、良さが見えないのではないでしょうか。」

産地できれいにパッケージングしたものばかりではなく、バラで出荷してもらって、店舗で並べたり袋詰めしたりするものがあっていいというのが今尾さんの考えだ。それは生産者の労力削減に直結する。

「慣行栽培でも有機栽培でも同様ですが、生産者の労力の中で、収穫後の出荷のための選別作業ほど、切なくて無駄なのはないと思っています。」

虫食いの葉や黄色い葉を取りながら収穫し、選別・洗浄・計量して袋に詰める。生産者に聞くと、収穫作業と収穫後の作業に掛かる時間の比率は1:2だという。

旬楽膳に出荷している共同出荷グループ「なのはなこ」の佐々木正前代表は、「オクラのような野菜だと特に袋詰めに手間がかかるので、翌日出荷を前提に作業することが多くなります。でも、収穫してそのまま箱やコンテナに入れて出荷できるのであれば、作業時間が大幅に減り、その日のうちに鮮度の良い状態で出荷できる。お互いに良いことだと思うし、生産者にとってありがたいですね。」と高く評価する。

今尾さんは言う。「生産者が無駄に選別する必要はないと思う。

『旬楽膳の当たり前』にあるように、畑では野菜の形や大きさは揃っていないのが普通で、お客さんもそういう情報を知ることで、新たな発見があるのではないか。本来は、我々がもっとそういう情報をお客に伝えていくべきだと考えます。今はSNSなどの手軽な手段がありますから。」

旬楽膳
旬楽膳店内1旬楽膳店内2

代表者:牛田彰(株式会社カネスエ代表取締役)
所在地:愛知県一宮市八幡4-1-1
創  業:2001年
事業形態:オーガニックスーパー
店  舗:一宮八幡店、名古屋地アミ店、滝ノ水店、石川橋店、日進店
お店のホームページ(外部リンク)

お問合せ先

経営・事業支援部食品企業課

代表:052-201-7271
ダイヤルイン:052-746-6430

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