『感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律』の解説
また、サルの輸入に係る他の法令として、『絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律』(CITES)(経済産業省)、『特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律』(外来生物法)(環境省)も参照してください。 これらの法令の文面は、総務省電子政府の総合窓口(e-gov)(外部リンク)で閲覧できます。 |
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律
(平成10年10月2日法律第114号)
動物検疫所で行う輸入検疫に関する規定は、この法律の第10章『感染症の病原体を媒介するおそれのある動物の輸入に関する措置』(同法第54条 ~56条)で定められており、『感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行令』(以下、「施行令」とよびます。)第13条で、輸入検疫の対象となる指定動物としてサルが定められています。 また、『感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第54条第1号の輸入禁止地域等を定める省令』(平成11年12月1日 厚生労働省 ・農林水産省令第2号。以下、「厚・農省令」とよびます。)により、サルの輸入禁止地域が定められています。 なお、検疫を実施するための規則については、『感染症の病原体を媒介するおそれのある動物の輸入に関する規則』(平成11年12月1日農林水産省令第83号。以下、「農水省令」とよびます。)により定められています。
サルの輸入検疫に関係する法令 『感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律』(以下、「法」又は「感染症予防法」とよびます。) 第10章 感染症の病原体を媒介するおそれのある動物の輸入に関する措置 輸入禁止(法第54条、施行令第13条、厚・農省令第1条、第2条) |
第10章 感染症の病原体を媒介するおそれのある動物の輸入に関する措置
輸入禁止(第54条)
法第54条に基づき、施行令第13条により、感染症を人に感染させるおそれが高い動物(指定動物)として、イタチアナグマ、コウモリ、サル、タヌキ、ハクビシン、プレーリードッグ及びヤワゲネズミが指定されており、厚・農省令第1条で定める地域からの輸入が禁止されています。
人に感染させるおそれが高い感染症と指定動物
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輸入禁止地域
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サル |
ただし、試験研究用又は展示用サル(厚生労働・農林水産大臣の指定を受けた試験研究機関又は動物園で飼育されるもの)に限り、 アメリカ合衆国、インドネシア共和国、ガイアナ協同共和国、カンボジア王国、スリナム共和国、中華人民共和国、フィリピン共和国及びベトナム社会主義共和国から輸入可能。 (これ以外の地域からのサル及びこれ以外の地域を経由したサルは、輸入できません。) |
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なお、厚・農省令第2条で、禁止動物の輸入許可手続きが定められています。厚生労働大臣・農林水産大臣の輸入許可が必要です。詳しくは動物検疫所までお問い合わせ下さい。
輸入検疫(第55条)
法第55条では、サルの輸入についての手続が示されています。
法第54条の解説で示しているとおり、輸入できる地域は、アメリカ合衆国、インドネシア共和国、ガイアナ協同共和国、カンボジア王国、スリナム共和国、中華人民共和国、フィリピン共和国及びベトナム社会主義共和国に限られます。そして、検疫対象とされる疾病であるエボラ出血熱及びマールブルグ病(施行令第14条)にかかっていない旨の輸出国政府機関の検査証明書の原本又はその写しが必要です。写しについては、複写機等による写真コピーは認められません。
輸入できる場所は限定されており、到着予定の70から40日前までに所定の事項を動物検疫所長に届け出なければなりません。これは、検査が原則30日間以上の係留をして行われることから、輸入の意向を事前に調整して円滑な検疫を行うためです。詳しくは感染症の病原体を媒介するおそれのある動物の輸入に関する規則の解説をお読み下さい。
サルを輸入できる場所は、成田国際空港、関西国際空港、鹿児島空港に限られ、到着時に家畜防疫官による航空機内での検査を終えた後、空港内にある動物検疫所の係留施設、又は、特殊な飼養管理が必要なサルについては、農林水産大臣が指定した施設(動物検疫所と同等以上の施設)で係留検査を行います。指定施設の了解を得た上で、届出書の「その他参考となる事項」に希望係留検査場所とその理由を明記して下さい。
検査に基づく措置(第56条)
検疫検査を実施する中で、エボラ出血熱、マールブルグ病が発見された場合、動物検疫所長から保健所長を経由して都道府県知事に通知し、都道府県知事は厚生労働大臣に報告します。一方、家畜防疫官が、隔離、消毒、殺処分等の措置を行う場合にあっては、動物検疫所長は、サルの所有者に当該処置を実施することを通知する義務があります。
感染症の病原体を媒介するおそれのある動物の輸入に関する規則
(平成11年12月1日農林水産省令第83号)
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輸入場所(第1条)
サルの輸入出来る港は、成田国際空港、関西国際空港及び鹿児島空港の3港に決められています。
指定動物の輸入に関する届出(第2条 ・第3条)
サルを輸入しようとする場合には、入港あるいは着陸予定の70 ~40日前までに、動物検疫所に届け出なければなりません。
届出の内容は、荷受人及び荷送人の氏名又は名称並びに住所、動物の種類、性、年齢、用途及び生産地又は捕獲地、仕向地、搭載予定地、搭載予定年月日及び搭載予定船舶名又は搭載予定航空機名、その他参考となるべき事項です。
輸入国における検査(第4条)
輸入されるサルには、エボラ出血熱及びマールブルグ病にかかっていない旨の輸出国政府機関の検査証明書の添付がされなければなりません。検査証明書の内容は、次のとおり定められています。
(アメリカ合衆国からの場合)
農林水産大臣の定める基準に適合するものとしてアメリカ政府が指定した施設で、30日間以上の係留検査を受けたものであること。
(インドネシア共和国、ガイアナ協同共和国、カンボジア王国、スリナム共和国、中華人民共和国、フィリピン共和国及びベトナム社会主義共和国からの場合)
農林水産大臣の定める基準に適合するものとして日本の農林水産大臣が指定した施設で、30日間以上の係留検査を受けたものであること。
輸入検査(第5条)
サルを輸入しようとする者は、入港又は着陸後遅滞なく、当該港を管轄する動物検疫所に輸入検査申請書を提出し検査を受けなければなりません。なお、第8条で規定されているとおり、家畜防疫官の指示なく船舶、航空機から搬出することは禁止されています。
船舶又は航空機内検査(第6条)
輸入申請されたサルについて、家畜防疫官は、船舶又は航空機内で検査を行うことができます。
家畜防疫官の指示(第7条)
輸入されたサルについては、係留して検査を行いますが、家畜防疫官は、当該検査場所まで順路その他の病原体を広げるのを防止するための指示することができます。
搬出禁止(第8条)
家畜防疫官の指示なく船舶、航空機からの動物の搬出は禁止されています。
検査のための係留期間(第9条)
輸入されたサルについては、30日間の係留検査を実施します。なお、エボラ出血熱、マールブルグ病にかかっている疑いがある場合には、その疑いのなくなるまでの期間、また、エボラ出血熱、マールブルグ病にかかっているサルと同居あるいはその他の理由により当該疾病に罹るおそれがある場合は、相当期間係留することとされています。
輸入検疫証明書の交付(第10条)
係留検査の結果、エボラ出血熱、マールブルグ病にかかっているおそれがないと判断された場合には、家畜防疫官は輸入検疫証明書を交付します。
検査に基づく処置(第11条)
輸入サルについて、エボラ出血熱、マールブルグ病にかかっているおそれがある場合には、動物検疫所長は、家畜防疫官に隔離、消毒、殺処分その他必要な措置をとらせますが、この場合には、所有者にその旨通知しなければならないとされています。
証票の携帯等(第12条)
家畜防疫官は、家畜防疫官証を携行し、関係者から請求された場合はこれを呈示することとされています。