令和8年度種苗法改正に関するQ&A
目次
- 1.総論
- 2.育成者権の存続期間の延長
- 3.出願品種の輸出差止
- 4.登録品種の種苗の輸出目的保管
- 5.損害賠償額の算定規定の改正
- 6.登録品種の名称による推定
- 7.登録品種の種苗の逆輸入
- 8.登録品種の種苗の貸渡し
- 9.優先審査制度
- 10.第三者意見募集
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1.総論
1-1.今回の改正の狙いは何ですか。
我が国の重要な知的財産である優良な品種は農業競争力の源泉であり、その保護・活用を進め産地形成や輸出促進につなげていくことが農業の持続的な発展に必要です。
我が国の新品種については、近年、品種登録出願中の海外流出などの課題が顕在化しており、こうした課題への対応をはじめ、育成者権の保護を更に強化するための措置を講ずることとしています。
1-2.今回の改正はいつから施行されますか。
今回の改正は、令和8年12月1日に施行されます。
ただし、育成者権の存続期間の延長、育成者権の効力が及ばない範囲の明確化については、公布の日(令和8年7月24日)から施行しています。
2.育成者権の存続期間の延長
2-1.育成者権の存続期間について、平成17年6月より前に登録されたものはどうなりますか。自分の登録品種の存続期間がどうなるかどこでわかりますか。
平成17年6月17日(平成17年の種苗法改正法における育成者権の存続期間の延長に関する施行日)より前に品種登録された品種については、今回の改正法における育成者権の存続期間の延長に関する施行日(令和8年7月24日)の時点で育成者権が消滅していないものについては、品種登録の日から今回の改正法による新たな育成者権の存続期間が適用されます。
登録品種の登録年月日については、品種登録証や品種登録簿(※)から確認できます。
(※)農林水産省ホームページの「品種登録ホームページ(品種登録データ検索)」(外部リンク)で品種登録簿の内容を掲載しています。
2-2.育成者権の存続期間が延長された場合、品種登録を維持するための登録料はどうなりますか。
育成者権の登録料のうち、今回延長された第31年から第40年までの額は、従前の第10年から第30年までの額と同額であり、具体的には以下のとおりです(種苗法施行規則に記載しています)。
(令和4年4月1日以降の出願分)| 各年の区分 | 金額 |
| 第1年から第9年まで | 毎年 4500円 |
| 第10年から第40年まで | 毎年 3万円 |
令和2年の種苗法改正法の施行(令和4年4月1日)以前に出願された品種については、
以下のとおりです。
(令和4年4月1日より前の出願分)
| 各年の区分 | 金額 |
| 第1年から第3年まで | 毎年 6000円 |
| 第4年から第6年まで | 毎年 9000円 |
| 第7年から第9年まで | 毎年 1万8000円 |
| 第10年から第40年まで | 毎年 3万6000円 |
2-3.育成者権の存続期間の延長には何か手続が必要ですか。
育成者権の存続期間は種苗法で定められており、延長の手続は必要ありません。
育成者権を維持するためには、これまで通り登録料の納付が必要となります。
2-4.育成者権の存続期間が延長された場合、登録品種の利用にはどのような手続きが必要ですか。
育成者権の存続期間が延長された登録品種について、育成者権者が引き続き育成者権を維持している場合には、従前と同様に登録品種の利用には育成者権者の許諾が必要となります。
また、育成者権者の存続期間が延長されても育成者権を維持していない場合には、品種の利用に育成者権者の許諾は必要ありません。
品種登録の状況については、品種登録簿(※)から確認できます。
(※)農林水産省ホームページの「品種登録ホームページ(品種登録データ検索)」(外部リンク)で品種登録簿の内容を掲載しています。
3.出願品種の輸出差止
3-1出願品種の輸出の差止をするためにはどうしたら良いですか。
まずは、出願品種の種苗を輸出しようとする者に対して、出願品種の内容を記載した書面により警告を行うことが必要です。
警告を行ってもなお、相手方が出願品種の輸出をやめようとしない場合で、出願者に回復することが困難な損害が生じ、又は生じるおそれがある場合には、裁判所に対し、輸出する行為を止めるよう訴えを提起することができます。
訴訟においては、裁判所の決定により担保を立てることを命じられる場合があります。
3-2.出願品種の利用の補償金は引き続き請求することができますか。
出願品種の輸出に関する差止請求権を行使した場合であっても、補償金請求権の行使は妨げられるものではありません。
3-3.出願品種の輸出の差止請求における担保金はどのように算定されますか。
担保金は、出願品種の輸出の差止請求が行われたが、品種登録に至らなかった場合に、輸出の差止請求を受けた相手方に生じる損害額の支払を担保するものです。
個別の事案ごとに裁判所において、客観的に予想される損害の額を踏まえて相当な金額を算定することになります。
この際には、輸出によって得られるはずであった営業利益、輸出できなかったことにより生じた種苗等の保存費用、出願品種の輸出に対する差止請求権に係る訴訟の応訴費用、信用毀損等に伴う無形損害等が考慮されると考えられます。
4.登録品種の種苗の輸出目的保管
4-1.令和2年の法改正に沿って、海外持出の制限の届出を行っている場合、今回の輸出目的の保管を制限する改正によって、
(ア) 改めて届出を行う必要はありますか。
(イ) 登録品種の種苗への表示義務の内容への変更はありますか。
(ア) 改めて届出を行う必要はありません。改正法附則第5条の規定により、既に行われた届出に係る公示(輸出を制限する旨の内容)について、改正後の規定に基づき行われた公示(輸出及び輸出目的保管を制限する旨の内容)とみなすこととされています。
(イ) 制限内容に関する表示の扱いは農林水産省令で定めることとなっており、施行日(12月1日)までに扱いを決めることとしています。
4-2.改正法の施行後は、海外持出しの制限についてどのような届出が必要になりますか。
今回の改正法の施行日(12月1日)以後の届出の様式においては、輸出を制限するかどうかに加えて、輸出目的保管を制限するかどうかを記載する必要があります。新たな様式については、施行日までに農林水産省令で定めることとしています。
4-3.輸出目的の保管とは具体的にはどのような行為が該当しますか。
現行法では、種苗の輸出を行わないと育成者権侵害にならず、かつ、輸出貨物が日本国外に移動すると我が国の法律が適用されなくなります。このため、差止命令等の実効性を高めるためにその前段階の「輸出目的の保管」に育成者権の効力が及ぶようにするものです。
「輸出目的の保管」について、輸出目的の物流は最終的には通関事業者に委ねられ、その前段階で引渡しのための保管とされ保税倉庫に保管されることが多いため、通関事業者向けの貨物であることが一つの判断基準になると考えられます。
典型的な例としては、
(ア) 空港内の保税区域等に輸出に仕向けられた種苗が保管されている場合
(イ) 輸出用の国内倉庫に海外発送のラベルを付して通関事業者向けに発送する種苗を保管している場合 など、外形的・客観的に輸出目的の保管であることが明らかな行為が該当すると考えられます。
5.損害賠償額の算定規定の改正
損害賠償額の算定の規定のうち今回改正された部分はどのように使えば良いですか。
今回の改正により、育成者権が侵害された場合、(ア)育成者権者の利用の能力を超える数量等について許諾料相当額の損害賠償が可能となるとともに、
(イ)許諾料相当額の算定において、既に育成者権侵害があったことを考慮した高額の許諾料相当額を損害額とすることが可能となりました。
したがって、育成者権者の利用の能力を超える数量等について証拠を収集することで、これに応じた許諾料相当額が損害額に含まれる旨の主張をすることが考えられます。
また、許諾料相当額については、既に育成者権侵害があったことを考慮して、通常の許諾時の業界の相場よりも高額の許諾料相当額を損害額として主張することが考えられます。
育成者権侵害に関する裁判例や類似の規定を持つ特許法の裁判例では、通常の許諾料相当額の倍程度の金額が認められた事例があります。
6.登録品種の名称による推定
登録品種の名称に関する推定はどのような場面で使えば良いですか。
種苗が、登録品種の名称を使用して販売等されている場合に使用することができます。
民事請求権の行使において、実際に種苗を入手して栽培試験やDNA検査を行わなくとも、種苗が当該登録品種であると推定されることとなり、
品種の同一性に関する立証が不要となります。この前提で、販売された種苗の利用が育成者権侵害であること(無断で増殖された種苗であること等)を立証することができます。
7.登録品種の種苗の逆輸入
7-1.今回の改正で登録品種の種苗の輸入ができなくなるのですか。
今回の改正は、育成者権者等が登録品種の種苗を譲渡した場合に当該種苗には育成者権が及ばなくなるという規定について、対象となる譲渡が日本国内の譲渡であることを明確化するものです。
登録品種の種苗の輸入には育成者権者の許諾を要することは今回の改正前後で変わりません。このため、登録品種の種苗の輸入については、海外で生産され譲渡されたものを入手し輸入する場合であっても、育成者権者の許諾を要するものとなっています。
この点は、種苗法の扱いを明確にしたものであり、新たに輸入を禁止するものではありません。
7-2.登録品種の種苗を海外へ持ち出し、海外で増殖した場合には育成者権は及びますか。
海外への持出し自体が許諾を受けて行われた場合であっても、その後、外国において無断で種苗が増殖され、その増殖された種苗やそれを用いて得られた収穫物を日本に輸入する行為には育成者権が及びます。この点は、今回の改正前後で変わりません。
目次に戻る8.登録品種の種苗の貸渡し
登録品種の種苗の貸渡しを受けた場合、どのような制限がかかるのですか。
貸渡しを受けた種苗には育成者権が及ぶため、育成者権者の許諾なく登録品種の種苗を業として譲渡や貸し渡しをすることは育成者権侵害になります。
このため、例えば、産地化・ブランド化に向け、産地外への流出防止に種苗の貸渡しを活用いただくこと等が考えられます。
9.優先審査制度
優先審査制度を利用したいのですが、どのような品種が対象ですか。手続はどうすれば良いですか。
優先審査の対象については、出願者でない者が業として出願品種を利用している場合その他の政令で定める場合等を想定しています。
対象となる品種を定める政令及び具体的な出願手続については、施行日(12月1日)までに定めることとしています。
10.第三者意見募集
侵害訴訟における第三者意見募集はどのような制度ですか。
第三者意見募集手続は、育成者権等侵害訴訟において、裁判所が、広く一般の第三者に対し、当該事件に関する法の適用その他の必要な事項について、意見の提出を求めることができる制度です。
これにより、裁判所は、広く一般の第三者から提出される意見の内容も踏まえて、判断することが可能になります。
お問合せ先
輸出・国際局知的財産課種苗室
代表:03-3502-8111(内線4288)
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