鈴木農林水産大臣記者会見概要
| 日時 | 令和7年12月2日(火曜日)8時22分~8時35分 於:本省会見室 |
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| 主な質疑事項 |
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質疑応答
記者
12月1日から、流通適正化法にシラスウナギが適用されることになりました。かねて、流通の不透明さ、密漁の問題などが指摘されていますが、今回のその適用のねらいと今後の課題について教えてください。
大臣
うなぎ資源は国際的にも関心が非常に高く、我が国としても密漁や密漁品の不正流通対策に万全を期す必要があるというふうに考えております。特に、シラスウナギについては、官民あげて適正な漁獲と流通に向けて取り組んできたところでありますが、組織的な密漁が問題となっていたということを受けまして、平成30年には漁業法を改正して、漁業の許可等に基づかない違法な採捕に対する罰則を強化したほか、令和4年には、今お話しいただいておりました、水産流通適正化法が施行されまして、本年12月1日から、シラスウナギの取引時に漁獲番号等の伝達、取引記録の作成・保存を義務付けることとなっております。いずれにしても、うなぎを食べる食文化を未来に伝承するためにも、漁業法や水産流通適正化法を適正に運用し、シラスウナギの密漁や違法な漁獲物の流通を防止することにより、実効性を挙げてまいりたいというふうに考えております。
記者
先週末発表された農林業センサスで、基幹的農業従事者の数が5年で25%減ると、これまでで過去最高の減少率になりました。大臣かねて、中山間地域とか条件不利地でも営農ができて、稼げて、暮らしていけるような農政をということをおっしゃっていますけれども、センサスをご覧になってですね、その受け止めと、どういった対応を取られるかということについて教えてください。
大臣
2025年の農林業センサスでは、基幹的農業従事者は102万1千人で、5年前に比べて25.1%、34万2千人の減少となり、比較可能な1980年(※正しくは1985年)以降のデータということになると、過去最大の減少率というふうになっております。減少の約7割を65歳以上の方々が占めておりまして、これが減少の主な要因となっています。その背景といたしましては、データに基づくものということになりますけれども、まずはこの資材価格の高騰による厳しい経営環境が続いているということ、そして、2023年、2024年と連続をして、ここ最近は平均気温が過去最高を更新するなど、記録的な猛暑が続いていること、こういったことなどの影響もあったというふうに推察をしており、その意味で言えば、農業の構造転換を速やかに進める必要があるというふうに受け止めております。今後も高齢化の進行等によりまして、基幹的農業従事者の一層の減少が見込まれる中で、将来にわたって日本の食料を安定的に供給していけるように、まず営農して稼ぐことができ、そして暮らしていける農政というのを展開をすることで、地域農業の担い手の育成・確保を進めていくということが急務であるというふうに認識をしております。今現在、地域計画のブラッシュアップ等を通じて、新規就農支援や既存の担い手の規模拡大、そして地域外からの担い手の参入や食品企業をはじめとする法人の農業参入等の推進に、引き続き取り組んでまいりたいというふうに思っております。特に今ご指摘のあった、条件がなかなか不利な地域から、やはり離農が進んでいるという現実があるというふうに、私も地元を回っていてもそのことはよく感じるところでありますから、やはり我々としてどんな条件であったとしても、それなりの規模感で頑張っていただける限りは、そこで稼ぎ、暮らしていけるということを実現するというのが、まず第一かというふうに考えております。
記者
アフリカ豚熱についてお伺いいたします。先週、スペインでアフリカ豚熱が発生しまして、日本はスペインから豚肉製品の輸入を停止しているという状況です。スペインは輸入総量に占める割合も多くて、輸入業者であったり、実需からは懸念する声が上がっていますけれども、大臣として今回の輸入停止が国内の流通にどういった影響を与えるか、こちらのお考えをお聞かせください。
大臣
まず、11月28日の金曜日に、スペイン当局が、野生のイノシシでアフリカ豚熱の感染を確認した旨公表したことを踏まえて、我が国では28日以降のスペイン全土からの豚肉製品等について、輸入を停止したところであります。また、スペインからの到着便については、携帯品の検査も強化をしているところであります。アフリカ豚熱のスペインへの広がりによって、我が国への侵入リスクも高まっているというふうに強い危機感を持って受け止めておりまして、まずはこの水際での侵入防止に向けて、引き続き万全を期す考えであります。今お尋ねの流通に関する影響ということでありますが、まず、スペインからの豚肉は大体輸入量の2割弱、そして国内供給量の約1割を占めております。ですので、これが要するに輸入をしないということになりますと、豚肉需給に一定程度の影響は当然あるものだというふうに考えております。現在、農林水産省では、商社など関係事業者に情報提供を行うとともに、他国産への切り換えなどの状況について情報収集を行っているところであります。
ちなみに、スペイン産の豚肉は輸入量の約2割で、国内供給の今1割と申し上げましたが、ほとんどが冷凍品ということです。そしてスペイン産豚肉は、一部は外食店や小売店に仕向けられているものの、大部分がベーコン・ハム・ソーセージ原料に仕向けられております。そしてあともう1点は、これはよく注視をしていかなければならないのは、輸入生ハムの7割弱はスペイン産が占めているということでありますので、そうしたことへの影響についてもしっかり注視をしていきたいというふうに考えております 。
記者
お米券の関連で3点ほどお願いいたします。「経費率が高い」などの理由で配布しないという自治体も一部で出ているようなのですけれども、大臣の受け止めを伺えますでしょうか。
大臣
この重点支援地方交付金、これは地域の実情に応じて、自治体の判断により、的確な支援が行われるように措置されるものというふうに承知をしております。したがって、前々から申し上げておりますけれども、食料品の支援に当たっても、いわゆるお米券の配布だけではなく、電子クーポンであったり、プレミアム商品券であったり、地域ポイント、そして食料品の現物給付など、各自治体において、できる限り負担感が少なく、速やかな実施が図られる方法を選択して進めていただくことを期待をしております。農林水産省といたしましては、迅速に支援が行き届く優良事例を紹介をし、相談等に真摯に応じていくために、3日水曜日から、優良事例等の説明会も行っていきたいと考えております。
記者
物価高対策として配布することになってはいるのですけれども、配布する自治体と配布しない自治体ということで対応は分かれていることで、不公平感が国民に出てしまうのではないかという可能性もあるのですが、大臣ここも受け止めをお願いいたします。
大臣
そうしたお声があることも重々承知をしておりますので、そうしたことも踏まえまして、今回の重点支援地方交付金において、今回は「食料品の物価高騰に対する特別加算」については、推奨事業メニューの中で、「市区町村に対応いただきたい必須項目」として基本的には位置付けをされております。ですので、ご指摘のようなやり方は様々、自治体によって工夫をいただけるというふうに考えておりますが、ご指摘のような不平等感を招かないよう、配慮されているというふうに考えております。
記者
お米券の配布スケジュールなのですけれども、大臣はかねがね、補正予算が通ったらすぐにでもとおっしゃっておりますけれども、農水省としてどんなスケジュールを想定して、いつごろまでに我々の手元に届くようにというふうに考えていらっしゃいますでしょうか。
大臣
重点支援地方交付金を含む補正予算案については、今後、国会で審議いただくことになるため、現時点で具体的なスケジュールに言及することは難しいわけでありますが、そのあとやはりなるべく速やかに地方議会の皆さんにもご協力をいただきたいということもありまして、そういったことも含めて、今週早目に、明日からですかね、説明会をさせていただくこととなっております。それも踏まえて、できる限り早く、今現状で困っている皆さん、たくさんいるというふうに思いますから、そういった皆さんにできる限り早く負担感の軽減に繋がるように、自治体の皆さんともしっかり協力をしていきたいと思います。
記者
米の価格について改めてお聞きしたいのですけれども、先週、POSデータで値上がりしました。大臣、価格に介入しないというふうにおっしゃっておりますが、改めて、最近横ばいが続いていることについての受け止め等をお聞かせください。
大臣
先週の11月28日金曜日に公表いたしました、11月17日から23日までのスーパー等での米の平均小売価格、これ、取っているデータによってちょっとばらつきがありまして、まず、中小スーパーを主に対象とするKSP-POSは52円上昇し、これ2週ぶりに上昇で4,312円、5キロ当たりです。大手量販店を含む日経POSデータは3円上昇し3,655円、これ4週ぶりに上昇です。ドラッグストア等を含む小売店パネル調査は134円低下をし4,223円、これは2週連続で低下ということになります。先週末の報道にもあるように、従来からのKSP-POSで見れば価格は上昇し、そして標本数の多い小売店パネル調査で見れば価格が低下しているということであります。いずれにしても、各データともに最近の動向は上がったり下がったり、まちまちであるというふうに考えておりますので、引き続き、私たちとしてはこの動向をしっかり注視をしてまいりたいと思います。
記者
一部で下げ基調という形で現象が起きているところもあるみたいなのですが、この点については、大臣どのようにお考えですか。
大臣
小売店の販売価格というのは、それぞれの小売店、それぞれの皆さんの様々な状況を勘案して、どのように売るかということについては決まっていくものだと思いますから、そういうことについて、まず、現状どうなっているかということについては、我々としてもしっかりウォッチをさせていただきたいと思っています。
報道官
よろしいでしょうか。それでは大臣会見を終了いたします。
以上




