鈴木農林水産大臣記者会見概要
| 日時 | 令和7年12月5日(金曜日)8時44分~9時09分 於:本省会見室 |
|---|---|
| 主な質疑事項 |
|
冒頭発言
大臣
本日、私から3点、ご報告があります。
1点目は、ワシントン条約締約国会議の結果についてであります。昨日、12月4日の木曜日に開催をされました、CITES(サイテス)締約国会議の全体会合において、EUによるウナギ属全種の附属書2(2は実際はローマ数字表記)への掲載提案が、11月27日の第1委員会で賛成35、反対100で否決をされたということが報告をされまして、本提案の否決が正式に決定をされたところであります。本提案については、国際取引による絶滅の恐れのないニホンウナギが含まれるなど科学的根拠を欠いており、この点を最後まで政府一丸となって、関係各国に丁寧に説明をしてきました。こうした説明や我が国との良好な二国間関係が、多くの支持につながったと考えております。我が国といたしましては、科学的根拠に基づいて水産資源の持続的利用と保護を両立させるとの方針に基づき、ウナギ資源の適切な管理の充実に、更に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
そして2点目です。2点目は、新たなものということになりますが、「日本の農林水産行政の戦略本部」の設置・開催についてであります。私が大臣就任時から申し上げてきたように、農林水産業と食の分野において、特に攻めるべき分野と守るべき分野を明確にした上で、その分野ごとに具体的な戦略を策定をしたいというふうに考えております。このために「日本の農林水産行政の戦略本部」を設置をすることといたしました。農林水産省内において、本日11時30分から、第1回の本部を開催をいたします。詳細については、後ほどプレスリリースをいたします。
そして3点目についてであります。2027年国際園芸博覧会省内推進活動チームの発足式についてです。本日17時15分から、2027年国際園芸博覧会関係閣僚会議が開催をされ、私が出席をさせていただきます。これに先立ちまして、グリーン・エクスポ・2027(ニーゼロニーナナ)のより一層の機運醸成を図っていくために、私から根本副大臣に、省内の推進活動チームの立ち上げを指示をしておりました。そして本日、若手の有志職員を中心としたチームの発足式を行うこととします。今後、グリーン・エクスポに関する様々な情報をチームから発信をしていきますので、ご期待をいただければと思います。また、本件についての詳細、何かご質問ありましたら、事務方にお尋ねをいただけたら助かります。まず冒頭、本日は私からは以上となります 。
質疑応答
記者
経済対策に挙げられるお米券について、使用期限を設けるとの報道が出ています。農水省としてのねらいや、自治体の中では配布の遅延の可能性もある中で、期限を設けることへの不安も聞かれますが、大臣としては期限がどの程度が望ましいとお考えでしょうか。
大臣
重点支援(地方)交付金の活用に当たりましては、内閣府において、商品券等の配布事業を実施する場合、「換金期限などを適切に定め、未換金があった場合の返還を行えるように制度設計する必要がある」というふうにされているところであります。これはどういうことかといいますと、この事業期間内に利用されなかった場合、未換金になってしまった金額が、その発行元等に滞留させるということを防止すること、というふうに我々としては理解をしているところであります。また、お米券に使用期限を設ける際には、券の発行者にできる限り早く準備を進めていただけるよう、情報の収集・提供に努めてまいりたいというふうに考えております。
記者
財政制度等審議会の建議について伺います。農水省に関しては、特に米政策で、まず飼料用米の支援は水田政策ではなく畜産政策にも切り替えるよう提言しているという点があるのと、あと、新しい水田政策に向けて、もうすでに麦・大豆では多額の支援があるというふうに、支援の膨張というか拡大をけん制しているような文言もあります。こういった中で、建議自体はそれなりの拘束力もあると思いますので、大臣としては水田政策の見直しに対して、どのように反映して、どのように考えて策定していくのかというのをお伺いしたいです。
大臣
12月2日の財政制度等審議会において、建議がなされたということについては、私としてもよく承知をしているところでありますが、これ本体については、農林水産省として何かコメントをするということは差し控えさせていただければと思います。ただ、今ご質問のありました、ご指摘の水活(水田活用の直接支払交付金)における飼料用米の取扱いについては、令和9年度以降の水田政策において、作物ごとの生産性向上等への支援へと転換する、その検討の一環として、現場の実態の各種調査も踏まえて、幅広いご意見を丁寧に伺った上で議論を進めてまいりたいというふうに考えております。
また、ご指摘の麦と大豆についてであります。これは経営所得安定対策、いわゆるゲタ対策は、畑作物の諸外国との生産条件格差を補正するものでありまして、生産性向上支援とは趣旨・目的が異なることから、それぞれの政策目的に応じて必要な予算を措置していくべきというふうに考えております。いずれにしても、我々として大事だというふうに考えているのは、すべての田畑、これは条件に関わらず、日本国内におけるすべての田畑が、頑張るという人がいる限りは、再生産可能でやれる状況を作るということかと思いますので、そういう観点でしっかり検討を進めていきたいというふうに考えております 。
記者
和牛の子牛の価格についてなのですけれども、平均で70万円を超えるということで、3年以上ぶりの高値の水準となります。繁殖側からしたら喜ばしいことなのかもしれませんが、肥育する側としては厳しい環境で、こういった価格の上昇、畜産・酪農対策、今議論も進んでいる中で、大臣としては何か対応というのはお考えなのか、受け止めも含めてお願いします。
大臣
肉用牛の肥育経営については、子牛価格が家畜市場への上場頭数の減少によりまして、11月には前年同月と比べて約4割上昇し、70万円を超えており、また、この配合飼料を始めとする生産費の高止まりが続いている中で、肥育農家の皆さんの経営が大変厳しいという声はよく理解をしているところであります。まず、肥育経営の経営安定対策として、この経営赤字が出た場合に一部を補填する「牛マルキン」を着実に運用することとしております。さらに、畜産物価格の議論にあたっては、資金繰りへの支援として、3年分の返済額の借換えを可能とする「酪肉支援資金」の継続について、現場の声を踏まえて今、検討をしているところであります。このほか、先日閣議決定しました令和7年度補正予算において、昨年に引き続き牛肉の需要拡大、販売促進事業も措置をしており、肥育経営の安定に向けて、総合的に取り組んでまいりたいと考えております。
記者
昨日の自民党の会議で、農林中金の出資ですとか融資、あるいはガバナンスの関係で、農水省としての法律の改正も視野に入れた見直し方針を示していますけれども、これの改めてねらいを教えてください。
大臣
農業経営の規模拡大や事業の多角化が進む中で、資金需要の大きい農業経営体が増加をしております。そして、農業経営の下支えとなる農業金融についても、そういう中で強化をしていくことが重要であるというふうに考えております。農林中金については、昨年度の大幅な赤字決算を踏まえて、農林水産省が開催をした有識者検証会において、まずはこの農業・食品産業への融資・出資の強化、そして専門性の高い外部理事の導入などの提案がなされているところでありまして、これも踏まえて、農林水産省において、農協等との適切な役割分担のもとでの農林中金による農業金融機能の強化や、外部の専門人材の農林中金の理事への登用に当たり、外部理事が兼職・兼業できるよう措置することなどについても、法改正を視野に対応を検討しているところであります。このほかに、農業融資の約6割を占める民間金融機関の農業金融を強化していくことも重要であるというふうに考えております。なので、この観点から民間金融機関による低利融資である農業近代化資金について、貸付条件を拡充することも併せて検討しているところであります。
記者
冒頭のお米券の使用期限のお話なのですけれども、内閣府が商品券等の配布を実施する場合、期限内に配布しないといけないということを言っているということで、使用期限という話が出てきたということですけれども、これを踏まえて農水省として使用期限を設けるように自治体に要請するということなのかどうかというのが少しわからなかったのですが、そこら辺もご説明いただければ。
大臣
丁寧に話をさせていただきますと、要は国のある種自治体の交付金でやる事業でありますから、基本的にはその用途にしっかりとまず使っていただくということが基本かというふうに思っています。そういう中でお米券についてまず申し上げると、今流通している現状のお米券というのは、特段使用期限というのがあるわけではありませんので、そうすると、3年後にある種お米券使っていただいてもいいですしというようなことになりますと、それは政策の目的上、まさに今の物価高対策に対しての対応でありますから、そこの目的を達し得ないということで、基本的にはどこかで使用期限というのを設けて対応していただくということになります。同時に、自治体が独自で、例えばクーポンを発行するなどのケースもあろうかと思いますので、そういうケースについても同様だというふうに考えております。
記者
その場合つまり、統一の「いつまでに」という全国一律の使用期限みたいなものを農水省として設定したいという方向なのでしょうか。それとも自治体に各々任せるということでしょうか。
大臣
基本的には今、調整をしているところでありますので、また今後決まり次第、発表させていただきたいと思います。そもそもお米券自体は農水省が発行するものではありませんので、民間団体が発行しているものでありますから、そこともよくこの今回の重点支援(地方)交付金の趣旨も踏まえて、様々調整をさせていただきたいと考えております。
記者
冒頭でお話されていた農林水産行政の戦略本部、戦略を明確にするということなのですが、詳細は後でリリースを出されるということなのですけれども、戦略、これ明確にするのはいつまでと考えていらっしゃっていて、来年夏までに水田政策の見直しという大きなテーマも控えていると思いますが、それと連動して備蓄制度の見直しというのもやっていかないといけないと思うのですけれども、それらの米政策というのもこの戦略本部で検討していくということなのかというのも併せて教えてください。
大臣
まず、米政策については、これまでの検証の流れというのがありますから、その流れの中で基本的には対応していくということになろうかと思います。この戦略本部については後で、午前中ですから、また皆さんにもオープンでこれはやらせていただきたいと思いますので、その時に私自身の考え方も含めて発表させていただきたいと思いますが、やはり我々として攻める分野、そして守る分野をもう少し明確にして、すべての分野というわけにはいきませんが、特に重点的に考えなければならない分野ということで、いくつか設定をさせていただいて、検討を深めていくということになります。いつ頃までにということでありますけれども、テーマによって、これは骨太の方針、来年の、そこに盛り込みたいテーマもあれば、法改正を伴うものもあろうかと思います。そしてもう1点は、官邸の方で作った日本成長戦略本部、そこに上げるべき議題もあろうかと思いますので、そうした政府全体の大きいスケジュールにしっかり間に合うようにできるだけ早く、しかしながら速さも大事ですが、戦略というのは中長期的にみんなが納得感のある形で先が見通せるというのも大事かと思いますので、その点もよく踏まえて議論させていただきたいと思います。
記者
米のDIについてお伺いします。昨日発表された米価見通しの指数、今後3か月で32と先安観の見方が強まりました。足元ではスーパーの平均価格が高止まりしている中で、こういった先安観の見方が出ていることへの受け止めを教えてください。また、先安観が出ていることで備蓄米の買戻しの参考になるかどうか、その点のお考えもお聞かせください。
大臣
昨日、米穀機構から11月分の調査結果というのが公表されたところであります。いずれも50を基準値とするものであるわけですが、まずこの需給動向を見ますと、現状については前月からマイナス8の34、そして向こう3か月については前月からマイナス4の31となっており、いずれも減少しております。これは米の取引関係者の間で、現状は需給が緩んでおり、向こう3か月も需給が緩むとの見方が、前の月よりもさらに強まっているということを示しているというふうに考えております。また、米価水準を見ますと、現状は指数91と引き続き高いとの見方でありますが、向こう3か月は前月からマイナス7の32に減少しておりまして、今後価格が低下していくのではないかとの見方が、前の月よりもさらに強くなっていることを示しているというふうに、この指標については受け止めをさせていただいております。農林水産省といたしましては、米の取引関係者が今後、需給緩和、価格下落と見通している傾向が強まっているということにも留意をさせていただいて、引き続き需給と価格の動向を注視をしてまいります。
そして、備蓄米買戻しの指標になるのかというお話でありますけれども、基本的には我々は備蓄米の買戻しについては、他の指標等も含めまして、引き続き需給状況等を見定めながら、備蓄水準の確保ということに努めてまいりたいというふうに考えております 。
記者
今の関係で昨日、新潟の国内最大手の米卸からの指摘で、今後米余りによる暴落の可能性もあるんじゃないかという話が、新潟県での講演会で、卸売の、国内最大手の米卸、神明ホールディングスの藤尾社長から発言が出たということで、このままいけば暴落するのは間違いない、また、米の価格はやっぱり5キロ3,500円ぐらいが最適価格じゃないかといった話が出ております。今後の見通しとしては下がっていくんじゃないかという推計を含めて、こういった発言が出ていることに対する受け止めをまずお願いいたします。
大臣
今の報道は、「じんみょう」ではなくて、「しんめい」ホールディングスということになろうかと思います。報道について私も拝見をさせていただきましたが、まずそのことについて、大臣としてコメントするということは差し控えさせていただきたいというふうに考えております。前から申し上げておりますけれども、米の価格はマーケットの中で決まっていくものでありますが、我々として大切だというふうに考えているのは、やはり生産者の再生産や再投資が可能であるということ。しかしながら、消費者も安心して購入できる価格であるということが、まず必要であろうというふうには考えております。今後とも米の需給の安定を図ることによって、結果として価格の安定が図られるということが我々の基本的なスタンスでありますから、農林水産省としては、需給動向に関する一層精緻な情報の提供に努めてまいりたいと思います。
記者
各自治体ごとにどういうふうにお米券を配るかとか、使うかとか、大阪市ではプレミアム付き商品券にしたり、江戸川区では現金給付の形にしたりとそれぞれバラバラがゆえに、消費者の側から、何でこれほど自治体間で差があるのかなど、高評価の声もたくさんあると思うのですけれども、一方で、やっぱり自治体間の対応の差で戸惑っている消費者の声も聞かれます。農林水産省としては、いろんな使い方をしているというこの今の状況をどういうふうに、それから、全国から今寄せられている声というのはどういうものを大臣として受け止めているかというのをお聞かせください。
大臣
食料品の価格高騰への対応については、各自治体において、それぞれ各自治体によっても消費者の皆さん、生活者の皆さんの置かれている状況というのが当然、都市部と農村部とでは違うとか、様々な差があろうかと思いますので、そうしたことを踏まえて、各自治体においてしっかりと困っているというか、負担感があるなと感じていらっしゃる生活者の皆さんの負担感が減るように対応していただければというふうに思っております。一昨日と昨日、本日もこの説明会を今、自治体の皆様向けに開催をさせていただいております。詳細については、本日の説明会が終わった後に事務方の方から皆さんへも共有をさせていただきたいと思いますが、やはり皆さんからも様々なご質問、そしてまたご意見についてもいただいているところでありまして、丁寧に答えさせていただきたいというふうに思っております。昨日までの2日間で延べ約1,000自治体に参加をいただいたところであります。本日も開催をします。
記者
一部報道で、使用の期限、来年9月までというのがあるのですが、現段階でははっきりとこの日付というのが決まっているわけではないという理解でいいのでしょうか。
大臣
今まさに調整中でありますので。ただ、いずれにしろ使用期限というのが設けられるということは、そのとおりであるというふうに思います。
記者
クマ対策、前回1頭8千円を2万円、かなり上げたという、他にも、今寒くなってきてもまだやはり中心街にクマが出てくるという報道、まだ続いていますが、他にも何か具体的に農林水産で取り組んでいるものがあるかという点と、それから、先ほど他社さんが聞いていましたけれども、攻めの農林水産戦略という、日本の農林水産戦略ですか、これに関してシャインマスカットというのが小泉大臣のときにお話でいろいろ出てきましたけれども、今大臣として、特に攻めてくる農林水産として、海外展開を含めてここに力を入れたいんだというものが今あれば教えてください。
大臣
クマ対策、今望月さんおっしゃっていただいた、捕獲の単価を高くさらに設定をしていくということのほかに、我々としてはまず、農産物の被害というのもかなり出ておりますので、電気柵というのを二重にするということに対する支援であったり、またこれから、我々の地元(山形県)もそうですけれども、雪が降っちゃうとこれはなかなかできないのですが、また雪が解けた来年、山と集落の間にしっかりと草刈りをするとか、緩衝体を設けるということ、もしくはさらに頑丈な柵というのを設置をするということも含めて、支援を強化をしていくということとなっております。
そしてもう一つ(日本の農林水産行政の)戦略本部について、後ほどぜひお越しをいただけたらありがたいのですが、攻める分野としてはやはり大事なのは、これ総理からもご指示があったところでありますし、成長戦略本部でもテーマになっているところでありますが、フードテックは日本が世界のある種トップを取れる分野であるというふうに思っておりますので、そこの点。そしてもう1つは、日本の食は世界どこを見ても、私は最も豊かであるというふうに思っております。その豊かな一つを支えてくださっているのは外食産業の皆さんもありますし、加工品を作っていらっしゃる中小の食品メーカーの皆さんもあろうかというふうに思っておりますので、そういった食文化産業、こうしたものについても世界のマーケットを獲るということも含めて、しっかり攻める分野として位置付けて、戦略を作っていきたいというふうに思っております。これ実は、守りの分野も大変大事だというふうに考えておりまして、私としては中山間地域の振興、そして今望月さんがちょっと触れていただいた、これは攻めでもあり、守りでもあるのですが、種苗や種子の生産、ここについてのまずは基盤を整えていくことと同時に、海外の市場というのも見据えたところの強化というのをやっていくということが大事かというふうに思っております。それらが守りの分野として位置付けているところであります 。
記者
お米券の関係でお伺いなのですけれども、自治体の説明会、今行われていると思いますが、転売を防ぐ方策についてもご説明があったように伺っております。現時点で転売を防ぐために考えていらっしゃる対策とその効果について、どのようにお考えでしょうか。
大臣
当然、これはまずお米券ということで申し上げれば、転売のために発行される、もしくは使っていただくということではありませんので、その辺の対策はしっかりとやらせていただきたいというふうに思っております。同時に、この使用期限が設けられるということでありますから、なかなか転売もしづらくなるのではないかというふうに考えております。
記者
お米券で言うと、発行されるお米券に転売禁止の旨を記載するという話もあるかと思うのですが、そのあたりについての検討状況いかがでしょうか。
大臣
その方向で調整をさせていただいてます。
報道官
よろしいでしょうか。それでは大臣会見を終了いたします。
以上




