第1節 農業の動向
我が国では、各地の気候や土壌等の条件に応じて、米、野菜、果実、畜産等の様々な農畜産物が生産されています。品目ごとに需要に応じた生産が進められてきた一方で、足下では原油価格・物価高騰の影響等もあり、我が国の農業生産や農業経営にも変化が見られています。
本節では、このような農業生産や農業経営の動向について紹介します。
(1)農業生産の動向
(農業総産出額は前年に比べ13.6%増加し10.8兆円)
農業総産出額は9兆円前後で推移していましたが、令和6(2024)年は、10兆7,801億円と前年に比べ13.6%増加しました。主な要因としては、米や野菜の価格が上昇したこと等が挙げられます(図表2-1-1)。
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農業生産の動向は、農業総産出額に加え、農業総産出額の動向に影響している価格や収穫量・生産量等の動向も併せて総合的に見ていく必要があると考えられます。
米の産出額は2兆5,524億円と前年に比べ68.0%増加しました(図表2-1-2)。これは、主食用米の取引価格が高騰したこと等によるものと考えられます。
野菜の産出額は2兆5,510億円と前年に比べ9.8%増加しました。これは、キャベツやレタスにおいて夏季の高温により生産量が減少し、価格が上昇したこと等が寄与したものと考えられます。
果実の産出額は1兆112億円と前年に比べ5.4%増加しました。これは、夏季の高温等の影響により、みかんにおいて生産量が減少したこと、りんごにおいて2年連続して生産量が低位にとどまったこと等により、様々な品目の価格が上昇したこと等が寄与したものと考えられます。
畜産の産出額は、3兆6,654億円と前年に比べ1.3%減少したものの、引き続き全ての部門の中で最も大きい数値となりました。このうち肉用牛は、令和2(2020)~3(2021)年にかけての乳用牛への和牛受精卵の利用割合や繁殖雌牛の増加により出生頭数が増加し、令和6(2024)年に出荷された和牛の頭数が増加したこと等により産出額が増加したものと考えられます。生乳については、生産抑制が見直されたこと等により生産量が増加したこと、令和5(2023)年中に乳価が引き上げられたこと等により産出額が増加したものと考えられます。豚については、引き続き需要が高い中、出荷頭数が前年を下回り、価格が堅調に推移したこと等により産出額が増加したものと考えられます。一方、鶏卵については、令和4(2022)年10月以降に発生した鳥インフルエンザの影響により減少した生産量が回復傾向で推移する中、前年に比べ価格が低下した影響等により産出額が減少したものと考えられます。
(都道府県別の農業産出額は、北海道が1兆5千億円で1位)
令和6(2024)年の都道府県別の農業産出額を見ると、1位は北海道で1兆4,817億円、2位は鹿児島県で5,689億円、3位は茨城県で5,494億円、4位は千葉県で4,533億円、5位は青森県で4,119億円となっています(図表2-1-3)。これらについて、産出額1位の部門を見ると、北海道、鹿児島県、千葉県では畜産、茨城県では野菜、青森県では果実となっています。
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品目別に見ると、米は新潟県、いも類、野菜及び工芸農作物は北海道、果実は青森県、花きは愛知県の構成割合が最も大きくなっています(図表2-1-4)。また、生乳及び肉用牛は北海道、豚及びブロイラーは鹿児島県、鶏卵は千葉県の構成割合が最も大きくなっています。
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(生産農業所得は前年に比べ20.5%増加し4兆円)
生産農業所得については、平成27(2015)年以降は、農業総産出額の増減はあるものの、3兆円台で推移してきましたが、令和6(2024)年は、農産物の価格が上昇したこと等から、前年に比べ20.5%増加し3兆9,649億円となりました(図表2-1-5)。
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(2)農業経営の動向
(1経営体当たりの農業所得は全農業経営体では169万円、主業経営体では494万円)
令和6(2024)年の全農業経営体1経営体当たりの農業粗収益は、1,369万9千円と前年に比べ9.8%増加しました(図表2-1-6)。これは、米や野菜、生乳等の価格上昇により作物収入や畜産収入が増加したこと等によるものです。また、農業経営費(*1)は、1,201万3千円と前年に比べ6.0%増加にとどまりました。これは、雇人費や荷造運賃手数料は増加したものの、前年までの肥料等生産資材価格の高騰が落ち着いたこと等によるものです。この結果、農業粗収益から農業経営費を除いた農業所得は、168万6千円と前年に比べ47.6%増加しました。
また、主業経営体(*2)についても、全農業経営体と同様、1経営体当たりの農業粗収益は、2,347万9千円と前年に比べ7.5%増加する一方、農業経営費は1,853万7千円と前年に比べ4.1%増加にとどまり、農業所得は、494万2千円と前年に比べ22.3%増加しました(図表2-1-7)。
*1 雇人費、種苗費、肥料費、飼料費や農薬衛生費等の農業経営に要した一切の経費
*2 農業所得が主(世帯所得の50%以上が農業所得)で、1年間に自営農業に60日以上従事している65歳未満の世帯員がいる個人経営体
(農業生産性の一層の向上が重要)
米、小麦、大豆の単位面積当たりの労働時間の推移を長期的に見ると、昭和35(1960)年産以降、ほ場整備や機械化の進展等により労働時間は大幅に減少しました(図表2-1-8)。一方、平成12(2000)年産からは労働時間の減少が緩やかになってきています。
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基幹的農業従事者が減少していく中で農業生産を維持・拡大していくためには、労働生産性や土地生産性の向上が必要です。このため、担い手への農地の集積・集約化を進めるとともに、スマート農業技術を始めとする生産性向上等のための技術の開発、多収化等に資する品種の開発を進め、より一層技術の導入や施設整備を推進していくことが重要となっています。
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