農業・農村の活性化を目指して―令和7(2025)年度農林水産祭天皇杯等受賞者事例紹介―
農林水産祭天皇杯受賞者
農林水産業者の技術改善・経営発展の意欲の高揚を図るため、効率的な農業経営や地域住民によるむらづくり等を行っている事例のうち、その内容が優れており、広く社会の称賛に値するものについては、毎年度、秋に開催される農林水産祭式典において天皇杯等が授与されています(*1)。ここでは、令和7(2025)年度の天皇杯等の受賞者を紹介します。
*1 過去1年間(令和6(2024)年7月~令和7(2025)年6月)の農林水産祭参加表彰行事において、農林水産大臣賞を受賞した453点の中から決定。選賞部門は、掲載5部門のほか、林産部門、水産部門を加えた7部門
令和7(2025)年度農林水産祭天皇杯受賞者
スマート農業技術とともに切り拓く地域の持続可能な農業
〇農産・蚕糸部門 〇経営(大豆) 〇山形県天童市(てんどうし)
〇株式会社おしの農場(のうじょう) (代表 押野 和幸(おしの かずゆき)さん)


株式会社おしの農場は、経営面積の拡大と将来の経営継承を見据え、スマート農業技術を積極的に導入し、経験や性別を問わず作業しやすい環境づくりと作業の省力化を図っています。このような取組はSNS等で情報発信しています。
また、集落農地の約3分の1を同社から2km圏内に集積し、作業を効率化しているほか、実需者から需要のある大豆品種「里のほほえみ」を栽培し、高収量かつ高品質な生産を実現しています。今後は、経営や栽培管理について次世代への経営継承を進めるとともに、コスト削減や収量の安定化、社員の技術平準化、人材育成等にも力を入れていく考えです。
独自品種と高度な栽培技術、戦略的なマーケティングで高収益を実現
〇園芸部門 〇経営(パンジー、ビオラ、カリブラコアほか)
〇群馬県高崎市(たかさきし) 〇佐藤 勲(さとう いさお)さん


佐藤勲さんは、高度な栽培管理技術、園芸店への直接販売、独自に育成したオリジナル品種の商品化、戦略的なマーケティング等の取組により、高収益を実現しています。消費者が購入した後もきれいに咲き続ける品質の高い花壇苗の生産が可能な灌水(かんすい)技術を確立したほか、高品質な苗の生産に取り組む群馬県内の生産者と連携し、園芸店へ直接販売する仕組みを構築し、園芸店から品質の信頼を獲得することで、生産者主導の価格設定での全量注文生産を実現しています。
また、主要顧客を対象に見学会を開催し、参加したインフルエンサーによるSNSを通じた商品の紹介が商品PRに貢献しているほか、ファンの声を新品種育成に反映することでブランド価値を向上させています。
飼育管理のDX化・耕畜連携・ブランド化が好循環する肉用鶏経営
〇畜産部門 〇経営(肉用鶏) 〇高知県幡多郡大月町(はたぐんおおつきちょう)
〇株式会社ヤマニファーム (代表 井上 孝秀(いのうえ たかひで)さん)


株式会社ヤマニファームは、畜産DXの導入や耕畜連携、肉用鶏のブランド化等に取り組み、創業時から7.4倍の規模拡大に成功しています。
常時飼料を備蓄できる基地により飼料費の削減を実現しているほか、畜産DXについては、肉用鶏の飼育に必要なデータをデジタル化・見える化して飼育管理マニュアルを作成し、管理者全体で共有することで、生産成績を向上させています。さらに、地域で生産された飼料用米、アニマルウェルフェアに配慮した食鳥処理施設での加工等を条件とした肉用鶏をブランド化し、地域の産物としているほか、鶏ふんを活用して、地域の耕畜連携を実現するとともに、堆肥を活用したレモン栽培とブランド化を展開しています。
米輸出の道を農家3人で切り拓き、輸出を通じて地域の活性化に貢献
〇多角化経営部門 〇経営(水稲) 〇北海道芦別市(あしべつし)
〇株式会社芦別RICE(あしべつライス) (代表 沼田 哲男(ぬまた てつお)さん)


株式会社芦別RICEは、平成27(2015)年に米の輸出を始め、香港、シンガポール、米国と輸出先を広げ、令和6(2024)年には協力農家を含め1,287tの米を輸出しています。
輸出先国・地域の拡大に向けては、農機メーカーによる玄米輸出との連携、国際認証の取得、精米施設整備等を行っており、新規の販路開拓とともに輸出量を伸ばしています。
また、ロボット田植機や無人トラクタ等の導入により、大区画整備された水田で、代かきと田植作業の時間を半減させるとともに、新技術に関心を持つ若者を積極的に雇用し、女性社員の意見を取り入れた商品開発や広報に取り組んでいます。
海と山の絆で苦難を超えて、次世代にしなやかにつなぐ
〇むらづくり部門 〇むらづくり活動 〇宮城県本吉郡南三陸町(もとよしぐんみなみさんりくちょう)
〇入谷(いりや)の里山活性化協議会 (代表 阿部 國博(あべ くにひろ)さん)


入谷地区では、東日本(ひがしにほん)大震災以前から、地域にある自然の恵みや伝統文化を生かした学びの場の提供や交流促進を図り、農作業体験等の体験プログラムの開発や、グリーン・ツーリズムにも力を入れています。震災から10年という節目の令和3(2021)年に、地域の住民が、若者を中心とした人材育成や新たな事業創出等に動き出し、入谷の里山活性化協議会が発足しました。
同協議会には入谷地区の「食・体験・宿泊」を担うことができる各種施設や団体が加盟しており、農業生産面では、農業体験施設での農作業や収穫の体験を通じた同町外からの来訪者との交流促進とファンづくりを行っています。生活・環境整備面では旧中学校校舎をモノづくり体験もできる工房として活用するなどしており、地域資源や人材を生かしたむらづくりに取り組んでいます。
令和7(2025)年度農林水産祭内閣総理大臣賞受賞者

令和7(2025)年度農林水産祭日本農林漁業振興会会長賞受賞者

令和7(2025)年度農林水産祭内閣総理大臣賞受賞者(女性の活躍)

令和7(2025)年度農林水産祭日本農林漁業振興会会長賞受賞者(女性の活躍)

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