農地防災事業~安全で安心な農業・農村づくり~
災害の発生状況と被災リスクの高まり
災害発生の状況
災害とは、「暴風雨、洪水、高潮、地震、その他異常な天然現象により生じた被害」をいいます。我が国は、年間を通して降雨量が多く、台風の常襲地帯となっています。また、地形が急峻で変化に富み、地震多発地帯であるなど災害の発生しやすい自然条件にあります。
近年は、短時間に激しく降る大雨の回数が増加傾向にあります。
また、東海地震をはじめ、数多くの地域で大規模地震の発生が切迫していることが報告されています。さらに、新潟県中越沖地震、能登半島地震、岩手・宮城内陸地震などそれ以外の地域でも 大きな地震が発生しています。
災害等が発生する背景
農用地や農業用施設が被る災害や農業用用排水の水質汚濁、農用地の土壌汚染、地盤沈下による農用地・農業用施設の機能低下には自然的、人為的さまざまな要因があります。
自然的背景
気象庁の統計によると、近年、1時間当り50ミリ以上の降雨の発生回数が増加傾向にあります。 1時間当りの降雨量が50~80ミリの場合、「滝のように降る」という表現に例えられる程、激しい雨が降り、多くの災害の発生が危惧されます。 |
集中豪雨による畦畔の崩壊 |
わが国は台風の常襲地帯で、台風の上陸により、農用地・農業用施設等に毎年大きな被害が生じています。 特に、平成16年は観測史上最多となる10個の台風が上陸しました。 |
台風による農用地の崩落・埋没 |
能登半島地震(平成19年)、新潟県中越沖地震(平成19年)、岩手・宮城内陸地震(平成20年)に代表されるように、近年、大規模な地震が多発しています。 また、今後、東海、東南海・南海地震や日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震といった大規模地震の発生が懸念されています。
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地震により誘発された地すべり |
社会的背景
急速な経済成長と産業構造の変化に伴い、農村地域では無秩序な混住化が進行してきました。 このような社会構造の変化は、流域開発等による農用地等への湛水被害の増大、都市汚水等の農業用用排水への流入による水質汚濁、地下水の過剰な汲み上げによる地盤沈下等を引き起こし、農村における災害の形態を多様化させています。 |
台風による市街地内の |
農地防災事業
農業農村を災害から守るための対策
農地防災事業は、農用地・農業用施設に対する自然災害による被害を未然に防止し、又は農業用用排水の汚濁又は農用地の土壌汚染を防止すること等により、農業生産の維持及び農業経営の安定を図るとともに、国土保全、地域住民のいのちや暮らしの安全の確保に貢献する各種事業です。
- ため池の改修
機能低下したため池を整備することにより、決壊や崩壊を防ぎ、下流の農用地を守るとともに、宅地や公共用施設の被害も防止します。
台風の影響で決壊したため池 |
整備されたため池 |
- 排水施設の整備
流域の開発等によって、雨水が流れ出す状況に変化が生じ、湛水被害が頻発している地域において、排水施設を整備することにより、農用地の被害を防止するとともに、宅地等の浸水も防止します。
台風による農地の湛水状況 |
排水機場の整備 |
- 地すべりの防止
地すべりによる農地等の被災を防止し、国土の保全と安全な生活環境の実現を図ります。
地すべりの発生 |
地すべり対策工法のイメージ図 |
- 水質保全
農業水路の用排分離や水質浄化施設の整備等により、水質汚濁による農業被害を防止するとともに、地域の生活環境を保全します。
生活排水が流入する農業水路 |
用排水分離された農業水路 |
これからの防災対策
これまでは、個別箇所毎のハード整備により農用地・農業用施設の災害発生の未然防止を図ってきたところですが、これからは、広域的・総合的視点を重視したハード整備の効率的な展開、ソフト施策の推進、地域とのつながりを重視した対策を進めていくこととしています。
お問合せ先
農村振興局整備部防災課
ダイヤルイン:03-3502-6361