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「健康に関するリスクコミュニケーションの原理と実践の入門書」は、アメリカ合衆国疾病管理予防センター(Center for Disease Control and Prevention; CDC)のウェッブサイトに掲載されているPrimer on Health Risk Communication Principles and Practicesを、食品総合研究所国際食品研究官(当時) 山田友紀子が、CDCの毒物・疾病登録局(Agency for Toxic Substances and Disease Registry; ATSDR)の許可を得て翻訳したものです。 主として環境に由来する健康問題について取り扱っています。環境中の有害物質に曝されることに関する国民の懸念や不安に答える立場にあるATSDRのスタッフと他の政府機関の職員そして企業を対象としています。アメリカ合衆国や英語に特有な状況も見られますが、大部分は日本における環境に由来する健康リスクや他の健康リスクに関するコミュニケーションにも役立つと思われます。 英語の原文は、http://www.atsdr.cdc.gov/risk/riskprimer/index.html に掲載されています。日本語訳の内容、または英語原文の一部、または全部を出版したい方は、ATSDRに問い合わせてください。 |
〔注〕参考文献のいくつかはかなり古いが、それに含まれる情報は今でも有効であり、適切な情報を提供してくれる。
Barry Johnson, Ph.D.
米国保健省公衆衛生総局長官補
毒物・疾病登録局局長補(1987)
Baruch Fischhoff
カーネギーメロン大学工学・政策学部(1985)
有害物質廃棄地での有毒物質への暴露が公衆衛生に及ぼす影響を決定する際、国民は重要な情報を提供する。公衆衛生の専門家は、地域社会の欲求を知らねばならないし、公衆衛生に関する技術的な問題及び、地域社会の心理学的かつ政治的、社会的、経済的な欲求に関する対話を手助けしなければならない。
この入門書の目的は、各種の聴衆に対して健康に関するリスクコミュニケーションをするための原理と方法の枠組みを提供することである。これは、環境中の有害物質に曝されることに関する国民の懸念や不安に答える立場にあるATSDRのスタッフと他の政府機関の職員そして企業を対象としている。
この入門書は、まずATSDRの使命と、健康に関するリスクコミュニケーションへの地域社会の参加が重要であることを簡単に説明している。残りの部分は、健康リスクについてコミュニケーションを行う際の問題と原理に関する考察及び、国民に情報を公表したり、マスメディアと効率的に相互作用するための提言に当てられている。
この入門書は、健康リスクコミュニケーション実施に関連した原理の特定を目指しているが、健康リスクコミュニケーションの効率の尺度は、活用されている原理の数によってのみ計られる、ということを言うつもりはない。むしろ、どのように手引きを利用するかは、必要性、優先順位その他の考慮すべき事項によって、ケースバイケースである。
1980年にアメリカ議会によって創設された毒物・疾病登録局(ATSDR)は、連邦政府の公衆衛生総局の一局で、米国保健省の一部である。ATSDRの使命は、廃棄地や予定外の環境放出、その他の環境汚染源からの有害物質に曝されることやそれに伴う人の健康への悪影響と生活レベルの低下を予防することである。
健康リスクコミュニケーションは、ATSDRにおいて、強調され重要性が認められている発展中の分野である。過去十年間健康リスクコミュニケーションは、有害物質に曝されることに起因する健康への悪影響を予防したり、軽減したりするための包括的努力の不可欠な部分であった。全ての意志決定が、利用できる全ての情報に基づいてなされることを保証するのは、ATSDRの責任である。地域住民、廃棄地の職員、市民グループ、健康問題専門家、州、地方政府代表は、有害物質に曝されたときの健康リスクについて、ATSDRが効果的にコミュニケーションをするために必要な情報の独自の発信源である。彼らは、廃棄地の歴史、地域社会の健康に対する不安、人口構成、天然資源の使用、環境汚染、環境への経路、健康への影響結果などに関する情報を提供する。地域社会からの情報は、リスクコミュニケーションの過程において、いくつかの段階で必要とされる。情報収集の過程で地域社会を巻き込むことによって、ATSDRによるコミュニケーションがより信頼性の高いものとなるとともに、問題を解決するのに地域社会が参画するお膳立てができる。地域社会は、彼らの生活を脅かす問題を特定し、特徴を知り、解決することに積極的に参加しなければならないし、参加したいと思っている。
リスクの複雑性と不確実性に配慮せずに単に情報を配布するだけでは、効果的なリスクコミュニケーションができるとは限らない。工夫によって建設的なメッセージの作成、伝達、受け入れを可能にし、有意義な行動に導くことができる。こうした手法がどのように作用するか、そして効果を高める一般的原則について考察しなさい。
世間一般の神話を鵜呑みにすると、効果的なリスクコミュニケーションプログラムの開発の妨げとなることがしばしばある。こうした神話と、可能な対策について考察しなさい。
神話:リスクコミュニケーションプログラムに必要な時間や資源が充分ない。
対策:スタッフ全員を、もっと効果的なコミュニケーションができるように教育する。住民を参加させるための時間を確保するようにプロジェクトを組む。
神話:リスクについて国民に公表することは、住民を落ち着かせるよりも必要以上に恐怖心を持たせることになりかねない。
対策:国民に彼等の懸念や不安を表明する機会を提供することによって、恐怖心が生じる可能性を減らす。
神話:コミュニケーションは啓蒙教育より重要でない。国民は真のリスクを理解すれば、それを受け入れるであろう。
対策:国民にどのように対応するプロセスについて、データを説明する方法についてと同じように注意を払う。
神話:環境に関係する健康問題を解決する方法が見つかるまで、公表するべきではない。
対策:リスク管理の選択肢に関する情報を公開して討議し、利害関係のある地域社会を解決法の立案に参加させる。
神話:このような問題は難しすぎて国民は理解できない。
対策:国民があなたの政策に賛成しないことと、高度に専門的な問題を誤解していることを、はっきりと分離して考えるべきだ。
神話:専門的な判断は専門家に任せるべきである。
対策:国民に情報を提供する。地域社会の不安に耳を傾ける。政策立案時に、様々な専門を持つスタッフを参加させる。
神話:リスクコミュニケーションは、自分の仕事ではない。
対策:公務員として国民に対して責任がある。コミュニケーションを仕事に統合することを身につけ、同僚もそうするよう手助けする。
神話:国民は少しでも情報を提供すると、限りなく情報を欲しがる。
対策:国民がわずかでも情報を欲しがっている時に、その要望に従えば、彼等が際限なく情報を求める可能性は低くなる。闘争の場を避けること。国民を早くから、そして多くの機会に参加してもらう。
神話:国民の言うことに従うと、公衆衛生にとってそれほどの脅威ではない問題に、ただでさえわずかな資源を投入することになる。
対策:早めに国民に耳を傾けることによって論争を避けるとともに、あまり重要でない問題に不相応なエネルギーを費やすことがないようにする。
神話:活動家グループは、根拠無き不安を掻き立てる元凶である。
対策:活動家は国民の怒りを集束する働きをする。環境グループの多くは理性的で責任感がある。彼等と対立するよりも協力するべきである。
1.国民を協力者として受け入れ参加させる。
目標は、知識ある国民を養成することであり、国民の不安を払拭したり行動を変えることではない。
2.慎重に計画を立て、努力の結果を評価する。
目標、聴衆、媒体が異なれば違った行動が必要である。
3.国民の特定の不安に耳を傾ける。
国民は、しばしば統計や細かい事実より、信用、信頼性、能力、公正さ、共感により関心を持つ。
4.正直、率直、公明正大な態度をとる。
信用および信頼を得るのは難しい。それらは一度失えば、再び獲得することはほとんど不可能である。
5.信頼できる情報源と協力する。
組織間の対立や意見の相違は、国民とのコミュニケーションを一層困難にする。
6.マスメディアの要望を満たす。
マスメディアは、通常、リスクよりも政治、複雑よりも単純、安全よりも危険に関心を示す。
7.明瞭に、思いやりを込めて話す。
病気、傷害、死亡などを悲劇として認めることを、妨げるような努力をしてはならない。国民はリスク情報を理解しても、行政とは意見が一致しないかもしれない;一部の人々はそれだけでは満足しないだろう。
あなたがコミュニケーションを行う相手のことを知れば知るほど、リスクコミュニケーションプログラムの成功する可能性は高まる。早い段階で、コミュニケーションの相手のこと、彼等がどのような不安を抱き、リスクをどのように受け取り、誰を信頼しているのかを知りなさい。
どのような人か
特徴
彼等は支持者になるであろうか、それとも反対者になるであろうか?
国民の不安の分類
国民によるリスクの程度の認知は、数字で示されるデータ以外の多くの要素の影響を受ける。
地域社会の参加の重要性を認識しなさい。市民の参加が重要であるのは、(a)市民は、自分たちの生活に直接影響する問題についての決定権を持っている、(b)地域社会からの情報の入手は、行政機関がより正しい判断をするのを助ける、(c)意思決定の過程に関与することは、特定のリスクをより深く理解し、そのリスクに対してより適切に対応することにつながる、(d)ある問題で影響を受ける人々は、その問題を解決するための方程式に新たな変数を加える、(e)協力関係は、信頼を高めるのに役立つ、からである。最後に、地域社会からの情報が求められないか、考慮されない場合には、国民の信頼と行政機関の資源を蝕む争いが起こりがちである。
可能な限り、地域社会を意思決定過程に参加させなさい。
種々の聴衆の要望を把握し、それに対応しなさい。
適宜、公聴会に代わるものを開催しなさい。特に、より小規模で堅苦しくない集会を開きなさい。
国民の価値観や感情は、環境保健問題の正当な側面であり、こうした懸念は重要な情報をはらんでいる可能性があることを認識しなさい。
住民と効果的なコミュニケーションができるかどうかは、コミュニケーション方法の選択によって決まる。最も適切なコミュニケーション媒体を選択するには、伝えたい内容及び対象となる聴衆を考慮しなさい。いくつかの提言を以下に示す。
対象:同僚
コミュニケーション経路:
ニュース発表およびファクトシート
現地視察
疑問や関心事に対処するための会議
ホットライン
新聞記事
対象:地域住民
コミュニケーション経路:
地域集会
新聞記事および広告
ラジオおよびテレビのトークショー
ちらし
図書館にある映画、ビデオ等
ダイレクトメール
対象:選出公務員、オピニオンリーダー、環境活動家
コミュニケーション経路:
頻繁に電話による会合
ファクトシート
訪問
地域集会に招待
ニュース発表
事前通知
対象:マスメディア
コミュニケーション経路:
自分の伝えたいメッセージに焦点を当てたニュース発表
明瞭で、有益な情報を伝えるファクトシート
現地訪問
記者会見
建設的な対話ができるかどうかは、主として聴衆があなたのことを信頼・信用できると認めるかどうかによって決まる。聴衆がどのように判断し、認知するか考慮しなさい。
信頼および信用を評価するための要因
コロンビア大学リスクコミュニケーションセンターのV. Covello博士の研究によると、我々がどの程度信頼でき信用できるかを国民が評価する場合、4つの要素に基づいている。
信頼および信用を得ることは難しい。一度失えば再び得ることは更に難しくなる。
落とし穴:特殊用語
するべきこと:専門用語や略語の定義を明確にしなさい。
してはいけないこと:たとえ一部の聴衆であっても、理解できないような用語を用いること。
落とし穴:ユーモア
するべきこと:ユーモアを用いる場合は、自分を対象としなさい。
してはいけないこと:安全性、健康、環境問題に関連して用いること。
落とし穴:否定的な主張
するべきこと:根拠のない主張をされた場合は、それを繰り返さずに、論破しなさい。
してはいけないこと:その根拠のない主張を復唱、または言及すること。
落とし穴:否定的イメージの語句
するべきこと:肯定的または中立的な語句を使用しなさい。
してはいけないこと:国レベルの問題に言及すること。例えば、「ここはラブ・キャナル(Love Canal:毒性廃棄物問題が起きた地名)ではない。」
落とし穴:言葉に頼る
するべきこと:重要点を強調するために、視覚的手段を使いなさい。
してはいけないこと:言葉にのみ頼ること。
落とし穴:気分
するべきこと:冷静を保つ。疑問点や主張を出発点として、肯定的なことを言いなさい。
してはいけないこと:感情的になり、建設的にコミュニケーションをする能力が発揮できなくなること。
落とし穴:明瞭性
するべきこと:自分自身に、いいたいことを明瞭に言えたか問いなさい。
してはいけないこと:自分が理解されたと思い込むこと。
落とし穴:抽象化
するべきこと:実例、例え話、類似例を用いて共通の理解を築きなさい。
落とし穴:言葉以外のメッセージ
するべきこと:言葉以外の、あなたが発しているメッセージに敏感になりなさい。それらを、あなたの言っていることと一致させなさい。
してはいけないこと:ボディーランゲージ、会場におけるあなたの位置、あなたの衣服をあなたのメッセージと矛盾させること。
落とし穴:攻撃
するべきこと:攻撃は、問題に向けなさい。
してはいけないこと:攻撃を、人または組織に向けること。
落とし穴:約束
するべきこと:できることだけを約束しなさい。厳密な順番を立てそれに従いなさい。
してはいけないこと:守れない約束、最後まで責任を持てない約束をすること。
落とし穴:保証
するべきこと:達成できたこと、継続中の努力を強調しなさい。
してはいけないこと:保証はできませんと言うこと。
落とし穴:推測
するべきこと:実際に行っていることに関する情報を提供しなさい。
してはいけないこと:最悪の事態を推測すること。
落とし穴:金銭
するべきこと:健康、安全、環境問題を重視していることに言及しなさい;公衆衛生に対するあなたの道義的な義務は、財政的な考慮に優先する。
してはいけないこと:あなたの懸念の例として、費やされた金銭に言及すること。
落とし穴:組織への所属
するべきこと:1人称代名詞を用いなさい(「私」「私共」)。
してはいけないこと:大きな組織の一員であることを前面に出すこと。
落とし穴:非難
するべきこと:問題解決の分担責任を負いなさい。
してはいけないこと:非難や責任を他人に転嫁すること。
落とし穴:「オフレコ」
するべきこと:話したことやしたことは、全て公開記録の一部とみなしなさい。
してはいけないこと:副次的な注釈を加えたり「内緒話」をすること。
落とし穴:リスク/利益/コストの比較
するべきこと:リスクと利益を別々のコミュニケーションで議論しなさい。
してはいけないこと:費用をリスクの程度に絡ませて議論すること。
落とし穴:リスクの比較
するべきこと:リスクを客観的に捉えるために、リスクの比較をしなさい。
してはいけないこと:関係のないリスクを比較すること。
落とし穴:健康リスクに関する数字
するべきこと:真のリスクは0から最悪の場合の推定値の間であることを強調しなさい。リスクに関する数字よりも国および州の基準に基づいて行動しなさい。
してはいけないこと:絶対的なことを話したり、素人である国民がリスクに関する数字を理解することを期待すること。
落とし穴:数字
するべきこと:実績、傾向、達成したことを強調しなさい。
してはいけないこと:大きな否定的数字を挙げたり繰り返すこと。
落とし穴:専門的な内容や討論
するべきこと:あなたの発言を、共感、必要とされる能力、誠実さ、献身性に集中させなさい。
してはいけないこと:詳細過ぎる説明をしたり、長時間に及ぶ専門的討論に加わること。
落とし穴:説明時間の長さ
するべきこと:説明時間を最大15分間までにしなさい。
してはいけないこと:予定時間を立てずに漫然と行うこと。
コミュニケーションプログラムの計画時には、測定可能な目標を立てなさい。それぞれの構成要素に関して、何がうまく行き、どこをどうすべきであったか、そしてその理由を考えなさい。
プログラムの各部分について以下の問いかけをしなさい。
あなたが何をするか、そしてそれをどのように行うかは、聴衆がどうあなたやあなたの組織、提供しようとしている情報を認知するかを左右する。よく準備し、効果的に発表をしなさい。
聴衆を知りなさい
利害関係、関心、疑問を予想しなさい。
集会への準備において、それらを考慮に入れなさい。
発表の準備をしなさい
聴衆をひきつける導入部分を作りなさい。
最大限3個のキーメッセージを作りなさい。
裏付けデータを集めなさい。
視聴覚機器を活用した発表を準備しなさい。
練習しなさい。
質問に答える準備をしなさい
質問を予想して、その答えを準備しなさい。
質疑応答の練習をしなさい。
聴衆をひきつける強力な冒頭の発表は、その集会の流れを決定し、信頼や信用を築く上で重要である。内容は以下のとおりである。
I.導入
II.キーメッセージ
III.結論
I.導入
共感を感じてもらうことが、信頼や信用を築く上で不可欠であり、聴衆は最初の30秒間で判断するということを覚えていなさい。導入部には以下の項目を含めなさい。
個人的な関心を述べる
例‐「今夜お集まりいただいた人々の数を見れば、この問題に関して皆様が私と同様深い関心を抱いていることが分かります」
組織としての意図を述べる
例‐「私は環境および市民を守ると約束します。私ども“X”の職員はこの地域社会と長い付き合いがあり、この問題に関して地域社会と協力して取り組みたいと考えています。」
集会の目的および計画を述べる。(各集会毎に異なる内容でなければならない)
例‐「今夜、約15分間、この報告内容を皆様にお伝えします。その後、討論、質問、その他関心事の相談の時間を設けます。更に詳しい情報が必要な方または討論を続けたい方には、集会終了後も私どもがお相手いたします。」
II.キーメッセージおよび裏付けデータ
キーメッセージとは、集会終了後も市民が心に留めおいてほしい事項である。それらは問題の核心にせまるものであり、短く、簡潔にする。
例‐「私達はその地域の井戸を広く検査し、その水が、安心して飲める水質基準をすべて満たしていることを確認しました。」
キーメッセージを作成するには:
III.結論
視聴覚機材を活用した発表をすることで、メッセージをよりよく理解しやすくすることができる。言葉を視覚と関連付けることにより、人々の記憶に残りやすくなる。“Effective Business and Technical Presentation”(Morrisey and Sechrest 1987)は、質の高い発表を準備する上での指針を更に詳しく説明している。
理解の助けとなる素材等
要素:部屋の大きさ、聴衆の数、席の配置、視野を妨害する物、照明、コンセントの場所
するべきこと:あらかじめ機材を設定し、焦点調節し、試験し、配置する。
照明を付けたり消したりする係を指定する。
聴衆が去るまで、機材はそのままにする。
道具:予備バルブ、三又のアダプター[訳注:高電圧の機器のためのもの]、延長コード、ダクトテープ、職員の電話番号、何も書かれていないOHPシート、スライドトレー、OHPシート、マーカー・チョーク、予備の発表原稿
効果的な視覚素材は
発表を計画、練習、実施する時は、以下に掲げる音声とそれ以外のコミュニケーションの要素を考慮しなさい。
声量
声の大きさは、自信、能力、率直さを反映する。あなたの発表に取り入れるために、聴衆の反応を観察しなさい。周囲の状況に応じて、調節しなさい。
発音
明瞭に正確に話しなさい。なじみのない言葉には気を付けなさい。適宜、用語のスペルや定義を説明しなさい。
話す速度、リズム、調子
テンポを変化させなさい。重要なメッセージを伝える時はゆっくりと話し、強調するために間をあけたり、声の調子や句の長さを変化させなさい。「OK」、「~のような」、「ではない」、「あ~」などの言葉を繰り返し使用するのを避けなさい。
顔の表情、目と目との対話
相手の目を見ることは非常に重要である。口、目、額、眉毛もコミュニケーションをおこなう。
姿勢
姿勢は態度を表す。両足を少し開いて、直立姿勢をとるようにする。
手振り、身振り
手振り、身振りは、コミュニケーションの効果を高めたり、低くしたりする。自分の手振り、身振りに気を遣い、それらが適当であることを確認しなさい。
衣服、身だしなみ
職場で普段身に付けているであろうと聴衆が想像するような衣服、またはそれよりもややカジュアルな衣服を着用する。
注意をそらす行為
リスクデータを説明する時には、リスクを示す数字を他の数字と比較してみるのもよい。
第1ランク(最も許容される)
第2ランク(第1ランクに次いで望ましい)
第3ランク(第2ランクに次いで望ましい)
第4ランク(かろうじて許容できる)
第5ランク(通常許容できない‐格別な注意が必要)
市民がリスクを認知するときに重視する要素を思い出しなさい;これらの要素を無視するほど、その比較の効果は低下する。
プロジェクト
時間
場所
日取り
聴衆
導入
キーメッセージ
結論
質疑応答
発表用資料
1. 準備不足にみえる。
2. 質問に適切に答えない。
3. 自分または組織の言い訳をする。
4. 知っているべき情報を知らない。
5. 視聴覚素材の使用が下手。
6. 予定からずれているように見える。
7. 関係者を参加させない。
8. 意思の疎通を図らない。
9. 計画的でないようにみえる。
10. 間違った内容を伝える。
発表内容と同様、個々の質問や関心事に対する受け答えもその集会が成功するかどうかの鍵となる。準備して練習しなさい。一般的にどのように質問に答えるか、またどのようにして特定の質問に答えるかを考えなさい。
指針
以下の質問例は、よく遭遇する質問を示す。それと同時にキーメッセージの例および応答上の秘訣も示す。異なった種類の難しい質問に関しては、“Communication with Power: Encountering the Media”(Bary Mcloughlin Associates, Inc., 1990)を参照のこと。
あなたは“X”の代表としてここに居られるわけですが、“X”には何故有害物廃棄地を調査する計画がないのですか。
キーメッセージ:私達には有害物廃棄地を調査する政策があります。実際、・・・
あなたの上司はこの場所には問題はないと確信していると言っていますが、その方は自動車店の近くに1,000ガロンの油、シンナー、溶剤が廃棄されて重大な健康問題を起こす可能性があることをご存知ないのでしょうか。それとも、調査の結果に影響を与えようとしているのですか。
キーメッセージ:こうした物質の廃棄の安全性についての評価は、住民の安全を継続して確保するために私達が行っている調査の一部です。
あなたは水質に関する役所の立場を話されました。それではあなたならこの水を飲みますか。
キーメッセージ:飲料水の水質に関して、私は役所の担当者としてだけでなく、一市民としても関心を持っています。この問題について私が知っていること、私の性格を考えると、はい、私はその水を飲むでしょう。
あなた方がここで行っていることは、EPAの方針と一致していますか。
キーメッセージ:私達はEPAの指針に従っており、我々の調査結果は全てEPAに送っています。
この問題に関してこれまで費やされた費用の正確な金額をご存知ですか。
キーメッセージ:私は正確な金額を知りません。お名前と電話番号を教えてくだされば・・・までにお調べ致します。
この地域の汚染を見逃したことを認めると恥になるので、あなたの役所と州の規制当局は重大な汚染地域を内密に浄化し、適正な有害廃棄物調査を行わないことに取り決めたと聞いています。あなたの役所がこの環境問題に関して腰が重く、素早く対応しないのは何故ですか。
キーメッセージ:私達の目標は、地域住民の安全と健康を最大限守ることと、関連する全ての連邦法および州法に従うことにあります。私達は調査結果を折にふれ公表してきました。
地元企業があなたの機関に対して損害賠償を求めて起こした訴訟についてどのような対応をとる予定ですか。
キーメッセージ:これは正当な質問です。審理が続いておりますので、私はこの問題に関して話をすることはできません。
このプログラムを運営するために、あなたはどのような資格をお持ちですか。
キーメッセージ:この種のプログラムの管理に数年の経験があり、またプログラムが全ての面で満足に実施できるように専門家のチームを抱えております。
パブリックコメントを求めないと最終的な決定はできないことさえ、あなたは知らないのですか。
キーメッセージ:最終決定をする前に、パブリックコメントを真剣に考慮しなければならない。
環境問題全てに対応するのは実に大変なことに違いない。
キーメッセージ:訓練や経験によって、環境、安全、健康などの問題に対応できるようになってきましたし、私がここに来たのは地域住民のために可能な限り最良の仕事をするためです。
地下水汚染に関することですが、あなたの機関が周辺住民の健康のことを心配しないのは何故だと思いますか。
キーメッセージ:私達は近隣住民の健康のことを非常に気にしています。
それでは地下水汚染を元に戻す方法を決定するのに5年間以上も調査研究を続けているのは何故でしょう。
キーメッセージ:差し迫った危険があるどのような状況に対しても、即座に対策を取れることを、確認したいと思っています。様々な理由で多くの時間と費用を要した調査研究の間、健康に対する差し迫った脅威は発見できませんでした。もし発見していれば即座に対策を講じたでしょう。公衆衛生は常に私達の一番の関心事です。
予想される最悪の事態は何か。
キーメッセージ:推測は避けたいです。私達は地域住民の健康と安全の確保のために努力しています。今行っている調査には土壌や地下水も含まれる予定です。
この地には深刻な地下水問題があるとの噂がありますが。
キーメッセージ:その噂は初めて耳にしました。データを見る限りこの地には地下水問題はありません。
何故拡張したいのですか。あなた方は偵察のために非公開の会合に身分を隠した社員を送りましたか。送ったのならどのような情報を持ちかえったのですか。
キーメッセージ:最初の質問にお答えしましょう。地域社会が関心を持つのは正当なことで・・・
あなたなら、こうした汚染問題に関する住民の懸念に対応するために、上司に対してどのような行動をとるよう提案しますか。
キーメッセージ:私の上司は、環境の安全問題に関わっている人であれば誰からでも、助言や教示を求めることができます。私も頼まれれば、私にできるどのような援助も惜しみません。
すべきこと:
してはならないこと:
健康や環境に関する問題は、激しい怒りや敵意を呼び起こすことがある。怒りを放散し、敵意のエネルギーを別の方向に向けるために、できることを考えなさい。
留意事項
あなたにできること
敵意の存在を認めなさい。
自己管理を練習しなさい。
きちんと準備しなさい。
共感やいたわりの心を伝えなさい。
あなたのメッセージを常に念頭に置く。
マスメディアとの協力は国民との対話の主要な機会の一つであるので、マスメディアとの良い協力関係は極めて重要である。インタビューの前後およびインタビュー中にするべきことならびに不慮の事態にするべきことを検討する。
マスメディアが一般的に関心を示すのは以下の事項である。
マスメディアは、誰が、何を、何時、どこで、何故、どのように(1W5H)に関する情報を求めている。
強い印象を与えるために、キーメッセージ伝達の準備と練習をする。
するべきこと:
してはいけないこと:
するべきこと:
してはいけないこと:
するべきこと:
してはいけないこと:
健康、安全、または環境に対する、現実のもしくは認知された、または潜在的な脅威は、リスクコミュニケーションに危険をもたらすと同時に、コミュニケーションのいい機会ともなる。するべきこととしてはいけないことを検討しなさい。
するべきこと:
してはいけないこと:
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