Topic 若い世代を中心とした食育の推進
若い世代ってどんな世代?

- 若い世代(20歳代及び30歳代)は、「人生100年時代」に向けて、生活習慣病の予防や健康寿命の延伸のために、若い頃からの食生活が重要であることを自覚し、健全な食生活を習慣化する必要性が一層高い世代
- 未来の日本を支える子供たちを育てる世代でもあり、次世代に「食」の重要性を伝えつなぐ役割を担う。
- 平成17(2005)年に食育基本法が施行、栄養教諭制度が創設。現在の20歳代は食育の取組が広がる時期に育った。
若い世代における食生活の現状
- 「朝食を欠食する(「週に2~3日食べる」及び「ほとんど食べない」)若い世代の割合」が、令和元(2019)年度は25.8%。特に男性は、31.5%が朝食を欠食

- 「主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日2回以上ほぼ毎日食べている若い世代の割合」が、令和元(2019)年度は37.3%

主食・主菜・副菜を組み合わせた食事とは

- 「地域や家庭で受け継がれてきた伝統的な料理や作法等を継承している若い世代の割合」が、令和元(2019)年度は61.6%

- 「食品の安全性について基礎的な知識を持ち、自ら判断する(「いつも判断している」及び「判断している」)若い世代の割合」が、令和元(2019)年度は70.3%

子供の頃の食生活は?

- 若い世代において、小学生、中学生、16~18歳の頃の食生活を振り返ってもらったところ、「家では、1日三食いずれも決まった時間に食事をとっていた」等に関して、年代が上がるにつれて「あてはまる」と回答した人の割合が減少

子供の頃の食生活と現在の食生活との関連
- 「家では、1日三食いずれも決まった時間に食事をとっていた」について、小学生、中学生、16~18歳のどの年代においても「あてはまる」(「あてはまる」及び「どちらかといえばあてはまる」)と回答した人は、それ以外の人と比べ、現在、朝食を「ほとんど毎日食べる」と回答

今後の食生活に対する考え方は?
- 若い世代において、ふだんの食生活の中で今後食育として力を入れていきたいこととして、「栄養バランスのとれた食生活を実践したい」をあげた人が男女とも最も多く、男性45.1%、女性57.9%
- 他の世代に比べ、「栄養バランスのとれた食生活を実践したい」、「家族や友人と食卓を囲む機会を増やしたい」等をあげた人が多い。

[column]ウェブ調査結果等を踏まえた若い世代向けの啓発資材の作成
農林水産省では、令和元(2019)年度に、若い世代の食育に関する課題を明らかにするため、ウェブ調査やグループディスカッションを実施
ウェブ調査でなにがわかった?

- 主食・主菜・副菜を組み合わせた食事については、「健康に良い」といったプラスのイメージが強い一方、「お金がかかる」、「準備するのが面倒」といったマイナスのイメージも。
- 朝食についても同様に、「健康に良い」、「一日の活力につながる」といったプラスのイメージが強い一方、「作るのは面倒」といったマイナスのイメージも。
- 朝食をほとんど食べない人の4割は、起床してから外出までの時間が1時間未満
- 経済状況が厳しい人ほど、朝食欠食者が多く栄養バランスに配慮した食生活の実践者が少ない 等
これらの結果を踏まえ、若い世代の価値観やライフスタイルが多様化する中で、それぞれに「ちょうどよいバランスの食生活」を実践するためのヒントをわかりやすく解説する啓発資材を作成
こちらをぜひチェック!
考える やってみる みんなで広げる ちょうどよいバランスの食生活
もっと詳しく知りたいときは令和元年度「食育白書」P31~P34
若い世代が中心となって取り組む食育
食生活の現状からも推察されるように、若い世代が食育への関心を高め、健全な食生活を実践することができるよう、必要な情報発信をするなど、若い世代への食育を引き続き推進していく必要がある。
同時に、将来に向けて、食育の担い手として活動する若い世代を増やしていくことも重要
本ページでは、食料の生産から消費に至る食の循環(生産、流通、食事、廃棄・保存・再利用の過程)において、若い世代が中心となって積極的に取り組んでいる事例を紹介

(事例)農業女子プロジェクトメンバーによる、次世代に“つなぐ”食育
農林水産省農業女子プロジェクト
- 農林水産省が平成25(2013)年から進めている「農業女子プロジェクト」では、取組の一つとして、企業・教育機関と連携した食育イベントや農作業体験等を実施
- 令和元(2019)年8月31日(やさいの日)に、都心部に住む未就学児を対象に、収穫体験、野菜ブーケ作り等を行う「831 やさいフェスタ」を実施
- 子供たちは、収穫体験やクイズを通して、野菜が食卓に届くまでに様々な人が関わっていることを学ぶとともに、野菜ブーケ作りでは、野菜の種類や形を見て、触れて、楽しく学んだ。
- 女性農業者のスキルや実体験を生かし、農作業体験等から「食」と「農業」の大切さを知ってもらい、次の世代に“つなぐ”取組を行う。

「831やさいフェスタ」の様子

「831やさいフェスタ」の様子
もっと詳しく知りたいときは令和元年度「食育白書」P36
(事例)持続可能な農業と社会のかたちをめざして
[京都府]株式会社坂ノ途中
- 「100年先もつづく、農業を。」を目標として掲げる株式会社坂ノ途中では、関西を中心に若手の新規就農者と連携し、少ない収穫量であっても消費者に届く流通の仕組みを構築
- 消費者に、収穫時期によって野菜の色や状態は変化することを知ってもらい、その変化を理解し、楽しんでもらえるよう、テレビ番組での野菜紹介や野菜料理教室、子供が遊びながら野菜について学べる「やさいのきもちかるた」の制作等を行う。
- 有機農業など環境負荷の少ない農業への関心が高い新規就農者を支援し、消費者に野菜の本来の味や姿を伝えていくことで、持続可能な農業と社会の実現を目指す。

実際に野菜を生産している農家を訪問

「やさいのきもちかるた」
もっと詳しく知りたいときは令和元年度「食育白書」P37
(事例)おいしくたべよう! 災害食
[宮城県]Food and Smile!(宮城学院女子大学)
- 「Food and Smile!」は、宮城学院女子大学で管理栄養士を目指す学生が運営している、食を通じた地域の活性化に貢献することを目的としたボランティア団体
- 地元企業や地域住民と連携しながら、衛生面や栄養面に配慮し、避難所や家庭にある食材で水道・電気・ガスを極力使わず簡単に調理できる「災害食」レシピを開発・普及
- 様々な団体の依頼を受け、開発したレシピを紹介する料理教室を県内外で開催し、「災害食」への理解促進と普及を図る。

学生が考案したサバ缶パエリア

子供会での料理教室の様子
もっと詳しく知りたいときは令和元年度「食育白書」P38
(事例)食品ロス削減へ学生が取り組む「Kyo 0 market(キョー ゼロ マーケット)」
[京都府]龍谷(りゅうこく)大学 深尾(ふかお)ゼミナール「かんきょうと」
- 「Kyo 0 market」は、龍谷大学の学生が、多くの食品が手付かずのままゴミになる現状について、「もったいない」という想いを伝える啓発イベント
- 賞味期限前の食品を集めて、来場者に無料で提供する「もったいないスーパー」、小学生がクイズ形式でリサイクル素材などを学べる「食ロスかるた」、学生が来場者に食品ロスや生ごみ対策等について紹介する「エコカフェ」等を実施
- 平成30(2018)年度から令和元(2019)年10月までの計9回のイベントで、食品2,492品、総エネルギー378万キロカロリー、総重量448kgの食品を廃棄せず食品として循環

「もったいないスーパー」に取り組む学生たちと陳列された食品
もっと詳しく知りたいときは令和元年度「食育白書」P39
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消費・安全局 消費者行政・食育課 食育計画班
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