2 「早寝早起き朝ごはん」国民運動の推進
(1)子供の生活習慣づくりの推進
高知家の「早寝早起き朝ごはん」
フォーラム2024
朝食をとることは、栄養補給だけではなく、脳や消化器官を目覚めさせ、体内時計のリズムを整えることになり、適切な生活習慣の育成や、心身の健康の保持につながります。
文部科学省では子供の健やかな成長に必要となる、十分な睡眠、バランスのとれた食事、適切な運動等、規則正しい生活習慣づくりを社会全体の取組として推進しています。
令和6(2024)年度は、独立行政法人国立青少年教育振興機構と連携・協力し、「早寝早起き朝ごはん」国民運動を促進するための「早寝早起き朝ごはん」フォーラム事業を実施するとともに、中高生の基本的な生活習慣の維持・定着・向上を図るための「早寝早起き朝ごはん」推進校事業を全国15か所で実施しました。
「早寝早起き朝ごはん」国民運動
(「早寝早起き朝ごはん」全国協議会)
URL:https://www.hayanehayaoki.jp(外部リンク)
(2)「早寝早起き朝ごはん」全国協議会との連携による運動の推進
朝ごはんポケットレシピC.
「早寝早起き朝ごはん」全国協議会(以下「全国協議会」という。)は、平成18(2006)年に発足し、幅広い関係団体や企業等の参加を得て、「早寝早起き朝ごはん」国民運動を文部科学省と連携して推進しています。令和6(2024)年12月現在、全国協議会の会員団体数は319で、様々な年齢層の子供や保護者に向けたガイドブックの作成・配布、全国フォーラム・総会の企画・運営等、子供の基本的な生活習慣の確立や生活リズムの向上につながる取組を展開しています。令和5(2023)年3月には、子供たちが自分で作ることができ、かつ栄養バランスの取れた朝食のレシピをまとめた「朝ごはんポケットレシピC.」を作成しました。
また、令和5(2023)年度に引き続き、令和6(2024)年度も独立行政法人国立青少年教育振興機構、体験の風をおこそう運動推進委員会、全国協議会の三者が連携し、「未来を拓く子供応援フォーラム」を開催しました。同フォーラムは、青少年教育関係者をはじめとした多くの方々に、青少年期における体験の重要性や基本的生活習慣を身に付けることの重要性について理解を深めていただくことを目的としています。
事例:中央中学区朝ごはんプロジェクト(「早寝早起き朝ごはん」推進校事業)
滋賀県彦根(ひこね)市立中央(ちゅうおう)中学校
中央中学校で令和3(2021)年度に生徒を対象に実施した「生活状況アンケート」の回答結果から、本校生徒の約1割が朝食を欠食している状況がみられました。そこで、本中学校ブロックで開催している生徒指導連絡協議会(教員、市教委、保護者代表、地域代表、地域駐在所の警察官で構成)の中で話題提供したところ、参加者から「この1割の中には、家庭の状況から朝食を食べたくても食べられない子供もいるのではないか」、「朝食を欠食することで登校が困難になってしまったり、不登校につながってしまったりしているケースもあるのではないか」との意見がありました。その言葉がきっかけとなり、本校の「朝ごはんプロジェクト」(早寝早起き朝ごはん+メディアからの自立)がスタートしました。
事業を進めていく上で大切にしたことは、<1>困難な状況にある生徒に限った支援では該当生徒の自尊感情を傷つけてしまうおそれもあることから、全ての生徒を対象とすること、<2>学校がプラットフォームとなり家庭や地域、福祉等の関係機関とのつながりを作り、地域全体で課題意識を共有すること、<3>地域の方々や地域企業の協力も得ながら、持続可能な取組とすること、<4>就学前から中学卒業まで縦のつながりを意識し、継続した取組とすること、の4つです。
具体的な取組の中でも、特に地域の方々と共に生徒が朝食を囲む「朝食支援活動」は、地域協力者のご厚意で借りられることになった学区内の集会所にて、月に1回のペースで開催しています。なお、この朝食支援活動はスクールソーシャルワーカー(*1)の計画の下で回数を重ね、地域の方々で運営できるようになりました。朝食に使用する食材は地域のスーパーマーケットや農家から提供を受けており、持続可能な支援体制となりました。また、中学校が中心となって進めている取組を、学区の小学校やこども園、保育所にも広げて、学区としての取組として認知されるように取り組んでいます。
さらに、この朝ごはんプロジェクトのことを知った地域の方が、ご自身が経営されている飲食店でこども食堂を始められるなど、支援の輪も広がっています。
これらの取組を通して、生徒の食や睡眠、メディア利用への意識が改善されつつある状況です。劇的な変化を求めるのではなく、地道な取組による継続した成長を実現できるようにしていくことが重要であると考えています。
1 いじめ、不登校、暴力行為、児童虐待など生徒指導上の課題に対応するため、社会福祉等の専門的な知識・技術を用いて、児童生徒の置かれた様々な環境に働き掛けて支援を行う者
事例:朝うんちに欠かせない、食事をはじめとする基本的な生活習慣の確立に向けた取組
(令和6(2024)年度 優れた「早寝早起き朝ごはん」運動の推進に係る文部科学
大臣表彰被表彰活動「朝うんちをしよう~排便習慣から見直す生活習慣~」)
宮古(みやこ)市立千徳(せんとく)小学校(岩手県)
宮古市立千徳小学校では、児童を対象とした学校評価アンケート結果において、健康の基盤となる生活習慣の一部である「朝の排便習慣の確立」が児童における健康課題の一つとして挙げられていたことから、排便習慣の確立に向けた指導等に取り組んでいます。
学校評価アンケートでは、「朝うんちができているか」という項目について、「できている」と回答した児童の割合が、全ての学年において目標の8割を下回っているという結果でした。また、令和4(2022)年度に保健室を利用した児童のうち、腹痛や吐気といった消化器症状を訴えていた人が全体の3割以上を占めていました。こうしたことから、本校では低学年の児童を中心に、排便についての保健指導等を行っています。
具体的には、「朝うんちをしよう」というテーマで、児童の排便習慣に関する状況のアンケート結果を示しながら、朝排便があった時と無かった時の体調の違い等、児童に自分の身体の状態や変化について考えさせる指導をしています。また、朝の排便習慣に欠かせない「食事」、「運動」、「睡眠」といった生活習慣について認識を共有していく中で、特に積極的に摂取すると便通に良い影響を与える、食物繊維が豊富な食材について積極的に議論が行われるなど、新たな知識に児童の間でも関心が広がりました。
そのほか、夏休み等の長期休業中に「朝うんちチェック表」を全校児童に記入してもらったほか、栄養教諭による給食訪問指導にて、朝食をとる・バランス良く食べることが排便習慣をはじめ生活習慣全体に良い影響を与えることについて講話を実施しました。このような取組により、令和5(2023)年度における消化器症状を主訴とした保健室利用件数が前年度と比較しておよそ3割減少したほか、児童が自分の排便習慣について振り返り、身体の変化や不調等について知る機会を作ることができました。
小学校の低学年は生活習慣を形成していく上で重要な時期ですが、学年が上がるにつれて「学校ではうんちをしにくい。」、「恥ずかしい気持ちもある。」といったことを話す児童も少なくないことから、家庭も含め、児童が健康について主体的に考え学ぶ機会を積極的に作っていく必要があります。引き続き、朝の排便習慣の確立にもつながる、健全な食生活をはじめとする基本的な生活習慣の確立に向けて指導に取り組んでいきます。
事例:萩(はぎ)の食べ物はいちばん!朝ごはんメニューコンテスト
(第8回食育活動表彰消費・安全局長賞受賞)
萩市の食育を支える会(山口県)
近年、忙しい現代社会において、パンにジャムを塗っただけのような栄養に偏りのある朝食や、保護者世代の朝食欠食等が問題視されています。「萩市の食育を支える会」では、市民が生涯にわたって健全な心身を培い、豊かな人間性を育んでいくため、地域住民全てで連携を取り合って具体的な食育推進に取り組むことを目的とした活動を実施しています。その中で、食事内容に重点をおいた朝食摂取ができるよう、買物から調理までの一連の朝食づくりを通して、生活の基礎となる望ましい食習慣を育むため、朝ごはんメニューコンテスト等を開催しています。
朝ごはんメニューコンテストについては、年4回の研修を含む会議において、コンテストの内容確認や意見交換、一次審査等を行っています。「萩市の食育を支える会」は、市内の子供や食に関わる23団体で構成されており、その専門的な視点や子育てをする保護者の立場から、コンテストの効果や反省点等を共有できる環境を整えるなど、より一層の事業改善に取り組んでいます。また、コンテストで受賞したレシピについては、地元企業等の協力による総菜コーナーでの商品化や飲食店におけるランチでのメニュー化等を実現させるなど、受賞だけにとどまらず、更なる取組にも力を入れ、受賞した子供たちの自己肯定感の向上に寄与するとともに、周囲の子供たちやそれを取り巻く大人へも良い影響が波及していっています。
朝ごはんメニューコンテスト等の活動を通して、子供が家族を想い、親子で取り組む姿が少しずつ増えてきたのを感じています。今後も、萩の子供たちが朝ごはんの大切さを、知識だけでなく体験を通して感じる機会を数多く作り、幼少期からの生活リズムの確立につながる活動の輪を広げていきます。
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