1 力強く持続可能な農業構造の実現に向けた担い手の育成・確保
(1)認定農業者制度や法人化等を通じた経営発展の後押し
ア 担い手への重点的な支援の実施
(ア)認定農業者等の担い手が主体性と創意工夫を発揮して経営発展できるよう、担い手に対する農地の集積・集約化の促進や経営所得安定対策、出資や融資、税制等により、経営発展の段階や経営の態様に応じた支援を行います。
(イ)地域の農業生産の維持への貢献という観点から、担い手への支援の在り方について検討します。
イ 農業経営の法人化の加速と経営基盤の強化
(ア)経営意欲のある農業者が創意工夫を活かした農業経営を展開できるよう、都道府県が整備する農業経営・就農支援センターによる経営相談・経営診断、課題を有する農業者の掘り起こしや専門家派遣の支援により、農業経営の法人化を促進します。
(イ)担い手が少ない地域においては、地域における農業経営の受け皿として、集落営農の組織化を推進するとともに、これを法人化に向けての準備・調整期間と位置付け、法人化を推進します。また、地域外の経営体や販売面での異業種との連携等を促進します。さらに、農業法人等が法人幹部や経営者となる人材を育成するために実施する実践研修への支援等を行います。
(ウ)集落営農について、法人化に向けた取組の加速化や地域外からの人材確保、地域外の経営体との連携や統合・再編等を推進します。
ウ 青色申告の推進
農業者年金の政策支援、農業経営基盤強化準備金制度等を通じ、農業者による青色申告を推進します。
(2)経営継承や新規就農、人材の育成・確保等
ア 次世代の担い手への円滑な経営継承
(ア)地域計画の策定の推進、人と農地に関する情報のデータベースの活用により、経営移譲希望者と就農希望者のマッチングを行うなど、第三者への継承を推進するほか、都道府県が整備する農業経営・就農支援センターによる相談対応や専門家による経営継承計画の策定支援等を行うとともに、地域の中心となる担い手の後継者による経営継承後の経営発展に向けた取組を支援します。
(イ)園芸施設・畜産関連施設、樹園地等の経営資源について、第三者機関・組織も活用しつつ、再整備・改修等のための支援により円滑な継承を促進します。
イ 農業を支える人材の育成のための農業教育の充実
(ア)農業高校や農業大学校等の農業教育機関において、先進的な農業経営者等による出前授業や現場研修といった就農意欲を喚起するための取組を推進します。また、スマート農業に関する教育の推進を図るとともに、農業教育の高度化に必要な農業機械・設備等の導入を推進します。
(イ)農業高校や農業大学校等における教育カリキュラムの強化や教員の指導力向上といった農業教育の高度化を推進します。
(ウ)国内の農業高校と海外の農業高校の交流を推進するとともに、海外農業研修の実施を支援します。
(エ)農業者のリ・スキリング機会の充実のため、スマート農業等の新たな技術を学び直す研修を支援します。
ウ 青年層の新規就農と定着促進
(ア)次世代を担う農業者となることを志向する者に対し、就農前の研修(2年以内)の後押しと就農直後(3年以内)の経営確立に資する資金の交付を行います。
(イ)初期投資の負担を軽減するための機械・施設等の取得に対する地方と連携した支援、無利子資金の貸付け等を行います。
(ウ)就農準備段階から経営開始後まで、地方公共団体や農業協同組合、農業者、農地中間管理機構、民間企業等の関係機関が連携し一貫して支援する地域の就農受入体制の充実を図ります。
(エ)雇用就農者の労働時間の管理、休日・休憩の確保、更衣室や男女別トイレ等の整備、キャリアパスの提示やコミュニケーションの充実といった誰もがやりがいを持って働きやすい職場環境整備を行う農業法人等を支援することにより、農業の「働き方改革」を推進します。
(オ)職業としての農業の魅力や就農に関する情報について、民間企業等とも連携して、就農情報ポータルサイト「農業をはじめる.JP」やSNS、就農イベント等を通じた情報発信を強化します。
(カ)自営や法人就農、短期雇用等の様々な就農相談等にワンストップで対応できるよう、都道府県の就農専属スタッフへの研修を行い、相談体制を強化します。
(キ)農業者の生涯所得の充実の観点から、農業者年金への加入を推進します。
エ 女性が能力を発揮できる環境整備
(ア)農業経営における女性の地位や責任を明確化する認定農業者制度における農業経営改善計画の共同申請、女性の活躍推進に向けた補助事業等の活用を通じ、女性の農業経営への参画を推進します。
(イ)地域のリーダーとなり得る女性農業経営者の育成、女性グループの活動、女性が働きやすい環境整備、女性農業者の活躍事例の普及等の取組を支援します。
(ウ)「農業委員会等に関する法律」(昭和26年法律第88号)及び「農業協同組合法」(昭和22年法律第132号)における、農業委員や農業協同組合の理事等の年齢や性別に著しい偏りが生じないように配慮しなければならない旨の規定を踏まえ、委員・理事等の任命・選出に当たり、女性の参画拡大に向けた取組を促進します。
(エ)女性農業者の知恵と民間企業の技術、ノウハウ、アイデア等を結び付け、新たな商品やサービスの開発等を行う「農業女子プロジェクト」における企業・教育機関との連携強化、地域活動の推進により女性農業者が活動しやすい環境を作るとともに、これらの活動を発信し、若い女性新規就農者の増加に取り組みます。
オ 企業の農業参入
農地中間管理機構を中心としてリース方式による企業の参入を促進します。
ご意見・ご感想について
農林水産省では、皆さまにとってより一層わかりやすい白書の作成を目指しています。
白書をお読みいただいた皆さまのご意見・ご感想をお聞かせください。
送信フォームはこちら。
お問合せ先
大臣官房広報評価課情報分析室
代表:03-3502-8111(内線3260)
ダイヤルイン:03-3501-3883