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農林水産省

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漁港の指定等に関する基準の制定等について

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12水港第4566号
平成13年3月30日

都道府県知事あて

水産庁長官


このことについて、別紙のとおり「漁港の指定等に関する基準」が定められたので、漁港法(昭和25年法律第137号)第6条第1項、第2項、又は第5項の指定等の事務の執行に係る技術的助言として通知する。
なお、貴管下市町村長に対しては、本通知を貴職から通知願いたい。

漁港の指定等に関する基準の制定等について
(平成十三年三月三十日 十二水港第四五六六号 知事あて 水産庁長官)
改正 平成十四年四月一日 十三水港第四〇〇八号
漁港漁場整備法(昭和25年法律第137号。以下「法」という。)第6条第3項及び第4項の規定に基づく漁港の指定等に関する基準は、次のとおりとする。
第1 定義
この基準において、「地元漁船」とは、その漁船の船主がその港の所在する市町村に居住していて、その港を主たる根拠地としている動力漁船(同種条件の鮮魚運搬船を含む。)をいい、「利用漁船」とは、その港を主たる根拠地としている動力漁船のうち地元漁船に属さないもの及び漁期に又は避難のために一時その港を利用する動力漁船及び鮮魚運搬船をいう。
第2 法第6条第3項及び第4項の規定に基づく漁港の指定並びに同条第6項の規定に基づく指定の内容の変更及び指定の取消しに関する基準
1 指定基準
(1)漁港の指定要件
漁港としての自然的経済的立地条件を具備している漁業根拠地であって、次のいずれかに該当するものとする。
ア 当該年度又は次年度以降において国の漁港関係補助事業又は都道府県若しくは市町村等の単独事業を実施する計画があり、当該都道府県、市町村又はその機関の意思決定により当該計画が確立されており、その計画の実施と当該漁港の実態調査の結果によりイに掲げる程度以上の港勢への推移が見込まれるため漁港の整備上特に指定を受ける必要がある場合
イ 漁港の公共施設としての外郭施設、係留施設又は水域施設となる施設の1以上のものがあり、地元漁船及び利用漁船の実隻数による総数が約20隻程度以上のものが利用しており、漁獲物が相当量陸揚げされている(離島その他の漁港で漁獲物の陸揚げがなされない場合を除く。)若しくは漁船の出漁の準備、休けい、避難又は水産動植物の養殖作業等の漁業活動が営まれていることによりその管理上早急に漁港の指定を受ける必要がある場合
ウ 離島又は辺地にあって、漁場の開発又は漁船の避難上必要な第4種漁港として漁港の指定を受ける必要がある場合
(2)指定の方法
漁港の指定は、次の方法により行うものとする。
ア 漁船の利用度に比して一般船舶の利用度が問題とならない程度に低い場合には、当然港の全域について漁港の指定を行う。
イ 漁船の利用区域と一般船舶の利用区域とが、概ね分離される場合には、分離された区域として漁港の指定を行う。漁港の区域は、2以上に分離されても差し支えない。
ウ 漁船の利用区域と一般船舶の利用区域とが一応分離し難い場合には、その港の総合的価値判断において漁業の優性、劣性を定め、優性と認めるものについては漁港の指定を行う。
エ イ及びウの場合については、地元関係者の意思を尊重して行う。
2 漁港の種類
漁港の種類の選定基準は、次のとおりとし、漁港の種類の選定に当たっては経済的効果、漁港の将来性等を総合的に勘案して決定するものとする。
(1)第1種漁港については、(2)から(4)までに掲げる要件に該当するもの以外のものとする。
(2)第2種漁港については、次に掲げる要件のうち、原則として3以上を満たしているものとする。
ア 地元漁船が50隻(日本海沿岸の府県(秋田県、山形県、新潟県、富山県、石川県、福井県、京都府、兵庫県、鳥取県及び島根県)に存する第2種漁港又は第3種漁港(以下「日本海沿岸漁港」という。)にあっては、35隻)以上又は当該漁船の総トン数の合計が500トン(日本海沿岸漁港にあっては、350トン)以上であること。
イ 利用漁船が25隻以上(日本海沿岸漁港にあっては、18隻)又は当該漁船の総トン数の合計が250トン(日本海沿岸漁港にあっては、175トン)以上であること。
ウ 年間属地陸揚量が1、125トン(日本海沿岸漁港にあっては、788トン)以上であること。
エ 次に掲げる施設をすべて有していること。
(ア) 係留施設(岸壁又は物揚場に限る。)
(イ) 幅員3メートル以上の臨港道路
(ウ) 荷さばき所
(3)第3種漁港については、次に掲げる要件のうち、原則として3以上を満たしているものとする。
ア 地元漁船が140隻(日本海沿岸漁港にあっては、98隻)以上又は当該漁船の総トン数の合計が2、400トン(日本海沿岸漁港にあっては、1、680トン)以上であること。
イ 利用漁船が70隻(日本海沿岸漁港にあっては、49隻)以上又は当該漁船の総トン数の合計が1、600トン(日本海沿岸漁港にあっては、1、120トン)以上であって、複数都道府県からの漁船の利用があること。
ウ 年間属地陸揚量が5、000トン(日本海沿岸漁港にあっては、3、500トン)以上であること。
エ 次に掲げる施設をすべて有していること。
(ア) 係留施設(岸壁又は物揚場に限る。)
(イ) 幅員5.5メートル以上の臨港道路又は臨港鉄道
(ウ) 荷さばき所
(エ) 漁船修理場
(オ) 給水施設
(カ) 給油施設
(キ) 製氷施設
(ク) 冷凍施設
(ケ) 冷蔵施設
(4)第4種漁港については、離島又は辺地にあって、次に掲げる要件のいずれかに該当するものとする。
ア 漁場の開発上特に必要であること(その地域が、漁場開発の前進基地として現に利用されている漁業根拠地であること又は開発を要する漁場の前進根拠地として適当であると認められる地域であること)。
イ 漁船の避難のため特に必要であること(その地域から概ね海上50キロメートル程度の範囲内に地元漁船以外の漁船をも安全に避難させることができる適当な漁港がなく、かつ、その地点が漁港修築により避難港としての目的を達しうる立地条件を備えるものであること)。ただし、50キロメートルの距離的制限は、急潮、岬、気象、その他特有な海況上の難所については、この限りでない。
ウ 漁港の配置上から特に必要であると認められる場所であること。
エ 相当規模の静穏水域の確保が可能であり、かつ、近隣の2以上の漁港の安全性、機能性等の向上に相当な効果が期待でき、併せて、その地域の開発と防災にも寄与できる場所であること。
3 漁港の名称
漁港の名称は、当該漁港が所在する都道府県内の他の漁港との識別を容易にできるものとする。その名称を変更する場合も同様とする。
4 漁港の区域
(1) 漁港の区域は、漁業根拠地として機能が十分に発揮されるよう指定するものとし、原則として次の区域を含めたものとする。
ア 施設、公共空地、公共埋立地その他の公共用地等であって、事実上漁港施設として利用されているもの又は漁港の保全の機能を果たしているものを漁港として管理するために必要な区域
イ 当該年度又は次年度以降において、特定漁港漁場整備事業その他の漁港関係補助事業、地方単独事業により漁港施設を整備するための確立された計画があって、当該計画を実施するために必要な区域
(2) 漁港の区域の変更は、次に掲げるいずれかの場合に行うものとする。
ア 変更に係る区域が(1)のア又はイに規定された区域であって、当該区域を漁港の区域に編入する場合
イ 変更に係る区域が(1)のア及びイに規定された区域以外の区域であって、当該区域を漁港の区域から除外する場合
ウ 漁港の指定の内容である告示における地番、地名又は地物の誤認があったことにより漁港の区域の変更を必要とする場合
エ 漁港の指定の内容である区域の告示における誤測、誤記その他明白な誤りを訂正するため漁港の区域の変更を必要とする場合
オ 漁港の区域内の全部又は大部分の公有水面の埋立てについて法に基づく認可を受けた者が埋立工事を施行しようとする場合又は施行した場合であって、
(ア) 国庫補助を受けて行う他の法令に基づく工事(他の法令により漁港の区域内で施行できないものとされているものに限る。)手続上その他の理由により漁港の区域のうち着工前に当該工事に係る部分の変更を必要とするとき
(イ) 当該工事の完成に伴い、当該漁港の整備又は管理上必要な部分を存置するため区域の変更を必要とするとき
(ウ) 当該工事のうち特に補償工事又は附帯工事等の実施の結果により当該漁港の位置及び区域の全部又は一部の変更を必要とするとき
5 漁港の指定の取消し
漁港の指定の取消しは、次に掲げる事項のいずれかに該当する場合に行うものとする。
(1) その漁港に利用漁船がなくなり、かつ、地元の利用者たる漁民が他に転業し、地元漁業協同組合が解散したこと等により利用者がなくなった事案を証明し得るに至り、漁港の指定をしておく必要性がなくなった場合
(2) 漁港管理者から漁港の指定の取消しに係る意見書の提出があって、当該都道府県内の他漁港の指定の状況等から判断して漁港の指定をしておく必要性がなくなった場合
(3) 2以上の漁港を合併した場合における合併関係漁港の指定の取消しを必要とする場合
(4) 現に指定されている漁港が2の漁港の種類における漁港の種類の選定基準に適合しなくなったことに伴い、他の漁港の種類の漁港として指定する必要がある場合
第3 法第6条第7項の規定に基づく漁港の指定に係る区域の設定又はその変更の認可に関する基準
法第6条第7項の規定に基づく漁港の指定に係る区域の設定又はその変更の認可については、第2の4の基準に適合していると認められるものについて行うものとする。
第4 法第40条第2項の規定に基づく漁港施設とみなされる施設の指定に関する基準
法第40条第2項の規定に基づく漁港施設とみなされる施設の指定については、次に掲げる要件をすべて満たしている場合に行うものとする。
(1) 当該施設が法第3条に掲げる施設に該当し、かつ、当該漁港の管理上又は機能上必要な施設として整備及び維持管理の対象とする必要があるものであること。
(2) 当該施設を漁港の区域に編入することが技術的に困難であるか、又は公益の観点から不適当であること。
第5 法第40条第1項の規定に基づく漁港施設とみなされる施設の指定に係る認可に関する基準
法第40条第1項の規定に基づく漁港施設とみなされる施設の指定に係る認可については、第4の基準に適合していると認められるものについて行うものとする。
附則
この基準は、平成14年4月1日から施行する。