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農林水産省

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遊漁船業の適正化に関する法律施行規則の一部を改正する省令の施行について

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20水管第2709号
平成21年4月1日

都道府県知事

水産庁長官

 

 遊漁船業の適正化に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成21年農林水産省令第20号。以下「改正省令」という。)が平成21年4月1日に公布され、同日から施行された。

 ついては、遊漁船業の適正化に関する法律(昭和63年法律第99号。以下「法」という。)の運用にあたっては、「遊漁船業の適正化に関する法律の一部を改正する法律の施行について」(平成15年3月7日付け14水管第3670号水産庁長官通知。以下「長官通知」という。)とともに、下記の事項に留意の上、その適切かつ円滑な運用について格段の御配慮をお願いする。

第一 趣旨

 平成15年4月1日に施行された遊漁船業の適正化に関する法律の一部を改正する法律(平成14年法律第76号)附則第5条の規定により、「政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、法第二章の規定の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」とされているところ、平成20年4月1日に同法の施行から5年を経過したことから、「遊漁船業の適正化に関する法律の見直し検討会」を開催し、同条の規定に基づく検討を行った  ところである。
 今般の遊漁船業の適正化に関する法律施行規則の一部改正は、当該検討会が取りまとめた「遊漁船業に係る制度及び関連施策の今後の方向について」を踏まえ、法の運用の改善を図るための所要の措置を講じることを目的とするものである。

 

第二 改正省令の概要

1.遊漁船業者の登録及び業務の適正な運営を確保するための措置

(1)登録申請書及び登録簿の様式の変更

 遊漁船業者が磯等渡し(漁場における磯、いかだの上その他漁場における遊漁船以外の場所に利用者を案内し水産動植物を採捕させる業務をいう。以下同じ。)を行う場合、それに適合した損害賠償措置をとるべきところである。しかしながら、改正省令による改正前の遊漁船業の適正化に関する法律施行規則(以下「旧規則」という。)で定める申請書の様式には、磯等渡しの有無を記入する欄が設けられていなかったことから、都道府県知事は、遊漁船業者登録後に法第11条第1項の規定に基づき提出される業務規程により当該遊漁船業者の業務形態を確認するまでは、遊漁船業者に対して指導等を行うことができないという不都合があった。
 このことから、遊漁船業者の登録申請時に業務形態及び損害賠償措置の内容を確認できるようにし、適正な遊漁船業及び遊漁船業者登録業務の運営に資するため、旧規則で定める申請書の様式及び登録簿の様式に磯等渡しの有無を記入する欄を追加することとした(別記様式第1号(新規則第3条関係)及び別記様式第4号(新規則第5条関係))。

(2)遊漁船業務主任者の選任の基準の改正等

[1] 新たな基準の追加

 遊漁船業者の登録拒否要件に該当する者は、遊漁船利用者の安全の確保等に必要な業務を行うための基礎的な資質を欠いているものと考えられるが、旧規則においては、当該者についても遊漁船業務主任者として選任することが可能となっていたところである。
 しかしながら、遊漁船業者の登録拒否要件に該当する者が、遊漁船業務主任者として選任され、実質的に遊漁船業を営むことは、遊漁船利用者の安全確保等を目的とする遊漁船業者の登録制度を形骸化させるおそれがあり、不適切である。
 このため、遊漁船業者の登録の拒否要件に該当する者については、一定期間、遊漁船業務主任者となることができないこととした(新規則第10条第2項)。
 また、遊漁船業者の登録申請書に、選任した遊漁船業務主任者が遊漁船業者の登録の拒否要件に該当しない者であることを証する書面(誓約書)を添付しなければならないこととした(新規則第4条第1項及び別記様式第3号の2(新規則第4条関係))。

[2] 遊漁船業務主任者養成講習に係る有効期間の起算日の改正

 旧規則第10条第1項第3号においては、遊漁船業務主任者養成講習に係る有効期間について、「修了証明書の交付を受けた日から5年を経過していないものであること」とされており、有効期間の満了前に予め当該講習を受けた場合、実質的な有効期間が短縮されることとなってしまい、結果として、当該講習の有効期間の満了日が遊漁船業者の登録の更新期日と乖離してしまうおそれがあった。      
  このことから、実質的な有効期間の短縮を防止し、時間的余裕をもって当該講習を受講することを促進するため、有効期間の起算日を「講習修了証明書の交付を受けた日の属する年の翌年の1月1日」とした(新規則第10条第1項)。

(3)利用者名簿の記載事項の変更

 海難等の事故発生時の迅速な対応に必要な情報として、遊漁船の利用の開始時刻及び終了予定時刻並びに利用者の緊急時の連絡先を、利用者名簿の記載事項として追加することとした。(新規則第12条第2項)

(4)標識の様式の変更

 特に小型の遊漁船での掲示を容易にするため、遊漁船業者登録票の様式について、遊漁船に掲げる場合にあっては、当該標識をA4サイズ相当以上とした。
  また、遊漁船業者が利用者の損害を賠償するための保険契約等に加入していることを利用者が容易に確認でき、併せて、遊漁船業者による損害賠償措置の更新及び更新後の登録変更届の提出の適切な実施を促進するよう、同様式に「損害賠償措置の保険期間」を記載する欄を追加することとした(別記様式第7号(新規則第14条関係))。

2.用語の修正

 旧規則第1条第5号に規定する「歩行徒手採捕」は、いわゆる「手づかみ」による水産動植物の採捕として規定されているものであるが、「歩行」しながらの「採捕」以外は含まれないとの誤解があることから、「徒手(手づかみ)」による採捕であることを明確にするため、表現を「徒手採捕」に改めることとした(新規則第1条)。

 

第三 遊漁船業者に対する指導等

1.制度の周知

 登録を受けずに遊漁船業を営み摘発される事例が見られること、体験漁業等遊漁船業の多様化がみられること等を踏まえ、遊漁船業者の登録制度について、遊漁船業者への立入検査等を通じ周知徹底の強化を図るとともに、遊漁船利用者が当該制度について理解を深めるよう普及啓発を図られたい。

2.業務規程

 長官通知で定めた業務規程例の一部を別添のとおり改正したので、業務の参考とされたい。また、以下の事項に留意されたい。

(1)登録時の業務規程提出

 遊漁船業者に対し、登録申請にあわせて業務規程(案)を提出するよう促し、予め内容を確認の上、必要に応じて、適正な業務運営を確保するため指導されたい。

(2)業務規程の遵守

 業務規程が遵守されていないことを原因とした海難事故が発生していることから、遊漁船業団体や漁業関係団体とも連携し、遊漁船業者及び遊漁船業務主任者自らによる業務規程の点検・評価を促すなどにより、遊漁船業者及び遊漁船業務主任者の業務規程遵守の促進を図られたい。

(3)海域の実態及び業務形態に即した業務規程

 同一地区、同一遊漁船規模であるにもかかわらず、出航中止等の基準に相当の差異があるケースも見られることから、同一地区の遊漁船業者の組織化を促進させる等により、出航中止等の基準を同一地区、同一遊漁船規模ごとに定めるなど、海域の実態に即した基準となるよう指導されたい。
 また、遊漁船業の営業形態が船釣りや磯渡し等多岐にわたっているにもかかわらず、業務規程の内容の大半が共通事項となっていることから、業務の実態に即した業務規程となるよう指導されたい。

(4)救命胴衣等の着用の促進

 遊漁船における救命胴衣の着用率は依然として低く、利用者の遊漁船からの海中転落事故も発生しているなど、利用者に救命胴衣等を着用させるよう努めることが喫緊の課題であることから、業務規程例別表8及び別表9を改正したので、これを踏まえ、救命胴衣等の着用を促進されたい。

(5)漁業者等との話合いの促進

 漁場の安定的な利用関係の確保のためには、遊漁船業団体が漁業者団体と漁場利用協定を締結するなどして、遊漁船業者と漁業者が共存した秩序ある漁場利用に努めることが重要であることから、これを促進するため、業務規程例第20条第2項を改正した。
 ついては、いまだ遊漁船業者の組織化が十分でない地域もあることを踏まえ、遊漁船業団体の設立及び遊漁船業団体への加入を促進し、遊漁船業団体を通じて漁業者等との話合いを進めるよう指導するなどして、案内する漁場の安定的な利用関係の確保を促進されたい。

3.関係都道府県との連携

 遊漁船業者が案内する漁場について、登録をした都道府県知事とは別の都道府県知事が管轄する水面に属するときは、当該漁場における水産動植物の採捕に関する制限又は禁止及び漁場の使用に関する制限の内容の周知が必ずしも適切に行われていないケースが見られるところである。
 ついては、都道府県知事は、近隣都道府県における制限等の内容を収集し、関係団体等とも連携を図り、遊漁船業者に確実に周知されたい。
  また、都道府県知事は、管轄する水面における水産動植物の採捕に関する制限又は禁止及び漁場の使用に関する制限の内容について、近隣都道府県知事へ周知されたい。

 

別添(PDF:24KB)

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