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農林水産省

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食品の製造過程の管理の高度化に関する基本方針の変更について

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食安発1005第1号
21総合第1167号
平成21年10月5日

 

各都道府県知事
各政令市市長
各特別区区長
各指定認定機関の長
関係団体 あて

厚生労働省医薬食品局食品安全部長
農林水産省総合食料局長連名通知


 食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法(平成10年法律第59号。以下「法」という。)第3条に基づく「食品の製造過程の管理の高度化に関する基本方針(以下「基本方針」という。)の一部を変更する件」(平成21年8月25日厚生労働省・農林水産省告示第3号)については、平成21年8月25日に告示され、本日施行されたところであるが、今回の変更の趣旨等は、別紙のとおりであるので、御了知の上、本制度の適正かつ円滑な施行につき特段の御配慮をお願いする。

 

[別紙]
第1 基本方針の変更の趣旨及び内容
 法に基づくHACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point:危害分析・重要管理点)手法の導入については、平成10年以降、法第13条に基づき22の指定認定機関が指定され、法第8条に基づき289件(平成21年3月末現在)の高度化計画が認定されるなど、一定の広がりがみられるが、食品の製造又は加工の事業を行う者(以下「事業者」という。)のうち中小規模の事業者におけるHACCP手法の導入状況は、依然として低位にとどまっている。
このため、基本方針第1の3に示された「食品の製造過程の管理の高度化は、食品企業の自主的な判断の下に、食品の製造・流通の実態に応じて推進する」という基本的な方向を踏まえつつ、HACCP手法の導入をより一層促進すべく、基本方針について所要の変更を行った。その具体的な内容は、次のとおりである。


1 製造過程の管理の高度化を図るための施設の整備の基準の変更
建物の基準について、「清浄度別の区画があり、清浄区域とその他の区域が原則として隔壁によって仕切られていること。ただし、隔壁以外の方法により、二次汚染が防止される場合は、この限りでない。」とした。
これは、二次汚染が防止されることを前提に、隔壁以外の方法による仕切り、空気の流れの制御、封鎖系の導入その他の適切な方法による効果的な区画を行うか、又は食品ごとの取扱いに時間差を設け、衛生的に取り扱うことなど、HACCP手法を導入しようとする事業者の取り扱う食品の種類や施設の現状に応じた施設整備を可能とし、事業者に対する過度な費用負担を回避することで、HACCP手法導入の一層の促進を図ることを目的としたものである。

2 製造過程の管理の高度化を図るための運用体制の整備の基準の変更
(1) 運用体制の整備の基準について、「専門的知識を有する人材の育成又は確保のための取組が定められていること」、「従業員の教育のための取組が定められていること」及び「検証体制の構築及び継続的な検証の実施に関する経営者の関与が明確にされていること」を記載要件に追加した。
これらは、法に基づく支援を受けて整備された施設において、HACCP手法についての専門的な知識を習得した現場指導者を中心として構築されたHACCPシステム又は外部専門家の指導を受けて構築されたHACCPシステムが、必要な教育・訓練を受けた従業員によって、HACCP手法にのっとった手順・方法に従って実践されるとともに、その手順・方法の効果を検証し必要に応じて見直しを行っていくことが重要であることにかんがみ、従来「製造過程の管理の高度化の内容に関する基準」に記載されていることが望ましい事項としていたものを今回必須事項に格上げしたものである。
(2) 運用体制の整備の基準について、「一般的衛生管理の実施に配慮された機械・装置の導入のための取組」を記載されていることが望ましい事項として追加した。
これは、機械・装置の適切な衛生管理が行われなければ、微生物、昆虫等の繁殖、金属片などの異物の食品への混入の原因となり、HACCP手法導入の目的である食品の安全性の確保、品質管理の徹底が達せられないことから、事業者が機械・装置を導入する際に、適切に洗浄・保守点検が行える構造及び材質であるか、燃料や金属片等の異物が食品に混入しない構造であるか等、HACCP手法導入の前提となる一般的衛生管理の適切な実施も考慮して選定することを促すことを目的としたものである。
なお、このことが、事業者に対する過度な費用負担とならないよう留意すること。

 

第2 その他

1 総合衛生管理製造過程承認制度との関係
基本方針第3の1に規定された総合衛生管理承認制度との関係については、食品衛生法(昭和22年法律第233号)第13条に規定された総合衛生管理製造過程の承認は、従前どおり同条第1項に規定する総合衛生管理製造過程を実施することについて同法に基づく審査を経て承認されるものであり、法第4条に規定する高度化基準に適合した施設設備の整備がその承認の要件ではないことに留意すること。

2 技術開発等の推進
基本方針第3の4において規定されているように、中小規模の事業者等においても食品の製造過程の管理の高度化に取り組めるよう、技術開発並びに情報収集及びその提供を推進することが、HACCP手法導入を促進するために今後ますます重要となっている。
国としても、より低コストでHACCP手法を導入することが可能となるモデル作りとその普及について、支援措置を講じることとしているので、積極的に活用していただきたい。