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農林水産省

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特集2 香酸かんきつ(1)


温州みかんなどとは違い、実を食べるのではなく、果汁の酸味や果皮の香りを楽しむかんきつ類は、
「香酸かんきつ」と呼ばれます。ここでは、主な香酸かんきつの種類と特徴を紹介します。

国産の主な香酸かんきつ



西洋料理でレモンやライムのしぼり汁が使われるように、日本でも食材の風味を引き立てるゆずやかぼすなどが昔から重宝されてきました。

香酸かんきつ

料理のアクセントだけでなく健康増進にも役立つ
果肉を生で食べるには、少し酸っぱすぎる香酸かんきつ。でも、その豊かな香りと酸味が食欲を引き立てることから、生食以外のさまざまな用途に活用されています。

たとえば果肉は、ジャムやスイーツに加工したり、果汁を調味料やジュースにしたり。ゆずやかぼす、すだちなどの果皮は、刻んで香り豊かな薬味としても用いられています。

低カロリーでビタミンCやクエン酸が豊富な香酸かんきつは、美容や健康面からも人気の食材です。中でもシークワーサーは、果皮に体脂肪の減少や血糖値改善作用のあるポリメトキシフラボンという機能成分が含まれていることから、近年注目されています。

また食用のほか、香りを楽しむアロマ素材として、化粧品や入浴剤などの原料にもなります。日本でも冬至には"ゆず湯"が、風習として根づいています。

だいだいも日本の伝統的なかんきつ。熟しても落ちず、1本の木に新旧の実がなることから"代々"とも書かれ、子孫繁栄のシンボルとして、正月の鏡餅の飾りなどに使われます。

香酸かんきつは、日本各地で栽培されています。"和"の果物であるすだちやかぼすはもちろん、インドなどが原産のレモンやライムも国産のものがあります。


ゆず
ゆず
癒される香りで人気。香辛料や薬味として皮まで活用できる。主な産地は高知県、徳島県。
[出回り時期]10月~12月
すだち
すだち
徳島県の特産で、おだやかな酸味。冷奴やそうめん、サラダなどにも合う。
[出回り時期]周年(露地物は8月~10月)

かぼす
かぼす
果汁が多く、酸味が強い大分県の特産品。鍋の薬味や酢の物で親しまれている。
[出回り時期]周年(露地物は8月~10月)

シークワーサー
シークワーサー
沖縄県原産で、ほのかな甘みもある。揚げ物にかけたり、果汁を水で薄めてジュースにして飲む。
[出回り時期]8月~翌1月

ライム
ライム
日本国内では愛媛県などで生産されている。料理のほか、カクテルやスイーツにも。
[出回り時期]9月~翌1月

レモン
レモン
広島県や愛媛県などで生産。さわやかな酸味で、使いやすい定番食材。
[出回り時期]周年

だいだい
だいだい
鏡餅の飾りとして知られる。実は果汁が多く、食酢やジャムにも適している。産地は静岡県や和歌山県など。
[出回り時期]10月~12月
 


クエン酸が多いかんきつはどれ?
香酸かんきつの、酸っぱさのもとになる主な成分はクエン酸。疲労回復や血流改善、新陳代謝の促進、美肌作用といった効能があります。
●かぼす 6グラム ●シークワーサー 6グラム ●ライム 6グラム
●すだち 4.5グラム ●レモン 3グラム ●温州みかん 1グラム
※果汁100グラム当たりのクエン酸含有量(参考値)。



取材・文/Office彩蔵
撮影/島 誠、野口雅裕


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