農業用温室の設置コスト低減に向けた取組について
○農業競争力強化プログラムを踏まえた農業用温室の設置コスト低減に向けた対応方向

1.耐候性ハウスの低コスト化技術の検討・普及
(ア) 第1回農業用ハウスの設置コスト低減に資する技術リスト
農林水産省では、農業用温室の設置コスト低減に向けて、農業者の選択に資するよう、低コスト化技術を収集・検討していくこととしています。
平成29年1月19日に「農業用温室の設置コスト低減に向けた技術提案会」を開催し、耐候性ハウスの設置コスト低減に資する技術について、業界内外から提案をいただきました。提案会では、農業者、学識経験者等を委員として、現場への導入可能性や技術の科学的な妥当性について意見をいただき、それを踏まえ、提案された技術のうち、13件の技術を掲載することとしました。
各技術について、「販売されている技術」/「実証段階の技術」、「ハウス本体の低コスト化技術」/「内部設備の低コスト化技術」に分類しています。
今後とも低コスト化技術の情報を発信し、農業者の選択に資するとともに、農業者、メーカー、研究機関等の協力を得て、耐候性ハウスの低コスト化と生産性向上を実現するための技術実証や研究開発を推進してまいります。
農業用温室の設置コスト低減に資する低コスト化技術の情報については、随時情報を募集を行っております。
低コスト化技術の情報をお持ちの事業者や農業者の方は、下記の電子メール(生産局花き産業・施設園芸振興室施設園芸対策班)まで提供ください。
○電子メールアドレス:nousui-shisetsuengei@maff.go.jp
(1)販売されている技術
番号 | 技術の分類 | 技術名 | 技術の特徴 | 技術の 詳細情報 (リンク) |
お問合せ先 | |
お問合せ先 | 電話番号 | |||||
1 | ハウス本体 内部設備 |
低コストプレート基礎とダブルアーチ構造による高強度パイプハウス | 〇コンクリート工事が不要なプレート基礎を採用し、基礎工事の工期及び材料コストを約50%低減 〇ダブルアーチ構造により強度を高め、パイプの間隔を拡大することで、屋根の部材コストを30%低減 〇潅水と培地加温を独立させた低コスト環境制御 (期待される効果) 耐風速36m/sを確保しつつ、10a当たりのハウス導入コスト2,280万円を実現 |
ファイル1(PDF : 317KB) | 徳農種苗株式会社 | 088-644-3711 |
2 | ハウス本体 内部設備 |
機能を絞り込んだ熊本型次世代施設園芸 | 〇軒高2.5mの低コスト耐候性ハウスに、制御するチャンネル数を必要最小限に絞り込んだ低コスト環境制御機器及び養液土耕を組み合わせて普及 (期待される効果) 耐風速50m/sを確保しつつ、30a当たりの導入コスト4,000万円を実現 |
ファイル2(PDF : 310KB) | 熊本県農林水産部生産経営局農産園芸課 | 096-333-2393 |
3 | ハウス本体 | 高強度鋼管を用いた鳥取型低コストパイプハウス | 〇高強度鋼管を活用し、パイプの間隔を拡大することで、資材費を低減 (期待される効果) 従来のパイプハウスと同等の強度を確保しつつ、パイプハウス本体の10a当たり導入コスト571万円(軒高3.0m)、707万円(軒高3.5m)を実現 |
ファイル3(PDF : 503KB) | 鳥取県農林水産部農業振興戦略監生産振興課 | 0857-26-7272 |
4 | ハウス本体 | ハウス本体の設計から施工までの一貫体制による設置コスト低減 | 〇建設用仮設機材の販売・レンタルを行ってきた経験を活かし、設計から施工までの一貫体制を整備 〇自社内で構造解析・強度試験を行い、標準化した部材を自社工場で量産することで、部材コストを低減 〇自社内及び協力会社に対し、施工研修を行い施工技術を統一することで、施工効率及び施工品質を向上 (期待される効果) パイプハウス(耐風速35m/s)及び鉄骨ハウス(耐風速50m/s)の本体の10a当たり導入コストを現状の農業用温室の設置コストより30%低減 |
ファイル4(PDF : 345KB) | エスアールジータカミヤ株式会社 | 03-3276-3928 |
5 | ハウス本体 (更新) |
中山間地向けの小規模低コストハウス | 〇汎用の建設足場資材を使用することで、資材費を低減 〇コンクリート工事が不要なスパイラル基礎杭を採用し、基礎工事を簡略化 〇ほ場の形状に合わせて自在に設計でき、中山間地向け (期待される効果) 耐風速35m/sを確保しつつ、ハウス本体の10a当たりの資材コストを40%低減 |
ファイル5(PDF : 304KB) | 農研機構西日本農業研究センター | 0877-63-8119 |
6 | ハウス本体 | タッピングパイル基礎工法 | 〇コンクリート工事が不要で、柱材との接合も容易なタッピングパイル基礎を採用し、基礎工事の工期を75%短縮 〇基礎となる鋼管杭を規格化して工場生産を行うことで、基礎の材料費を25%低減 〇沈下防止対策により、豪雪地区や軟弱地盤にも対応 (期待される効果) ハウス10a当たりの基礎工事費を35%低減 |
ファイル6(PDF : 541KB) | サンキンB&G株式会社 | 06-6539-3281 |
7 | ハウス本体 内部設備 (更新) |
気流解析シミュレーション等を活用した全体設計プロセス | 〇栽培に必要なハウス空間を仮説設定し、気流シミュレーション等を行い、ハウス内の暖房や循環扇等の設置を最適化 〇必要な機材の仕様や設置位置の検討、計算、見直しを行うことで、コストダウンを図る (期待される効果) 耐風速35m/sを確保しつつ、10a当たりのハウス導入コストを33%低減 |
ファイル7(PDF : 983KB) | 株式会社デンソー | 0532-34-2676 |
(2)実証段階の技術
番号 | 技術の分類 | 技術名 | 技術の特徴 | 技術の 詳細情報 (リンク) |
お問合せ先 | |
お問合せ先 | 電話番号 | |||||
1 | ハウス本体 内部設備 |
パイプハウスと鉄骨ハウスを融合したハイブリッドハウス 等 | (ア)妻部と中間通路部を鉄骨造、それ以外を八角パイプを用いたパイプハウス構造を用いたハイブリッドハウス(軒高3.5m)により鉄骨材を削減(耐候性35m/s) (イ)高張力材を使用し、鉄骨材の厚みを薄くすることにより、鉄骨ハウス(4.5m)の鉄骨材を削減するとともに、鉄骨材のメッキ方法を変更することでコストを削減(耐候性35m/s) (ウ)複合環境制御と潅水制御を一体化しつつ導入コストの削減と、作業効率の向上を実現 (期待される効果) (ア)従来と比較して、10a当たりのハウス導入コストを24%低減 (イ)従来と比較して、10a当たりのハウス導入コストを22%低減 |
ファイル1(PDF : 964KB) | 渡辺パイプ株式会社 | 03-3549-3079 |
2 | ハウス本体 内部設備 |
大型重機や栽培ベッド成形機の利用とフィルムの新展張工法 | 〇大型重機を使用することで、ハウスの建て方、カーテン取り付けの工期を短縮 〇栽培ベッドの成形機を現地に導入し、ハウス内で成型することにより作業工数、材料費を削減 〇オランダのフィルム固定方法を採用し、被覆工事の工期を短縮 (期待される効果) 従来と比較して、耐風速35m/sを確保しつつ10a当たりのハウス導入コストを31%低減 |
ファイル2(PDF : 336KB) | 株式会社誠和 | 0285-44-1751 |
3 | ハウス本体 | ハウスの垂木ピッチの拡大とフィルム展張専用台車の活用 | 〇垂木ピッチを従来の4倍に広げたハウスを実現し、部材点数の削減と高い採光性を実現 〇フィルム展張専用台車を活用し、高速展張することで、工期短縮により施工費用を削減 (期待される効果) 従来と比較して、耐風速35m/sを確保しつつ10a当たりのハウス導入コストを30%低減 |
ファイル3(PDF : 368KB) | 株式会社ノーユー社 | 03-3593-9555 |
4 | ハウス本体 内部設備 (更新) |
引張構造ハウスと新型栽培ベンチ等を組み合わせた低コストいちごプラント | 〇ワイヤーの張力でフィルムと柱を固定する引張構造ハウスにより、鋼材を削減し、現場作業を簡略化 〇時間を分割して深夜電力を効率的に活用する暖房付き栽培ベンチや電照機器 (期待される効果) 耐風速34m/sを確保しつつ、10アール当たりのハウス導入コスト2300万円を実現 |
ファイル4(PDF : 1,380KB) | 農業生産法人 こもろ布引いちご園株式会社 |
0267-26-2615 |
5 | 内部設備 | 栽培ベッドの鋼板化と国産オンサイト成形技術の開発 | 〇栽培ベッドの素材を現行の発泡スチロール製から、鋼板に変更によるコスト低減 〇栽培ベッドの成形機を開発し、現地に導入しハウス内で成形することで、作業時間を短縮してコストを削減するとともに、各社が共有で活用することにより安価での利用を実現 (期待される効果) 従来の栽培ベッドの導入コストを50%低減 |
ファイル5(PDF : 352KB) | 千葉大学大学院 | 047-308-8807 |
6 | 内部設備 | 低コスト省力化養液土耕・環境制御システム | 〇土壌中の環境を「見える化」し、データを蓄積させ、分析することにより、最適自動管理ができる環境をつくる 〇ハウス暖房機用外気導入ユニットを開発及び導入することで、換気能力を調整 〇最適な養液管理手法等を習得するため、生産者のグループウェア化を実現し、栽培のレベルを向上 (期待される効果) 養液土耕・環境制御システムの導入コストを20%削減 |
ファイル6(PDF : 817KB) | ネポン株式会社 | 046-247-3116 |
(イ) 第2回農業用ハウスの設置コスト低減に資する技術リスト
平成30年2月20日に「農業用温室の設置コスト低減に向けた技術提案会」を開催し、耐候性ハウスの設置コスト低減に資する技術について、業界内外から提案をいただきました。
(1)販売されている技術
番号 | 技術の分類 | 技術名 | 技術の特徴 | 技術の 詳細情報 (リンク) |
お問合せ先 | |
お問合せ先 | 電話番号 | |||||
1 | ハウス本体 内部設備 |
門型ラーメン構造の高強度ハウスと、養液システムの独自開発による低コスト化 | 〇門型ラーメン構造による耐風性の向上(38ハウス) 〇養液システムの開発(アクアマイスターPro) (期待される効果) 30a規模の中規模ハウスで、耐候性を維持(耐風速35~50m)しつつ、ハウスのトータルコスト1,900万円/10aに低減 |
ファイル1(PDF : 233KB) | 株式会社丸昇農材 | 0889-42-0513 |
2 | ハウス本体 |
パイプハウス(八角ハウス)と鉄骨ハウスを融合し、パイプハウスの基礎部に杭工法を導入したハイブリッハウス(軒高3.5m) 高張力材を用い、強度を維持しつつ従来よりも部材費を削減したパイプハウス |
(ア)妻部と中間通路部を鉄骨造、それ以外を八角パイプを用いたパイプハウス構造を用いたハイブリッドハウス(軒高3.5m)により鉄骨材を削減(耐候性35m/s)、重機を用いた杭工法により工期を短縮 (イ)パイプハウスの鋼材に高張力材を使用することで強度を維持しつつ、アーチピッチを広げることが可能 (期待される効果) (ア)従来と比較して、10a当たりのハウス導入コストを24%低減 (イ)従来と比較して、10a当たりのハウス導入コストを10%低減 |
ファイル2(PDF : 232KB) | 渡辺パイプ株式会社 | 03-3549-3079 |
3 | ハウス本体 |
発泡ウレタンを用いた柱脚基礎固定によるハウス設置コストの低減 | 〇ハウス基礎に固定資材として海外で実績のある特殊発泡ウレタン材を使用し、工賃及び工期を低減 〇固定資材は約1トンの引き抜き負荷にも耐える (期待される効果) 従来と比較して、基礎部を約30%低減 |
ファイル3(PDF : 911KB) | 小泉製麻株式会社 | 03-5227-5325 |
4 | 内部設備 | 低コストで導入できる統合環境制御(統合環境制御と省力化) | 〇低コストで導入できる環境制御盤を販売 〇標準的ハウスに仕様を合わせ、コントローラーをパッケージ化することでコストを削減 (期待される効果) 10a当たりの導入コストを約120万円に削減 |
ファイル4(PDF : 526KB) | 株式会社ニッポー | 048-253-2788 |
5 | 内部設備 | 多点観測、多エリア個別制御可能なCO2局所施用コントローラー及び光合成効率促進装置 | 〇1つの制御盤で多点観測、多エリア個別制御により、複数ハウス及び大規模なハウスを多エリアに分けて制御 〇環境データ監視システムも増設で対応可能 (期待される効果) 従来の1ヵ所毎の環境制御と比較して設置コストを約30%低減 |
ファイル5(PDF : 601KB) | 株式会社テヌート | メールにて問い合わせ |
6 | ハウス本体 | スパイラル杭を利用した農業用ハウス基礎 | 〇ねじり加工を行った平鋼を杭基礎として使用 〇大規模ハウスへの適用も可能 (期待される効果) 現行の基礎と比較して、10a当たりの基礎工事のコストを31%低減 |
ファイル6(PDF : 884KB) | 株式会社GTスパイラル | 096-288-0781 |
(2)実証段階の技術
番号 | 技術の分類 | 技術名 | 技術の特徴 | 技術の 詳細情報 (リンク) |
お問合せ先 | |
お問合せ先 | 電話番号 | |||||
1 | ハウス本体 |
軟弱地盤や重機が入らない場所で、コンクリート基礎に替わる基礎工法「ベースグラウンドファウンデーション」 | 〇ピンを打ち込む簡易基礎工法を活用 〇軟弱地盤にも対応でき、人力でも施工可能 (期待される効果) 現行の基礎と比較して、10a当たりの基礎工事のコストを30%低減 |
ファイル1(PDF : 547KB) | 株式会社ラスコジャパン | 045-534-6814 |
2 | 内部設備 | 汎用制御盤と制御ソフトとの機能分担による低コスト環境制御システム | 〇複合制御盤の共通・汎用化(ハードのモジュール化) 〇汎用複合制御盤に対応した制御ソフトに開発(ソフトのモジュール化) 〇低コスト導入モデルの構築(パッケージ化) (期待される効果) 従来の複合環境制御の導入コストと比較して、10a当たりのハウス導入コストを40%低減 |
ファイル2(PDF : 560KB) | 岩手県農業研究センター | 0197-68-4420 |
3 | ハウス本体 内部設備 |
温室工事見積もり項目の標準化による施設コストの見える化推進技術 | 〇農業用ハウスの見積書を標準化することにより、各工事に必要・十分な作業及び資材のスペック・コストを明らかにすることで、全体を見える化する (期待される効果) 従来と比較して、ハウストータルの導入コストを5%低減 |
ファイル3(PDF : 163KB) | 千葉大学大学院 | 047-308-8807 |
4 | ハウス本体 | 弊社保有資材の直径48.6mmパイプを活用した「48ストロングハウス」 | 〇直径48.6mmパイプを活用し、耐候性(雪:50kg/m2)を確保したローコストハウス 〇アーチピッチを1mとすることで採光性を確保 (期待される効果) 従来と比較して、耐候性(耐雪荷重50kg/m2)を確保しつつ10a当たりのハウス導入コスト28%低減 |
ファイル4(PDF : 310KB) | 日建リース工業株式会社 | 03-6739-7039 |
2.耐候性ハウスを導入する際の手引きの策定
(ア) 園芸ハウスの強度の考え方(リーフレット)
(一社)日本施設園芸協会が、ハウスを設置する地域毎に、将来の最大瞬間風速や積雪量を想定し、必要と考えられるハウスの強度を整理しています。
農業者の皆さんは、ハウスを設置する地域と再現期間(この期間内に一回は設計値の強風や積雪があると予測される期間)に応じて、必要なハウスの強度(耐風速、耐積雪荷重)を参照することができます。
農業者の皆さんがハウスを整備する際に、ご自身の栽培・経営に合ったハウスを選ぶ参考として下さい。


・リーフレットのダウンロードはこちら(PDF : 190KB)
・(参考)園芸ハウスの地域ごとの設計用積雪深、設計用風速(PDF : 94KB)
お問合せ先
生産局園芸作物課花き産業・施設園芸振興室
担当者:清水、菊池
代表:03-3502-8111(内線4828)
ダイヤルイン:03-3593-6496
FAX番号:03-3502-0889