第2回農業の「働き方改革」検討会概要
日時
平成30年1月24日(水曜日)14時30分~16時30分
出席者
- 会津委員、延與委員、三浦委員、鈴木委員、德田委員、深沼委員、堀口委員
- 東京都立園芸高校
10名(Aさん、Cさん、Dさん、Eさん、Fさん、Gさん、Hさん、Iさん、Jさん、Kさん) - 農林水産省
大臣官房 木村政策課上席企画官
経営局 大澤経営局長、德田参事官、森田経営政策課長、佐藤就農・女性課長、佐藤就農・女性専門官(司会)
概 要
【ポイント】
- 高校生が感じている職業としての農業の魅力や課題の把握を目的として、東京都立園芸高校にて検討会を開催。高校生から「就職先としての農業の魅力や課題」について、それぞれの思いを発表した後、委員との質疑応答が行われた。
- 農業経営者委員より、経歴・経営の紹介及び高校生へのメッセージがあり、高校生からの質疑応答が行われた。
- 高校生からの農業の働き方改革を進めるためのアイディアでは、「農業体験できる場を増やす」、「メディアやSNSを活用する」という意見が多く挙がった。
- 農業の「働き方改革」アイデア募集及び農業経営者を中心とする方からの意見・アイディアを取りまとめた結果の中間報告を行った。
- 次回は、先進的な取組を行っている農業者からのヒアリング及び意見交換の実施等を行う予定。
1.主な意見・議論
【高校生より発表「就職先としての農業の魅力」】
- (Aさん)
消費者(お客さん)から様々な声を聞ける。 - (Cさん)
自然や緑は人を安心・リラックスする効果があり、良い環境で働ける。 - (Dさん)
丁寧かつ愛情を込めて、作物や野菜が育つ様子を見ていて楽しい。直売所・イベントで販売・配膳を行っている際に消費者の反応がすごく身近に感じられたことが嬉しい。 - (Eさん)
自分が作った野菜を多くの人に食べてもらえる。農業者が少ないため、自分の意見が反映されやすく、今までの農業の概念を変えるチャンスが増える。 - (Fさん)
播種から収穫まで一から育てるやりがいや、消費者の声をとても近くに感じられる。 - (Gさん)
好きな牛と触れ合える。 - (Hさん)
自分の育てた植物が大きくなることに達成感、やりがいを感じる。 - (Iさん)
デスクワークしている人たちを支える野菜を作ることもすごく重要だと思う。 - (Jさん)
季節や太陽が感じられる。 - (Kさん)
成長過程を間近で見て知ることができる。自分の努力や手間に見合った品質が作物に出ることや販売を通してお客さんの喜ぶ顔を間近で見ることができる。作物を自らの手で生産し、社会貢献できること。
【高校生より発表「どのような農業をしたいか」】
- (Aさん)
台風や鳥獣害により、収穫量が減少してしまうこともあるため、「安定性・安心感のある農業」をやりたい。また、誰もやったことのないような「新しい農業」をやって行きたい。 - (Cさん)
自分の手で管理した公園で、子供や大人に限らず、外国の方ものんびりできる場を造りたい。東京五輪もあるため、公園内の整備で樹木の管理・花壇の手入れだけではなく、標識なども英語にすること、様々な人が使いやすいように段差をなくすなどの工夫も大切だと思う。 - (Dさん)
牛に愛情を注ぎ、安心・安全なおいしい牛乳を消費者に提供し、喜んでもらいたい。 - (Eさん)
栽培技術を向上させたい。 - (Fさん)
鹿児島県で野菜農家となり、有名なサツマイモだけでなく何品目も「鹿児島といえばこの野菜」というイメージをつけられるよう発信していきたい。 - (Gさん)
酪農で第六次産業として生産から加工までを行いたい。ホルスタインと和牛の交雑種はあるが、乳牛と乳牛を掛け合わせたらどうなるのかとても興味があり、成分比較をしてみたい。 - (Hさん)
農業に興味がない人にも楽しさを伝えられるような農業をしていきたい。 - (Iさん)
野菜が苦手な人なども含め誰もが「美味しい」と言ってくれるような最高の野菜を作りたい。 - (Jさん)
作り手側が楽しんでいないと美味しい野菜は作れない。いつまでも人の手で愛を込めてつくりたい。 - (Kさん)
若者が中心となって行う農業で、今までの農業の技術を残しつつ、若者ならではの視点や考え方、体力やパワーで、新たな栽培方法やよりよい品質を目指したい。
【高校生より発表「就職先として農業法人を選ぶための重視点」】
- (Aさん)
高校・大学の学生生活を通してやって来たことが、実際に実践できるか。作物の種類や面積、動物の種類等。 - (Dさん)
おいしい牛乳を作っていて、地域の人たちと繋がれるために消費者から生の声を身近に聞ける職場。 - (Eさん)
給料。何を育てているかの品目。栽培面積と、どのくらいの人数で栽培しているか。出荷先。どこまで機械化しているか。 - (Fさん)
自分の知識や経験を深めることができるところ。 - (Gさん)
頭数が多く搾乳牛が多いところ。加工もしている農家。 - (Hさん)
自分がやりたいことをやれる。人間関係がいい。ある程度お給料がいい。経営がしっかりしている。 - (Iさん)
少しでもいいのでお休みがとれるところ。 - (Jさん)
ご飯が美味しいところ。挨拶をする明るい職場。 - (Kさん)
社員の意見を尊重してくれる。収入の安定。取引先との信頼関係。農地や設備の充実。
【高校生より発表「農業の働き方改革を進めるためのアイディア」】
- (Aさん)
台風被害の削減のため、室内栽培をより増やす。誰でも農業をやりやすくするために休みを増やす。世間のイメージを変えるため、バラエティー番組等で紹介する。
個人農家や会社の求人募集をまとめたホームページを作る。 - (Cさん)
農業体験の場をもっと増やすなど、農業に手が届きやすくする。 - (Dさん)
体験できる場、農業が身近にあると思ってもらえるような場をたくさん作る。 - (Eさん)
農業に触れる機会を作るような環境づくり。また、「3K」の「キツイ・汚い・危険」を「稼げる・効率化・簡略化」の新しい「3K」に近づけるような活動を一人ひとりが行う。 - (Fさん)
農業体験を多くしてもらい、SNS などで発信。 - (Gさん)
農業体験の場をもっと増やす。 - (Hさん)
人手不足のため、農業をやると手当を出してもらえるようにすれば農業従事者が増えるのではないか。 - (Iさん)
SNS などをどんどん活用し、若者たちにも農業の楽しさを伝える。 - (Jさん)
農業が楽しそう、やってみたいと思わせるようなところを見せる。もっとCMを増やす。
【委員からのアドバイス】
- (延與委員)
求人募集のサイトは現在ネットに色々あるので安心してほしい。 - (会津委員)
収入保険制度が今後できる。そのため、良いもの、こだわったものに特化できる農業もできていきやすくなる。 - (鈴木委員)
造園では、公園の段差など細かいところに目を向けていくことも大切で、女性の細かな目線がとても生きる仕事ではないかと思う。 - (鈴木委員)
就職先を考えた時に、農業法人なり会社がどのような労働条件を設定し、求人を出しているのか等、しっかりチェックし、「若い人はそういうところもしっかり見ている」と伝えていただける方が、会社側も「そういう基準をしっかり決めなければけない」ことの啓発になると思う。 - (堀口委員)
各種事例により技術を学ぶことや、高校生のアイディアを何とか形にして世界に発信しようとしている事例が数多くある。そういうことを知ると、今やっていることがすごく楽しくなるので、日本だけではなく世界にとって役に立つんだという壮大な夢をもって、これから学んでいってほしい。
【現場からの意見とアイディアを受けて】
- (会津委員)
人材に対して求める「即戦力」はもちろんそうだが、経営者が教えることを億劫になっているのではないか。経営者の意識改革が必要。 - (三浦委員)
時給が高いと仕事がきついのではないかと不安に思うこともある。時給の高さよりも情報開示の方が必要ではないか。 - (深沼委員)
経営者が欲しい人材は農業以外の分野でも同じ。若い人が農業を好きになることも重要だが、一方で会社も若い人に選んでもらえるよう努力することが大切。 - (堀口委員)
ビジネス視点も大切。自分が給料を支払えるかという視点に立つことも必要。
それが抜けると継続性が担保されにくい。また、インターンも重要である。地域に定着する人もおり、地域活性化へ繋がる。面接がいらず、人を知って採用することもできる。 - (鈴木委員)
農業経営体が障害者雇用に力を入れることで、業務の見直しが行われ一般企業のノウハウをシェアできる。 - (德田委員)
一般的に物体の先端はエネルギーの集まるところである。本日の生徒たちも同様に、北海道や鹿児島など日本や九州の先端にいってエネルギーを吸収しよう、何か始めようとしている姿が見て取れる。それぞれが希望を持ち、夢を実現してほしい。
(以上)
お問合せ先
経営局就農・女性課
担当者:企画グループ
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