第1回 フードガイド(仮称)検討会 議事録
日時:平成16年12月24日(金曜日)10時00分~12時00分
場所:農林水産省第2特別会議室(本館4階)
議事:
1.開会
2.フードガイド(仮称)の策定について
(1)フードガイド(仮称)作成のねらいについて
(2)フードガイド(仮称)を構成する内容について
(3)フードガイド(仮称)のデザインについて
3.今後のスケジュールについて
4.その他
5.閉 会
出席者:
【委員(五十音順)】伊藤 俊一 | 社団法人日本フードサービス協会会員企業・株式会社ジョナサン広報担当 |
伊藤 廣幸 | 社団法人日本フランチャイズチェーン協会CVS担当部長・株式会社ローソン総務ステーションシニアリーダー |
武見 ゆかり | 女子栄養大学栄養学部助教授 |
田中 清三 | 全国飲食業生活衛生同業組合連合会会長 |
津志田藤二郎 | 独立行政法人食品総合研究所食品機能部長 |
中村 丁次 | 社団法人日本栄養士会会長 |
永田 浩三 | 日本放送協会番組制作局情報番組センター部長 |
服部 幸應 | 学校法人服部学園理事長 |
早渕 仁美 | 福岡女子大学人間環境学部教授 |
針谷 順子 | 高知大学教育学部教授 |
松谷 満子 | 財団法人日本食生活協会会長 |
宮川 誠一 | 日本スーパーマーケット協会販売促進委員会委員・株式会社ライフコーポレーション首都圏販売促進部首都圏販売演出課長 |
横田 倫子 | 消費科学連合会企画委員 |
吉池 信男 | 独立行政法人国立健康・栄養研究所研究企画・評価主幹 |
【事務局】
岡島 敦子 | 厚生労働省大臣官房審議官 |
高橋 直人 | 農林水産省大臣官房審議官 |
中島 誠 | 厚生労働省健康局総務課生活習慣病対策室長 |
姫田 尚 | 農林水産省消費・安全局消費者情報官 |
姫田消費・安全局消費者情報官 それでは、定刻前ではございますが、全員おそろいということでございますので、第1回「フードガイド(仮称)検討会」を開催したいと思います。
本日は御多忙中のところ、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
本検討会におきましては、会議の取扱いでございますが、会議全体は公開といたしたいと思います。議事録を後日公表するということにいたしたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
姫田消費・安全局消費者情報官 よろしいというお声がでましたので、そういうことにさせていただきます。
それから、カメラ撮りは冒頭ということでございますので、もうしばらくカメラを撮っていただきたいと思います。
それでは、まず本日の検討会の委員に御就任いただいた方々を御紹介させていただきます。
まず初めに、五十音順でございますので、お手元に座席表があると思いますが、それを見ながらということでお願いします。
社団法人日本フードサービス協会、株式会社ジョナサン広報担当の伊藤俊一様でございます。
社団法人日本フランチャイズチェーン協会CVS担当部長、株式会社ローソン総務ステーションシニアリーダーの伊藤廣幸様です。
女子栄養大学栄養学部助教授、武見ゆかり様です。
全国飲食業生活衛生同業組合連合会会長、田中清三様です。
独立行政法人食品総合研究所食品機能部長、津志田藤二郎様です。
社団法人日本栄養士会会長、中村丁次様です。
日本放送協会番組制作局情報番組センター部長、永田浩三様です。
学校法人服部学園理事長、服部幸應様です。
福岡女子大学人間環境学部教授、早渕仁美様です。
高知大学教育学部教授、針谷順子様です。
財団法人日本食生活協会会長、松谷満子様です。
日本スーパーマーケット協会販売促進委員会委員、株式会社ライフコーポレーション首都圏販売促進部首都圏販売演出課長、宮川誠一様です。
消費科学連合会企画委員、横田倫子様です。
独立行政法人国立健康・栄養研究所研究企画・評価主幹、吉池信男様です。
次に、厚生労働省、農林水産省の出席者を紹介いたします。
厚生労働省大臣官房審議官、岡島敦子です。
厚生労働省健康局総務課生活習慣病対策室室長、中島誠です。
農林水産省大臣官房審議官、高橋直人です。
最後になりましたが、私、農林水産省消費・安全局消費者情報官の姫田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、議事に先立ちまして、本日、厚生労働省、農林水産省共催でございますので、厚生労働省、農林水産省から一言ごあいさつをいたします。
まず、厚生労働省の岡島審議官、よろしくお願いいたします。
岡島審議官 本日は委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、この検討会に御出席いただき、ありがとうございます。
我が国の平均寿命、健康寿命は世界でも最高水準にありますけれども、より多くの方々が、健康でいきいきとした生活を送ることができるようにすることが大きな課題となっております。
このため、厚生労働省では、平成12年から健康寿命のさらなる延伸、生活の質の向上を重視し、元気で明るい高齢社会を築くために、21世紀における国民健康づくり運動「健康日本21」を推進しておりまして、栄養・食生活を始め、具体的な目標値を設定して取組んでいるところでございます。また、平成15年には、その法的基盤としまして、健康増進法が施行されたところであります。
この中で、栄養・食生活は健康づくりや生活習慣病の予防において最も重要な要因の一つであり、食生活に関する正しい知識の普及・啓発の一つとして、これまで食生活指針の普及・啓発を文部科学省、農林水産省との連携により推進してきたところでございます。
しかしながら、男性の肥満の増加、脂肪の摂り過ぎ、野菜摂取不足などの状況が見られ、食生活の改善が急務となっており、外食等における食事選択の場面で何をどれだけ食べればよいかといった情報提供が重要となっております。
このたびは、個々人の食生活の行動変容に結び付けられるようなフードガイドとその推進のための具体的な方策について、厚生労働省と農林水産省と協同で検討会を開催することといたしましたので、委員の皆様方から忌憚のない御提言をいただけますよう、よろしくお願いいたします。
姫田消費・安全局消費者情報官 どうもありがとうございました。
続きまして、農林水産省の高橋審議官から、ごあいさつをいたします。
高橋審議官 では、開会に当たりまして、一言ごあいさつ申し上げます。
今し方、厚生労働省の岡島審議官からごあいさつがありましたように、平成12年3月から政府の中で、文部省、厚生省、農林水産省のこの3省で食生活指針を定めまして、これを推進してきたわけでございます。
ただ、こういった行政の難しさとしては、やはりその旗を振れどもなかなか現実というのは難しいところでございまして、この食生活の指針のみならず、政府全体で今、取組んでおります食育の問題も、理想像と現実のギャップはなかなか大きいわけであります。
広く申し上げれば、今回のこのフードガイドを定めるこの委員会も、政府全体のその食育の中で一つの取組みの一環というふうに私もとらえておりますけれども、何を食べたらいいかとか、あるいはどういうものを食事としてとっていったらいいかと。その辺の基本的な知識から、まず食育などから取り組んでいかなければいけないわけですけれども、まず最初に、どういうものを食べたらいいかということで、一番わかりやすい形で、このフードガイドいう形で改めてお示しいただければというふうに思っております。
私ども農林水産省といたしまして、政府の中のこういった取組みの一端を担う立場として、こういったフードガイドができた暁には、関係食品産業の方々の御協力を得ながら、普及に努めてまいりたいというふうに思っております。
まず第一は、どういうものを食べたらいいのか、どういうふうな食事をしていったらいいのか。そういうことが目に見える形で、ぱっと店に入るなりあるいは自分がそういう情報を得るなりすれば、すぐわかるような格好で、そういったフードガイドができれば大変ありがたいというふうに考えております。
委員の皆様におかれましては、これからこのフードガイドを定めるに当たりまして、忌憚のない御意見、御助言を賜りたいと思います。よろしくお願いいたします。
姫田消費・安全局消費者情報官 どうもありがとうございました。
それでは、議事に入りたいと思います。お手元にお配りしております資料を確認いたします。
お手元に「配布資料リスト」というのがございますが、それに基づいて確認していただきたいと思います。資料1~6まで。
資料-1、「フードガイド(仮称)検討会開催要領」。
資料-2、作業部会の設置要領。
資料-3、「食生活指針の普及定着に向けたフードガイド(仮称)の作成について」。 資料-4、「フードガイド(仮称)策定のねらい(詳細版)」。
資料-5、「フードガイド(仮称)を構成する内容(案)」。
資料-6、「フードガイド(仮称)のデザインについて」という、絵のかいたものがあります。
そこまでが資料でございまして、その後、参考が1~10までございます。
参考-1、「食生活指針の推進について」
参考-2、「食生活指針(ビジュアルデザイン)」。
参考-3、「食生活指針の認知度について」。
参考-4、「『健康日本21』の概要及び目標値に対する暫定直近実績値」。
カラーで、参考-5、「健康づくりのための食環境整備に関する検討会報告書」。
参考-6、「食料・農業・農村基本計画の見直しについて」。
参考-7、「食料・農業・農村基本計画(抜粋)」。
参考-8、「食生活指針の普及・定着について」。
参考-9、写真が入っております「コンビニエンスストアの単身者向け事業」。
参考-10、「世界のフードガイド」ということです。
あと、健康づくりのための食環境整備に関する検討会の冊子が入っていると思います。 ないものがありましたら、係の者にお伝えください。
それでは、議事に入りたいと思います。カメラはもう終わっておりますので、ここまでということですが、よろしくお願いいたします。
それでは、検討会の設置要領の作業部会の設置について、説明させていただきます。
お手元の資料-1に基づきまして、「フードガイド(仮称)検討会開催要領」をお願いいたします。
趣旨といたしましては、食生活指針が平成12年3月に当時の文部省、厚生省、農林水産省3省の共同で食生活指針を策定したところでございます。その中で、その普及・啓発を進めてきたところでございます。
ただ、残念ながら、先ほどの両審議官のあいさつにもございましたように、必ずしもそれが十分な指標として、わかりやすいものになっていなかったというようなことがございます。そして、我々30~60代の男性の肥満、若い女性のやせ過ぎというようなことが問題になってきているところでございます。
こういう中で、フードガイドの検討会を今回設置いたしまして、国民にとってわかりやすく魅力的なものを作ってまいりたいと考えております。
そして、今回の委員の方々にも、流通の方々に入っていただいておりますが、小売店や外食におけるパッケージなどにも使えるようなフードガイドを策定したいと考えているところでございます。
検討事項はここに書いてあるとおり「フードガイド(仮称)を構成する内容について」、「食品産業での具体的普及・啓発方法について」、そして、その他というようなことでございます。
構成はここに書いてありますように、厚生労働省の健康局と農林水産省の消費・安全局の両省で、この右上に書いてありますように、両省での共催ということですので、それぞれが皆様方に委嘱するということにしたいと思っております。
あと、事務局につきましても、両省の生活習慣病対策室と消費者情報官に事務局を置かせていただくということにしたいと思います。
以上、簡単でございますが、要領の説明でございます。
それから、その後のこの要領の下に、資料-2でございますが、「フードガイド(仮称)策定検討作業部会設置要領(案)」というものがございます。そこで実際はかなり効率的な運営を図っていくということ。そして、フードガイドというようなものの内容からしますと、実際、作業部会で作業をする必要があるだろうということを考えておりますので、作業部会を設置いたしたいと考えております。
検討事項といたしましては、「フードガイドの策定に当たり必要な情報の収集・整理」と「フードガイドの素案の作成」ということで、ここで素案を作成していただいて、本日の検討会の方での最終的な決定をいただきたいと思っております。
運営構成については、ここに書いてあるとおりが私どもの案でございます。
ですから、まずここの要領案のとおり、具体的に本日は、資料-1の2の(3)のところの「その他関連する事項」のところに「別途設置する作業部会の報告に基づき、検討を行うものとする」と書いてございますので、本検討会で作業部会の設置を御承認いただくところでございます。
ただ、その前に本検討会を作業部会をやらずにやってしまいますと、今日ただ単に検討の方向性ということだけになるということでございますので、事前に作業部会の委員の皆様方に作業をいただいて、本日配布させていただいております資料-5と6を案として、もう既に提出させていただいております。
ですから、作業部会は皆様方の御承認をいただく前に作業をさせていただいておりますが、ここで作業部会の設置を御了承いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
姫田消費・安全局消費者情報官 「異議なし」というようなことが聞こえたと思いますので、そういうことで御承認いただいたものと考えさせていただきます。
資料-2要領のところの「案」というものを消していただければ、ありがたいと思います。
それでは、これからの議事に入りたいと思いますが、議事に入ります前に、座長を決めなければなりません。それで皆様方と座長の互選ということでございますので、どなたか立候補、御推薦がありませんでしょうか。
姫田消費・安全局消費者情報官 吉池先生という声がありますが、いかがでございましょうか。
姫田消費・安全局消費者情報官 では、異議なしということでございますので、吉池委員に座長をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、吉池委員に座長をお願いするということで、議事進行を座長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
吉池座長 ただいま御指名をいただきました、吉池でございます。
本日は、議事も盛りだくさんにあるようでございますので、円滑な進行をどうぞよろしくお願いします。また、それとともに、活発かつ前向きの御議論を期待しておりますので、どうぞよろしくお願いします。
座って失礼します。
それでは、早速議事に入らせていただきます。最初の議事といたしましては「フードガイド(仮称)の策定について」、事務局から御説明をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
姫田消費・安全局消費者情報官 お手元の資料-3に基づいて、説明させていただきます。横長のカラーのものです。
「食生活指針の普及定着に向けたフードガイド(仮称)の作成について」ということで、左側に「農林水産省のねらい」、右側に「厚生労働省のねらい」というものがございます。 まず農林水産省の考え方といたしまして、食料・農業・農村基本計画、現在、見直しの最中でございますが、今年度中に見直しが終わると思いますが、その中でいわゆる脂質の摂取過多の改善あるいは適切な栄養バランスの実現を図るための食生活指針の普及等を推進するというようなことになっております。
参考-6を見ていただくと、「食料・農業・農村基本計画の見直しについて」というのがございます。15年12月に、食料・農業・農村政策審議会の基本計画変更についての諮問がございまして、その後1月以降、企画部会で作業をしております。順調に行きますと、17年3月に、基本計画の答申を閣議決定を行いたいと考えているところでございます。
その中で、まず食料・農業・農村基本法第15条の2に、食料自給率の目標とか、そういうものを定めなければならないというようなことを書いてございます。
第16条第1項に、「国は、食料の安全性の確保及び品質の改善を図るとともに、消費者の合理的な選択に資するため、食品の衛生管理及び品質管理の高度化、食品の表示の適正化その他必要な施策を講ずるものとする」というようなこと。
第2項に「食料消費の改善及び農業資源の有効利用に資するため、健全な食生活に関する指針の策定、食料の消費に関する知識の普及及び情報の提供その他必要な施策を講ずるものとする」というのが書いてあります。
ですから、今回その基本計画におきましても、こうしたことも踏まえて実施していくこととなっておりますが、並行いたしまして、食生活指針も含めて進めていきたいと思います。
またお手元の資料-3にお戻りください。
そういうようなことも含めまして、いわゆる国の補助事業でございますが、県が事業実施主体となっておりますが、食育推進ボランティアというものがございます。これは全国で3万人の方々を養成しておりまして、平成15年、昨年から毎年、「食を考える月間」というものをやっておりまして、これは1月ですから、今年も来月実施いたしますが、そういう中での食生活指針の普及啓発などをやっているところでございます。
指針の認知度でございますが、年々上がってはいるんですけれども、わずかずつしか上がっておりませんで、現在の認知度は15年度で25.1%というような状況になっているということでございます。
そういう中で、私ども農林水産省は、いわゆる生産から消費までのフードチェーン全体を所管している省でございます。その中でやはり今まで、いわゆる内食から外食への消費が移行しております。その中でやはり各フードチェーンのそれぞれの段階において、何をどれだけ食べればいいかというような、食料消費に係る基本的な情報の提供が必要になってきていると考えているところでございます。何分、昔は対面販売の中で、いろんな情報の提供というのが、小売店で直接されていたというようなこともございますが、現在においては、いわゆる新しい今のフードチェーンの中でなかなかその情報が消費者に届かないというようなことがあるかと思っております。
そういう中で、いわゆる国民の目に付きやすく食料の選択や消費の参考となるとともに、外食、食品供給事業者、食生活改善に取り組むのが通常の業務活動の中で利用できる具体的なツールの開発が必要と考えております。
要するに、今までは食生活指針もございましたが、必ずしも十分に理解されていなかったというようなことがあるかと思っております。そういう中で、それを具体的にもっとわかりやすくやっていこうということが当面の必要な課題と考えております。
参考-8には、それぞれの分野、食生活改善分野、教育分野、農林漁業分野、食品産業分野の中で、どうやって食生活指針を進めていこうかというようなことを具体的に書かせていただいております。
その次のページに、海外においては既にかなりのことで、わかりやすい食生活指針のようなもの、フードガイドのようなものがつくられているという状況を書いております。ここは米国だけを載せておりますが、米国だけではなくて世界各国、EU諸国、北米だけでなくて、東南アジア、中国や韓国などでも実際にそういうようなビジュアルで指針を示し、普及しているというものがございます。具体的には、ノルウェーなどではそういうことを進めていく中で、食生活の改善がかなり進められたというようなことも聞いておるところでございます。
参考-9で、私どもの取組みということで、これはコンビニエンスストアを使った補助事業の委託事業で、実際のコンビニエンスストアの店頭でポップ広告を出して、いわゆるこれは3色ということで出しておりますが、エネルギーになるもの、体をつくるもの、ビタミンやミネラルの多い野菜など体の調整を図るものという区分、要するに、エネルギー源、たんぱく源、ビタミン・ミネラル源を3つの色に分けて、その3つをバランスよくとりましょうというようなことでのポップ広告を行いました。
それぞれ3つがどのように含まれているかということにウェートをかけて、「ポップによる色分け」というところで、右の方の写真を見ていただいたらわかるかと思いますが、その上に黄色と赤だけしか載っていないものが見えております。そして、黄色と赤と緑の3色載っているものというようなものも見えておりますが、そういうようなものを現在展開をしたところでございます。
参考-10が「世界のフードガイド」ということで、具体的に世界のフードガイドが載せてございます。そういうようなことを私どもはやっていこうというようなことを考えています。そうすることによって、農林水産省といたしましては、バランスの取れた食生活の実現が図られるだろうと考えております。
もう一つの先ほど基本計画の中にも自給率の目標というのがございましたが、そのバランスの取れた食生活が行われるということが結果論としての自給率の向上に結び付くだろうということも、私どもの政策目標の中の一つの考え方でございます。
一方、「厚生労働省のねらい」ということでございますが、これは詳しくは後で室長の方から説明をいただくと思いますが、まず厚生労働省の方としては、現在の30代~60代の男性の肥満の増加、野菜摂取量の不足というようなこと。特に外食の利用者の野菜摂取量の不足。若年層を中心とした欠食、特に朝食の欠食が多いということがございます。そういう中で、食事の摂取量の摂取基準としての科学的な根拠に基づくエネルギーとか栄養素量を提示するということ。そして、食生活指針として、バランスの取れた食生活や適切な食品の組み合わせということを啓発・普及してきております。
管理栄養士や栄養士といった方々の専門的な栄養指導と食生活改善推進における啓発・普及の実施というようなことをやっております。
何をどれだけ食べたらいいかということ。これをうまく国民の方々にアピールしていくものが必要になるということで、そのための適切なツールが必要だろうということでございます。
個人へのアプローチとして、具体的に個人が行動変容をするような具体的なメッセージが必要だろうと。そして、健康づくりの観点から、食物の選択を資するための食品産業界における環境の整備というようなことが必要になってくると考えております。
「期待される効果」としては、農林水産省と同じで「バランスのとれた食生活の実現」と、ひいては「国民の健康づくり、生活習慣病の予防」ということが、政策の最終的な目標になるかと思っています。
そういうことを具体的に実施していくということになりますと、わかりやすく、国民に受け入れられやすいようなフードガイドを作ることによって、今までの食生活指針の普及・啓発をより倍化していこうというようなことを現在考えている次第でございます。
以上、簡単でございますが、説明に代えさせていただきます。
中島生活習慣病対策室長 それでは、引き続きまして「厚生労働省のねらい」の部分につきまして、私、生活習慣病対策室長でございます。資料-4と、お手数ですが参考-4、この2つを使いまして、姫田情報官から御説明をいただいたところでございますが、補足説明をさせていただきたいと思います。私の方はちょっと座って失礼いたします。
資料-4に入ります前に、参考-4の方をごらんいただければと思っております。冒頭、私どもの岡島の方よりごあいさつ申し上げた中にございましたように、生活習慣病の予防というのは、近年ますますその重要性が高まりつつあると認識しておるところでございます。高齢社会の到来の中で、健康寿命をより延ばしていくということも大変重要でございますし、国民の健康を支えていく医療保険制度や介護保険制度というものを長期的に安定させていくためにも、やはりしっかりした予防というものを講じていくということは大変重要ということの基本認識でございます。
そういう中で、参考-4にございますように、平成12年から「健康日本21」という形で、国民健康づくり運動を展開させてきていただいているところでございます。平成15年にはこの「健康日本21」等に基づく健康づくり施策を進めていくための法的枠組みであります、健康増進法というものも制定をさせていただいて、進めておるところでございます。
「健康日本21」につきましては、1ページにございますように、21世紀における国民健康づくり運動ということで、その基本的方向としましては、(1)にございます「一次予防を重視する」ということでございます。日頃から疾病予防に資する生活習慣を形成していただくということ。(3)でございますけれども、すぐ御説明申し上げますが、9分野にわたりまして、計70項目の具体的な数値目標を設定し、それを定期的に評価していくということで、健康づくりの進捗状況を把握していくという手法を取らせていただいております。
目標値のところでございますが、具体的な9分野は、1.栄養・食生活、2.身体活動・運動、3.休養・メンタルヘルスといった基本的な3本柱。そして、健康に悪影響を及ぼすものとしての4.たばこ、5.アルコールの問題。さらには6.デンタルヘルス。生活習慣病の典型とされております7.糖尿病。8.循環器病、9.がんといったもものの計9分野を設定させていただきまして、一番下、点線で囲っておるところがございますが、食塩摂取量、野菜摂取量、日常生活における歩数等々、計70にわたる具体的な目標値を2010年において実現したいということで設定をさせていただいて、進めておるところでございます。
実はこの「健康日本21」は2000年から2010年というところでございますが、来年2005年はちょうど中間年に当たるものでございますので、中間評価を実施するということで、実は既に中間評価の作業に着手をさせていただいておるところでございます。
具体的に御説明をいたしますと、3ページをお開きいただければと思います。今後、厚生労働省において、「健康日本21」の中間評価を進めていきますが、必ずしも過去4年、5年分の実績値が出ておらない部分もございますので、とりあえずの暫定的な直近実績値をここに整理させていただいています。
3ページにございます栄養・食生活のところでは、幾つか目標値を設定しておりますが、例えば、適正体重を維持している人というものの増加をはかる。すなわち肥満を減少させるということでございますが、実は20歳~60歳代男性のところをごらんいただきますと、平成9年の時点では24.3%の方が肥満であったということです。それを2010年には15%以下にしましょうということで目標値を設定したわけでございますが、平成14年時点では実は低下するどころか29.4%という形で、肥満の割合が増加しておるわけです。
特にここら辺の分析につきましては、実は食品分類等の変更がいろいろありますので、これら栄養・食生活の分野、直近実績値だけの単純比較ではなかなか難しい点もございまして、実は吉池座長の方にそういうことも踏まえて、現在分析・評価をお願いしておるわけでございますが、少なくとも肥満の割合は増加している。特に50歳代での増加が顕著だということがどうも明らかになりつつあるということでございます。
また、1.2 、脂肪エネルギー比率ということも数値的には減少しているものの、男性の20歳代、若い方の間では脂肪摂取の増加が見られるということ。
1.4 、野菜摂取量ということでございまして、どうも横ばいか更には少しは減少しておるようでございますが、やはり相対的には20歳代、30歳代の若い方が摂取量が低いというような傾向が出ております。
1.5 、カルシウムにつきましても、改善が見られるものの20歳代での摂取量がまだまだ低いんじゃないか。
さらには、1.7 、朝食を欠食する人の減少ということですが、男性の30歳代の方については、朝ごはんを食べないという方の割合が増えている。食べる、食べないということですが、お菓子や果物だけで済ましてしまうという方の割合も相対的に高いというような傾向が出ておるわけでございます。
こういうことで、中間評価を進めていくに当たって、各分野、とりわけ栄養・食生活分野はまだまだ改善すべき点が多いというのが実感としてあるわけでございます。
7ページを開けていただければと思います。7ページに「糖尿病」という欄が一番左にございます。個別具体的に御説明を申し上げませんが、典型的な生活習慣病、とりわけ栄養、運動の影響が如実に反映する疾患でございます糖尿病。一番右の欄に「平成14年度糖尿病実態調査」というがございますが、実はちょっとお配りをしておりませんが、この糖尿病実態調査では、平成14年に日本において、糖尿病が強く疑われる方というのは740 万人おられるというデータが出ております。
そして、更に糖尿病の可能性を否定できないという方を合わせますと、実は1,620 万人の方が糖尿病が強く疑われる、または糖尿病の可能性が否定できないということで、糖尿病というのは、今後克服、改善していくべき大きな疾患の一つという現状になっておるわけでございます。
こういうのがまさに栄養、運動、日頃の行動変容を促すことによって減少させていくということが大きな課題だと認識しておるところでございます。
10ページをお開きください。若干重なる部分もございますが、フードガイド策定に当たって御参考にしていただくべく、これまでの国民栄養調査等のクロス分析等をしました幾つかのデータをお示しをしております。
10ページ、肥満の状況については、先ほど御説明したような状況でございまして、いわゆる30~60歳代で3割肥満。ずっとこの20年間、着実な増加傾向にある。
一方で、女性につきましては、20歳代の4人に1人がやせ過ぎだということが指摘されるわけでございます。
11ページでございます。「昼食における外食の利用状況」ということですが、昼食を外で済ませるという方の割合ですが、20~40歳代、まさに働き盛り男性で5割以上が昼食は外で食べますということでございます。
しかし、一方で左下ですが、外食の利用頻度が多い方ほど、野菜の摂取量が少ないという傾向がございますし、先ほど述べましたとおり、右でございますが、若い世代ほど野菜を食べないということでございます。
12ページでございますが、更に若い世代の中では、どうもフライもの等を代表とする油の多いものというものを控えるという傾向が余りないということでございます。そういうことも踏まえつつ下の方でございますが、食品選択等に必要な知識・技術を自分は持っていると答えている方の割合というのは、男性で3割、女性でも5割にとどまるわけでございまして、そんな知識は全くないよと答えておられる方というのは、特に若い世代で大変多いということでございます。まさに幼い頃からの食事に対する正確な知識といったものの普及が大変重要かということも浮かび上がってきているところでございます。
資料-4にお戻りいただければと思います。こうした食事、食生活、栄養を取り巻く厳しい状況でございますけれども、実は真ん中より上のところの囲みでございますが、これまで厚生労働省としては、大きく3つの施策を講じてきたところでございます。
1つが、食事摂取基準の策定。2つ目が、農林水産省、文部科学省と連携をとり、食生活指針を策定している。3つ目でございますが、全国の保健所、市町村、保健センター等で専門的な知識をお持ちの管理栄養士、栄養士の方々から、いわゆる栄養指導、これは集団としての健康教室みたいなものから健診等で問題があるとされた方に対する、いわゆるハイリスクの方々に対する個別の指導ということを実施しておりますとともに、本日、委員に御参加いただいております、松谷会長のところの食生活改善推進員は全国に22万人の方々がおられます。こういう方々による草の根的な普及・啓発の実施といったことを努めてきておるところでございます。
しかし、このような施策、一定の効果を上げているものの、まだまだ状況は厳しいということでございまして、2ページでございます。今後の課題ということがありまして、先ほどから、姫田情報官の方から繰り返しお話がございましたが、やはり適量に関するわかりやすいツールといったものを国民の間に普及させていく必要があるということでございます。
食生活指針は、確かに3省連携をし閣議決定までして決めておるわけですが、ある意味でスローガンにとどまっておるところでございまして、国民お一人お一人の食事選択の具体的な面で、即その知識といったものが反映できるという形には必ずしもなっていないということでございます。
そういう観点から、フードガイドに対しては、私どもがお願いいたしたいと思っておりますのは、まず一つは、基本編ということでございます。いわゆる1日に何をどれだけ食べればいいのかということをイメージ化する。ビジュアル化して国民がわかりやすく使えるものを作っていただければありがたいということでございます。
3行目にございますけれども、まさに子供向けのフードガイドといったものも今後、必要かと思いますし、本日、流通の各場面で御尽力いただいている委員の先生方に来ていただいておりますけれども、レストラン等の外食、さらにはスーパーやコンビニでの小売店等の惣菜選択の場面ごとにもそうしたフードガイドが使えるようなものが重要かと思っています。これは後ほど、下の「食環境へのアプローチ」のところでもう少し詳しく説明をさせていただきます。
こうした基本編と並んで、やはりターゲットを絞った問題提起といったものも、このフードガイドの策定においてはお願いをいたしたい。とりわけ先ほどから申し上げておりますような、30歳~60歳代の方々の肥満の防止といったものが大変大きな問題でございますし、特に若い層の食生活の乱れ。食生活に関する知識の欠如と言いますか、そうしたものをお持ち合わせでないということにターゲットを当てた形での問題提起型のフードガイドといったものも必要かなということでございます。
そこにつきましては、下に書いておりますような「個人へのアプローチ」ということで、ターゲットを明確にし個人の行動変容を促す具体的なメッセージといったものをフードガイドの中に第2部という形なのかどうかというのはあれですが、盛り込んでいただければ、大変ありがたいということでございます。
そして、一番下でございますが、「食環境へのアプローチ」ということでございまして、説明は省かせていただきますが、参考-5等でお配りをしています、食環境整備の検討会というものも置いて検討いたしましたが、行動変容には個人の自覚だけではなくて、個人を取り巻く食環境の改善といったものも重要だという御指摘を受けまして、やはり食品業界等の御尽力による環境整備といったものも大変重要だというふうに認識しておるわけでございます。具体的には、外食や惣菜等の調理済食品について、過食にならないサービングサイズといったものをどう考えていくのかということがございますし、外食において、個人がその日の自分の状況を踏まえて、量を選択していけるようなシステムといったものが考えられないのか。そして、どうしても外食、惣菜等について、油物が多くなっておるのが実状だと思いますが、そうしたものというのをなるべく適正な量に減らしていくという努力も要るのかなと。野菜摂取量の不足という中では、もう少し野菜を使った料理といったものを御提供いただけるとありがたいなどなど、こうしたことを食品業界等においても工夫、御尽力いただけるような内容にしていただければ、大変ありがたい。
そういう中で、一番下のバランスのとれた食生活が実現をし、国民の健康づくり、糖尿病等の生活習慣病の予防につながっていくということでございまして、このフードガイドに対し、我が厚生労働省といたしまして、大変期待をさせていただいているというところでございます。
以上でございます。
吉池座長 どうも御説明ありがとうございます。
ただいま両省から、それぞれの省の施策の中での本フードガイド(仮称)策定のねらいの御説明をいただきました。当然、両省は所轄が違いますので、出発点あるいは最終的に期待される効果は異なるわけですが、一番大事なことは国民一人ひとりにおけるバランスのとれた食生活の実現であるというお話をいただいたわけですし、そのためには食べ物を選ぶ国民一人ひとりとそれを提供する側の方に必要なメッセージを送りながら、社会全体として、その実現に向けていくというお話だったと思います。
それでは、各論の議論に入ります前に、施策的な展開も含めて、本フードガイドをどのように作っていくのか。特に具体的に、誰のためにどのようなフードガイドを作っていくのかということについて、皆さんから御意見をいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
最初のところでは、消費者の立場からということ、提供側から、また両者をつなげる一つの仕組みとしてのマスメディア、専門職あるいはボランティア、自主グループ等があるかと思います。各お立場から、まず御自由に御意見をいただけたらと思いますが、いかがでございましょうか。
松谷委員、どうぞ。
松谷委員 農林水産省、厚生労働省両方からいろいろと先ほど御発言がありました。私ども末端のところでいろいろと考えてみましたときに、要するに農林水産省は予算がたくさんあって、地方農政局にバンとお金が行って、農政局が県の流れとはまた違った形で農政局が中心になりながら、関係県のそれぞれの中から、その食育推進のようなものを養成というのか育成というのか、何かそれをしていっていると。そして、結果論として、健康と予防の視点というのがほとんどなくて、食品を我が県のとか、その地域の地産地消的な方向に行ってしまっていると。今日はだから、農林水産省と厚生労働省とこうやって一緒に集まって、これからの問題を考えるということについて、私は今、大変感動というよりも、何か期待を大きくしているということをまず申し上げたいと思います。
健康日本21をやったときには、先生が出ていらっしゃいましたかどうか、門脇先生も含めて農林水産省の関係では鈴木先生ですね。食品総合研究所をこのたび退官されて、仙台の方に行かれましたけれども、鈴木先生が出ておられ、そして、門脇先生や小児科の方の関係では村田先生、いろいろ出られたときに、どういうようにやさしくやっていくかといったときに、1日30食品をというような形で多様な食品をということが予防の立場から生活習慣病の立場から、その言葉が憲法みたいにわかっているから、そういうのを入れようじゃないかという主張をしていても通らなかったんですけれども、いずれにいたしましても、両方でここで検討いたしますものが、今日は各界の方々がお集まりですから、あの時よりもはるかに広い規模の方々ですから、私は大きく期待しているということをまず申し上げて、末端の実態と今お話していらっしゃることとの差が余りにも大きいので、これをどうやっていけばいいのかということを、またこの委員会の中でも検討していただければと思っています。
以上でございます。
吉池座長 どうもありがとうございます。
一番重要な視点としては、国民のより良い健康のための食生活の実現に向けて、現実的にどのように動かしていくのか、また、実際の食生活等を踏まえてという御意見だったと思います。
どうぞ。
服部委員 今、松谷先生もおっしゃられましたけれども、私は食生活指針を普及するつもりで、講演会を年間120 本ぐらい、全国に行かせていただいているんですけれども、それだけではなくて、勿論、食育ということの普及のためにやっているんですが、まず聞いてるみなさんに、100 人集まる、1,000 人集まったところで、手を挙げていただいているんですが、ここにあるように20~25%聞いたことがあるということでした。では、その方々が食生活指針の内容がわかっているかというと、ほとんどわかっていらっしゃらない。
ということは、今回のこの会議は国民に広く知らしめるという意味で、非常に重要な意義があるだろうと思うんですが、まず第一に名称ですね。食生活指針という名称自体が、針を刺すようでよくわからないと言われます。もっとわかりやすい言葉がないだろうかと。マスメディアでもそうですし、どうもこれが理解できにくいということをよく言われます。
ですから、ぱっと一般に理解されることが望ましいと、私も思っていました。
普及するためには、やはり学校を利用する。マスメディアだけじゃなくて、学校、それも義務教育期間中に少なからず、どれだけの食品をどうとるべきかということを知らしめていくような、教育につながるものでないと意味がないなと思うのです。今日まで、文部科学省の食育の方針が見えていないわけですけれども、この委員会でやったことが具体的におりるようにつなげていただきたいなと思います。 と言いますのも、現在の食生活指針はポスターを張ったり、いろいろそれぞれのお立場で普及活動をしているんですけれども普及しにくい。やはり基本的なことは学校教育機関で、きちんと小さい頃、若い頃に頭の中に入って、その読み方が理解できるように、すべての人たちにわかりやすく普及するような、そういう施策を取らないと、普及しにくいんではないかと思います。
それと今までのものは、興味を持つには固すぎるんですね。もっとやさしく理解できるような部分というのも、今後考えていかないと、私はポスターを見せたり中身を説明しても一般の方には印象が薄いものですから、一切見せずに自分なりの展開をさせていただくような形を時たまとるんですね。そうすると何かインパクトを感じてくれて、えらいことになった、自分たちはそういう食べ方をしていたということになるんで、わかりやすいという部分を是非お願いしたい。余り私が長くとってはいけないんでしょうけれども、ばっかり食いであるとか、ばらばら食であるとか、孤食、こういったものに関して、やはり学校自体の現場を見ますと、給食の時間でも先生方も何の指導もされていないし、勿論、家庭でも、そういうのがどうして悪いんですかというようなことを言われるんですね。こういうことすら、まずわかっていない段階で、どういうふうに適切に食生活をしたらいいかなどということがわかるはずがないんじゃないかなと思います。
両方の施策の最終目標が「バランスの取れた食生活の実現」というは同じなんですが、確かに、農水省関係で呼ばれていくと、食料自給率の普及の方に力を入れて話さなければならない部分があるんですね。しかし、私はやはり740 万人も糖尿病患者がいて、予備軍が880 万人いて、毎年200 万人ずつ糖尿病患者が増えてきているということになりますと、これは食生活の部分もやはり農水省と厚生労働省両方が共通で歩み寄るような形をとらないと、農業は確かに大事ですし漁業も大事ですが、それも含んで、実は食育という大きな観点で説明することが大切です。食育は、来年の通常国会で通ってほしいなと私は望んでいるんですが、そうなったときにこのフードガイドがそこのどの部分に位置するのかというのもはっきりしておかないと、結局、食育が何の意味も持たなくなるし、フードガイドもまた別の歩き方をしてしまうんじゃないかという心配をしております。
普及に関しましては、栄養士の養成施設、調理師の養成施設、又、料理教室は本当にオフィスレディーが飛び込んできて、明日から結婚ですというので、初めてお料理をやるような人が多く、そこの先生方というのは一番おふくろの味をわかっていて、昔からのものをやっているというので、こういう人たちも含めて普及活動をすべきで、それこそ利用していただいて、家庭料理の先生方が動けるようなシステムというのも考えていただきたいと思います。
吉池座長 どうもありがとうございます。
名称の問題というのは非常に重要なことでありますし、いかに普及・啓発していくかという戦略も考えていかなければいけないと思います。今、服部委員からお話があった中で、フードガイドの食育基本法の中での位置づけをどうするかということと、学校教育の中での展開ということがありましたので、これについては後ほど事務局の方から簡単に触れていただけたらと思います。ほかにございませんでしょうか。
どうぞ。
永田委員 NHKの永田でございます。
ここの委員のお一人でいらっしゃる武見さんたちと以前、子どもたちの食卓というスペシャル番組を作ったものでございますけれども、実はその番組は15年前にも一度やっておりまして、いろいろNHKでも折に触れて食生活の大切さ、それを健康につなげていくことの重要性について、ずっと言い続けてきてはいますけれども、現実は非常に厳しくて、どんどん数値が悪化していくということの、我々メディアの無力さについても実はすごく認識していて、だとすれば、本気でやはり訴えない限り、切実さみたいなことを認識してもらわない限り、実は国民一人ひとりの行動変容ということにはつながっていかないのではないかなという危機感を持っております。
では、どうするかということなんですけれども、私が思うのは、やはりこのフードガイドいうのを食育の本当に根本に据えて、みんなが同じ物差しで結集して連帯していくということがすごく大事なことかなというふうに思います。
例えば、社員食堂などを見ても、30~60代の男性の肥満の増加とか、いろいろデータをいただきましたけれども、そこでも職場の栄養士の人たちは本当に危機感を持っていて、訴えたいということでいろいろ図表をその社員食堂に載せたりとか、いろんなことがあるんですけれども、何か共用できる同じものがあって、それを起爆剤にして連帯していくというふうになれば、とてもすばらしいかなというふうに思います。是非頑張っていただきたいと思います。
吉池座長 どうもありがとうございます。
本気でやらなければいけないということで、ここにお集まりの方々、皆さん本気だと思います。
宮川委員、どうぞ。
宮川委員 現場のお客様が買い物されるところの場面を想定したときに、今お客さんが店頭で実際に物を買われる時の購買の一つの基準として健康というのが大きな関心事なんですね。従いまして、例えば、テレビ番組で健康に関する番組が出た時の翌日の商品の動きというのは異常な状況であります。
ですから、消費者の方から見ると、健康に対する興味というのは非常に強いというのを感じております。その中で、そのお客様が関心を持っていることは間違いないんですけれども、その提供の仕方というか、情報の種類が多くわかりづらいので、現実はなかなか正しい判断を実際に購入するとか購買するとかいう段階でちょっとしにくいのかなというのが現実かなというふうに思います。
今の御意見にもありましたように、消費者側と提供する側。これがやはり同一の基準と言いますか、いわゆる、デファクト・スタンダードみたいな形の共通の物差しで健康に対する情報が共有化できれば、興味を持っていただいている健康に対する、それに基づいた購買ができるのではないかというふうに感じていますので、これを機にこういう協会も含めて統一の基準ができれば、非常にいいことではないかなというふうに感じております。
吉池座長 どうもありがとうございます。
先に武見委員の手が挙がったようですので、どうぞ。
武見委員 女子栄養大学の武見でございます。
私も今、いろいろなところで使える共通の情報というか、例えば、子どもが学校で得る情報、大人がスーパーなどで買い物をするときに受ける情報、それらが共通したメッセージになっているということがすごく大事だと思っています。
実は、私たちも学校で子どもたちを通じて、いろいろな食育の取り組みをやり、それを御家庭にもつなげるということをやっています。さらに、御家庭だけではなくて、地域のそれこそ飲食店とかスーパーとか食料品店とか、そういうところからも同じ情報を出すようなことをやっているんですが、今回ターゲットにされている30歳代~60歳代の男性、言うなれば、子どもたちのちょうどお父様世代の方たちなんですけれども、実際この方たちをどこでつかまえるかというと非常に難しくて、学校の公開行事、いわゆる学芸会とかそういう時にちょっとした情報をお出しすることはできますけれども、実際PTAのお母様方たちでさえ夫の休みの日などの自由な時間に集まって何か学習しろというのは、はっきり言って無理です、というふうに言われるんですね。では、職場だったらどうかというと、職場でも集めてやるというのは、実際これも以前やりましたけれども、1,000 人いる事業所で5%、要するに50人ぐらいも自発的に来れば御の字という感じの実態があると思います。
では、いったいどこでつかまえるかというと、1つの可能性は、食物を選択する場、食べる場なんですね。そこのところで情報を載せていくということがうんと大事になってくると思います。食べるところであれば、皆さん目にすることができると思います。ただ、そのときは食べる時に食物を選択する時間はほんの数秒とか1分ですから、その中で判断をして、これを使ってみたら自分に何かいいことがあるとわかるぐらい具体的でわかりやすいということが、先ほどから出ている、わかりやすさのイメージなんだと思いますので、そういうようなものができればいいなというふうに思っております。
吉池座長 次に、伊藤俊一委員の方から御発言いただいて、消費者の立場ということから、横田委員からコメントをいただき、一度総論のところはまとめをしたいと思います。
どうぞ。
伊藤(俊)委員 食の健康ですとか安全と言いますと、私ども外食産業はどうしても悪者にされがちなんですけれども、決してそれが、私どもはそういう形ではなくて、もっと積極的に前より健康ですとか、安全・安心といったもので、前向きに取組んでいきたいというのを一言まず冒頭に発言申し上げます。
そういった中で、今度フードガイドをつくろうという中で、決して、そのツール、いわゆるビジュアルができて、ポスターができて張ればいいというものではなくて、やはりそれを私どもの外食、そういったものを中心に、やはり国民に多く利用してもらうことが大事ではないのかなと。例えば、外食を1回する時にそういったものを見ながら、では、今日はこういったものを食べてみようですとか、そういった形に国民の方々がなっていくというふうな形に持っていければベストじゃないかなと。
という中では、私どももできる限りは本当に協力していこうという考えでありますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。
吉池座長 横田委員、お願いします。
横田委員 いわゆる消費者団体としましては、今までの活動が主に自給率とか食育は一応入っておりますけれども、食の安全とか、そういうことに偏っていた傾向があります。当然、私たちは知識がある者ということで、余りそちらの方に関わっていることはなかったわけですけれども、今回こういういろいろな資料を見まして、やはりこれから消費者団体の立場として、こういうことの普及とか啓発、それが一番大事かなと思います。
今回、30歳~60歳代ぐらい男性の肥満の増加ということが言われていますが、50代以上の女性で、私たちのようにある程度外へ出る機会の多い者はともかく、家庭内にいる主婦などは、意外にこういう知識というのが欠如しているのが目立つんです。ですから、今回、放送関係の方もみえていますけれども、そういうことの普及というのは今後ますますやっていただきたいなと、いつも思っております。
吉池座長 ありがとうございます。
どの委員の方からも、またどのお立場からも大変前向きな御意見をいただいて、あとはどこまで本気になってやるかということで、特に最初に各省からの「本気度」の表明もありました。先ほど、食育基本法の中で、また学校教育をどうするんだという御質問がありましたので、その辺の回答も含めて、事務局の方から御発言をいただきたいと思います。
姫田消費・安全局消費者情報官 まず、松谷委員から地産地消ばかりというお話がございましたが、実は私どもも問題意識がないわけではなく、私どもがやっている補助事業におきましても、来年度から、地産地消ばかりでは補助対象にしないというようなことを打ち出しております。今までも基本的には地産地消ばかりでは補助対象にならなかったわけですけれども、今回から明示させていただこうということであります。
学校についてですが、まず、とりあえず厚労省と私どもでフードガイドをつくろうということが基本だと思っています。それで勿論、普及段階において、あるいはこれができた次年度以降、子どもを対象としたフードガイドについて検討していただこうと考えております。今回はまず国民全体に対するフードガイドということで、このような形で開催した次第で、勿論文科省の方には情報提供を確実にさせていただいております。今後、皆様方から頂いた方向で考えていきたいと思っております。
吉池座長 ありがとうございます。
それでは、また全体の議論は最後に必要があれば、立ち戻ってしたいと思いますので、実際にフードガイドを構成する内容についての説明と議論を進めていきたいと思います。 これにつきましては、私の方から御説明を申し上げたいと思いますが、資料としてお配りしているものは、資料-5、6でございます。併せて参考-2の食生活指針、3省合同でその時作りましたものを御覧いただけたらと思います。
まず先ほど、厚生労働省の方から話があったように、少なくとも生活習慣病、健康ということを考えた時には、中年の男性は関心もそれほど高くない。また、外食等の比率が高い、そういうターゲットに対して、いかにわかりやすいメッセージを送るかということがありまして、この3省合同の食生活指針の中では、主食、主菜、副菜という、そのまま口にして食べる形での整理とメッセージが作られました。そして、それらを構成する食品、食品群の説明が加えられたというものでございます。
基本的には、この時の整理を踏襲する形で、作る立場というよりは、基本的には食べる立場で、しかも関心や知識等もそれほど多くない層に対してもわかるものを作っていこうということで、最初に事務局から御紹介がありましたワーキンググループの中で細かいデータも含めての検討をしてまいりました。
資料5を御覧いただきたいと思います。基本的に食べ物を主食、主菜、副菜というもので整理をしていこうということですが、これらについてこの言葉になれ親しんでいる、かなりの方がおわかりかなと思っているかと言うと、なかなかそうでもないようです。そういう意味で、括弧書きのところを常に含めて、しばらくは普及・啓発をする必要があるのではないか。主食は御飯、パン、めんなどとなるわけですが、主菜と言った時には、肉、魚、卵、牛乳、乳製品など、副菜についても同じような形になります。言葉が長くなると多少インパクトが弱くなる部分がありますが、このような形でまず3つを整理し、その普及・啓発を図っていくというようなところでございます。
これだけですと、果物、これはがん予防その他のところで大変重要な食品グループでありますが、日本的な食生活では野菜と一緒にするわけにはいかないので、その他として果物を整理する必要があると思われます。また、菓子・嗜好飲料につきましては、「全くとるな」という話ではなく、どこまでを目安とするかについてやや量的なことを含めて表現する必要があるのではないかということで、「主食、主菜、副菜+果物+α」といった整理がよいのではないかという議論になったところでございます。
これらについての表し方としては、2つ考え方があります。1つは、1食として、どういうバランスが望ましいかという表し方であり、もう一つは1日の中でということでございます。
その際に、1食だけを取り出すと、その時たまたまという場合も多いので、基本的には1日の単位で表していこうということになります。それらは単純化したメッセージなり絵として表していくわけですが、最終的には厚生労働省で策定をした食事摂取基準との整合性を検討することにより、栄養学的にみてある幅の中で収まっているかの検討をする必要があるということでございます。
そうした時に、栄養学的にある一定の幅に収めながら、しかも複雑にならないためにどのような整理をしたらいいかということで考えたのが、資料5の各グループについて、少し細かい字で書いてあるところでございます。
主食については、案が2つ併記してございます。一つはエネルギーとして表すことで、他方は、炭水化物として示すということでございます。その図で「SV」という言葉が出てきております。それにつきましては、資料5の右下の方にあります「サービング」を略したもので、アメリカのフードガイド等で用いられているものでございます。標準的に提供されるおおよその量を表す単位のことですが、日本語としてぴったりくる言葉が、いろいろな場での議論がされているにもかかわらず、いまだない状況です。このことについても、御意見があればいただきたいと思います。ここでは仮にSVと表記をさせていただきます。
仮にエネルギー約200 kcalというのを1SVとしますと、御飯軽く1杯ですとか、4枚切り食パン1枚とか、そんな形になるようです。チャーハンなどは、これは油とか具の部分も併せて考えると3SVということになります。では、チャーハンの具をどうするんだということについては、後ほど説明します。
それに対して炭水化物で整理をすると、エネルギーで整理をしたときには、主材料である穀類等を中心としたもの以外からのエネルギー量が乗ってくるわけですが、炭水化物ではそれが切り落とされるので、同じものでもSVの並び順はかなり変わってきます。それぞれのメリット、デメリットについては真ん中の注1、2に記述をしております。
次に主菜については、たんぱく質の供給源ということで、鶏の卵であると2個、牛乳ですと2本が、たんぱく質約12gに相当するわけです。これを1SVとすると比較的まとまった形の主菜の料理というのが1SV。例えば、ハムエッグ、焼き魚といったものがそんなものになりますし、ハンバーグなどになると、これが2SV程度になるという整理でございます。
また、副菜につきましては、野菜だけではなくて、いも、豆、海藻等も実質的には含まれることになると思いますが、1SV70gとしています。これはちょうど野菜、ホウレンソウのお浸し等の小鉢1つでこれぐらいのグラムになるようで、これを1SVとするといいのではないかと考えています。野菜料理の中でも野菜炒めのように比較的大きな皿に載って、しっかりとると2SVになるという整理でございます。
また、果物については、1SVが100gでミカン1個、リンゴが半分といったところでございます。これらついて、1日にとる目安の量ということについては、米国のフードガイドにならった整理でございますが、かなり幅広い対象ではございますが、大きく3つに分けています。それが中央の対象者グループでございます。1日のエネルギーにして2,000 ~2,200 kcal辺りが中心になりますが、実際にはかなり幅のある話で、そこを中心として±200~300kcalの幅のあるグループかと思います。米国にならって整理をすると、ほとんどの成人男女と8歳~11歳の男子のエネルギーを基準にして、このグループに入れています。そして、それより低いグループ、高いグループを設けて、それらの3つのグループで大体のところをカバーしようというところでございます。
この中央のグループを想定した時に、各SVでどのぐらいの1日量になるのかの目安をお話しますと、主食については仮にエネルギーで表すと4~6、すなわち5を中心としたものになります。仮にこれを炭水化物量として表すと、4になります。
また主菜につきましては、3~4の間になります。
副菜につきましては、5にしますと「健康日本21」等の目標値350gに近くなります。果物は2SVと表しています。
これらの事柄、すなわち「3+1+α」をどのように表現をするかについて、絵として、しかも量的な関係を含めて全体像を表すというのがフードガイド(仮称)の目的でございます。絵柄については、後ほど御説明します。
消費者、すなわち食べる側に対して送るメッセージとして、これらをどう表すかということがありますが、一方、提供側での表現方法を考えますと、外食等における示し方として、例えば、カレーライスは、主食だけ、主菜だけということにはならないわけでございます。カレーライスの場合は、御飯の部分だけを取り出すと主食で2SV、主菜で1SV、仮に付け合せのサラダとして割としっかりしたものが付いていれば、1SVということになります。このところは、余り細かく0.1とか0.2と表してもわかりにくくなるだけです。また、これらを表示する側も手間が大変になると思いますので、おおよそ0.5、1、2 、3ぐらいのところで整理し、細かいところは多少目をつぶりながら、わかりやすい表現をしていくと良いと思われます。カツ丼であれば主食が1、主菜が2というような形で、表しながら、こういうものを外食として提供していく時に、「3+1+α」のところをどういう形でわかりやすく表示をしていくかが大切になると思います。外食だけではなくて、スーパー、コンビニ等で売られている弁当、惣菜もある程度の整理ができるのではないかと思います。
これらを絵としてどのように表せるかということと、更に消費者への情報提供ということについては、この大ざっぱな絵の部分に加えて、数値的に言いますと、エネルギー、脂質、食塩ぐらいのところは現在も表示されています。しかし、今回新たに食事摂取基準が出されたところですので、それらを基準として、1日の目標目安とする量に対して、その1食なり1パックがどのぐらいの量に当たるかといったものを、米国では%Daily Value として示しています。これは表示の中に標準的に含まれているものですが、こういうものを表していく必要があるのではないかと考えています。
これらについて、ワーキンググループの個々の議論について、図にまとめております。その後の2ページの参考のところは、また今のことを文章として整理しているものですので、後ほど御覧いただけたらと思います。
続きまして、それをどう絵として表すのかというところでございます。資料-6を御覧いただきたいと思います。以前の3省合同の食生活指針では量的なものまでは十分に示すことのできないままに、この扇型のような形で面積がその量を表しているということであったわけでございます。資料-6は横長の1枚紙でございます。
これにつきましては、基本的なコンセプトを踏まえて、今回はデザインやコンセプトづくりのプロの方にお任せしようということで、詰めた議論もこれから行おうとしているものでございます。2D、3Dといった表現方法が考えられる中、米国のピラミッド型というのは上下関係がはっきりしているというメリットはあるものの、特に御飯その他の主食をしっかりとるという意味で、下のベースのところに置くのはいいわけですが、主菜、副菜、果物等をどこにはめるかということの難しさがあります。
また、箱型、ブロック型的なものとして、お弁当箱というのは日本的であるわけですが、1食のイメージが強過ぎて、1日としてはいかがなものかという議論があります。
円錐型というのはピラミッドの少し変形という意味合いがありますが、デザイン的にはいろいろな工夫ができるのではないかということと、右側の円錐をFのプレート型のように上から見れば平面のになるといったようなこともあるので、立体的に使った時と平面的に見た時をうまく組み合わせることにより、いろいろなメッセージをかなり印象的に表現できるのではないかといったところが、デザイン等を検討していただいているワーキンググループの尾坂委員からお話をいただいたところでございます。
いずれにしても、先ほどお示ししたような料理等のグループをどのように表すかの検討も始めているところでございます。
以上、御説明したことにつきまして、御質問ございますでしょうか。ワーキンググループで御検討いただいた先生方、何か補足があれば、お願いしたいのですが。
どうぞ。
中村委員 主食、主菜、副菜という大きな柱で分けるのは、日本的で大変面白いアイデアだろうと思っております。ただ一つここで問題になるのは、おそらく国際的にもそうなんですが、たんぱく質食品の中の牛乳、乳製品の取り扱いが非常に難しくて、ほかの国々はみんなこれは独立させているわけでございます。独立させている1つの理由は、微量栄養素の供給が他のたんぱく質と一緒にしてしまうと難しくなるというのがあるわけで、この取り扱いをどのようにお考えでしょうか。
吉池座長 ここについても、ワーキンググループでかなり議論があって、2つの選択肢を議論した結果、一緒にしようということになったわけです。特にカルシウムの給源としては重要であるということは、決して忘れてはならないことですので、主菜群に入れた時も、その具体的なリストとして示す時は、カルシウムの給源としては重要であるといった形でマーキングをして、その旨のメッセージも付けるようにしたら良いのではと考えています。
例えば、カルシウムの摂取を十分にするためには、例えば、そのマーキングされた食品を1日最低1SVは担保をするといった形のメッセージを付加することによって、今の御懸念の点についてはクリアできるのではないかと考えています。
他にございますでしょうか。
松谷委員、お願いします。
松谷委員 先ほど委員長がおっしゃったように、主食、主菜、副菜というのは本当にわかっているようでわからない人たちが非常にたくさんいるわけです。わからない人たちには、お宅には御飯茶碗があるでしょう、必ずみんなありますと。それから、みそ汁などを入れるお碗があるでしょうと言うとある。器から説明しなくてはならなかったり、更に高齢者の場合だったら、どうするかと言ったら、もう仏様にお膳を上げるでしょうと、その時にどうしていますというぐらいのことから話さなくてはならないくらいになっていることと、子どもたちの日本の食文化がまさに壊れていることをPTA連合会の会長が財団の会合の時におっしゃったことがございます。もう壊れてしまっていると。これを再構築していかなくてはならないと。それを再構築することの難しさをおっしゃっていたわけなんですけれども、そういうことでその辺を前提に置いて、わかりやすくどのようにやっていくかということを作業部会としては考えていかなくてはならないことだと、私は思っております。
そういうことで、どれがいいかとかという問題になって、まだ頭の中がいろいろと混乱しておりますけれども、日本の食生活がアメリカのように単純だったら本当にいいんです。はっきり言って日本は複雑です。例えば、イタリアなどになりますと、大体パターンがあって、そして自分たちの風土に根ざした食べ物を大事にしていこうというような基本的なものがずっと伝統的に持っていらっしゃるし、だけど、日本の場合は、もう世界から買ってきて何でもいいからと、あるいは家庭で調理をしない人たちがいっぱい増えてきてしまっているという、まさに食生活文化が壊れて家族が一緒に食べるという機会が一度もないとか、こういうような形になってきておりますから、これを作っていきます時に、私はよほど絞り込みをしていかないと、指針に全部入れようとすると、こういうものになるわけなんです。わかったようなわからないような、こんなのを外国と比べた時にみっともなくて見せられないような指針。この時にすぐ直すというのが、あれから5年間全然手が付かないで今日になったわけですから、今度作る時はそういう轍は踏まないようにしていただきたいと思います。
吉池座長 絞り込み、単純化、より印象的なものというのは、今回のポイントだと思っています。また主食、主菜、副菜というものを量的なところまでいかなくても、きちんと普及・啓発していくこと自体も大事なことだと思うのですが、その点について、針谷先生、この主食、主菜、副菜を以前から御研究なされたお立場からお話いただけますか。
針谷委員 松谷先生に御指摘いただきましたように、この主食、主菜、副菜というのを考えましたのは、やはりいろいろに日本の食事というのは各国の料理が入ってきていますので、それを栄養教育の視点からシンプル化しようという趣旨で、本当にいろいろたくさんあるんですけれども、大きく3つプラス1という形でくくってみようというのが趣旨でしたので、これが少しわかりにくい部分もあっているのかもしれませんけれども、何か食卓のイメージ等を含めて、器のイメージ等を含めて理解していただければ、日本の食文化が再構築、再生できるのではないかというふうに思ったりもしているところです。そのようなことでよかったでしょうか。
吉池座長 ありがとうございました。
では、先に手が挙がったので、永田委員、どうぞ。
永田委員 否定的なことを言うようで申し訳ないんですけれども、私はやはり主食、主菜、副菜概念は、もはや日本社会の中で壊れてしまったと思います。ここの例に出ているひじきの炒め物とかダイコンのみそ汁というのが最初の例に挙がってくるのは、やはり現実と相当ギャップがあり過ぎる。実はお好み焼き1品とかたこ焼きしか食べないとか、チョコレートしか食べない若者とかいっぱいいます。そういう子供たちが一番危機的状況にあったりして、この人たちに響くものすごいわかりやすいものでないと、やはり現実的な行動変容につながらない。
理想は確かに、日本の伝統食の復活というのは、おっしゃるとおりすばらしいことですけれども、そこのところを目標に掲げるとギャップが激しすぎるんじゃないかというふうに、私は思います。
吉池座長 今いただきました御意見で、ここで例として挙げさせていただいているのが、厚生労働省の国民栄養調査のデータ等で、これは家庭で作られたということにはなるのですが、頻度が高く出てきた料理について整理をしていますので、実際そういうものをほとんどとらない方もいるのかもしれませんが、まだ食べられているものが例となっています。
また、どこまでの要求水準というか、レベルで考えるかといった時に、今おっしゃられたように、余り高いレベルというか、必ずしも家庭で作ってとかではなくて、セーフティーネット的に最低限ここまでということを構築するためにこのような整理をしていくことを考えています。今、永田委員からいただきましたことについては、十分頭の上に置いて一番注意しなければいけない部分の改善につながるメッセージにする必要があると思います。
どうぞ。
服部委員 欧米の例だと、5D運動だとか、まずパッとキャッチがあって、それは何かというと5つのディッシュをとりなさいよと。それも色が5種類の色のもの。それは野菜を中心にとったり果物をとりなさいとか、5プラス2ディッシュとかあるんですね。2ディッシュというのは100g、100gの果物で、5は70g ずつのいろんな野菜をとりなさいとかあるんです。
これは違う運動なんですけれども、そのようなパッとわかるものにして、これは先ほど委員会で作られたんだと思うんですけれども、勿論最終的にはこういうものにつながっていくんですね。それで更にもっと細かくつながっていくんですが、その前のキャッチが欲しいなと。
では、ピラミッドみたい、円錐型みたい、箱型みたい。これはビジュアルでは非常にいいんですが、その前にパッとキャッチありきではないかと。キャッチがあって、そして、それが絵になるんですけれども、色で分けて、本当に先ほどこれをメインディッシュだとかベースだとかサブだとかあるんですけれども、私は英語で言っているんですが、主食だとか主菜だとか副菜ですね。あと、今の子どもたちは別に横文字にする必要はないと思うんですが、フレンチ行こうとかイタリアン行こうとか、和食をたまに食べようやというのもあるし、家庭における非常に複雑な部分もあるし、ですから、そういうのは次の段階でサインが出てきて欲しいんです。もっとわかりやすくね。
しかし、最初からこれを言われてしまうと非常に、我々はわかっていても一般の人はわからない。もうこれ以上入るのやめようという気になるんですね。ですから、その前の段階が欲しいなと。それがこの絵だけじゃなくて、もっとわかりやすいもの。
それと、これはどのぐらい予算がおありなのがわかりませんが、この委員会でDVDだとかビデオでプレゼンテーション、何でもそうですが、世の中に物を知らしめる場合にプレゼンテーションが必要だと思うんですが、アニメを使ったり、そういうものがどこの家庭にも届くなりの工夫が必要で、ポスターだけじゃなくて、それがどういう具体的な意味であるかというものをつなげていくようにしていただければ、もっともっと情報は後の方に入れられる。ただ、キャッチが必要だと。キャッチは目に見えるビジュアルな部分と耳から入ってくる両方がわかりやすく欲しいなというふうに感じております。
吉池座長 それでは、津志田委員、お願いします。
津志田委員 やはり現在の食生活指針は非常にいいと思いますが、実際に今足りないものは何で、こういうものを食べさせたいという、その主張がなかなか伝わってこないところがあります。服部先生の御意見とほぼ似ているんですけれども、指針を見た時にこれを食べなければいけないんだなというイメージが伝わるようなものを、これはこれとして、やはり作っていかなければいけないのかなという気がします。
果物について、ちょっと思ったんですけれども、その他の中の区分に入れられていますが、世界的に見ますと、日本は果物の消費が非常に少ないというふうに言われていますので、こういうような取り扱いですと、何か脇に置かれている印象があるので、もう少し食べた方がいいという印象が伝わるような方向で出していただければいいのかなと思います。
吉池座長 他にございますでしょうか。
武見委員、どうぞ。
武見委員 服部先生がおっしゃったことはごもっともだと思うんです。全体として何を伝えるのかという一つのメッセージみたいなものをきちんとするということは大いに賛成です。
今回のこの資料-5に示されたのは、その中をどうするかというところの話になってきていると思いますので、そのときに一応、食生活指針などでもうたわれている主食、主菜、副菜というものが、もう少しわかりやすくなるようにということで、実際にはその括弧書きにあるような食品群でどう食べるかというような情報とも、つながるようなものということで、このような提案をワーキンググループからはさせていただいているわけです。
さっき永田委員の方から、子どものことが出ましたけれども、実際に学校給食などでは、今かなりこういう主食、主菜、副菜というような概念と合うような形で給食の献立が提示されてきたりしております。現実として、それがもう壊れてきているという面はありますが、やはりねらっている方向とか学校教育の中でということを考えた場合には、こうした一つの日本の食卓からイメージしやすい主食、主菜、副菜という料理での枠を出していくということは非常に大事ではないかと思います。
あと、果物のことに関して申し上げれば、この「その他」という表現はちょっと何とかした方がいいかなと実は思うんですね。やはり「その他」というのがちょっと付属的なイメージになりますので。果物をもう少し魅力的に位置づけるのであれば、この辺の表現はちょっと検討が必要かなと思います。すみません、ワーキンググループの方から出しておきながら。
吉池座長 松谷委員、どうぞ。
松谷委員 その他の問題のところに果物だけが入っていますけれども、何か永田委員が先ほど質問されたように、牛乳は私は独立させて入れていただきたいなと。今、高齢化社会で骨粗鬆症の問題で寝たきりにならないためにもとなった時に、日本では6つの基礎食品では牛乳・乳製品と海藻・小魚の骨などありますけれども、海藻とか小魚というのは、また別のものとして、私はここにやはり牛乳・乳製品は果物と同じような位置づけで入れていかないと、日本の中でお料理に使うというのは、本当に都会の一部の人たちであって、日本全国というわけにはなかなかいかないので、牛乳・乳製品はここで独立していただきたいなと、私は今、感じました。
そのことをこれから検討されていくときに、先ほど言ったように、日本の食文化が壊れていると言ったのは、小学校の段階とか中学校の給食の昼の御飯はいいんです。家族一律をトータルで見て、高校生ぐらいになったら、全然壊れていっています。
更に、学校給食で教育が徹底していれば、20代、30代の人の食生活はいいはずなんです。それがこれで見た時に壊れていると。だから、学校は学校なりでひとつ一生懸命やっていただくけれど限界があるということから考えたら、食生活というものはやはり基盤としては家庭を基盤に、一応生きるということを基盤に置きながら、トータルでわかるような内容に、易しく、どこに絞り込むかということを考えてやっていかなくてはいけないんじゃないかなと、私は今のことに併せて、ちょっと一言申し上げました。
吉池座長 ありがとうございます。
どうぞ。
中島生活習慣病対策室長 事務局でございます。こうした議論を踏まえまして、改めて私の方からのお願いでございまして、実は資料-4で私から御説明申し上げた、または参考-4で御説明を申し上げたことをもう一度再度お願いをしたいと。
すなわち、松谷委員の方から食生活指針について、大変手厳しい御意見をいただいたわけですが、やはり率直に申しまして、これまでの栄養行政はある意味で模範的、理想的な像を描いてやってきたところがありました。要するに80点、90点、100 点をとりなさいよという形であります。ところが、生きている人間はなかなか聖人君子ではございませんので、まず覚えきれないし、誘惑に弱いということがございます。
私が実は参考-4で詳しく今の国民の栄養状況の偏り等を御説明しましたのは、フードガイド、ある意味で教科書的にこういう食生活を実現していくことが重要だという理想像を描いていただくとともに、私どもとしては、ターゲットを絞って、せめてこれだけはしっかり守ってもらいたいということを強く打ち出していただきたいわけです。 一般的な国民に理想的な食事像を提供するということはすべてにおいて基本でございますので、そういう取り組みというものは大変重要でございますが、この段に及びますと、誰に対して、せめてこれだけは確実に毎日の食生活で守ってもらいたいということを。そして、それを余りに専門的な用語で語られても難しゅうございますので、具体的に野菜350gというのはこれだけだと。そして、これに火を通すとこれだけぐらいになるんだということがビジュアルで明確にわかるようにと。または油をとり過ぎないようにという点では、カツ丼を食べると1日にとるべき油のこの程度の量は、このカツ丼1杯で摂取されるとか、そういう今の栄養状況、国民の世代ごとに抱えている問題点をわかりやすく国民に問いかける。それが私どもの方のお願いしている資料-4の2ページにあります「第2部 ターゲットを絞った問題提起編」というところは、是非とも、これをいわゆるフードガイドの模範的なものに附属というのか副編というのかあれですが、そういうものを是非ともお願いをしたいと。我々はそこに大変関心を寄せさせていただいているということをちょっと申し上げたいと思います。
吉池座長 今、事務局から御発言がありましたように、ターゲットの絞り込み、また見せ方としての単純化、明確化というのは非常に重要なわけですが、一方ではその単純に見せていく中での詳細な検討も必要になります。ある方が自分の食生活をきちんとアセスメントをして欲しいといった時には、管理栄養士、栄養士さんが中心となって、そこの部分を個と対応しながら、こういうツールを使って、よりわかりやすい形で栄養指導をしていくという両面が必要なんだろうと思います。その辺、管理栄養士の栄養指導という立場から、それをどう栄養指導として展開していくかについて、早渕先生、御意見があればいただきたいと思います。
早渕委員 いろいろな先生方から本当に貴重な御意見をいただいて、やはりまず永田先生とか宮川先生からもいただきました、みんなが共通の物差しを持つというのは、やはりすごく大事で、ワーキンググループではその共通の物差しというのを主食、主菜、副菜から入ったところはひょっとしたら間違いかなとちょっと思いました。
実際、私の大学でも管理栄養士養成をしておりますが、入学してくる学生のかなりの人が主食、主菜、副菜を知りませんし、実際、食事計画をさせてもなかなか難しい。一般の人はもっとだと思うんですね。やはりそういう面ではわかりやすくということを考えますと、やはり赤、黄、緑、3色の分類は小学校から入ります。信号で言うと赤は危険だよということで、たんぱく質源で油も入っていて、赤は危険だよ、食べ過ぎてはいけないよと。黄色は穀物ですね。そして、緑で野菜とか果物という感じで、赤、黄、緑とかという方から入るのがいいのかなと思ったりしました。
そして、実際うちで調査などしますと、今、主食とも主菜とも副菜とも言えない、もう1品ですべてをカバーするようなもの。特に一人暮らしですと、一皿料理あるいは1つの丼ぶりですましてしまっていて、とりあえずは計算するとそれなり、まあまあというものもあれば、全然偏っている、ラーメンの麺だけで穀物だけというものあります。
外食の中にもいろいろ工夫がされていて、ハンバーグと言いながら、ここで言えば主菜という分類になるんですが、実際には野菜たっぷりのハンバーグもあったりですね。そういう面では、やはり赤、黄、緑ぐらいで、主食、主菜、副菜とかいうことではなくて、そのもののいわゆる栄養適否がパッとわかる。小さな子であっても、赤、黄、緑の信号に見立てればわかるのかなとか、そこら辺をいろいろ反省しつつ、今からのフードガイドもいろいろお手伝いさせていただきたいなと思っております。
吉池座長 ありがとうございます。
今おっしゃったようなことについては、具体的にどう整理するかを悩みながら、今回複合的なものについては、余り細かいことを言っても複雑になりすぎますので、ある程度単純化をして分けていくしかないだろうと思っています。外食よりも更にコンビニエンスストアではさまざまな形態のものが売られていますので、複雑ではなく、しっかりとしたメッセージを伝えていかなければいけないと思われます。まだ御発言されていない、伊藤廣幸委員、いかがでございましょうか。
伊藤(廣)委員 今、コンビニエンス業界は約四万一千店ございます。そしてご利用いただいている主な客層は若い方が中心でした。しかしこれからの高齢化社会を俯瞰しますと、今後は高齢者が主要客層となっていきますことは間違いございません。従って、今後はなお一層拡がりをもった客層にメッセージを発信する役割がコンビニエンスストア業界に求められているものと思います。しかしコンビニエンスストアでのお客様の購買行動は極めて直感的で、今食べたいから買う、おいしそうだから買う、という行動で比較的短い時間で買い物されます。こういったことから、コンビニエンスストアでのメッセージの発信の仕方は、ビジュアルで視覚的に訴求していかないと、お客様に伝わらないと思いますので、先ほどの早渕先生がおっしゃった、赤、黄、緑といったようにビジュアル的に区分していくという方法が一番わかりやすいと思います。ただ、気をつけなければいけないことは、量をどれくらい食べたらよいか、あるいは、適量はどれくらいかといった表現もしていかないと、食べ過ぎのようなことが起こる可能性がありますので、併せた表現方法ができれば、コンビニエンスストアでのメッセージとして伝わるのではないでしょうか。
吉池座長 色のことを含めてどう表現をするかについては、デザインのところで御意見をいただきますけれども、基本的な出発点として、料理、口に入る形で難しさはありながら、進めていきたいということで、私自身も含めて検討をしてきたわけですが、その辺、武見委員、どうぞ。
武見委員 今のことに関連するのですけれども、その赤、黄、緑の3色分類というのは、確かに浸透していると思うんです。でも、一般の方たちは、その3色というのは何かそんなようなものがあったなというぐらいではないでしょうか。では、実際に赤は何なのか、黄色は何なのかというところまでは決して認識していないわけです。
その赤、黄、緑の3色分類とも、この主食、主菜、副菜はおおよそ対応するようなイメージで作られているわけですね。主食がエネルギー源ですから黄色、主菜が赤、副菜が緑ということになります。
いわゆる食材料、食品で何グラムと言われてもわからない人たちが多いからこそ、一番食べる状態に近い、料理の形で何とか表現したいと考えたわけです。
その表現の仕方自体が、今これだけ見ていてわかりにくいのは、まだいわゆるビジュアル的になっていないとか、いろんな問題があるからだと思うので、基本的な区分整理としてこれでどうなのかということを、今日の段階ではワーキングの方から提案させていただているというふうに御理解いただければと思います。
吉池座長 服部委員、どうぞ。
服部委員 基本的には、ガイドを作るわけですから結構なんですけれども、ただ、その表現はそれぞれあるにしても、もう一つ、私は人に説明する時なんですが、その前に問題提起をいつもするんですね。なぜ朝食が必要だと思いますかとか。そうするとわからない人がほとんどなんですよ。それを説明すると、へえ、やっぱり朝食を食べなければいけないんだと。ここで説明をすると時間がかかるんでしませんけれども、その他にアレルギー疾患が今増えている、糖尿病が増えている、いろいろあるわけですね。
こういったことを何かキャッチフレーズでいつも危ない危ないよという、気を付けなさいよというのがドーンと出る。今、確かに厚生労働省からも出てはいますけれども、確かあったような気がするぐらいで終わっているんで、その後にガイドからピッと目に付くように、だからとらなければいけないんだなと。これをとりなさいと言われても、今どうなっているかわからなくてとりなさいと言われても理解に苦しむだけだと思います。
最後の方になってしまったんで、話が飛びますけれども、この前、洋服のデザイナーの方々と議論をすることがありました。今、女性はみんな10歳ぐらいから17、18歳までの服が余りにも細いんですね。この服を着られなくなってはいけないというんで、実はやせているんだという逆の発想もあるんですね。
ですから、そういう方々も含めて、お呼びしなければいけないかなというか、それと学校給食に関しては、アメリカなどでは朝食まで学校給食になってきているんです。これがいいかどうかは別にしましても、国の大きな施策になってきていますので、この辺の見方というのも、また必要かなと。
あと、アレルギー疾患に関しましても、先日も小児科の先生にお会いしたら、うちの子どもはブルーのおしっこが出ないんですが大丈夫でしょうかと。コマーシャルを見たブルーのおしっこを見て、本当にそうだと思っている人がいたり、うちの子どもの離乳食はカスタードプリンですと言うんですね。1日7個食べさせましたと言うんです。実は5か月の終わりぐらいまでは母乳以外は受け付けないということをお母様方は余りに知らなさ過ぎるんですね。それ以外の要素のものが入ってくると、特にアレルギーで24品目決められたものの中の牛乳と卵と小麦粉とピーナッツとそば粉ですか。それ以外は青背の魚だったりイカ、タコ、エビ、カニ、アワビだったり、そういうようなたんぱく質なんですけれども、こういったものが5か月以前に入ってくるとアレルゲンの基になるんだということを、わかっていない人たちが多過ぎるんですね。
ですから、私は学校給食の段階で、これから栄養教諭というのも出てくるけれども、もっと興味を持って何で朝食を食べなければいけないのかと理解できるというものにしないと、もっともっとあおらないといけないような気がします。
吉池座長 そろそろ最後の時間も気にしなければいけなくなってきましたが、少しデザイン的にどう表現をするかについて、今回は中身もきちんとして、しかもわかりやすくという目標があります。
更に言うと、それが例えば、飲食店やスーパー等に張るなりしていただいた時に、あんなのダサくてだめというものでは困るので、デザイン面についても御意見があればいただきたいと思います。また、先ほど、SVということで、とりあえず呼んでおりますが、皿というイメージも何かパッとしないし、逆に横文字でサービングサイズの方が何か目新しい言葉なのかなという意見もあったわけですが、その点の御意見をいただければと思います。
中村委員 こういうものを作る時に、専門的な制度を高くすればするほど使いにくくなって、使いやすくすればするほど制度は悪くなるというのは、これはもう宿命でありまして、そこをどこで目的に応じて、バサッと切るかというのが最も論点になるんだろうと思うんです。
おそらく今日の論点の課題は、さっき武見委員がおっしゃっていた、国際的には食品群別のガイドラインを料理別のガイドラインに日本はしようと。これは新しい提案だろうと思うんですね。その提案に対して、もう少し例えば、食品群別にすれば、こういうメリット、デメリットがある。料理別にすれば、こういうメリット、デメリットがあるということを整理して、そして、この委員会で議論をされた方がいいと思うんです。
この料理別のガイドラインというのが出たら、これは国際社会ではもう専門家もびっくりして、おそらくよくやったという意見もあるし、非常にいろんな問題を含んでいるという意見も出るし、それに耐えられるだけの論点を少し整理しないと難しいんではないかなというふうに思っております。
吉池座長 今、大変重要な御指摘、御提案をいただきましたが、この点について、いかがですか。
松谷委員 賛成です。
吉池座長 基本的にワーキンググループにおいても、両者検討しながらも、作業的、時間的なことも踏まえて、料理をベースにして、具体的な検討を進めてきたわけです。今、中村委員から御提案をいただいたような形での両者を並べてというところの議論を本日深くしていただく予定にはなっていないわけですが、時間的なところも含めて、どのように今後進めていくかということについて、少し考えたいと思います。その辺について、事務局の方はいかがでございましょうか。
姫田消費・安全局消費者情報官 まず一つは、今、作業部会で御検討いただいている中で、中村委員からお話があったように、いわゆる食品別ではなくメニュー別の考え方を取り入れたことについての御提言だったと思います。実は、私どもとしてはできればこのフードガイドを今年度中に取りまとめて、来年度は打ち出す年だと思っております。もしこの場でそういう方向で御了解いただければ、その方向で作業部会で作業をしていただいて、この後、第2回を3月頃に開催する方向で考えたいと思っております。是非メニュー別というところについては、この部会の中で方向付けをお願いいたします。その上でまた作業部会の中できちんと検討していただき、これまでの御意見を何らかの形で出し、3月に開催できればと思っているんですけれども。
吉池座長 今、論点となっている、食べる人にとってわかりやすい形として、主食、主菜、副菜という料理ベースでの整理が、作業部会では幾つかの検討をした中でベストとは言わないまでも最良なものなんだろうと考えました。その辺の考え方、背景については、武見委員の方からもお話をいただいたわけですが、それについて、先ほど、中村委員もまだまだ検討が必要だということを御意見いただいたのですが。
どうぞ。
田中委員 非常にローレベルな話かもわかりませんが、我々が一番こわいのは、私どもは一般飲食でございますので、とにかく家庭で、これを食べたらいかぬ、あれを食べたらいかぬというものを外食のときに食べるわけですね。山の神から注意される料理を外食の時は食べられるわけなんです。
そういうふうなことで、それがやはり我々のニーズにもなるわけなんですね。1つのこういうものを作られると該当が外れてしまうわけなんですけれども、しかし、一番我々が商売で怖いのは、中毒なんですよ。この肥満もそれに等しいものだろうと思うんですね。 だから、中毒に対する問題はポスターとかいろんな標語で求めております。ズバリ一番書かれるものは、やはり小学生がこういうことをしたら中毒になるんだ、こういうことだから中毒はこわいんだというポスターを書いてくるわけです。中毒に非常に認識があるんですね。そうであれば、これは絵というものをかかせて、肥満というものはどういうことだという絵をかかす時において、こういうものを食べたら肥満になるんだ、こんなものを毎日食べたらこうなるんだというようなことから、漫画でもいいんですが、そこから入っていった方がこんな難しい図よりもズバリではなかろうかと思うことを申し上げまして、終わります。
吉池座長 ありがとうございます。
中村委員の御提案がありましたが、当初の出発点としては、御説明しましたように、食べる人、特に中高年男性ということでありますので、料理ではなくて、全く食材料、食品から出発ということは、ないのだろうと考えております。
ですから、表現方法として、どのような形、細部のところを加えるかどうかといたしまして、基本的に食べる側によりわかりやすい表現で進めていくこと。現時点でのベストではないかもしれないけれども、既に3省合同の食生活指針でも主食、主菜、副菜という表現はとっておるわけですので、まずこれを軸に進めていくということで、今日御意見をいただいたことについては、ワーキンググループで検討していくというようなことで、今日は整理をさせていただきたいのですが、いかがでございましょうか。基本線としては、主食、主菜、副菜で今後のさらなる検討を進めていくということではいかがですか。
中村先生、どうぞ。
中村委員 いいです。
永田委員 でも、そこのところが実はさっき議論をしたんじゃないんですか。だから、私はせっかくこういうふうに準備をされているのを別に1から引っくり返すつもりはないんですけれども、ただ、やはりそこのメリット、デメリットと今日議論したわけですから、基本的な路線についても、実は主菜・副菜という考え方にやはりメリット、デメリット両方検討しながら進めていただくという話し合いだったんじゃないでしょうか。
私はやはり思うんですけれども、例えば、単位のサービングの考え方でも、基本的な概念がベースにあって議論できる。つまり理解できるという人たちを対象にしている考え方で、そこの手前のところの理解ができていない人への配慮がやはりもっと必要なんじゃないかというふうに思います。
姫田消費・安全局消費者情報官 事務局からですけれども、今、事務局が言おうとしたことをほとんど永田委員に言っていただいたので、やはり今日御議論いただいたことを踏まえて、作業部会の方で是非もう一度、それを踏まえた中での作業をお願いしたいと思っております。つきましては、今日、委員の方々に集まっていただいて、この議論をしていただくのがやはり今日の基本的な趣旨でございますので、作業部会で御議論をいただいた後、もう一度その検討結果をこの場で御報告いただくということで良いかと思っております。
吉池座長 どうぞ。
中村委員 私もこの主食、主菜、副菜というのを否定しているんじゃないんですよ。非常に面白いチャレンジなんで、それに耐えれるだけのきちんと論点整理をして、出された方がいいだろうというところです。
吉池座長 どうぞ。
早渕委員 私も先ほど、赤、黄、緑を発言いたしましたけれども、基本的には武見先生もおっしゃったように、この主食、主菜、副菜、料理レベルと食品レベルはかなり関連があるんですね。ですから、そこをきちんと整理しまして、提示するなら、やはり料理レベルの方が一般の方はわかりやすいので、料理レベルなんですが、その根底には食品があってという辺りを上手に整理できるんじゃないかなと。わかりやすく料理レベルで示すけれども、その根底には食品があってということで整理していくような形で努力していったらと思いますので、よろしくお願いします。
吉池座長 当初、事務局からお話があったように時間的なことがあったので、今後のスケジュールについては、かなり急がなければいけないと思っていたわけです。ワーキンググループで一度その点も含めて整理をするということで、3月ということでは、その次の議論ができなかろうと思いますので、今日の議論を踏まえて、また事務局でも調整をしていただきたいのですが、それより早い時点で、どういう形で大枠での整理をするかということについて、本委員会を開催していただき、更に具体的なところを3月に向けてやっていくことになるかと思います。先生方、それでよろしいでしょうか。
松谷委員 ちょっとお尋ねしますが、最初のこの検討をした作業部会の構成メンバーはどなたであったかということだけ聞かせてください。
吉池座長 事務局から当初御説明あったと思います。
姫田消費・安全局消費者情報官 説明が十分でなかったかと思います。最初の資料-2の要領のところに、1枚紙でございますが、それを見ていただければ、入っていると思います。
松谷委員 わかりました。
吉池座長 それでは、委員の方から異議がなければ、今お話ししたような形で、今後進めさせていただきたいと思います。
服部委員 最後に1つ。もしピラミッド型を考えるかどうかわかりませんが、私がいつも思っていたのは、ピラミッド型というのは上にこうなっているんですね。この円錐型でもいいんですけれども。逆さにすると、まず何をとったらいいかという、そういうものにつながるんです。今までですと逆なんですね。アメリカのものは。下がベースがあって。我々日本人というのは、パッと見た時に上にいわゆるここで言うところの主食があって何とかというのにつなげられるようなことがあるんだったら、両方のプレート。プレート型と円錐型でも逆さにするようなものを組み合わせいただけると、すごくわかりやすいかなというふうに、先ほど、中村委員からのお話もあるように、プレート型の方で言えば、いわゆるどういうたんぱく質であるとか糖質であるとか脂質であるとかの割合ですね。それで円錐型の立体になりますと、いろいろ具体的にそんなものが見えてくるんじゃないかと。それも逆にすると非常にわかりやすいと私は思っていたんです。
吉池座長 それでは、今後のスケジュールについて、進め方について、委員から特に御異論がないようであれば、今日のこの委員会については、私の進行の不手際をおわび申し上げるとともに、これで終わりにさせていただきたいと思います。
それでは、事務局の方にお戻ししたいと思います。
姫田消費・安全局消費者情報官 それでは、本日の御検討結果を受けまして、作業部会の方で再度論点を整理していただき、その成果を報告していただく方向で日程調整をさせていただき、第2回目を開催させていただきたいと存じます。
本日はお忙しいところ、長時間にわたり、時間も超過しましたが、活発な御議論ありがとうございました。
それでは、これを持ちまして、第1回の「フードガイド(仮称)検討会」を閉会させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。