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第2回 補給金単価算定方式等検討会 議事録

第2回 補給金単価算定方式等検討会 議事録

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1.日時及び場所

日時:平成28年3月24日(木曜日)13時30分~15時30分
場所:農林水産省7階共用第1会議室

2.出席者

委員:秋山委員、生部委員、臼井委員、内橋委員、小谷委員、近藤委員、清水池委員、白川委員、前田委員、村上委員、矢坂委員
農林水産省:今城生産局長、大野畜産部長、森牛乳乳製品課長、本田乳製品調整官、青山課長補佐、金澤課長補佐、林課長補佐

3.議事

【今城局長より冒頭挨拶】

(今城生産局長)

本日はお忙しい中、本検討会にご出席いただき感謝申し上げる。

昨年11月、TPP政策大綱において、加工原料乳生産者補給金制度に生クリーム等の液状乳製品を追加することが決定したところ。先日開催した第1回の本検討会においては、委員の皆様から現行の制度に対するご意見のほか、検討会の進め方等についても幅広いご意見をいただいた。

本日は、前回いただいたご意見をふまえ、酪農政策における補給金制度の位置付けや、算定方式の考え方等について、資料をご用意した。新たな算定方式等の決定に向けて、本日も忌憚のないご意見をいただきたいと考えており、何卒よろしくお願い申し上げる。

 

【算定方式の検討について】 

(前田座長)

前回の議論で、補給金制度だけでなく酪農乳業政策全体をパッケージで議論すべきとのご意見があった。本日は、まず酪農乳業政策における補給金制度の位置づけについて、事務局から説明いただき、ご意見・ご質問を頂戴したい。

それをふまえた上で、本検討会の目的である算定方式の考え方及び前回臼井委員からご意見いただいた生産費や労働費の考え方について、議論を進めていきたい。

それではまず、酪農政策における補給金制度の位置付けについて事務局からの説明をお願いする。

 

【酪農政策における補給金制度の位置付けについて】

【本田調整官から資料3の3ページまでを説明】

(前田座長)

それでは今の説明に対して、ご意見があれば。

 

(矢坂委員)

資料2ページの書き方には違和感がある。生産コスト上昇に対して、補給金は1/7しか反映できないことから、十分に対応をしているとは言いがたい。補給金制度が(対応できているという)○という評価でいいのか疑問。

同じように、交付対象数量の設定も○という評価は過大ではないか。交付対象数量が需給の緩和やひっ迫に対して強い効果があるとは言えず、間接的な対応でしかない。交付対象数量を超過して生産された生乳に補給金を交付せず、特定の生産者の手取乳価を引き下げることによって生産が抑制されたことはほとんどない。生乳不足のもとでは、交付対象数量を増やしても未達枠が生じるだけで、増産を促すインセンティブとして機能するわけではない。

 

(近藤委員)

同じく2ページの資料には違和感がある。補給金は生産コストの上昇に1/7しか反映できないのに○がついて、取引価格の下落には、制度見直し後に△となっており、それ以下の対応しかできないと読める。○と△の評価の違いがわからないので、考えをお聞きしたい。また、ここで議論すべきかわからないが、「単価水準を見直す」という措置により△としているのだろうが、例えばそれはどういう時に見直すのか。

また、矢坂委員も発言されたように、需給の緩和に対して交付対象数量が対応できている(○)となっているが、計画生産を誘導する効果はある一方で、生産基盤を毀損しているという点を踏まえると、○という評価は過大ではないか。

 

(生部委員)

第1回の議論で、酪農全般について議論すべきとのご意見があったと伺っている。そのような中、事務局から、まずは要となる補給金の算定方式を議論していきたいという提案があり、そのことについては同意する。

しかしこの場ではないのかもしれないが、酪農政策の根幹をなす補給金だけでなく、需給調整や生産基盤対策といった他の政策についてもしっかり検討していただきたいと思っている。

 

(臼井委員)

まず、現行の補給金の総額を増減することなく一本化するのか、それとも総額は流動的なのかということを確認したい。

また、今回の見直しは、TPP対策として補給金の対象を拡大するということだが、酪農の現状をふまえて作られている現行制度を基本的に踏襲するのであれば、今後TPPの影響が新たに出てきた場合のその影響に対して、プラスアルファの対策を措置していくべきと考える。

 

(前田座長)

矢坂委員及び近藤委員からは、2ページに記載されている補給金の評価に対するご意見、生部委員からは継続して議論の場を作って欲しいというご意見、臼井委員からは大きな視点でのご意見を頂戴した。では、事務局から回答を。

 

(本田調整官)

資料の2ページについては、○と△の定義が明確でなく、誤解を生じているところもあったかと思う。申し訳ない。○と書かせていただいたものについても、補給金で全て対応しているという意味ではない。生産コスト上昇や乳価下落に対して、補給金は一定の機能があるが、ナラシ等の色々な施策と相まって酪農家を支援していくことが重要であり、補給金制度を決めた後に、他の政策についても引き続き意見をいただきたい。

臼井委員のご質問について。まず生クリーム等を補給金の対象に追加するということは、大きなTPP対策の一つと考えている。総額については、酪農家の再生産を確保するための補給金単価や交付対象数量のあり方を議論していく中で決まってくるものと思っており、総額を念頭に置いて決めていくものではない。

 

(前田座長)

他の意見や、さきほどの意見に対して追加があれば。

 

(村上委員)

まず補給金の算定方式に絞って議論していくということだが、補給金の議論の後に、他の政策を議論させていただけるのか。特に緩和時の需給調整についてはしっかり議論したいと考えている。

 

(森課長)

まずは、補給金の仕組みをしっかり決め、その上で、需給緩和時にどういう仕組みが必要かということ等、関連する政策について議論していくこととしたい。

 

(前田座長)

私からも意見を。2ページの表現は、補給金の対応が○と書くと、補給金が全能的な制度であるように読めることから、表現を工夫した方がいいのではないか。

 

(森課長)

2ページについては、○や△でなく、より詳細な中身を書いて、次回お示ししたい。

 

(前田座長)

複数の委員からご意見があったように、算定方式の議論を進めていく中で、その他の政策についても議論が出来るような進行をしていきたい。では、算定方式の議論に移らせていただく。

 

【算定方式に関する具体的な検討すべき事項】

【本田調整官から資料3の4ページ以降を説明】

(前田座長)

ここでの議論は大きく分けて3つ。まずは初年度の単価の設定方法、次に2年目以降の単価の設定方法、最後に交付対象数量の設定方法について。では順次委員から議論いただきたい。

 

(内橋委員)

交付対象数量と関連があることから3ページの考え方について確認したい。生クリームを補給金の対象に追加して一本化すれば、乳業的には生産の自由度が高まるが、その一方で、配乳に制約がないのであれば、需給に対する生産者及び国の関与は低下する。TPP発効後もカレントアクセス輸入の運用など国は乳製品の安定的な需給に対応していく責務があると思うが、一本化する中でどのように品目毎の需給の安定を図っていくのか、考えをお伺いしたい。

 

(前田座長)

一本化することに対する考え方についてご質問いただいた。今後の議論にも関わってくるので、整理しておきたい。では事務局から回答を。

 

(本田調整官)

現在、生クリーム向けに補給金はないことから、生クリーム向けよりも脱脂粉乳・バター及びチーズ向けの方が生産者の手取りは高くなっている。そのため、どの用途に生乳を振り分けるかは、需要がどれだけあるかというよりも、乳価がどれくらい高いかに大きく作用されるという現状がある。補給金のあるなしで配乳が歪曲されず、消費者の需要に応じた配乳がなされるためには、一本化して同じ単価を付けた方がよいと考え、対策として大綱に盛り込んだ。交付対象数量の設定については、7ページに記載させていただいているが、今申し上げた一本化することの趣旨をふまえると、用途を限定せず運用していってはどうかと考えているところであり、議論していただきたい。

 

(白川委員)

補給金の対象にならない生乳が出るという事態になってしまうと、せっかく乳業者が需要を拡大しても、生産者の増産意欲に水を差すこととなる。そのようなことがないよう交付対象数量は、対象品目の需要にあった数量としていただきたい。

また、一本化した交付対象数量については、用途横断的な数量としてはどうかという事務局案のとおりでお願いしたい。昨今バター不足などが心配され、社会から強く改善を求められているが、需給が緩和すれば、需要のある分野に注力して生産することが重要であり、制度として交付対象数量にミシン目をつけることは適切でない。ユーザーのニーズにあった商品を安定的に供給することが乳業者の基本的な責務であり、この問題は乳業者や業界団体の努力により解決すべきと考える。

 

(前田座長)

白川委員から7ページについてご意見いただいた。少し話を戻して、4~5ページの初年度単価の設定方法についてご意見をいただきたい。

 

(近藤委員)

「生産コストと取引価格の差を埋める」ことが「再生産の確保」ということは同意であり、それ以外にはない。ただし留意すべきは、生産コストの概念が何かであるが、それは持続的な酪農経営を行うこと、つまり設備投資が可能な水準であるかどうかということである。再生産が可能な設備投資とは、恒常的な所得に比例するものであり、恒常的に安定した所得が確保されれば、設備投資は増え、持続的な経営につながるものと考える。そのためにも、生産コストについてはまず労働評価を適切に行う必要がある。その上で、生産コストと取引価格の差については、恒常的な差を考慮すべきであり、短期的要素ではなく、直近にとらわれない、一定の長い期間で算定を行う必要があると考える。また使用するデータについては、北海道の取引乳価と生産費調査で良いと考えるが、生産コストについては、労働評価をどのように考えるかが議論すべき部分であり、生産費調査については、採用する取引乳価と取引の実態との整合性を踏まえるべきである。

 

(前田座長)

関連して他にご意見あれば。

 

(清水池委員)

いくつかコメントと意見。経済状況の変化に応じて適切に単価水準が見直されることが前提ではあるが、生産コストの上昇及び乳価下落による所得の減少に対応できるようになるという点では、示された算定方式は現行制度と比べ所得補償機能が高まることから、評価できる。ただし、「単価水準を適切に見直す」仕組みについては、どういう時に見直すのかを示す必要があると考える。明確なルールを示すことは政策的な裁量が狭まるため難しいとは思うが、例えば、3年や5年ごとなど、定期的に更新するという考え方もある。生産者が将来を見通せる施策にするためにも必要ではないか。

 

(前田座長)

見直しのルールについては、また別の機会に議論することとしたい。近藤委員に関連してご意見を頂戴したい。

 

(臼井委員)

生産コストの考え方について、北海道の生産費調査を使用するとのことだが、都府県と北海道ではどちらが実勢に当てはまるものになっているのか。また、北海道の中でも、根室管内の生産費試算では、農水省の調査と乖離しており、根室管内のほうが12%ほど高い結果となっている。生産コストの数字の取り方はより実勢に近いものにするべき。

 

(生部委員)

「再生産の確保」の考え方について、その意味を改めて考え直したい。近藤委員と考え方は似ているが、再生産の確保とは、経営者が適切に投資し、継続・発展できることであると考える。米の戸別所得補償制度が直接適用できるわけではないかもしれないが、このような考え方もあるだろうし、また固定払いであれば初年度の発射台も重要となってくるため、この点は慎重に検討すべき。また、副産物価格の取り方や、算定における年度の取り方についても一定期間を使用するなど考慮すべき。

 

(前田座長)

具体的議論に入りつつあるが、その前に、事務局から示された考え方について整理したい。

 

(矢坂委員)

データとして生産費調査を使用することは当然ではある。しかし、家族経営を調査対象としている生産費調査と、企業化している現状の農業経営とのすり合わせができているのかは疑問。今は家族労働力主体でも企業的性格を持った経営や法人組織形態の経営も多くなっている。牛1頭は水田換算して1haと同じという考え方もできるように、酪農は大規模経営が主体となっている。このような企業経営化が進行する中、生産費調査では把握しきれていない部分をどう評価していくのか。

 

(前田座長)

事務局から回答を。

 

(本田調整官)

臼井委員のご指摘について、法律には「加工原料乳地域における生乳の再生産の確保」と定められており、以前は鳥取や岩手など都府県の中でも加工原料乳地帯として含まれていたが、それらの地域は加工原料乳地帯ではなくなり、現在は北海道のみとなっている。したがって、算定には北海道の生産費調査結果を使用することが基本であると考えている。

矢坂委員のご指摘について、補給金単価の算定には、生産費調査結果をそのまま使用するのではなく、労賃単価の評価替えや企画管理労働費、集送乳に係るコストまで加算している。この生産コストの積上げについて、適正かどうかを含め議論していただきたい。

 

(前田座長)

矢坂委員からあった生産費調査の評価替えなどの点については後ほど議論したい。初年度の単価設定について、他に何かご意見がなければ示されたとおり整理して次に進みたいがいかがか。

 

(臼井委員)

追加で意見を。現行の変動率方式では生産コストは複数年の平均を採用しているが、今回の算定方式において取引価格はどう採用するのか。

 

(本田調整官)

今回は算定の基礎として何のデータを採用するのかという議論であり、年度の取り方については次回以降議論していただきたい。

 

(前田座長)

それでは、初年度の単価設定については示されたとおり整理することとする。次に2年目以降の単価設定について、ご意見等ある方はどうぞ。

 

(近藤委員)

生産コスト変動率方式は、資料に示されたとおり、我々が努力した乳価や生産性向上分は手元に残り、生産コストの上昇にも一定程度寄与するといったメリットがある。一方でデメリットは、乳価の下落には対応しないということと、生産コストが上昇した場合も1/7しか対応できず、残り6/7には対応しないということであり、これらの課題にどう対応していくかということである。初年度の単価水準が持続可能なものとして設定できること、価格下落時対策や需給調整対策もセットにすることの2点が前提であれば、2年目以降も現行のコスト変動率方式で算定しても良いと考える。

 

(内橋委員)

平成11年の「新たな酪農乳業対策大綱」の中で、コスト変動については、従来の不足払い方式から一定程度反映できるようになるということで、変動率方式が採用され、近藤委員が発言されたようにメリット・デメリットが存在している。単価の見直しについては、政策全体における補給金の位置付け・役割を踏まえつつ、過去に行った期中改定のようにコスト変動を見るのか、または単価自体をリセットする場合、あるべき所得の水準がいくらなのかという検証・評価とセットで考え、一定期間後に見直すなどのルール化が必要ではないか。それがないと、初年度の単価設定でいくら生産コストを評価替えしても、次年度以降に補給金では対応できないこととなるおそれがある。また、ナラシの機能とも関連するが、国境措置との関係で取引価格が変動することもあり得るが、その影響が容易に予測できない中、単価見直しについては仕組みそのものなのか、単価水準だけの議論なのか、どの期間を採用するのか等について慎重に議論すべき。

 

(前田座長)

近藤委員からは補給金単価のデメリットを補完する対策もセットでというご意見、内橋委員からは単価見直しのあり方についてであったが、関連して何かご意見は。

 

(臼井委員)

初年度の単価水準は重要という認識は同じ。生産者は長期的な視点で経営を考えていかなければならないので、TPP発効後の19年後を見据え、今回設定する単価水準や算定方式で経営をまかなうことができるかどうかが重要であり、長期的視点でシミュレーションできるものとすべき。

 

(矢坂委員)

平成13年度の制度見直し時は、価格形成の透明性確保などを目的として現行方式を決定したと理解している。しかし一方で必要とされる、需給を反映した取引乳価の形成を促すためには、取引乳価のセーフティネットを措置することが必要と考える。また、TPPの影響を想定すると、今後、国際乳製品価格の影響を強く受けるようになり、国内の市場要因に関係なく決定されることとなることから、補給金単価を適宜見直していかなければならなくなるだろう。固定払い方式は市場動向が安定しているときに有効な仕組みであり、今後はこの方式を維持していくためのハードルが高くなってくることを認識していく必要がある。

 

(前田座長)

環境が構造的に変化していく中でいかに補給金を機能させるかということであったが、他にご意見は。

 

(近藤委員)

先ほど価格下落対策が前提と申し上げたが、今後、取引乳価が国際価格の影響を受けて大きく変動していくのであれば、現行のナラシの機能では対応しきれないことから、より機動的に対応できる価格下落対策が必要になってくるのではないかということを補足したい。

 

(前田座長)

ご意見は一旦受け取ることとする。近藤委員からはセーフティーネットを前提に、2年目以降の算定方式はコスト変動率方式で良いというご発言であったが、このことについてご意見はないか。なければご異議なしとして整理する。次に交付対象数量の設定についてご意見を頂戴したい。

 

(矢坂委員)

TPP発効の影響により、国産チーズやホエイの代替品である脱脂粉乳の生産量は大きく減少するものと思われる。そうなると、乳製品向けに一本化した交付対象数量のもとで、生クリームの需要により収斂した数量となっていくという理解でいいのか。その場合、生乳の需給調整が可能なのか、お考えをお伺いしたい。

 

(森課長)

TPP交渉では、国産の優位性があるチーズについては関税を残したところであり、また、脱脂粉乳・バターについても国境措置を維持したところ。そのため、国内でチーズやバターが作られなくなるという事態にはならないと考えている。しかし、関税撤廃されるハード系チーズやホエイ等が輸入品と競合することにより、乳製品向け生乳全体の価格が下がることが懸念されることから、これに対応するための補給金の仕組みを決めるというのが今回の発想。今後も引き続き国産チーズやバターが生産され、生クリームの生産が伸びていくという全体像をイメージしている。

 

(矢坂委員)

チーズやバターの生産が全てなくなるという考えではない。しかし、補給金を一本化して、生クリーム向けに用途がシフトしていくと、需要に応じた乳製品の生産が出来るというメリットはあるが、国内の生乳需給調整が難しくなるというリスクもある。

 

(前田座長)

今後の議論にも関わってくる話と考える。引き続き議論していきたい。他にご意見は。

 

(近藤委員)

一点ほど。さきほど座長から、「セーフティネットが措置されることが変動率方式を採用する前提である」と私の発言をまとめていただいたが、初年度の価格が持続的経営ができる水準に設定されることがまず大前提であり、抜けていたようだったので補足しておきたい。

 

(前田委員)

失礼した。まさに生産コストとはなんなのか、再生産を確保することはなんなのかという議論の続きかと思う。交付対象数量については、みなさんの賛同を得られたということで整理させていただく。

では、前回臼井委員からご意見があり、また本日も意見があった生産費や労働費の考え方について事務局から説明をお願いする。

 

【生産費及び労働費の考え方について】

【青山課長補佐から別紙1、本田調整官から別紙2を説明】

(前田座長)

再生産を確保するため、生産コストを適正に評価する方法や交付対象数量の設定について、次回以降より技術的な議論をしていきたい。本日は残りの時間で、生産費調査の内容や評価替えについて、現状を正確に把握すべきと考えている。質問ある方はどうぞ。

 

(近藤委員)

26年度において、生産費上の家族労賃単価と補給金単価算定時の評価替えした労賃単価はいくらか。

 

(林課長補佐)

北海道の生産費調査の労賃単価は1,500円程度、評価替え後は1,900円程度で算定。

 

(前田座長)

先ほど矢坂委員からは、家族経営と企業経営の違いが適切に反映されているのかというご意見もあったが、他に生産費調査についてご質問等あれば。

 

(臼井委員)

成畜時に市価評価して減価償却費を計上しているということを聞き、これまで乳価下落時の生産費調査で疑問だったことが理解できた。平成21~22年頃の取引価格が一番下落した時、生乳需給も緩和している時であり、初妊牛の市場価格も下落した。今年は市場価格が当時の2倍弱になっているが、コスト計算と市場価格は連動しないものと捉えている。雄子牛の市場価格も高騰しており、このように副産物を牛乳生産費に反映させると、その時々の生産コストの状況を反映しているものにはならないのではないか。外部要因が大きくなることで、単年度の生産費が乱高下することを想定した場合、コスト計算と市場価格との差をどう考えていくのか。考え方を正す必要があると考える。

 

(前田座長)

変動性が高い部分の評価方法ということでのご意見であったが、他にご質問等あればどうぞ。

 

(生部委員)

家族経営だけでなく、メガファーム等の法人経営も見られる中、労働面のコスト評価についてお聞きしたい。役員報酬等はどのように組み込まれているのか。

 

(矢坂委員)

関連して、大規模階層のサンプル数はどの程度かお聞きしたい。また、作業時間について、大規模酪農経営であればあるほど、経営者は飼養管理作業などの現場作業よりも経営管理、労務管理などのための労働時間が多くなるが、その点は生産費調査が対応する作業時間と対応しない。生産費調査では経営者のこのような労働がどの程度反映されているのか。

 

(村上委員)

家族労働費をどう評価するのか、補給金単価の算定では評価替えをしているが、この点はやはり重要と考える。東北農業研究センターの研究論文に「酪農生産における自給飼料生産労働の評価」というものがあり、この中で、「自給飼料労働を他の飼養管理労働の労働単価と同一のもので見積もっていいのか」、また、「モデル計算で労賃単価は4,000円/時間と試算され、自給飼料生産での労働過重性への評価について修正すべき」と言われている。我々としても、酪農家の実感はこれと同じものと認識している。その点を補給金単価の算定の中でどう評価していくのかということが重要と考える。また、生産費の調査期間をどう取っていくのか。副産物の取り方についても検討いただきたい。

 

(前田座長)

調査の実態について説明をいただきたい。法人経営における役員報酬や経営者の企画管理労働への評価、規模階層別の配分方法、自給飼料の牧草費用価、調査期間の取り方、変動性が高い副産物のあり方について、事務局から。

 

(青山課長補佐)

法人経営の調査について、生産費調査では、一戸一法人も対象にしており、家族経営の中でも法人であれば対象となり得る。雇用していればその労働報酬も全て計上している。大規模階層のサンプル数について、牛乳生産費では100頭以上規模の階層は全国で44経営体となっている。標本配置はセンサスに基づき行っている。副産物の取扱いについて、現在は生産費から副産物価格を差し引いて当該品目の生産費を算出している。副産物の生産に要したコストを全て把握できれば良いが、調査上煩雑となり調査客体への負担が大きくなることから、現在のような方法としているところであり、これを変更することは難しいと考える。自給飼料に係る労働についてご意見があったが、生産費調査の労働については、毎勤統計の3業種平均の5~29人以上の事業所の労賃単価を使用しているが、これは全ての作物の生産費調査に共通したものであり、この点のみを変更することについては、統計調査としては困難である。なお、生産費調査の調査期間は4月~翌年3月までの年度区切りで行っている。

 

(矢坂委員)

一戸一法人ということだが、従業員20~30人のような法人経営は除外されているのか。

 

(青山課長補佐)

一戸一法人であれば対象となるが、現在のサンプル内にいるかどうかは不明。

 

(矢坂委員)

メガファームは含まれていないなど、統計と経営の実態には差が出てきている。また自給飼料生産に係る費用価は農家ごとのバラツキが大きい。計算上平均せざるを得ないのだろうが、生産費調査をベースにしようとすると限界があるということを理解しなければならない。副産物について、現在肉用牛、初妊牛の価格は、アメリカやオーストラリアの牛肉価格の高騰、国内の肉用牛繁殖農家・酪農家の減少などを背景に異例の高さとなっており、この時期の価格だけを採用することが果たしていいことなのか懸念している。通常とは異なった要因が重なって生じた現象であることから、牛乳生産費の期間と副産物価格をとる期間とを分け、平常時の副産物価格を採用すべき。

 

(前田座長)

そろそろ時間がまいったが、意見があった点について、追加的な説明が必要な部分については次回以降に説明することとして、本日はここで一旦終了としたい。次回以降については、法律で決まった統計である生産費調査であるが、生産費調査の中で再生産を確保できない点があるとすれば、その点について議論をしていきたいと考えている。併せて、算定における期間の取り方や見直しのルール、数量の設定方法についても議論いただきたい。

 

(近藤委員)

回答は次回で結構だが、最後簡単に2点ほど。消費税について、増税があったにもかかわらず実質労働賃金が上がっていない。そもそも税込で生産費を出すことが正しいのかどうか精査してほしい。マルキンでは税抜にしているはずだが、税抜で出すことが可能かどうか、この点についても検討すべき。またもう1点、早朝の労働など、超過時間分の労賃単価を設定することが可能なのか確認したい。

 

(前田座長)

これらの点については、次回以降回答してもらうこととし、本日はここで終了したい。

 

(森課長)

いただいたご質問・ご意見をふまえた上で、次回は内容を更に深めた資料をご用意し、引き続き議論を進めてまいりたい。

また、多様な経営形態や地域からの意見も聞き取った方がいいとのご指摘をいただいたことから、本検討会において、酪農生産者の方からご意見を聞く回を設けたいと考えている。次回の日程はそれらを勘案しながら調整し、決まり次第追って連絡差しあげる。

また、本日の議事概要については、実施要領に基づき、事務局の方で作成後、委員の皆様のご了解を得た上で公表させていただくこととなるので、よろしくお願い申し上げる。

 

(以上)

お問合せ先

生産局畜産部牛乳乳製品課

代表:03-3502-8111(内線4934)
ダイヤルイン:03-3502-5987
FAX番号:03-3506-9578

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