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第4回 補給金単価算定方式等検討会 議事録

第4回 補給金単価算定方式等検討会 議事録

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1.日時及び場所

日時:平成28年11月29日(火曜日)13時30分~14時55分
場所:三番町共用会議所2階大会議室

2.出席者

委員:秋山委員、生部委員、臼井委員、内橋委員、小谷委員、近藤委員、清水池委員、田村委員、前田委員、村上委員
農林水産省:枝元生産局長、大野畜産部長、松本牛乳乳製品課長、本田乳製品調整官、林課長補佐

3.議事

【枝元局長より冒頭挨拶】

 

(枝元生産局長)皆様方におかれては、ご多用の中、本検討会にご出席いただき感謝申し上げる。

まず、農政全体の状況について報告をさせていただく。本日、官邸で開催された「農林水産業・地域の活力想像本部」において、13項目から成る「農業競争力強化プログラム」等を盛り込んだ「農林水産業・地域の活力創造プラン」が改訂された。酪農業界に対しても、生産資材の引き下げや戦略的な輸出体制、原料原産地の標記など様々な関係分野がある。指定団体もその中の一つであり、一言触れさせていただく。

今回の農業競争力強化プログラムにおいて、生産者が出荷先等を自由に選べるようにするという観点から、指定団体に出荷する生産者のみに補給金を交付するという制度を改め、指定団体以外に出荷した生産者にも補給金を交付する制度に改革するということとされた。農林水産省としては、本プログラムを踏まえ早急に必要な検討をし、次期通常国会への法案提出を念頭に関係者の皆様と調整してまいりたいと考えており、委員の皆様には引き続きご指導をよろしくお願いしたい。

さて、補給金単価算定方式等検討会だが、これまで委員の皆様方から、補給金単価や、交付対象数量の設定に対するご意見等を幅広くご議論いただいてきたところである。また、前回開催した第3回検討会では、5名の生産者の方から、酪農経営の現場に即したご意見を多くいただいた。

本日は事務局より、これまでのご議論を踏まえた新しい補給金単価の算定方式等の考え方について案をお示し、委員の皆様にご議論いただくこととしている。算定方式等については今回を最後の議論の場とし、今日のご議論を踏まえた上で、新たな算定方式とこれに基づき適切に算定した補給金単価・交付対象数量を、審議会にお諮りしたいと考えている。なお、委員の皆様からご要望のある酪農乳業に関する幅広い議論の場については、別途、改めて場を設けるよう調整させていただきたい。

本日も委員の皆様から、忌憚のないご意見をいただきたいと考えているので、どうぞよろしくお願い申し上げる。

 

(前田座長)これまでの検討会での議論を踏まえた補給金単価算定方式等の案について、事務局から説明をしていただき、その後ご意見を頂戴する。それでは事務局からの説明をお願いする。

 

【補給金単価算定方式等の考え方について】

【本田調整官から資料4を説明】

 

(前田座長)それでは今の説明に対して、ご意見があれば。

 

(田村委員)2ページ目について、対象となる生乳の用途については問題ない。一方、都府県に多いと思うが、生クリーム等を飲用向けの価格で取引することもあると聞いている。会員は、飲用向けの乳価で取引され、生クリーム等として処理された生乳に補給金が交付されるのか関心がある。補給金の性格上、飲用向け価格で取引された生乳に交付されるのは合わないのでは無いかとの意見も聞かれる。農林水産省の見解をいただきたい。

 

(前田委員)実際の取引は資料にある乳製品用途向けだが、金額については飲用向けで取引されているということか。

 

(田村委員)都府県では、取引上、生クリームという用途はないので飲用向けで取引し、認定を生クリームとしている。例えば、成分調整牛乳であれば、製造過程で生クリームが生じるが、このようなものでも飲用向け価格で取引すると、指定団体と決めて取引している。こういった生クリームについても補給金の対象となるかということ。

 

(本田調整官)基本的に、補給金制度では、都道府県知事の認定行為で数量を正確に把握しているが、その認定に当たっては、規格基準に定められた向けられたものについて数量を認定していく考え。

一方、委員からご質問いただいたものは、処理が生クリームとなるが、飲用の乳価で取引されているものについての取扱であると理解。

基本的に新たな補給金制度においては、生クリームに仕向けるのであれば、補給金は交付される。一方で補給金が交付される生乳に対して、飲用向けの生乳と同じ乳価が支払われるのはおかしいのではないかとの意見と思うが、これは、補給金の交付が決定した後、民・民の乳価交渉の場でどういう形に整理していくかという問題であると考えている。

 

(田村委員)乳価交渉の話ではなく、飲用向けの生乳は相応の高い価格で取引されており、補給金が交付されるとなれば、「再生産の確保」という補給金の性格上、飲用向けまで再生産が不可能な水準で取引されていると勘違いされるのではないかと思い発言した。

 

(本田調整官)あくまでも、加工原料乳地帯である北海道の生産された生乳について、液状乳性品の乳価が生産コストに達していないとの認識。他の地域において、飲用と同じ価格で取引されているケースはどうなのかという話であるが、実態を含めて、今後整理していく問題と認識。

 

(村上委員)第3回の検討会で実施した生産者ヒアリングでは、労賃単価や子牛に関して意見をいただいた。その中でも労賃の評価において、農林水産省からは「単価算定においては製造業の5人以上への評価替えが行われている」と回答があったが、生産者から見た場合、経営者としての側面もあるため実態に合っていないと感じられる。もう少し評価の高いものにすべきではないか。統計資料など公的な数字がないため難しいという話にはならないと思う。東北農業研究センターが、粗飼料生産の労働賃金は時給約4,000円と評価した資料もある。統計資料がないのであれば新たに調査を行うなど、ヒアリングでいただいた現場の実態を受け止めて対応していただきたい。副産物は変動が大きく影響が大きいため、長期間の平均をとっていただきたい。

初年度単価については、昨年に比べ生産コストは下がり、副産物価格も良くなっているが、持続的な酪農経営の観点から、再生産可能な水準をどこにおくかが重要である。指定団体の議論の中にもあるように、過酷な労働環境の改善を図るため、施設投資を行う酪農家は多い。単純な再生産で所得を確保するのではなく、施設投資等を行える単価とすべき。年度の取り方がコスト変動率方式は3年、ナラシ対策でも3年を用いているため初年度も3年としているが、長期スパンでとるべき。

 

(本田調整官)労賃単価についての意見は受け止めるが、経営者としての評価は、企画管理労働費を算定に含んでおり、経営者としての企画判断等の時間を評価している。このように、見られるものは全て見ている形になっているため、ここから更に変えていくのは、現在の検討の中では難しい。

一方、子牛については、副産物の価格の変動が補給金単価に大きく影響することが本来良いことなのかどうか。次年度以降も引き続き行うことを基本として、他の要素と扱いを変えられるかどうかを検討していきたい。

3年より長期スパンをとるべきという意見について、矢坂委員よりいただいている資料によると、補給金が本来の単価より上回っていることで利益を得る状況が長期的に続くことは望ましくないとされている。27年度の生産費が出ないと明言できないが、補給金が生産者の過度な利益になることはおかしいということもある。このようなことも踏まえれば、期間に一定の制約は生じてくる。現時点では3年が適当なのではないか。

 

(近藤委員)労賃の評価替えだが、以前の資料から変更点がなく非常に残念である。これまでの3回の議論はどのような反映をされてきたのか。

酪農家が現場で働いている時間帯はサラリーマンと全く異なっており、休日も働いている。そういった過酷な実態が、この評価替えに果たして反映されているのか。統計がないということなのかもしれないが、何か工夫の余地はないのか。

生産コストについては、持続的な酪農経営が行える水準であるべき。それは、設備投資が行えるという意味であり、設備投資は恒常的に安定した所得によって可能となる。その際、生産コストの労賃の問題もあるが、恒常的に不足している額を算定する場合、3年間が適切だといえるのか。副産物について何らかの措置をするというのは理解した。以前北海道の酪農家は、所得が平成初期には約30円あったものが、脱脂粉乳の過剰と平成の畜産危機の際に、最低10円台の半ばまで落ちた際に、元の水準に戻そうとこの3年間乳価を上げてきた。しかし、年度を3年でとった場合、そうやって上げてきた乳価がそのまま反映されてしまい、所得を上げようとしていた意味がなくなってしまう。もう少し長期スパンをとらないと、とても恒常的な不足を表すものにはならないのではないか。

 

(臼井委員)生産者として残念に思うのは、生産者の生産性向上に対する意識が、補給金の上下によって左右されるという書かれ方である。矢坂委員の意見にもあるように、生産者は生産性の向上に常に取り組んでいる。現在は乳価も良くなり手取りが増えつつあるが、それでも急激な上昇で税金が急騰するなどあり、手取りに跳ね返っているという実感はないのが現状。全体の乳価設定に対して補給金の割合は小さいため、ここのわずかな上下動により生産者の意識が緩むということは無いと、私は言い切れると思っている。こういったところでのメリットデメリットという書き方は残念に思う。

初年度の設定は今回の鍵になると思っているが、今回の資料中に初年度の金額が記載されていない。単価が出て初めて、それの善し悪しが確認できるのであり、現時点で次年度以降を想像しながら意見することは大変難しいのが正直なところ。次年度以降に生産コストの変動率をかけるということになっているが、著しい変化というところを変えて、生産コストの変動率に一定の基準を設けてはどうか。ここに何かしらの線引きがないと、著しく変化したという曖昧な文言では、誰が決めるのかという話になってくる。誰もが納得できる基準を設けていただきたい。

 

(松本課長)まずは労働評価についてだが、これまでもできる限りの評価をやってきたところである。業種の取り方や規模の大きさ等であるが、改めてご意見が出ていることは重く受け止めたいが、実態としてかなりのところを見ているということは認識を一にしていただきたい。消費者、納税者を含め、広く説明していくものとしては、実態と齟齬を来さない範囲で、統計等と裏打ちされたなかで証明していく必要がある。

年度の取り方についても、どの当たりが妥当かで意見が分かれるかと思うが、一定の経済変動などを踏まえて3年としている。また、子牛の価格動向については、資料に示すとおりであるので、これらを踏まえてどのような形で説明責任が果たせるのかを考えていきたい。

 

(本田調整官)臼井委員のご意見であったメリットデメリットについては、書き方が悪かったかもしれないが、あくまで一般論として、こういう形で設定したときにどうなのかという話なので、説明の仕方を含めて工夫していきたい。

単価が出ないと議論が難しいということであるが、そもそも単価自体は審議会で決めていただくことであり、その前提として、単価を決める際の算定方式を議論していただくのが本検討会である。初年度の単価が分からない中で議論していただくのは難しいところがあるかと思うが、初年度の設定に当たって、どういうところを踏まえるべきか、変えた方がいいのかというところを議論していただきたい。

 

(前田委員)もう一点、臼井委員から、生産コストの変動率について一定の基準を設けたらどうかという話が出ていたが、これはいかがか。

 

(本田調整官)矢坂委員の意見にもあるが、我々の考え方としては、明確に期限を決めることによるデメリットがメリットより大きいと考えている。一方で、矢坂委員の話にもあるように、補給金単価を加えたことによる経営状況については、毎年評価していくのは当然のことと考えている。こうした評価を踏まえて、審議会にて議論をいただき、見直しを行うべきか決めていただくのがよいのではないだろうかと考えているが、様々な意見をいただきながら検討していきたい。

 

(近藤委員)もう一点、労賃評価についてだが、現状認識として、北海道の毎勤統計に出てくる製造業の一日当たりの超勤時間は0.7時間程度である。酪農の現場は午前5~6時から働いており、そのような実態にはそぐわないのにも関わらず、どうして同じ評価になるのか。納得できるものではない。

 

(村上委員)関連して、3回目の検討会で統計の労賃の説明があったが、酪農家の過酷な労働を客観的に数値化することは困難であるとのことであった。また、生産費調査は調査の定義内で行っているものであるため、単価の算定時には評価替えを行っているが、利活用の場に応じた単価の設定もあるのではないかとの回答もあった。副産物については、他の数字をとるようなことはないが、算定する際には期間の取り方を工夫していくのではないか。その部分は統計部と畜産部が相談しながらやっていくのだとあったが、労賃評価については統計数値がないためという話ではなく、しっかりと現場の声を受け止めて検討していただきたいと考えている。

 

(生部委員)一点目は交付対象数量。制度見直しで横断的に用途ごとの数量は設定しないとのこと。先の規制改革会議の議論においても、用途別の需給調整は重要ということが改めて認識されたものと理解している。その上で、この議論はバター不足を背景に始まったものであることを踏まえると、消費者への乳製品の安定供給をかなえるためにも、交付対象数量は用途横転的に設定するとしても、用途ごとの需要見込みを示すべきと考える。

また、農業競争力強化プログラムの中でも「早急に基本的なスキームを設計し、関係者の意見を聞き、十分な調整を経て改革を行う」とあることから、中身の変わったところを説明するとともに、丁寧な議論をお願いしたい。

 

(本田調整官)交付対象数量の用途別の需要の見せ方は、今後考えていきたい。バターが不足しているということもあり、関係者が一同に会する乳製品の需給情報交換会を開催し、意見交換を行っており、また、Jミルクにおいても需要見込みが公表されているところ。補給金制度だけにとどまらず、色々なチャネルを使って乳製品の安定供給に資する情報発信を行っていきたい。

 

(松本課長)補給金制度の改革については、農業競争力強化プログラムに書かれているとおり、関係者の意見を聞きながら進めていきたい。

 

(生部委員)特に、プログラムの中でも、飲用向けと乳製品向けの調整の実効性を担保と書かれており、非常に重要だと思う。これからもよろしくお願いする。

 

(内橋委員)補給金制度は需給調整と結びついているものであり、バターや脱脂粉乳、チーズは国内の需給調整の機能を担っていると認識している。補給金の対象に液状乳製品が追加され、単価及び交付対象数量も一本化されることで、どのようなことが発生するのか、また、北海道と都府県の広域調整や、国内の牛乳乳製品市場でどのような変化が生じるのか等見当がつかない。そのため、局長の冒頭挨拶でもあったが、酪農乳業における幅広い議論を設けるとのことなので、関係者を集めて、しっかり議論できる場の設定を重ねてお願いしたい。

 

(清水池委員)交付対象数量を用途横断的に設定することについてはよろしいかと思う。ただ、見せ方として、脱脂粉乳やバターについては、これだけ必要であるということが、はっきり見えるように示した方がよい。国としても、「必要量がこれだけあることから、これだけの交付対象数量を設定しており、バター不足を繰り返すことはない」ということが国民に見えるようにした方がよい。

 

(本田調整官)数量の見せ方については、今後検討させていただきたい。

 

(小谷委員)本日の議論を聞きながら、特に現場に近い方は、ご提案いただいた内容に必ずしも納得してはいないと受け止めた。消費者として、また、農業や食料生産が重要であると感じている者として、酪農家のみなさんの士気に関わってくるこの制度については、現場の気持ちを汲んだ十分な配慮をお願いしたい。

最近、バター不足、子牛価格の高騰、指定団体制度など、酪農業界はメディアでも話題に上がることが多いが、そもそも生産基盤が弱くなっていることが問題になっているものと思う。ただ、一方で、一般の方やメディアにはその問題が伝わっていない。これからも生産者に酪農を続けてもらうためにも、新規就農者や後継者といった若い担い手のためにも、補給金制度そのものが酪農をフェアにするものであるということを、わかりやすく工夫のあるものにして公表していってもらいたい。

 

(臼井委員)先ほどの補足になるが、初年度の単価設定についてだが、政策大綱の中で「当該単価を将来的な経済状況の変化を踏まえ適切に見直す」との文言があり、ここは現場の気持ちが反映されていて非常に重要だと考えている。今回の単価算定では過去の実績数値のみが反映される形になっているので、将来的な経済状況の変化を踏まえるといった作業も必要なのではないかと思う。今後のTPPの見通しは不明だが、より一層の市場開放が進むことは予想されるので、ここにあるような作業を踏まえて新たなスタートを切っていただきたい。

 

(秋山委員)単価や数量は審議会に諮って決定とのことだが、補給金は350億を超える財源が必要と考えている。仮に財源が変わらないのであれば、都府県から北海道へ補給金が移行するだけである。その場合、通常の生乳取引交渉にも影響を与えることとなるため、別途、都府県に対策を講じていただきたく、強く要望する。

 

(本田調整官)さきほどの臼井委員の意見について確認させていただく。大綱にある「当該単価を将来的な経済状況の変化を踏まえ適切に見直す」との文言については、あくまでもTPPが発効し、関税が下がった場合、チーズやホエイといった競合する品目については乳価を下げないと競争できなくなり、経済状況が変わるのではないかと考えられている。そのため、基本的には最初の単価を生産費の変動だけで動かしていくといった形としているが、今後国境措置が変わり、国際乳製品との競争関係が変わることにより、今のままで動かしていくのは無理があるのではないかと考えている。そういった経済状況により立ち行かなくなったら見直そうということと認識している。

 

(清水池委員)矢坂委員の資料を見ていて気づいたが、将来的経済状況を踏まえ適切に見直すというのは、補給金単価が上がりそうな要素がある時にこれを踏まえて再設定するという前提だけで考えていたが、逆に、配合飼料価格が大きく低下するなど、生産コストが下がって単価切り下げの要素が出た場合も、適切に見直すのか。

 

(松本課長)次年度以降の単価については基本的に変動率方式で算定することとしている。単年度ごとの単価を見直して足りない部分がある場合は、そのときの経済事情を総合的に判断し、一事象としてみるのか、今後も継続していくと想定するのかはその時々の判断であるが、基本的には毎年度の生産費の中で反映していく。長期的にこれが続くと判断されるのであれば、見直していくという、2つの考えがあると思われる。

 

(近藤委員)冒頭の枝元局長の挨拶に含まれているかもしれないが、酪農の生産基盤の強化を補給金単価と数量のみで行うのは難しく、特に需給調整対策などといった他の施策とパッケージで考えていかなくてはならない。第1回目の際に、別途検討が必要としてきいているが、今後どのような検討を進めるか考えがあればお聞かせ願いたい。

 

(松本課長)現時点では、具体的な日時や内容等は決まっていない。ただ、局長の冒頭の挨拶にもあったように、酪農乳業の関係者が集まる機会は非常に重要という認識はもっており、ご意見をいただく場はまた別途設定してまいりたいと考えている。

 

(大野部長)今の点について、今回、農林水産業・地域の活力創造プランが決定され、農業競争力強化プログラムとして、TPPの要検討項目に、指定団体制度の改革が13項目目に加わった。12項目の中には、酪農生産基盤の強化や配合飼料価格安定制度の安定運用などが盛り込まれている。こうした継続検討項目は、キャラバンや、色々な議論の場を設けさせていただきながら決めてきた。今後は指定団体制度について、関係の方々からご意見賜ることになると思う。

また、秋山委員の発言にあった350億にどきっとしたが、単価や交付対象数量等、来年度の価格決定に向け、年内にキャラバンなどが用意されている。生産者団体の方々との意見交換を通じて、価格やそれらの関連対策、投資予算としてどのようなものが用意できるのか、あるいは685億の措置をしたクラスター事業など、様々なものをパッケージにして対応していく。その折々に、ご意見を賜るということだろうと思う。

 

(村上委員)初年度の単価算定については、「生産コスト-乳製品向けの乳価」の差額と聞いているが、酪農家の所得を上げ、設備投資が出来る形にしていかないといけない。前回調整官は、設備投資については自己資本利子や自作地地代を生産コストに全て含めていると発言しているが、それ以上に設備投資にかかるものがあるのではないかと思う。そうしないと酪農家の方々も元気を出して進んでいけないのではないか。算定期間は3年をとるということだが、耕種の畑作物関係で言えば、7中5や5中3をとったりしている。今の良い状況の3年をとると、良い答えが出ないことはある程度見えており、また、見直しが機動的にできるのか心配な部分もあるので、一番大事な初年度単価は元気のでるような単価をお願いしたい。

 

(臼井委員)初年度の単価設定が気になっている。直近2年の子牛価格の上昇が著しく、補給金に関してはマイナス要素に働いている。コストの変動率と子牛価格の上昇の変動率には大きな差があるので、3年をとると逆転現象が生じているのではないかと考えている。これをどうクリアするかが初年度の単価設定のキーポイントとなると思う。マイナス要素の変動率がかなり大きい中で、果たして現状に合っているのか。子牛の価格の変動率は物財費の変動率に比べ高くなると思う。それをどう揃えるかが大事なのではないか。例えば、物財費は3年でとり、子牛については、物財費の変動率に近づく位の長期間でとるなどが良いのではないか。そこの乖離は、初年度単価の設定時に矛盾として生じる気がしてならない。

 

(近藤委員)最後の念押しだが、算定期間は3年でなくもっと長期をとらなければ、恒常的な差が反映されないと思うので、ぜひ検討願いたい。また、子牛の価格については、酪農本体の経費ではないので、思い切って平成13年度以降の平準化くらいを検討していただきたい。

 

(前田座長)農水省よりご説明いただいた論点について様々なご意見が出たが、コストの評価や副産物価格、算定における年度の取り方が主な議論であった。更には畜産部長にもご答弁いただいたが、検討会当初よりご意見の多かった、補給金の議論は他の酪農政策全般とパッケージで行うべきとのことだが、議論の場を設置するとの流れになっている。どのようなチャネルで実施するかは別にして、場を設けていただけるという議論だったので、その方向で進められる。

今日いただいた議論を審議会に反映させていただきたい。

本日の議事は以上とする。それでは事務局にお返しする。

 

(松本課長)これまで4回の検討会の意見をまとめた資料については、今後、委員の皆様に送付させていただくので、確認をお願いいたしたい。なお、審議会に提出する算定方式等にかかる資料については、後日事務局で作成の上、事前に送付させていただく。改めて、委員の皆様におかれては、ご多用の中、本検討会へご参加いただき、感謝申し上げる。本日の議事概要については、実施要領に基づき事務局で作成の上、委員の皆様の了解を得て、公表させていただくので、よろしくお願いする。

最後に大野畜産部長よりご挨拶をさせていただく。

 

(大野畜産部長)本日は熱心なご議論に感謝する。また、4回に渡ってご議論いただいたことに改めて感謝申し上げる。今回TPP対策として補給金の一本化が行われるが、昨年決定した政策大綱に書かれている事は、酪農で最も重要な、補給金の一本化も含まれる価格安定対策や、体質強化のクラスター事業などである。これらの施策を併せて行うことが、酪農家の方々が将来にわたって安心し、希望を持って経営に取り組めることにつながるので重要である。その意味では、政策大綱の目的に沿った価格設定を行っていきたい。しかし一方で、これらは税金であるので説明責任を果たす必要がある。長期年度をとって高い単価を算定する考え方もあるが、変動の大きい部分や安定している部分をどのように組み合わせていくかを考えていくことになるだろう。このような組み合わせを行うことで、どこから見ても適正な、元気の出る補給金単価になる。これらのことを、頂戴したご意見を踏まえて年末に向けて行っていき、審議会で算定方式、単価、交付対象数量を諮り、結論を出していきたい。酪農・畜産をめぐる状況は補給金に限らず様々な課題がある。引き続き委員の方々にはご支援・ご協力あるいはご指導・ご鞭撻をお願いし、簡単ではあるが御礼の挨拶にとさせていただきたい。

(以上)

 

お問合せ先

畜産局牛乳乳製品課

担当者:価格調査班
代表:03-3502-8111(内線4934)
ダイヤルイン:03-6744-2129