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第1回 肉用子牛生産者補給金に係る算定方式検討会 議事録

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1.日時及び場所

  • 平成30年10月4日(木曜日)14時00分から15時10分
  • 三番町共用会議所2階大会議室

2.出席者

  • 委員:有田委員、石田委員、井田委員、大田委員、大山委員、菊池委員、築道委員、西野委員
  • 農林水産省:枝元生産局長、富田畜産部長、望月食肉鶏卵課長、冨澤室長、関川分析官、天野課長補佐、林課長補佐

3.議事

【枝元局長より冒頭挨拶】

(枝元局長)肉用子牛生産者補給金に係る第1回の算定方式検討会の開催に当たり、一言御挨拶申し上げます。委員の皆様方におかれましては、日頃から農林水産行政、とりわけ畜産行政の推進に当たり、特段のご理解とご協力をいただき、深く感謝申し上げます。さて、肉用子牛生産者補給金制度ですが、牛肉の輸入自由化に対処するために昭和63年に制定されました「肉用子牛生産安定等特別措置法」に基づきまして、肉用子牛の生産安定を目的として平成2年度より実施をしているところでございます。一方で、昨年11月に、TPP、日EU・EPAの大筋合意を受けまして、「総合的なTPP等関連政策大綱」が策定されました。この中で、肉用子牛生産者補給金については、TPP又は日EU・EPAの発効に合わせて、保証基準価格を現在の経営の実情に即したものに見直すこととされたところでございます。保証基準価格の見直しに当たりましては、肉用子牛の生産・流通実態に精通した方々による実務的な検討が必要でございますので、私の諮問機関という形で本検討会を設置いたしまして、新たな保証基準価格の算定方式の考え方について整理していただければと考えているところです。今回は、制度創設以降、初めての大幅な見直しとなりますので、委員の皆様方におかれましては、忌憚のないご意見を頂ければと思っておりますし、今後の我が国畜産の発展に資する活発なご議論をお願いして、私の挨拶とさせていただきます。
 なお、非常に重要なテーマで皆様の御意見を最後まで拝聴すべきところですが、一昨日の内閣改造もあり立て込んでおりますので、本日は挨拶だけで失礼させていただきます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

【林課長補佐から検討会の設置要領(資料2)について説明】

(望月課長)今御説明させていただいた実施要領について、皆様の御承認をいただいたということでよろしいでしょうか。

(異議なしの声)

(望月課長)ありがとうございます。

【座長選任】

(望月課長)それでは、議事に入る前に検討会の座長を選任したいと思います。 実施要領においては、座長は互選により選任することとされております。どなたか御推薦等はございますか。

(事務局一任の声)

(望月課長)事務局一任との声がありましたがよろしいですか。

(異議なしの声)

(望月課長)事務局一任との声がありましたので、委員の中で肉用牛の生産全般に精通された方ということで、神戸大学の大山委員にお願いしたいと思いますがよろしいですか。

(異議なしの声)

(望月課長)ありがとうございます。以降の議事進行につきましては、座長にお願いします。大山座長、よろしくお願いいたします。

(大山座長)ご指名がありましたので、この検討会の座長を務めさせていただきます。円滑な議事進行に努めてまいりたいと思いますので、皆様の御協力をお願いします。それでは、早速ですが、議事に入らせていただきます。
 はじめに、現行制度の概要及び見直しの視点について、事務局の方からご説明をお願いします。

【望月課長から資料3を説明。】

(大山座長)事務局の方から、現行制度の概要と算定方式の見直しの視点についての御説明をいただきました。只今の説明を踏まえまして、見直しの視点等について、委員の皆様からの忌憚のない御意見、御質問をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 まずは、本日御欠席の里井委員と中林委員から御意見を事前に頂戴しておりますので、事務局からご紹介をお願いします。

(林課長補佐)私から読み上げさせていただきます。
  まず、里井委員の御意見を御紹介します。
  牛肉の食べ手としての立場から、合理化目標価格の算定において国産牛肉の4・5等級も加えるということについては、同意いたします。近年、赤身肉が評価されてきてはいますが、お金に余裕を持たれている方が高齢の方に多いこと、高齢の方が量より質を好まれることを踏まれば、国産牛肉における4・5等級の需要は、今後も堅調ではないかと思われます。そういった観点からも、輸入牛肉対抗価格の算定には4・5等級も含めることは妥当だと思います。以上です。

 続いて、中林委員の御意見を御紹介します。5点ございます。
(1)過去7年を基本とすることは、繁殖雌牛の供用期間がそれと同じ位の期間であることもあり、違和感はなく、同意できます。
(2)繁殖経営における規模拡大が進まない要因の一つは、自給飼料生産に係る労働負担であると考えます。国は、飼料自給率の向上を推進していることから、簡単に採用することは難しいと思いますが、増頭した頭数に給与するエサは全て購入飼料に依拠するような経営を増やすことも一案ではないでしょうか。私の牧場では100%購入飼料で生産していますが、その分必要な人員が少なくなるなどにより、採算は取れているところです。また、従業員もサラリーマン並みに休日を取得できています。今後、ますます労働力不足が進むと見込まれる中、多様な経営があっても良いと考えます。
(3)規模拡大は進めるべきだと思いますが、家族経営の切り捨てにはならないようにすべきです。家族経営が規模拡大を行い、家族経営による企業的経営となるようなことが望ましいと考えます。
(4)繁殖経営と乳用種・交雑種育成経営は、経営スタイルが大きく異なっていることから、算定方式がそれぞれで異なるということも、あってしかるべきではないでしょうか。
(5)合理化目標価格の算定に4・5等級を加えることについても、当時と現在の格付の状況が大きく異なっていることを踏まえれば、異論はありません。
以上です。

(大山座長)ありがとうございます。それでは、本日ご出席の各委員の方からご発言をお願いします。順番については、時計回りで有田委員からお願いします。

(有田委員)いつもこういう場では申し上げていますが、そもそも主婦連合会はTPPに反対でした。それぞれ自国の農業を守る必要があるので、生産者に不利益になることは、たとえ消費者のメリットになったとしても、あまり積極的に意見が言いにくい状況であります。ただ、税金から支出するということを考えると、現在の経営の実情に即した見直しという考え方に対しては、全く異論はありません。

(大山座長)では引き続きまして、石田委員からお願いします。

(石田委員)私のいる北海道は酪農が盛んなところで、どちらかというと乳用種、F1の経営体がかなり多いです。自由化により、牛肉の中で一番外国産と競合するのが乳用種なので、制度発足以来、近年は別ですが、かなりの期間におきまして、この補給金制度のもとでなんとか乳用種主体の経営を継続することができたというのも実態です。
  近年、若干子牛価格が上がっている部分もありますが、経営を考えた場合、生産コストも上がっている実態もあるので、今回示された、直近、現在の経営実態を反映するような形で見直しを行うということについては、賛成したいと思います。
 特に、乳用種は肉専用種に比べると常に規模拡大を進めているわけですが、経営体の所得をみると、ちょっとした価格の変動で激しく所得が変動するという性格を持っています。そういうことも勘案し、是非、最近の経営の実態に合わせたような形で見直す方向で進めていただければと、お願いいたします。

(大山座長)お二人とも経営の実態に即した見直しに賛成ということですが、事務局から何か説明があればお願いします。

(望月課長)先ほど説明させていただきましたが、法律に「再生産を確保する」旨が書かれております。ここが今回のポイントだと思います。
 石田委員から意見がありましたが、乳用種、F1の最近の実情は非常に良いですが、一方でヌレ子の価格も高騰しています。資料3の8ページのオレンジ線のグラフをご覧いただきたいのですが、最近のヌレ子価格は、昔とは同じ説明ができない動きとなっているというのも実情ですので、こういった点も考える必要があります。
 また、乳用種の肥育経営の実情をみますと、肥育経営の補填措置であるマルキン制度の方も発動している状況です。こういったことを総合的に考え、保証基準価格の見直しに当たっては、特に乳用種、交雑種については別途検討していく必要があるのではないかと思っています。

(有田委員)今の御説明で別途検討すると提案されましたが、今回の実情に合わせた見直しに含まれているものだと思っておりました。今改めて御説明されると、それがこの資料に盛り込まれていなかったのではないかと思いましたが、そういうことではないですね。今御説明された内容は、意見に対してさらに付け加えた御説明ということでよろしいですか。

(望月課長)その通りです。

(大山座長)では引き続きまして、井田委員から意見をお願いいたします。

(井田委員)自由化されて30年近く経ちますが、この間、生産費の算定等も含めてだいぶ充実している中で、遅きに失した感があります。自由化前の7年間を固定するという考え方は、どうしても無理があっただろうと感じますので、今回の提案については賛成です。ただ、擬制的に計算された費用を含む全算入生産費については、だいぶ無理があると思います。地域や飼養頭数の規模等により、生産費はだいぶ格差があるので、どの辺のデータを取るのかが大切なポイントだと考えています。

(大山座長)では引き続きまして、大田委員から意見をお願いいたします。

(大田委員)子牛の生産については、補給金制度と経営安定対策、肥育農家については、マルキンが車の両輪としてこれまでの肉用牛振興を支援してきました。今後もこのような形で進められるべきと考えていますが、昨今は畜産クラスター事業等により、かなり規模拡大が進んでおり、その中でも、肥育農家の規模拡大というのは際立っており、千頭以上の規模の経営体も相当数出てきています。また、これまでは繁殖経営は家族経営が中心でしたが、昨今のIT化によって、発情発見装置・ほ乳ロボット等、機械や施設の充実強化が図られて規模拡大が進んでいるという実態もご説明のとおりです。
 しかし、鹿児島県の繁殖基盤としては、資料3の15ページのグラフにあるとおり、子取り用繁殖雌牛の平均飼養規模は20頭弱で、増頭が図られているものの、主たる部分は家族経営というのが実態です。そういう中で、飼養規模別の子牛一頭当たりの生産コストは、我々の経営診断の結果と大体傾向は一緒で、規模が小さいと生産コストは高くなり、色々な形で施設整備が進んで増頭が図られていくとコストが下がっています。生産コストの平均60万4千円が全国平均という捉え方をしていますが、20頭からもう少し上ぐらいの階層の数字を示しているのだろうかと思います。そうすると、実際の平均的な繁殖農家の飼養規模は20頭以下なので、小規模農家というか家族経営に対する考慮があってもいいのかなと考えます。
 また、最近我々も、個別一貫経営の推進や新規参入の促進という形で生産基盤の強化を進めていますが、現実的には子牛価格が高騰しています。このため、新たに経営をスタートさせる人たちは、これまで以上に素牛導入費のコストがかかるということになるので、資料に記載されている生産費よりもさらに上乗せで投資が必要です。また、新たに経営をスタートすると、約3年間は子牛の所得がありません。その間の生活費を稼ぐという意味でも、経営をスタートしてから3、4年、子牛が順調に生まれていくまでを含めてもう少しコスト面の考慮が必要なのではないかと思います。
 そういったところを踏まえて、生産費をもとにして算定を検討するということに関してはありがたいと思っていますが、経営コストをどう捉えるかをご検討いただければと思います。

(大山座長)では引き続きまして、菊池委員から意見をお願いいたします。

(菊池委員)現在の経営の実態に則したものに見直すということについてはありがたいと感じています。その上で、生産費調査をベースにするというのはその通りだと思います。ただ、その考え方について、大田委員からもお話がありましたが、岩手県もかなり家族経営が中心であり、そこの部分の生産費について配慮していただきたいと思います。
 保証基準価格の2年目以降の算定の考え方ですが、制度として生産者に分かりやすいものにすることが非常に重要だと思います。生産コストの変化率を使う考え方は、この部分がブラックボックスという風に生産者に受け止められるのではないかという気がしています。従って、生産費をベースに、生産費の数字は毎年度あるので、固定するのではなく、定期的に見直すような考え方も必要かなと思います。理想としては毎年見直し、それが難しいのであれば業対期間で見直す必要があるかと思います。

(大山委員)3人の委員の方から、それぞれ経営規模について御意見を頂戴しました。事務局の方から回答をお願いします。

(望月課長)繁殖雌牛の飼養頭数は、平成22年の68万頭をピークに27年には58万頭まで減ってきた中で、ここ3年連続でようやく増頭し、61万頭まで回復してきているところです。現場の実情を伺うと、繁殖農家にとっては昨今の子牛価格は非常にいいものですが、肥育農家にとっては厳しいものがあるという声も聞いており、そういった声に応えるためにも子牛の増頭を図っていかなければいけないと考えております。
 そうした中で、畜産クラスター事業等を活用してCSやCBSを整備し、小規模農家でも規模拡大を図れるような施策を打っているところです。小規模農家について配慮せよというお話がありましたが、これからどの水準をとっていくのかということについては、こうした施策の効果や政策目標値などを総合的に勘案して決めていくものではないかと考えております。今日は第一回目で、こういった考えがありますとご紹介しましたが、今日の皆様方の御意見も踏まえまして、今後詰めていきたいと考えております。
 菊池委員からお話のありました透明性についてですが、今回の見直しもそうですが、生産費ベースの価格を固定したとしても、また経済実態が大きく変わり、現場と現実が乖離するような事態があった場合は、必要に応じて見直していくべきと考えております。そして、ブラックボックスといわれている原因は、輸入自由化前の7年間の価格とは何なのかということだと思いますが、そこは生産費ベースとして直し、生産コストの変化率についても、基本的には労働費や飼料費の動きに左右されるものですが、しっかりと目に見えるような形で明らかにしていきたいと考えております。

(大山座長)では、築道委員から意見をお願いいたします。

(築道委員) 食肉市場において公正な牛肉価格形成を担っている立場から、お話をしたいと思います。
 現行の価格算定においても市場取引価格が反映されていることは、重要なことだと理解しています。今回の見直しによる新しい算定方式も、引き続き、市場取引価格が反映されたものになると思いますが、市場における価格形成の公正さと言いますか、市場の健全性の確保と言いますか、そのためには、生産の実情が市場価格に反映されることが重要です。こういった政策的に決められる価格というのも当然市場で取引する関係者は認識しております。したがいまして、価格算定にあたりましては、生産の実態が反映されるものとなることが重要でありますので、その点の配慮をお願いしたいと思います。
 また、合理化目標価格を考える場合の輸入牛肉対抗価格に関してですが、黒毛和牛については、生産者を始め関係者の努力により、牛肉自由化以降、大型化するとともに品質が向上し、4・5等級の上位グレードの発生率が高まっていることは、我々も実感しているところです。その実態を踏まえることは大切だと思います。

(大山座長)では引き続きまして、西野委員から意見をお願いいたします。

(西野委員)まず、この検討会は、算定方式の見直しに係る検討会であって、現行の補給金制度の補填率や生産者の負担割合等の制度の基本的な仕組みそのものは変更がないという理解でよろしいでしょうか。
 続いて、繁殖についてお伺いします。我々生産者にとってTPP11の発効に備えるためのこの制度は、将来的な牛肉の関税引き下げに対するものであり、現場は不安を抱いているというのが現状です。繁殖基盤の弱体化に関して、高齢化や後継者の不足が原因と言われていますが、国際化の進展に伴う不安というのが生産基盤の弱体化に拍車をかけているのではないかという思いが強いです。
 今回の見直しについては、子牛の再生産を確実に確保すると課長からもご説明がありましたが、農業者の懸念や不安を払拭して生産基盤の維持拡大につながるものでなくてはならないと考えております。現状、繁殖雌牛の飼養頭数は3年連続で増えてきているということで、ようやく生産基盤の回復に兆しが見え始めていると思います。これは、各種の生産基盤対策に加えて、子牛価格が高値で推移している影響もあると考えております。
 保証基準価格の見直しにあたっては、単純に過去の生産費を基礎として算定することが、現在の経営の実情に則しているのかどうか、所得を確保し、持続的な肉用牛生産につながるのかどうかということを十分検討する必要があると考えております。その上で、繁殖経営においては、6割以上の農家が飼養頭数20頭以下の家族経営であり、中小規模経営の占める割合が多いという状況です。近年、飼料価格等の生産費が増加傾向にあるため、それらを適切に反映できるようにすべきと考えております。抽象的ではございますが、説明資料の中では、生産の合理化促進への配慮についてのみ触れておりますが、生産基盤の弱体化が深刻な問題になっていることも十分考慮しなければならないため、資料の作成についても考慮いただければと思います。

(大山座長)ありがとうございました。それでは、ただ今の委員お二人の意見に対しまして、事務局から御説明をお願いします。

(望月課長)今回の保証基準価格の見直しにあたっては、築道委員からお話がありましたが、生産者の現場実態を踏まえて直していくということはしっかりやっていきたいと考えております。西野委員からの御意見について、まずは確認の部分ですが、資料3の2ページに二階建ての図がございますが、今回は、左側の黄色い箱34万1千円をピンク色のところまで伸ばしてくことを考えており、補填率等の変更は考えておりません。
 過去の生産費をもとに単純に考えるのではなく、きちんと経営の実情に即して見直すべきというお話がありましたが、おっしゃるとおりです。我々も経営の実情に即したものに見直していくと考えております。ただ、経営というものを考えたときに、単に1年で考えていいのか等については色々と問題があるので、キャトルサイクルというものがあるということも十分考えた上で検討しなければならないと思います。
 繁殖農家の6割以上が飼養頭数10頭以下であるというお話について、我々としても家族経営が多いことは承知していますが、そういった家族経営の方々の中にも規模拡大の意欲がある方もおられます。したがって、畜産クラスター事業やALIC事業等で優良な繁殖雌牛の導入等も積極的に支援しているところであり、これからも手厚い支援をしていきたいということは変わりません。我々が小規模の家族経営について考慮していないということではないことをご理解いただきたいと思います。

(大山座長)その他、ご質問ご意見ございますか。

(有田委員)あくまで消費者の立場でお話ししますが、小規模経営・家族経営の畜産現場に見学行ったり交流したりということもしております。今回の資料を事前に説明いただいた時も、家族経営を切り捨てるようなことはないでしょうかと聞きましたが、そういうことはないという話でした。新しい保証基準価格もこれまでと同じ10月10日であり、補填率を下げていくという形ではなく、現在の経営の実情に即した見直しと合理化の促進という説明を伺いました。委員の皆さんのところにもそのような説明に行かれた上で、新たな要望が出たのかどうかお伺いしたいと思います。
 皆様、それぞれの経営やそのあり方については発言をしておかないと今後に影響していくということだと思いますので、納得はしているけれど、ここだけは伝えておかなくては禍根を残すということもあると思います。先ほども申し上げましたが、自国の農業を守っていく視点は重要ですが、税金として適切な良い使い方をしていただきたいと思います。ここにいる皆様が特に反対している訳ではないと受け取っております。この考え方で良いと思います。

(大田委員)繁殖経営のあり方ですが、非常に多種多様な経営があるのも実態です。肉用牛の中でも放牧を取り入れている経営もありますし、一貫経営もありますし、繁殖経営でも500頭規模、1000頭規模あるいは数頭規模というものもあります。生産費を元に算定するということですが、生産費調査のボリュームがよく見えません。規模別階層の戸数の統計数値はあるので、階層毎にそれぞれ全体で何割を占めているかは出てきます。資料3の15ページにあるような階層の振り分けでも構わないですが、より透明性を担保するためには、これにかけるそれぞれの経営規模が全体の何割ずつあるのかをおさえられるのであれば、7年間なりのスパンの中でズレていくことがあったにしても、時期によって小規模農家が高齢化でやめていって比率がどんどん減っていったとしても、実態に則した形の中で平均的な生産費に反映されていくのかなと思います。
 今後とも和牛を中心にして肉用牛を国産で消費者の皆さんも食べていきましょうと、なおかつ輸出もどんどん促進しましょうという形ができつつあり、一方、今ようやく子取り用繁殖雌牛の頭数が増えつつあります。今後も規模拡大をする農家さんとやめていく農家さんを比べたときに、今の頭数を維持できるのでしょうか、拡大していけるのでしょうか。酪肉近の中では増頭でシミュレーションしていますが、実際の動きとしては、今、子牛価格が70~80万円で推移している中で、仮に50~60万円になった時に、はたして続けていくだろうか、という心理的な影響もあります。こういう制度改正をするのであれば、新たに牛飼いをしよう、またはもうちょっと規模拡大をしようという小規模の人たちを中規模・大規模の専業農家に引っ張っていけるだけの魅力のある算定にしていただければと思います。そうすれば、制度改革というものも意義深いものになっていき、安心して経営を続けていける、安心して参入できる、という説明ができるのかなと考えております。せっかく統計数字があるのであれば、そこも踏まえて検討していただきたいと思います。

(望月課長)ご提案の中に、小規模経営の方々を中規模、大規模に引っ張っていくようなというお話がありました。私どもも生産費を考えるに当たっては、もう少しつぶさに実態を踏まえながら検討していきたいと考えています。

(富田部長)大田委員から非常に建設的な意見をいただきました。ご指摘の点は、規模別の生産コストだけでなく、規模別の農家戸数のシェアがどういう配分になっているか、そういったことも併せて議論してはどうかというようなご意見だったと思います。生産費調査や畜産統計に別途データがありますので、どういったものが示せるか検討させていただきたいと思います。
 全体の御意見に対する私の理解を申し上げますと、従前は、小規模経営が減少して大規模経営のシェアが増える中で全体の頭数は維持されてきたという流れであったと思います。しかし、最近は、頭数の減少に規模拡大が追いつかない、結果として、全体の頭数が減少してきたという状況だと思います。そうした中で、いわゆるセーフティーネットとしての制度をどのように確立すれば、今後の持続的な肉用牛生産をきちんと確保できるか考えるべきではないか、という御意見だと思います。
 また、全体としてこの算定方式を見直すことについては理解するけれど、合理化の踏み込みの程度については、現場の実態をよく配慮してほしいということかと思いますので、その点も十分に検討させていただきたいと思います。

(大山座長)その他、御質問、御意見はございますか。
 繁殖雌牛もようやく増頭に転じ、キャトルサイクルが本当に7年なのかというのは、本来その辺も検討しなければならないのかもしれないですが、非常に長い減少傾向の時代からようやく明るい兆しが見えてきたところです。皆様の地域で、経営の実態に合った制度設計ができるよう、今後とも御検討をよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、これで検討委員会の議事については終了となります。本日の内容につきましては実施要領で御説明いただいた通り、議事概要を事務局の方で作成した上で、委員の皆様の御了解を得て、その後公表させていただきますので、よろしくお願いします。

(望月課長)ありがとうございました。次回は本日の議論を踏まえて算定方式の基本的考え方について整理をしたいと考えております。整理をした上でまた皆様にご議論いただくということを考えている。日程は、後ほど事務局からご連絡をさせていただくのでよろしくお願いします。

(以上)

お問合せ先

畜産局食肉鶏卵課

担当者:素畜価格流通班
代表:03-3502-8111(内線4941)
ダイヤルイン:03-3502-5991

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