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農林水産省

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令和2年度 農業保険部会(令和2年11月25日)

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1.日時及び場所

令和2年11月25日(金曜日) 13時30分~15時20分
農林水産省第2特別会議室

2.議事

(1) 農作物共済の共済掛金標準率の算定方式の考え方について
(2) 園芸施設共済の共済掛金標準率の算定方式の考え方について

3.概要

13時00分  開会

◯滝沢課長補佐
 それでは定刻になりましたので、ただいまから、食料・農業・農村・政策審議会農業保険部会を開会いたします。本部会の事務局を担当しております経営局保険課課長補佐の滝沢と申します。よろしくお願いいたします。
 本日は、リモート参加の佐藤加寿子委員、古谷委員の2名も含めまして、当部会の委員及び臨時委員合わせて、11名全員の方にご出席をいただいております。所属委員の3分の1以上の出席がございますので、食料・農業・農村政策審議会令第8条第1項の規定に基づき、本部会が成立しておりますことをご報告させていただきます。
 次に本日の出席者ですが、委員の皆様につきましては、前回の農業保険部会から変更がございませんので、御紹介を省略させていただき、農林水産省の出席者のみ紹介をさせていただきたいと思います。
 まず、松尾経営局担当審議官でございます。

◯松尾審議官
 松尾でございます。よろしくお願いいたします。

◯滝沢課長補佐
 福島保険課長でございます。

◯福島保険課長
 福島です。よろしくお願いします。

◯滝沢課長補佐
 谷保険監理官でございます。

◯谷保険監理官
 谷です。よろしくお願いいたします。

◯滝沢課長補佐
 松澤保険課技術総括補佐でございます。

◯松澤課長補佐
 どうぞよろしくお願いいたします。

◯滝沢課長補佐
 次に、議場の運営でございますが、食料・農業・農村政策審議会議事規則第3条第2項によりまして、審議会は公開が原則となっております。本日の会議につきましては、これまでと同様公開となります。また議事録等につきましても、公開をすることになっておりますので御了承ください。ホームページに掲載する場合は、皆様にも御確認をさせていただきたいと思っておりますのでよろしくお願いいたします。また、御発言をされる際は挙手をしていただき、マイクでご発言をお願いいたします。
 本会議は、ペーパーレス化により実施し、会議の資料はお手元のタブレットで御覧いただきます。タブレットの使い方を御案内させていただきます。資料は1から9まで、参考資料は1から6までございますが、タブレットの画面上の方にありますタブのうち、御覧になられる資料番号タブをクリックしていただきますと、複数ページある場合は左側に「しおり」というものがでまして、資料のページ一覧が表示されますので、該当のページ番号をクリックしますと、そのページを御覧いただけることになっております。
 タッチペンを使われる場合は、先端側にボタンがございますので、反応しない場合は、ボタンを押して電源を入れていただければと思います。もしタブレットの不備等ありましたら、お近くの事務局の方にお声掛けいただければと思います。
 それでは、これ以降の当部会の運営につきましては、上岡部会長にお願いすることといたします。部会長よろしくお願いいたします。

◯上岡部会長
 皆さんこんにちは。部会長を仰せつかっております上岡でございます。今回も委員の皆様のご協力をいただきながら円滑な議事の進行に努めて参りたいと思いますのでどうぞよろしくお願い申し上げます。初めに、農林水産省から松尾審議官より御挨拶を頂戴したいと思います。松尾審議官よろしくお願いいたします。

◯松尾審議官
 経営局を担当しております大臣官房審議官の松尾でございます。委員の皆様におかれましては、本日、ご多忙のところ、本部会に御出席賜りましたことにつきまして、改めて御礼申し上げます。令和2年度の食料・農業・農村政策審議会農業保険部会の開催に当たりまして、一言御挨拶申し上げます。
 今年は7月に熊本県を中心に九州地方や中部地方、日本各地で発生した集中豪雨などの自然災害が発生しております。被災者の皆様に心から御見舞い申し上げたいと思います。
 また加えまして、今年は新型コロナウイルスによる農業経営への影響も少なくない状況になっております。今日お見えになった委員の方々も大変御苦労されていることかと思っております。こうした被害を受けた方々に1日も早く、しっかりとした営農を再開していただけるよう農業保険はもとより、農林水産省全体としましても万全の対策を講じて参ります。さらには、このような災害に備えるためにも、今後も農業保険の加入を一層推進していきたいと考えております。
 さて、御案内のとおり農業保険法に基づく共済掛金の料率については、事業ごとに3年に一度定期的に改定することとされております。本年度は、農作物共済、園芸施設共済の改定期でございます。これに関しまして、本日付で農林水産大臣から諮問がなされております。農業共済の適切な運営のため、忌憚のない御意見を賜り、御審議の上、答申いただきますようお願い申し上げます。
 また、せっかくの機会ですから一言加えますと、昨年1月からスタートした収入保険につきましては、近年の自然災害、新型コロナなどの影響、こういった不透明感が増す中で、多くの農業者の方々に関心を持っていただいて、加入も3万6千経営体と着実に増えております。
 しかしながら、当省としてはさらにもっともっと増やしていかなきゃいけないと思っております。関係団体の方々共々、一緒に私どもも加入促進に努めてまいります。本日、収入保険に関する御報告もさせていただければと思います。
 委員の皆様方におかれましては、今後とも、農業保険制度の発展に御支援御協力賜りますようよろしくお願いいたします。今日は所用で退席いたしますけれども、よろしくお願いいたします。

◯上岡部会長
 それでは、会議次第の3の議事に移りたいと思います。本日付けで農林水産大臣から諮問がございました、「農作物共済の共済掛金標準率の算定方式の考え方」及び「園芸施設共済の共済掛金標準率の算定方式の考え方」について審議を始めたいと思います。
 その前に、「料率見直しのスケジュール」、それから「農業共済制度の概要」、「農作物共済及び園芸施設共済の概要」について、事務局から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

◯福島保険課長
 保険課長の福島です。改めてよろしくお願いします。
 私からまず「料率見直しのスケジュールについて」ということで、資料4のタブをお開きいただきたいと思います。農業保険法に基づきまして、農業共済における農作物共済、家畜共済、果樹共済、畑作物共済及び園芸施設共済並びに収入保険の料率につきましては、3年ごとに、一般改定するという規定がございます。その改定に当たりまして、農業保険法に基づく重要事項として、農業保険部会において審議をいただいております。 本年度は農作物共済と園芸施設共済の一般改定期に当たります。
 スケジュールを見ていただくと、前回の一般改定は平成29年です。平成30年に一度臨時改定を行っておりますのは制度改正がございまして、全ての事業において1回見直しを行っております。
 昨年度は家畜共済の一般改定で御審議をいただきまして、来年度が果樹共済畑作物共済と収入保険の一般改定期に当たるということでございますが、本年は農作物と園芸施設共済の見直しに当たり、その料率の考え方につきまして、御審議をいただきたいというものでございます。
 続きまして資料5のタブをお開きいただきたいと思います。
 「農業共済制度の概要」ということで、若干おさらいになるかとは思いますが、改めて御確認いただければと思います。
 農業共済制度は、農業保険法に基づきまして、自然災害等による収穫量の減少などの損失を補填するための制度でございます。被災した農業者の損失を保険の仕組みによって補填するという仕組みでございまして、共同準備財産を形成するための共済掛金率の考え方を今回審議いただくということになります。
 共済事業の種類といたしましては、農作物、家畜、果樹、畑作物、園芸施設とございますが、農作物共済で取り扱っているのは、水稲、陸稲及び麦、園芸施設共済では園芸施設、要するにハウスを取り扱ってございます。
 農業保険の加入率を書いていますが、こちらは収入保険と合わせての加入率でございまして、農業共済か収入保険に加入いただいているのが水稲で83パーセント、麦で96パーセント、園芸施設共済は、収入保険は関係なく、共済だけですけど60パーセント程度の加入になってございます。
 対象事故は、農作物共済、園芸施設共済一緒ですけれど、主に自然災害、風水害、干害、冷害、雪害などの気象上の原因、あとは、病虫害、鳥獣害といったものも対象にしておりますし、園芸施設共済では、車両の衝突などそういった事故につきましても対象にしてございます。
 右半分に事業運営体制という図がございます。もともとは、農業共済組合が共済を引受けまして、それを農業共済組合連合会が、再保険の形で引受けをしてさらに政府が引受けるというような形になってございましたが、現在では、1県1組合化が進んでおりまして、右側の農業者から県単位の農業共済組合、特定組合と呼んでおりますが、こちらが引受けて、政府が保険を行うという形のものの方が多い形になってございます。42都府県ではすでに右側の形になっておりまして、残り5道県が左側の形になっています。また順次、1県1組合化が進んでいる状況にございます。
 国庫からは、共済掛金の一定割合、原則50パーセント、大体50パーセントと思っていただければと思います。国が負担するということで、これは農業保険法に基づく負担を行っております。
 また農業共済団体の事務にかかる費用の一部を国が負担しており、こちらも法律に基づく負担となっております。共済金の支払い状況ですが、だいたい年間1,000億円程度の共済金をトータルで支払っているという状況にございます。
 ただ、災害が多い年、被害が多い年、飛び抜けて多かったのが平成5年の冷害の年、あとは15年の冷害とかそういったものもあります。だいたい年間、1,000億円程度で推移しているという状況でございます。
 続きまして、農作物共済と園芸施設共済の概要は資料6の方を御覧いただきたいと思います。
 繰り返しになりますが、まず農作物共済は、共済目的の対象となる作物は水稲、陸稲、麦、概ね水稲と麦と思っていただければと思います。
 事故は主に自然災害、あと病虫害、鳥獣害、今年は「ウンカ」の被害というのもあります。病虫害についても注目が集まってございます。
 右のページの引受方式、こちらの方が今回、算定方式の考え方の中にも出てくるのですが、現在、引受方式として、全相殺方式、半相殺方式、地域インデックス方式、災害収入共済方式、一筆方式の5種類がございます。
 一筆方式というものが耕地ごとに、一枚の田んぼごとに、掛ける掛けないの判断をするものですが、こちらの方は、令和3年産をもちまして制度としては終了する予定でございまして、基本的には農業者単位での共済の引受方式へと移行を進めることにしてございます。
 全相殺方式は、農業者ごとに収穫量の合計で、一定割合の損害がありましたら塡補するもの。半相殺方式は農業者ごとに、耕地ごとの減収を見て、合計する。要は被害を受けた田んぼ、ここと、ここと、ここが被害を受けましたというのを足し上げて、損害を算定する。
 地域インデックス方式は、統計単位ごとですから、地域全体で一定割合の収量の減少があった時に塡補する。その農業者自身の収量の減少ではなく、地域全体で収量の減収があった時の塡補ということになります。災害収入共済方式は若干特殊な形ですけれども、減収や品質の低下で一定割合下がったと時に塡補するものでございます。
 それぞれに、一筆半損特約と呼ばれる特約を付すことができまして、一筆ごとに収穫量が一定程度下がった時に共済金を支払うという特約を付けることができます。
 次のページをお願いします。共済責任期間は、主に移植期から収穫期、麦ですと発芽期から収穫期ということで1年間のイメージですが、植付けから収穫ということになります。
 共済金額は、収量掛ける単価で計算して設定いたします。
 共済掛金は、その共済金額に一定の掛金率を掛けてお支払いいただくということになりますが、その掛金率の基本的な考え方というものを御審議いただいた上で、その組合ごとの掛金率の標準に定めまして、さらにその各組合が、農家ごとに、危険段階区分の掛金率を設定して決めていくということになりますので、よく事故が発生している農家につきましては、結果的に掛金率が上がっていくというような仕組みなっております。
 次のページにいきまして共済金です。減少部分を減収量掛ける単価で計算いたしまして、補填する金額が決まってくるという仕組みになります。災害収入共済方式ですと、選択した共済金額で一定割合の共済金が比例的に決まってくるという形になりますが、こちらは生産金額の減少額により支払うものでございます。
 4ページが事業実績でございます。農作物共済の全体で98万7,619戸の引受けが令和元年産にございました。面積にいたしまして141万2,536ヘクタール、総共済金額で9,400億円余りとなってございます。この99万戸のうち被害があったのが、真ん中の段6万4,515戸で、7万6,442ヘクタールいう状況でございました。結果として共済金は下の段の右端ですけれど、118億円をお支払していくという形になってございます。この118億円の共済金の支払いに対して、政府からの再保険金として約43億円が支払われているという形になっています。
 引き続きまして、園芸施設共済の概要を御説明いたします。
 園芸施設共済は5ページになります。園芸施設共済は、特定園芸施設、要するにハウスですね、ハウスとその付帯施設、あるいはさらにその中で育てている農作物、施設内農作物の共済を行っているものでございます。共済事故としては自然災害のほか、車両や積載物の衝突とか、そういったものも対象になります。病害虫を共済事故と選択しないというものできますが、基本的にそういったものも対象となっております。右側の共済責任期間、園芸施設につきましては随時加入という形をとっておりまして、いつでも入れてそこから1年間という形になってございます。共済金額は、要するにこれは損害保険でございますので、建物の価値、共済価額の4割から8割の範囲内で設定するという形になっておりまして、その金額に掛金率を掛けたものを掛金としてお支払いただくという形になります。危険段階別に各人について、掛金が最終的に決まるのは、先ほどの農作物共済と同様でございます。
 次の6ページにいきまして、共済金の関係で下の方に3色の図がございます。補償額の上乗せ特約と書いてある図がございますが、基本的にはこの緑色の標準コースの補償額という形で補償が決まってまいります。1年目ですと80パーセントまで、それがだんだん減価償却していって10年で40パーセント分まで下がって、それ以降は40パーセント分を補償する。赤いところ「特約1復旧費用特約」というものがございますが、こちらの特約を付すと古いものでありましても80パーセントまで補償するという形をとってございます。最近、本年から特約2というものを設けまして、追加で特約の掛金をお支払いいただくと。要は100パーセント、新価補償と呼んでおりますが、100パーセントまで補償することができるというシステムにしております。施設区分、隣の右側ですけれど、それぞれ被害の発生状況などを考えて区分を設けてございまして、ガラスで1類、2類、プラスチックハウスで1類から7類まで、主に構造材であるとか、あるいはその強度であるとかで書いてございますが、最も多いものはプラスチックハウスの2類、これがいわゆるパイプのビニールハウスです。これを主に標準的なものと認識していただければよろしいかと考えております。
 7ページの最後の実績ですが、園芸施設共済全体で17万6,697戸の加入がありまして、棟数にいたしまして58万3,982棟となっております。総共済金額が6,218億円余りいう形でございます。これに対しまして、被害戸数で2万416戸、被害棟数4万5,551棟、共済金は68億円をお支払いしている形でございまして、政府からの再保険金が26億3,500万円余りという状況でございます。制度の説明は以上になります。

◯上岡部会長
 ありがとうございました。続きまして、農作物共済の共済掛金標準率の算定方式の考え方及び園芸施設共済の共済掛金標準率の算定方式の考え方につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。

◯松澤技術総括
 保険課の松澤でございます。資料7の諮問文ついて御説明させていただきたいと思います。資料7につきましては、諮問文が書いてございますけど、資料8と資料9の方でその内容を含めまして説明資料を作っておりますので、資料8と資料9を用いまして御説明したいと思います。
 まず資料8をお開きいただければと思います。「農作物共済の共済掛金標準率の算定方式について」でございます。
 1ページ目を御覧いただきたいと思います。「農作物共済の共済掛金標準率の算定方式の考え方」というところで、主文が書いてございます。農作物共済につきましては、令和3年産からの水稲、陸稲と、それから令和4年産の麦に適用する共済掛金標準率を算定するというところでございます。この共済掛金標準率につきましては、農業者ごとに適用されます共済掛金率は、先ほど説明しましたように、危険段階別の掛金率が適用されることになりますけれども、この共済掛金標準率は、地域の平均的なものとして国が示しまして、これをもとに危険段階を作っていくことになる数字であります。この共済掛金標準率につきましては、過去一定年間の被害率を基礎とし、共済組合等の積立金の水準に応じた調整を図って算定するということでございます。これは従来と一緒の考え方でございます。
 資料2ページ目をお開きいただきたいと思います。共済掛金標準率を算定しますときに、基礎被害率を整備する必要がでてまいります。その基になる率につきましては、2ページ目の右側を御覧いただきますと、農作物共済の掛金標準率は、共済目的の種類、さらに細分化した類区分ごと、引受方式ごと、補償割合ごと、一筆半損特約の有り無しのものと、それから組合の区域ごとに設定いたします。金額被害率もこの区分ごとに整理いたします。それから、直近20年間の金額被害率をもとに算定いたしますけれども、この20年間につきましては、平成12年から令和元年産のデータ、実績金額被害率を用いまして算定することとしております。また、算定しました後に「必要に応じて修正を行う」場合があるとなっておりますけれども、この必要に応じて修正を行うとは、引受実績の無い引受方式につきましても、引受実績がある引受方式の被害率から換算して、その数字を作っていく作業をいたします。
 3ページ目をお開きいただきたいと思います。基礎被害率を整理しました後で、料率算定いたしますときに、農作物共済におきましては、通常標準被害率を設定いたしまして、算定の基礎といいますか、ベースになってくるものでございます。この資料右側を御覧いただきますと、「農作物通常標準被害率とは」という部分でございますけれども、要は、共済金額、責任を負っております金額のうち比較的軽微な被害に対応する部分としまして、共済組合に支払責任を負ってもらうという金額の部分でございます。この通常標準被害率につきましては、組合の事業運営の安定を確保する観点から、共済組合が、一定の責任を有しつつも、掛金収入で賄えないような部分が過度にならないように設定をするということで定めております。いわゆる、掛金で間に合わない不足部分があまり過大にならないようなラインで設定していくということで、従来から左にありますような算定式によって算定しているところでございます。
 4ページ目をお開きいただきたいと思います。各年の基礎被害率を並べまして、通常標準被害率を下回る部分、この4ページの図でございますとグラフの縦軸が各年の被害率の絶対値になっておりまして、通常標準被害率というラインの下のブルーに塗ってある部分を平均しましたものが、まずベースになってまいります。その上に、積立金の水準を踏まえた所要の調整を行いました数値が通常共済掛金標準率として、この通常標準被害率以下の部分に対応する掛金率の算定の基礎となってくるものでございます。積立金の水準を踏まえた所要の調整をどうするかという点でございますけれども、これも従来と同じようにしておりますが、共済団体に積立金が多く蓄積されている場合は、積立金の水準に応じまして共済掛金率の引下げ措置を行うこととしております。一方、積立金が十分でない場合は、共済掛金率に安全率を付加するという手法をとってございます。13ページ目にまた数字が出てまいりますので、そちらの方でお話をさせていただきたいと思ってございます。
 5ページ目をお開きいただきたいと思います。通常標準被害率以下の部分は先ほどまでに料率も算定いたしましたので、今度は通常標準被害率を超えてしまうような、大きな被害率の部分につきましての掛金率の算定でございます。組合ごとに、通常標準被害率を超える部分、この場合ですと、茶色い部分の面積を全部足して県一本の数字にしてまいりまして、一番下にありますような県連合会と書いてある茶色部分の合計した数字をそれぞれ各年で並べてみるという作業をいたします。この並べました被害率の中で、いわゆる滅多に起こらないような超異常部分と言われるような部分と、そこまではいかない異常部分というラインに切り分けをいたします。この切り分けるラインは、農作物異常標準被害率、いわゆる「q2」と呼んでおりますけれども、この数字でございまして、算定式につきましては、左側にあるような算定式によってこのラインを定めることにしております。この算定式については、従来と同様の考え方、同じ算定式でございます。
 6ページ目をお開きいただきたいと思います。6ページの右側を御覧いただきますとまた同じような絵が出ておりますけれども、一番下の茶色部分のところを御覧いただきながら御説明させていただきたいと思います。5ページ目と同じようなグラフになっておりますけれども、先ほど各年の異常部分の被害率を並べまして、q2’異常標準被害率を定めたところでございます。まず、異常標準被害率を超える部分のいわゆる超異常の部分につきましては、それの平均値を算定いたします。それとq2以下の部分でございますけれども、こちらについてもまず平均値を定めます。この以下の部分につきましては、共済団体の責任部分になってまいりますので、先ほどと同じように積立金の水準を踏まえ所要の調整を平均値に対して行うということでございます。この数字といわゆるq2を超える部分の数字を合算したものが、県の「異常共済掛金標準率の算定基礎率P2’」と書いてございますけれども、県一本の数字をここで一旦算定しております。これを、県内の組合が分かれておりますときには、県内の組合の共済金額の合計額の見込み額と、組合ごとの危険の程度を表示する危険指数に応じまして按分計算をして、ばらしてあげる作業をするということでございます。これで、組合ごとのP2の数字が定まってくるものでございます。掛金率につきましては、このP1とP2を合算したものが共済掛金標準率になるというものでございます。
 7ページ目を御覧いただきたいと思います。特定組合及び全国連合会と書いておりますが、実はこちらの方が現在の主流になっているところでございます。二段階制ですので、団体部分の責任をどのような掛金率にするかという部分と、国の再保険でみる部分の掛金率をどれだけにするかを考えるところになってまいりますけれども、いわゆる3段階制におけるq2という農作物異常標準被害率が国の再保険との発動ラインになりますので、それと同じ考え方で算定しましたのが、こちらに該当します農作物通常標準被害率q1というところで当てはめております。それを超える部分が異常共済掛金標準率P2でございます。特定組合なり全国連合会におきましては、こういった算定をするところでございます。三段階制でも二段階制でも同じですが、超異常部分の平均が国の再保険料率となるP2になると御理解いただければ結構でございます。
 8ページ目を御覧いただきたいと思います。先ほども少し申し上げましたが、冒頭で計算しました通常共済掛金標準率P1と政府の持分であります異常共済掛金標準率P2、これを合算したものが、共済掛金標準率の算定基礎率Pとなるところでございます。
 9ページ目を御覧いただきたいと思います。8ページ目までに計算してまいりました共済掛金標準率の算定基礎率は、まだ、品目合計、水稲なら水稲合計といったような考え方になっておりますので、水稲につきましても、例えば主食用米とか飼料用米とかによって、類区分を定めてございますし、麦でしたら小麦、大麦といったように単位が別になっておりますので、これごとに、先ほど算定しました算定基礎率を危険の程度に応じまして分解したものが、それぞれの類区分ごとに適用される共済掛金標準率となるところでございます。
 10ページ目を御覧いただきたいと思います。10ページ目は、共済組合が合併した場合の特例措置でございます。該当するところも減っておりますけれども、合併したときには、新しい共済組合でもう1回共済掛金率を算定し直すのが原則でございますけれども、合併に支障が出ることも時々ございますので、次の料率改定までは、従来の組合ごとに設定されていた掛金率はそのまま適用しますというルールがあることを御紹介をさせていただくところでございます。
 11ページ目を御覧いただきたいと思います。地域インデックス方式についての算定の考え方でございます。地域インテックス方式につきましては、統計単収をもとに共済金の算定をしますので、個々の被害率というよりは統計単収を用いて、どれだけの変動があるかを算定すれば被害率が出てまいりますので、統計単収を基にしまして各年の被害率を20年間算定しているところでございます。算定の単位をつきましては、統計単収のデータがある区分ごとに設定するところでございまして、水稲であれば一本ですが、麦ですと、田畑の別、あるいは小麦大麦等の別といった形に分解されます。統計の単位につきましては、水稲と麦は、市町村ごとに農林水産統計がございますので、その単位ごとに設定する、陸稲については、県ごとになるところでございます。そういった基礎被害率を算定しまして、以降の算定につきましては、先ほどまでに説明しましたものと同じやり方でございます。
 13ページ目を御覧いただきたいと思います。先ほど、積立金の水準に応じまして、掛金率の調整措置というお話をさせていただきましたところの具体的な説明部分でございます。左側にありますように、平成23年度から実施してきておりまして、いわゆる判定水準というものは、共済団体が責任を持って支払わなければならない最大金額の3年から6年程度の積立金を持っているところを1とさせていただき、判定水準の1から1.25倍の間にあるところにつきましては、何ら調整措置は行わないのですが、この判定水準よりも、たくさんの倍率、積立金を多く持っておりますところは最大で5分の4カットまで、段階的にカットが行われるところでございます。また、判定基準の1倍未満、積立金が十分でないと判定しましたところにつきましては、安全割増を付加するというルールをとってございます。これも前回までと一緒のルールでございます。右側の方に、現在、水稲でありますと66の共済組合等が実施していますけれども、水準別は右側のとおりでございます。カット対象になっている組合等が多いことが御覧いただけると思います。
 14ページ目を御覧いただきたいと思います。以上のような考え方で整理しておりますけれども、農作物共済の金額被害率、これは全国一本にした数字でございますけれども、こちらの数字を御覧いただきますと、水稲は、平成9年から11年の3年間の被害率が抜け、29年から元年産までの3年間が新しく入ってくるものでございますが、出ていく3年の方が入ってくる3年よりも被害が高かったということがございますので、被害率は4パーセントほどになりますけれども低下傾向にあるというところでございます。麦についても平成30年には北海道で大きな被害がございましたが、出ていく3年間の中で、2年ほど大きな数字が入っていることから、1割近く被害率が下がるところでございます。
 そういったことを踏まえまして、15ページ目に、先ほどの算定方法に則り計算しました改定案をお示ししておりますけれども、右側の方の現行比を御覧いただくとおり、被害率の低下とほぼ連動しておりまして、水稲につきましては、いずれの引受方式ともに低下するということでございます。また、麦につきましても1割以上、全国的には下がってくるところでございます。
農作物共済の説明につきましては以上としまして、資料9を御覧いただき、園芸施設共済のお話をさせていただければと思います。資料9の「園芸施設共済の共済掛金標準率の算定方式の考え方について」でございます。
 1ページ目を御覧いただければと思います。園芸施設共済につきましては、令和3年4月1日以降に共済責任期間が開始する園芸施設共済の掛金率につきまして、今回算定するところでございます。共済掛金標準率は過去一定年間の被害率を基礎としまして、積立金の水準に応じた調整を行って算定するという考え方は、農作物共済と一緒でございます。
 2ページ目をお開きいただきたいと思います。被害率を整理するという意味合いの基礎被害率でございますが、園芸施設共済の共済掛金標準率は、特定園芸施設、施設のタイプは先ほど申しましたようにいろいろタイプがございますので、そのタイプごと、それから、被覆しているか被覆していないかの期間ごと、施設内農作物につきましては事故除外があるかないか、あるいは小損害不塡補の金額ごと、料率地域ごとに設定いたしますので、それぞれそういった区分に応じまして整備するというところでございます。区分分けは下の表にありますので、御覧いただければと思います。
 3ページ目を御覧いただきたいと思います。園芸施設共済につきましても、直近20年間の実績被害率を基礎としまして、必要に応じて修正を行ったものを基礎被害率として、整理していくわけでございますが、直近20年間としましては、平成12年から令和元年度のデータを用いて算定いたします。また「必要に応じて修正を行う」とは、引受実績のない区分につきましても、実績のあるものから換算いたしまして、算定をするということでございます。考え方や方法も農作物共済と同じ意味合いでございます。
 4ページ目を御覧いただきたいと思います。各年の基礎被害率を算定した後としまして、4ページ目の上の方のグラフを御覧いただきたいと思います。20年間で被害率がこのように並んでいるパターンの場合でございます。この被害率の平均を基礎としまして共済掛金標準率の算定基礎率P’を定めるというものでございます。この被害そのものを使って率を定めていくわけでございますが、グラフに書いてある右側を御覧いただきますと、各年の基礎被害率の平均値を出しまして、それに積立金の水準を踏まえた所要の調整を行ったものが共済掛金標準率の算定基礎率P’になってまいります。積立金の水準を踏まえた所要の調整につきましては、考え方、適用の仕方も農作物共済と全く同じにさせていただいております。
 5ページ目を御覧いただきたいと思います。5ページ目の右下の方に、新しく特約2という付保割合追加特約という部分で、最大2割を追加で補償するというパターンも追加しておりますが、こちらの算定基礎率につきましては、特定園芸施設、附帯施設、それから撤去費用、復旧費用という被害の部分と同じ被害率になるという意味合いでございますので、それをそのまま使って算定基礎率にしていくという考え方でございます。
 6ページ目を御覧いただきたいと思います。各年の被害率から積立金の所要の調整をしました共済掛金標準率の算定基礎率P’というものを先ほどのとおり算定しておりますけれども、これを施設内農作物、撤去費用、復旧費用の選択する、しないの組み合わせがいろいろございますので、その組み合わせたものが、共済掛金標準率になるというものでございます。右下にありますのは、全部それぞれの算定基礎率を選択されたという場合になっておりますけれども、特定園芸施設及び附帯施設であるこのP1’から復旧費用の付保割合追加特約分P4’という部分までのそれぞれの算定基礎率を合算いたしましたものが、共済掛金標準率になってくるという意味合いが記載してございます。
 園芸施設共済の共済掛金標準率の設定の考え方は以上のとおりでございますが、7ページ目に付録といたしまして、園芸施設共済の責任分担を記載してございますので、簡単に御説明したいと思います。園芸施設共済の責任分担、要は国と共済団体の責任の持ち方についてでございますけれども、園芸施設共済につきましては、ハウス1棟ごとの保険金のうち、保険金額の3割を超えてくる部分、要は損害が3割を超えてしまった部分については、その95パーセント相当を国が再保険金として支払うことになってございます。さらに、1棟ごとに再保険で繋いでお支払いしておりますが、団体が最初に負担しております保険金額の3割以下の部分を年度で全部合算しまして、あらかじめ定めてあります園芸施設通常標準被害率を超えるというラインに達しましたら、超える部分の95パーセントを再保険金として国が支払うという2段構えの再保険を適用するという格好になってございます。
 8ページ目を簡単に御覧いただければと思います。園芸施設共済の共済掛金率の調整措置は、考え方は農作物共済と同じでございますが、8ページ右側の表を御覧いただきますと、園芸施設共済を実施しております66組合については、やはり積立金がそれほど持っていないという現状もございますので、全組合ともに安全率が付加される状態だというところを御確認いただければと思います。
 9ページ目でございます。園芸施設共済の金額被害率の推移でございます。タイプごとにいろいろございますが、主力でありますプラスチックハウス2類パイプハウスの列のところを御覧いただければと思います。平成9年から11年が抜けまして、新しいのが入ってくるわけでございますけれども、抜けるところの3年間はかなり台風等の被害が大きかった年が入っております。新しく入ってまいりますのは、昨年の台風19号等の被害等が入ってございますが、出て行く3年の方が相対的に大きかったものですから、パイプハウスにつきましては被害率が1割程度下がることが御覧いただけると思います。一方、上がるものの代表例としましては、プラスチックハウス7類でございます。これはブドウ畑とかなし畑の防雹ネット、多目的ネットを張っている部分の施設でございますけれども、この部分につきましては、昨年の台風でかなり被害が出たというところがありますので、事故率がかなり高くなっておりますから、その影響で被害率は上がってくる状況を御覧いただけると思います。
 10ページ目に考え方に基づきます算定結果が出ておりますけれども、大体被害率の傾向と同じ形でございまして、主力のプラスチックハウス2類で、表の右側に現行比がございますので、御覧いただきますと、一番たくさんの方が入っておられますのが「3万円または共済価額の5パーセントの被覆」と記載した列でございますが、御覧いただきますように約5パーセント程度掛金率は全国的には下がってくるという算定結果になってございます。私の方から農作物共済と園芸施設共済の共済掛金標準率の算定の考え方につきまして御説明させていただきました。

◯上岡部会長
 ありがとうございました。
 ただいま事務局から、諮問事項についての説明がございました。
 それでは、本件につきまして、御意見・御質問いただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
 まず、資料8の農作物共済の方から、御意見がありましたらお願いしたいと思いますが。

◯上岡部会長
 はい、佐藤加寿子委員お願いします。

◯佐藤(加)委員
 資料の説明をお願いしたいんですけれど、「資料5 農業共済制度の概要」の「共済事業」の表の「農業保険の加入率」は、農業共済の加入率だけでなく収入保険の加入率も合わせているということだったんですけれど、これは農業共済のことを説明されてる資料なので、農業共済の加入率に限って記述されるのが自然なような気がするんですけれど、これが合算とされた理由を教えていただければと思います。

◯福島保険課長
 農業保険の加入率、確かにおっしゃる通り農業共済単体で出した方が自然な部分もあろうと思うんですが、同じ事故をカバーするものである収入保険が制度創設から間もないということもあって、多くの場合でこういった形で農林水産省側からデータを出させていただいたものでございます。
 なお、農作物共済の水稲だけで見ますと70パーセント程度、収入保険が10パーセント程度になります。
 収入保険自体がまだ開始から短くそれほど件数がないので、現在そのぐらいであるということで御理解いただければと思います。

◯佐藤(加)委員
 はい、分かりました。ありがとうございます。

◯上岡部会長
 佐藤委員、よろしいでしょうか。

◯佐藤(加)委員
 はい。

◯上岡部会長
 それでは、他の委員の皆様、いかがでしょうか。

◯上岡部会長
 堀田委員、お願いします。

◯堀田委員
 資料8の13ページについて、平成23年からこの調整措置が導入されているというわけですけれども、長く続けてきた割にはこの積立金基準の倍以上持っている組合がこれだけまだある。私が最初期待してたものは、もっともっと調整措置が効いて、真ん中に収斂していくんだろうというふうに思っていたんですけれど、むしろ上の方にへばりついてるような印象を持っているんですが、これどういう経緯というか背景があるんでしょうか。さらには、今後このまま続けていって、時間が経ったら調整できるという見通しをお持ちなのかどうかお聞かせください。

◯松澤技術総括
 平成23年から積立金がたくさんあるところについては、農家負担、国庫負担の軽減に繋がるという意味合いで、こういう形でやってきたわけですけれど、おっしゃるようにもっと早くこの高水準ではなくて低水準の方に向かっていくと思っていたのですが、14ページの被害率の数字のように、最近、地域的に所々大きな被害が出ているものがありますけれど、全国でならしてみると絶対値が小さいということがあり、カットはしているものの、共済金の出方が低水準にあるということで、思ったほど積立金が減っていかないというのが一つの原因だと思ってございます。あと、もう1点が水稲の作付面積も年々、若干ですけど減ってきており、貯まっているお金の方を消化していく時の加入面積が若干減ってきていることも、減少していくスピードが悪くなってる原因ではないかと思います。

◯堀田委員
 今の話自体はむしろ望ましいことで、歓迎すべきことなんじゃないかなとは思いますよね。そういう意味ではむしろこの状況を、もっと強く掛金率の引き下げに、要するに農業者の方々に対する還元に使う、もっと有効な使い方を検討するべきじゃないかなという印象を持つんですけれど。そして、やはり適正な水準を積み立てていくという、そういう形に長期的に持っていくという方向性だったはずなので、これを放置しておくというのは必ずしも好ましくないように思います。

◯松澤技術総括
 前回の料率改定の時からこの階段式にカットする措置のところの3分の2カット、5分の4カットというのは、前回より前はなかったわけでございますが、前回からさらに強化しようという意味合いにおいて、2分の1カットまでで止まっていたものを、さらに上の方で切り代を大きくするという措置をとっておりますので、少しそれも効いてくるのではないかと期待しているところでございます。

◯上岡部会長
 それでは、他の委員の皆様いかがでしょうか。

◯上岡部会長
 古谷委員、お願いします。

◯古谷委員
 古谷です。よろしくお願いします。
 今の積立金の話に追加です。資料8の13ページは対象組合数ということで数字が出ていますが、組合は統合されるということもあると思いますので、分母が変わります。前回の審議でもお伺いしたのですけれども、例えば水稲の5以上であれば55だったのが33、合計が139だったのが66というふうにかなり数字としては減ってきているのですが、組合員数自体の分母がどうなっているのかというのが分からないので、この内訳をもう少し精査していただく必要があるのかなというふうに思います。
 それと、園芸施設共済の方も話をさせていただくと、園芸施設の方は、同じく調整措置が必要なところが以前は47だったのが66と増えてきている。逆に厳しい状況で安全率を付加しないといけない団体がすごく増えてきているというのは、問題ではないかなと思います。
 この辺りの原因や、先ほど申しました分母のことを、もう少し精査してもらう必要があるんじゃないかと思います。
 以上です。

◯松澤技術総括
 古谷委員、ありがとうございます。
 まず、園芸施設共済の関係について、前回が47と書いてあったのは、都道府県の数ということで、料率地域ごとの47都道府県という意味で前回数字を示したものでございます。
 今回66というのは、47都道府県の66組合ということでございますので、実は園芸施設共済については、いわゆる全県ともに安全割り増しを前回も今回も付ける状態にあると御理解いただければと思います。
 これは数字の単位が前回と違いましたので説明の仕方が悪かったかもしれませんけれども、前回も今回も全組合に安全割り増しが付くということでございます。
 農作物共済につきましては、前回まで合併してないところが結構ありましたので、139の共済組合があった時の数字でお示ししております。
 今回、合併後の66組合で数字をお示ししておりますが、前回からランクが変わったのかどうかとか、ウエイトが変わったのかどうかは、確かに分からないものですので、この現行の66につきまして、前回これがどういう位置にあったのかというものを整理しまして、後程お示ししたいと思います。

◯古谷委員
 はい、よろしくお願いします。

◯上岡部会長
 ありがとうございました。
 それ以外はいかがでしょうか。
 それでは、園芸施設共済の方の御質問等ございましたらお願いしたいと思います。
 特にございませんでしょうか。リモートの佐藤加寿子委員、古谷委員もよろしゅうございますでしょうか。

◯上岡部会長
 古谷委員、よろしくお願いします。

◯古谷委員
 はい。
 農作物共済とは直接関係なく、園芸施設共済の方に関係があることなのかも知れないのですが、一つお尋ねしておきたいことがあります。
 私は農業農村振興整備部会の方にも参加しておりまして、そちらの部会の方で農業共済に関する話が出ましたので、併せてお尋ねさせていただきたいと思います。
 どのようなことかと申しますと、整備部会の方では、今後の防災・減災の観点から、「流域治水」を推進していかなければならなくなるだろうという話になっています。人命を尊重するという観点から意図的に田んぼに水を入れて田んぼダムにして、洪水を調節するというような取り組みになるかと思います。その時に、農作物があるとなしとに関わらず、水が入ってきたり、意図的に土砂が流入されるというケースもあるわけですから、農地自体が汚染されてしまうとか、何らかの形で破壊されてしまうというようなことが考えられるわけです。もちろん地域によってもバラバラの状況になるかと思うのですが、そのような時に、どのような助けが出来るのかということを聞きましたら、農業共済があるので大丈夫ですよという話になりました。
 実際、園芸施設共済の方が中心になるかと思いますが、そういったケースを想定した制度設計となっているのかということを教えていただきたいと思います。
 よろしくお願いします。

◯福島保険課長
 現状、「流域治水」の話が国交省の方でも検討が進められているものと認識しております。今、田んぼダムのご紹介がございましたが、どちらかといえば、あらかじめ堰を上げてある程度雨水をためる話で、まだ、その田んぼに意図的に流し込むところまで具体的に話が進んでるかどうかを私は認識しておりませんけれど、どちらかというと、その泥水を流し込むのではなくて、川だけで引受けられないものを田んぼにもある程度引受けられないかという話と理解してございました。
 いずれにせよ、豪雨などによる被害であれば、当然、共済の自然災害、共済事故として、対象となる部分はあろうかと思っております。
 一方で、今後、意図的に土砂を流し込むようなことも含めてやるということになったときに、どの程度の被害が発生するかというのを考えながらやらないと、先ほど危険段階別のご説明をいたしましたが、何度も被害が発生するところはどうしても、保険設計上、掛金が上がらざるを得ません。
 なので、共済に入ってるからあなたの田んぼは何回流してもいいですというわけにはいかなくなると思います。そうすると、財産権の適正な補償というのをどこまでやるのか。意図的に流すのであれば、補償しなければいけない部分がどの程度であるかということも含めて考えていかなければならないのかなというふうに、私個人として、今のところ、「流域治水」の議論という限りで、認識してるのはそういった形となっております。

◯古谷委員
 現行では、農業共済でお救いするということは難しい可能性もあるということですか。

◯福島保険課長
 今の状態であれば、十分対応できると思うんですが、今後、毎年のようにここの田んぼに溢れさせますと、必ずここに溢れさせるようなことになりますということにしてしまうと、今度は保険が成立しないというか、必ず事故が発生すると保険じゃなくなるということになりますので、3年に1回ぐらい浸かるのかとか、5年に1回ぐらい浸かるのか、どこまで被害を発生させるかっていうのも、考えながらだと思います。
 今のところ、普通の災害の範囲で拾えているレベルなのでカバーできていると。今後、その治水を、そういった前に溢れさせるのをメインにして、毎年とか2年に1回とか発生するようになってくると、今度は保険の制度で引き受けるのも難しくなってくることがあるのかなと。それは、被害率が上がってきますので、上げ過ぎない程度であれば、その保険の世界で引き受けるということになろうかと思っております。

◯古谷委員
 分かりました。
 ありがとうございます。

◯上岡部会長
 古谷委員、ありがとうございました。

◯上岡部会長
 鴻上委員、お願いします。

◯鴻上委員
 鴻上です。
 今の古谷委員の質問に関連してなんですけども、意図的に水を入れるということがあるとした場合に、以前、農業共済はオールリスクで補償するのですけれども、原発事故の時にですね、いや、オールリスクなんだけれども、人為的で損害賠償ができるような場合は対象外だという説明を聞いたことがあります。
 そうしますとですね、今の意図的に水を入れるということに関しては、それに近いのじゃないかと思うんですけれども、農業共済としてのその補償はなされるのかなされないのか、人為的であるからどうなるかということを考えておかなきゃいけないんじゃないかというふうに思います。

◯福島保険課長
 大変重要な御指摘だと思っておりまして、同じ事故をカバーする両方からお金が出るというのはおかしな話ですので、完全にその人為的な帰責性のある話なのか、ただ、どうしても大災害で緊急避難的な話で損害賠償まで求められないというような話であるのかということは、考えなければならないのかなと思っております。
 あまりに大雨で、若干そこに溢れさせてでもやらないといけないということがあれば、それはさすがに損害賠償で対応ってことじゃないのかなということもあるかと思いますので、そこは、確かに原発事故の時は、どこまでが人災なのか、どこまでが自然災害なのかという話もありましたけれど、ただその、両方で賠償することはないと思いますけれど、今後の仕組み方次第ではあろうかとは思いますが、大変重要な御指摘だと思っております。

◯鴻上委員
 もともとが「流域治水」ということでの考えであればですね、損害賠償責任が発生するような事態ではないというふうに思われますから、これは農業共済としては補償するんだけれども、毎年毎年であれば、いかがなものかと。
 ただ、毎年毎年というのは多分ありえないと思うんですね。あくまでも偶然性は残るんじゃないかというふうには思います。

◯福島保険課長
 おっしゃる通りだと思います。完全に毎年浸かるようなところであれば、そもそも農地としてではなく完全に遊水地としての整備なり、非農用地としての整備になるんじゃないかというふうに思います。

◯上岡部会長
 佐藤加寿子委員、お願いします。

◯佐藤(加)委員
 はい、ありがとうございます。
 古谷委員の質問を聞いて疑問に思ったのですけれど、例えば、有機栽培とか自然栽培で収量が安定しないみたいな時には、現在、どのような取り扱いになっているのでしょうか。農業共済の上で。

◯谷保険監理官
 農業共済の共済事故は自然災害でありますので、有機栽培をすることによって減収したということは共済事故に当たらないと思いますが、有機栽培をしている方でも病害虫等で被害が出たということに対しては共済事故として対応することになるかと思います。

◯佐藤(加)委員
 すみません。
 ちょっとよく意味が分からなかったのですが。

◯松澤技術総括
 同じ話になるかもしれませんが、有機栽培とか自然栽培の場合に、それぞれのいわゆる過去実績、どれだけ収量があったか、単収があったかという数字を基にして、過去の平均的なところをベースに基準となる単収を決めさせていただいて、そこから自然災害とか何かでダメージを受けて収量が下がったということになれば、共済金をお支払いするというルールになっておりますので、一般の栽培の方法も有機栽培とかも、別に補償しないという意味ではなくて、両方同じように補償します。
 ただ、単収とかのレベルが違っていれば、違っているレベルを発射台として補償させていただくという格好にさせてもらっております。

◯佐藤(加)委員
 はい、わかりました。
 ありがとうございました。

◯上岡部会長
 染谷委員、お願いします。

◯染谷委員
 先ほどの話に戻ってしまいますが、「流域治水」ということで話がありましたが、実際に同じようなところで私は農業をしています。
 ここは、利根川の調節池ですけど、川が増水し、ある一定の高さを越えると越流堤から自然に水が入ってきます。下流域の洪水を防ぐために一時的に貯めておくのです。これまで水が貯まったことは、自分が農業を始めて40数年経つのですが、これまで4回ありました。前回は今から17年ぐらい前にありました。今回は昨年の台風19号の後の豪雨で利根川が増水して、全面冠水しました。この時はまだ、水稲が23ヘクタール、それと大豆が同じぐらいあって被害を受けたのですが、昨年から収入保険に入らせてもらいました。そのおかげで一息ついているところです。
 ところで自分としては、そういうリスクがあるから保険に入るのではなく、やはり農業そのものがリスクの高い職業ですね。会社を辞めて農業やろうとしたときに、会社に勤めていれば何かあっても1年、2年は会社が面倒を見てくれる。ただ、自分で農業するっていうことは、自分で全部責任を持たなくちゃいけないですね。そこで、自分としては農業共済、また保険会社の保険に入り、万が一に備えようとしてきました。農業そのものはそういうふうにリスクに対していかに自分が対応していくか。それが一番大事なことだと思います。
 実際にリスクの高い農業をして、収入保険、また共済へ加入してしっかり経営を守っていく、それが大事じゃないかなと思う。
 以上です。

◯上岡部会長
 ありがとうございました。
 時間も迫ってまいりましたがいかがでしょうか。
 本日の諮問事項についての、御質問等ございましたら。

◯上岡部会長
 前田委員、お願いします。

◯前田委員
 今の染谷委員の話と繋がる形で、保険全体からの話になるかもしれませんけれども。私も、この委員をさせていただいている中で、勉強のつもりで収入保険に加入しましたが。最近キャベツも始めました。そうしたら、昨年、実際にキャベツで被害がありまして280万ほど収入保険からもらいました。染谷委員の金額は分かりませんが大変助かったということで、収入保険の説明会等、各地でいろいろと活動されていると思うのですけれど、もう既にされているかもしれませんけれど、例えば何県の何ファームという形で、詳しい掛金と収入保険の結果やその背景の災害とか、具体的に数多くの実績を示すことで、加入推進に効果があるんじゃなかろうかと思います。
 私もフェイスブックや県の農業法人協会で、自分もこういうことがあったという報告をしています。どれだけ反響があったかわかりませんけど。
 以上です。

◯上岡部会長
 何か事例集のようなものがあるかということですが。

◯松澤技術総括
 収入保険の推進も担当しております。
 前田委員がおっしゃるとおりでございまして、昨年度から推進をやってきておりますけれど、収入保険につきましては、今年度になってからようやく保険金の支払の実例が出たというところもございますので、許される限りにおいて、そういった方々のお名前とかどういったお気持ちで入られたとか、保険金もらって助かったかどうかっていうお声をいただいて、顔写真付きで、例えば農林水産省のフェイスブック等で配信させていただきますし、また、そういった方々の代表事例を集めさせていただいた動画をYouTubeにぶら下げてみたりしています。後は、各地元の新聞や広報誌等に載せたりして、推進に行くときに実際にそれらを手に持って、この地域の誰さんがこういうふうにご加入されて、こんなことでお金を幾らもらったって書くのはあれでございますけれど、保険金をもらって助かったと言われておりますという実例を示させていただいて推進しております。本当におっしゃるとおりだと思います。

◯前田委員
 匿名にすれば金額を出してもいいですよ。

◯松澤技術総括
 いろんな方がおられますので、このまま示していいという方も結構おられますから、そういった方々を使わせていただいております。

◯上岡部会長
 御意見ありがとうございました。
 この後ですね少し保険全般について、いろいろ御意見を伺う時間が少しあるかと思いますけれども、農作物共済と園芸施設共済の共済掛金標準率の算定方式の考え方つきましては、御質問、よろしいでしょうか。

◯上岡部会長
 本件の審議を終了させていただきたいと思います。
 それでは、今回の諮問事項であります「農作物共済の共済掛金標準率の算定方式の考え方」及び「園芸施設共済の共済掛金標準率の算定方式の考え方」につきましては、適当と認める旨、議決してよろしいでしょうか。

〔「異議なし」の声〕

◯上岡部会長
 ありがとうございます。
 皆様、異議なしと認めます。審議会の議事は、食料・農業・農村政策審議会令第8条第2項の規定により、議事の決定に必要とされている出席委員の過半数で決することとなっておりますので、本部会は、本件につきまして、適当と認める旨、議決いたします。
 また、本部会の議決につきましては、「食料・農業・農村政策審議会における部会の設置について」の第2条第1項の規定によりまして、審議会の議決とみなすこととされておりますので、農林水産大臣に答申したいと存じます。
 なお、農林水産大臣への答申につきましては、答申文にて行うこととなっておりますが、その文面につきましては部会長に一任いただくということでよろしゅうございますでしょうか。

〔「異議なし」の声〕

 ありがとうございました。
 それでは最後に、事務局より、収入保険の状況等につきまして報告をお願いしたいと思います。

◯松澤技術総括
 資料に基づきまして、収入保険なり農業共済の加入状況等につきまして御報告します。
 参考資料の2を御覧いただければと思います。先ほど、リモートの佐藤加寿子委員からも、農業保険一本ではなくて収入保険と農業共済でどれだけ加入しているか数字はどうなっているのかという御質問がございました。この資料を御覧いただきますと、水稲では全国の加入率が83パーセントと書いてございますが、収入保険で10万7千ヘクタールの加入でございますし、農業共済では117万7千ヘクタールの加入ということでございますので、だいたい加入しているうちの1割程度が収入保険で、残り9割が農業共済に加入していただいているという数字を御覧いただければと思います。これは昨年の数字でございますが、麦は全国で96パーセントの加入でありますとか、以降、数字は読み上げませんけれども、共済対象となっております品目ごとにそれぞれの該当県での加入状況をお示しさせていただいておりますので、御関心のあるところを御覧いただければと思います。最後の12ページ目には、農業用ハウスということで、本日の園芸施設共済の加入状況を示させていただいております。全国では59.5パーセントと約6割弱となっております。これも年々少しずつ加入率も上がってきております。一番高いところでは高知県の90パーセントを超えるところから、低いところでは下の方の水準もあるというところでございます。御関心のあるところを御覧いただければと思います。
 加入状況は以上でございまして、資料の御紹介というところで、参考資料3は、先ほど園芸施設共済につきましては、今年の9月からいろいろな特約制度を新しく作りまして、補償を充実していると御説明させていただいたもので、こちらが農業者向けに御説明させていただいているパンフレットでございます。表紙ページにありますように10割の補償ができるようになりましたとか、1万円を超えるような損害からも補償できるようになりましたなどなどの御説明をさせていただいておりますので、御覧いただければと思います。
 続きまして、参考資料4ということで収入保険の実績を御紹介したいと思います。令和2年、本年9月末現在の取りまとめの数字になってございます。
 1ページ目でございますけれども、令和2年の収入保険の加入状況でございます。令和2年の収入を補償する加入者というところでございまして、昨年が第1期の加入で2万2,812件を全国で御加入いただいたところでございます。本年の令和2年につきましては、9月末現在で3万5,820件でございまして、まだ10、11月と2か月法人の加入が残っていますので、この数字はもう少し大きくなると思っていただければ結構でございます。1年間で約1万3千件程は加入者が増えたという状態を御覧いただけると思います。そして、どのような品目の加入が多いのかということですけれども、1ページの下に、品目別の加入状況をお示しさせていただいておりますが、やはり生産している人の数に比例してくるという格好になっておりまして、多い順ですと、米、野菜、果樹といった順番に加入されている方が作付けされているものが多いという状態になってございます。
 2ページ目を御覧いただきますと、全国3万5,820件の加入者の都道府県別の内訳をお示しさせていただいております。令和2年の(B)の列、現状の加入状況というところでございます。都道府県の数字はいろいろございますけれども、多い順では青森県の2,239件が全国で一番多く、次いで北海道の2,044件、以下、御覧のとおりの数字になっているところでございます。加入目標の全国10万は、できるだけ早く10万人の方に入っていただきたいという願望も含めた目標値でございますが、令和4年度までには何とかそこまで行きたいという気持ちを持って、今加入推進に励んでいるところでございます。
 3ページ目を御覧いただきますと、収入保険制度が農作物共済や果樹共済といった収穫物を対象にする共済、米麦や畑作物も対象にしております「ナラシ対策」、あるいは「野菜価格安定制度」などなどとは選択加入になってございます。要は保険の重複を防ぐ意味合いもありまして、どちらかを選択していただくことになっておりますので、従来からあった制度から何件位の方が収入保険に移行されたのかという数字をお示しさせていただいております。農業共済からは延3万件の方が移行された状況でございます。一番多いのは米麦を対象にしています農作物共済で2万件ほどの方でございます。「ナラシ対策」からは1万1千件余、「野菜価格安定制度」からは約6,500件の方が移行されているというのが現状でございます。
 4ページ目を御覧いただきますと、収入保険は、昨年、第1期が終わりまして第2期の方も保険責任が始まっております。災害等で事故が発生しましたら事故発生通知を全国連合会に加入者の方から通知していただくことになっております。例えば、台風で被害を受けました、あるいは価格が暴落しました、売れ行きが悪いですといった情報をある程度の時期までに通知していただいているものでございます。上の列が令和元年の収入保険は、2万3千件ほどの加入者の中で、月別に同じ方が2回3回という方も中にはおられますが、5,625経営体から事故発生通知がございました。令和2年につきましては、9月末で2,500経営体から事故発生通知が出てきているところでございます。ちなみに、新型コロナウイルスの関係で需要が無くなったり、価格低下があったということで、収入減少になると事故発生通知を出された方が、9月現在で昨年の加入者で法人の方で29経営体ほど、本年の加入者の中からは、472経営体がコロナ影響がありましたという通知をいただいているところでございます。これはまだ途中経過ですから、まだ増える可能性もあるところでございます。
 5ページ目でございます。つなぎ融資の実施状況を記載しております。収入保険の保険金は、税務申告の数字を基に保険金を査定させていただくことになりますので、個人の方は、3月15日の確定申告後に保険金が最終的に決定することになっておりますが、かなり早い時期にダメージを受けられた方で保険金をもらうことがほぼ見込まれる方に対しては、つなぎ融資という形で無利子で保険金を前払い的に払わせていただく制度がございます。これの昨年の利用でございますが、790件の方に総額で38億円ほどのつなぎ融資を実行させていただき、1件当たりの額は約500万円が平均的な結果になったところでございます。本年につきましても、すでに442経営体の方にお貸ししておりまして、1件当たり440万円程度というところでございます。これにつきましても、コロナの関係で特に令和2年の加入の方につきましては、215件の方に11億円余をつなぎ融資という形で早めに資金提供ができているところでございます。これも収入保険の売りでございます。事故があって必要な時に早めに全額ではございませんけれども、資金を一部提供できるという意味合いでございます。
 6ページ目を御覧いただきたいと思います。実際に昨年の加入2万3千件の中で、保険金のお支払をしたのは何件だったかでございますが、収入保険の保険金部分と積立部分がございます。積立金の方が先へ出て行くことになりますけれども、どちらかをお支払いした方々が6,646件おられたというところでございます。そのうち3,700件の方に保険金をお支払いして、積立金の部分は6,534件にお支払いができたところでございます。総額につきましては、保険金で75億円ほど、積立金で76億円ほどのお支払をさせていただいておりまして、1件平均では200万円ほどのお支払でございます。コロナの保険金の支払いにつきましては、令和元年の法人の方について13件ほどのお支払いをしていますけれども、令和2年になってまいりますとこの関係でのお支払い件数はかなり増えてくるものと思います。最終ページは、都道府県別の内訳でございますけれども、いろいろな要因でお支払いがありますので、何県が多いと言っても特にその違いはなかなか判定しづらい部分が現状ではございます。あと二つの資料の中身だけお話させていただきます。
 参考資料5は、収入保険において現在使っておりますパンフレットでございます。表紙に青森県の方、愛知県の方、宮崎県の方が収入保険に入ってよかったというお声を代表事例としてこちらに掲げさせていただいております。あとは内容の説明が入っているというところでございます。
 もう1点、参考資料6を見ていただければと思います。先ほど申しましたように新型コロナウイルスの関係で、本年の収入につきましては、いろいろな経営体の方々に収入減少が起こってしまって、来年以降収入保険に入るとしても、収入保険は基本的には過去5年平均の売り上げで補償するという考え方になっておりますので、補償が下がってしまう。継続して入っても、来年保険金が出ないのではないかとか、新規で入っても意味がないのではないかという懸念がございましたものですから、今年の新型コロナウイルスの関係につきましては、誰も予測できなかったという事象でもございますので、来年以降の補償をきっちりできるよう過去5年の単純平均ではなくて、このチラシの中にありますように、単純に申しますれば、従来のレベルまで底上げして補償をするという特例措置、そのレベルの基準収入にするという仕組みを取り入れているというところでございます。申告制にさせていただいておりますので、どの位の方が利用されるかは、まだまだ見えて来ないわけでございますけれども、加入者方々の助けにしたいという思いからやらせていただいたものでございます。私の方からの最近の状況の説明は以上でございます。

◯上岡部会長
 ありがとうございました。また少し時間がございますので、今の説明も踏まえて何か御意見、御質問がありましたら、御自由に御発言いただきたいと思いますが。佐藤ゆきえ委員お願いします。

◯佐藤(ゆ)委員
 個人的に収入保険のことでお聞きしてもよろしいですか。加入しているのですけれど、掛金のことで母と意見が食い違う時があるのですが、掛金が上がっていくのは何でだろうというのが母の意見で、私が認識しているのは売上げが上がれば、掛金が上がるのだと認識しているのですが、それで間違いないですか。

◯松澤技術総括
 お答えいたします。人によっていろいろあることになりますが、まず収入保険については農業共済と同じように危険段階別の保険料率を設定しておりますので、保険金を御自身がお支払いした保険料よりたくさん受け取った方については、危険段階のランクを上げさせていただく、1回の保険金の受取りにつきまして最大3ランク上げさせていただく措置を使わせていただきますので、保険金をたくさん受け取った方については、規模が変わらず基準となる収入が仮に変わらなかったとしても、掛金は少し上がるという格好になります。これが上がる要素の一つでございます。もう一つは、おっしゃるように、規模が拡大をするとか、年々売り上げが良くなってきて、過去5年平均のレベルが高くなってくることになると、当然補償の水準が上がりますから、保険料率が変わらなかったとしても、いただく保険料は多くなるということでございます。この二つが主に上がる要因と思います。

◯佐藤(ゆ)委員
 ありがとうございます。個人的な意見ですが、リスクマネジメントして、収入保険に入っているのですが、なお、収入保険を使わないようになるべくしていかなくちゃいけないっていう、またリスクを感じているところです。更には、保険料の支払いの案内があった時に、詳しい評価というか、評定みたいなものがあるともっとわかりやすいのではないかなというふうに思って感じていたところだったので、一応意見として言わせていただきます。

◯松澤技術総括
今の委員のお話は、保険金の支払通知といいますか、収入保険の場合は保険金をもらわないという選択も最後にできることになっておりますので、一応このぐらいお支払いがありますけれどどうされますかという時に、例えば、これをもらうことになると、来年、危険段階でワンランク上がりますとか、2ランク上がりますとかということが書いてあるとよろしいという意味と受け取ってよろしいでしょうか。

◯佐藤(ゆ)委員
 それと同時に要するに、経営の内容が良くなったから保険料が高くなるっていうところをちょっと褒め状的にくださいなと。そうするとわかりやすい。

◯松澤技術総括
 わかりました。昨年よりも実質負担が大きくなっている時には、なぜかということがあるわかるようにということの趣旨で受けとめさせていただきます。実施団体の方とそういうことができないのかと相談したいと思います。

◯福島保険課長
 若干補足いたしますと、使わないっていうと、結局事故がなければ、むしろ料率は若干下がっていきますので、自動車保険と一緒で事故がなければ等級が良くなって下がっていく。料率自体は下がっていって規模が拡大した結果、掛算では保険料が上がったということがあるかもしれませんけれど、料率が下がってるというのはおそらく保険を使わずにいい経営をしていただいてるとそういうことなっているということです。

◯佐藤(ゆ)委員
 保険料って高くなると払う方に不安に感じるんですね。それが何で増えているかというものを明確にしてもらった方が。古い世代だと、何で高くなったの、何で収入保険制度に入ってこんなにお金払わなくちゃいけないのっていうそういう不満というか、不満と不安が一緒になって出てくるので、そこがもう少しわかりやすい案内状だといいのかなって、今年いただいたものを見ながら、母に説明するときに感じたものですから、一応一農家の意見として取り入れていただければと思います。ありがとうございました。

◯上岡部会長
 では栗本委員お願いします。

◯栗本委員
 栗本です。ここの場に出ていると、収入保険はいいものっていうのはすごい伝わってくるのと、あとは前田委員とか佐藤委員の話聞いているとすごくわかりやすいし、伝わってくるんですよ。だけど、実際、地元に戻って、いろんな場で説明を聞いたりとか、あとコロナの関係で、高収益の補助金とか助成金の説明とか、そういう場で書類上に収入保険や共済に入っていますかというチェック欄があるんですよね。農家の皆さんは入らなきゃならないのかという質問をする。そして返ってくる言葉が曖昧なんですよね。強制力を持たせなくても、いや、これはいいものだと、あなた達を守るものだからっていうことを言ってもらえれば、また検討しようって思う人いるかもしれないけど、これは入らなきゃ駄目なのかって言った時に、いや、見積もりだけとってくれればというような回答が返ってきてしまうと、私は特にこういう場に関わらせてもらって、「ガクッ」、「何で」っていう気持ちがすごい芽生えていたので、やはり、いい声っていうのを収入保険の説明の場だけじゃなくて、農水省のいろんな担当部署が収入保険とか共済に絡めた話をするときにきっちりと地方の農政局の説明の方、さらにその先に説明する方にまでやっぱ落とし込まないとわかりづらいし、やはり不安に思うところもあるし、佐藤さんのお母さんが不安に感じるっていうのが、現場の不安であるなっていうのを今話聞いて思ったので、もうちょっと頑張って欲しいなっていうのを思いました。

◯福島保険課長
 御指摘ありがとうございました。補助金の中に特に災害復旧のものの補助金の中に併せて共済の加入が要件であるということがはっきりと書かれているものもございますけれど、「備えましょう」という段階だとやはり基本的には加入者の意思というものを尊重しなければならないという前提で、何とも微妙な言い回しになっていて、かえって混乱させてというのがあったのかなとは思います。ただ、できるだけきちんと備えていただきたいという農林水産省通しての思いでございますので、ちょっと説明の仕方、工夫するようにしたいと思います。ありがとうございます。

◯上岡部会長
 前田委員、お願いします。

◯前田委員
 今日、東京海上の浜田委員がお見えになっているのでお伺いしたいのですけれど、トラックの保険において、トラックが事故を起こした場合、もちろん、とてもひどい事故で程度にもよるんでしょうけど、最初から保険料率が、1回起こしただけで上がったのかなあというのがちょっと疑問があって。程度であるとか回数でいきなり上がったかなあっていうのがちょっとあってですね。
 特にノンフリートとかフリートとかありますよね。ノンフリートの場合ですかね。どっちかな。それで、例えば10台とか入ってるとかいうことで、いきなり上がったかなあっていうのもちょっとあって、その辺どうでしょうか。
 つまり、保険収入、1回目は貰わない人達もいるわけですから、その初めて貰ったって次が、その時は被害にあってるわけですから、次の年から保険料上がるっていうのが本当に共済なのかなっていうところもクエスチョンがあって。2回目っていうとそれは確かに努力しなくちゃいけないし、それは何か善意の何とかじゃないけど、1回目でいきなり一番きつい時に上がるのが、一般的な保険ではどうなってるのかなっていうのをお伺いしたかった。

◯浜野委員
 一般的な保険の話とのことですが、例えば、保険金を支払っても保険料を上げない保険制度もございますし、自動車保険のように、安全運転のインセンティブも働かせるために、割増引制度を設けてるものもあります。さらに、制度ではなく、実際の保険金支払状況も加味しながら個別にリスクを踏まえ保険料を決めるケースもあります。また、保険会社によって制度が異なることもありますので、今この場で一概に「これが一般的な保険はこうです」というのは、難しいと思います。
 収入保険の危険段階別料率の話について言えば、私の理解では、複数回事故を起こしている方に対し、他の事故を起こしていない方たちと公平性の観点で差を設けようという作りで制度設計されてると理解していますが、先ほどお話があったように、保険料の上昇の仕方が負担に照らしきついということであれば、そのような声も踏まえて少し制度の見直しを検討される、今ここでどのような制度であるべきか考えているものではありませんが、制度の見直しを様々な視点を踏まえて考えていくこともありうるのではないかと思います。

◯上岡部会長
 染谷委員、お願いします。

◯染谷委員
 先ほど、新型コロナウイルスの特例という説明ありました。そこで、これはコロナウイルスとは違いますが、農家から言われたことですけれど、パンフレットに出ている例は年収1,000万円の経営体ですが、5年間で5,000万円だから1,000万円の補償で収入保険に入りました。例えば、昨年500万円の収入保険をもらいましたということになると、今度5年間で4,500万円になるので補償が900万円。これを続けたら、翌年は5年間で4,000万円、補償が800万円に落ちてしまうことになる。これではどうなってしまうのか、もし、コロナウイルスの特例ができるってことは、保険の補償についても考えてもらいたいと言われました。
 実際には、1,000万円の収入があって、その1,000万円で経営と生活をしてるわけですよ。それが2年続いたら800万円になってしまう。そうすると、それだけでは生活ができなくなってしまうじゃないかって、農家からの質問でした。
 それともう1点ですね。米を作っているのですけれども、米が過剰ということで、今、飼料米が多く作られていますけれども、飼料米の価格そのものは10アール当たり1万なのです。そこに国が補填をしてくれて10万なにがしになるのですけれど、国からの交付金は収入には入らないのですよ。
 もし仮に50ヘクタールの水田があって、その全部50ヘクタールを飼料米にしたら、収入保険で入れるのは、10アール当たり1万円としても50ヘクタールで500万円ですよ。後、国から貰える交付金は一切入れないということは、収入保険では国でいろいろ取り組んでいる飼料米については全然考えてくれてないじゃないかということになるのですけど、その辺はどうにもならないでしょうか。
実際には国から出る交付金も雑収入として、きちんと税務署へ申告するわけですよね。その辺のことをちょっと聞かせてもらえれば。

◯福島保険課長
 飼料用米の補助金の話は、そういう声を我々もよく聞くことは聞くんですけれど、ここで考えますと、補助金をもらえる地位を保証するのかっていうことでもあるんだと思うんです。結局、公費からの支出ですので。
なので、補助金が何万円もらえるはずだったのでそれを保険で補償してくれというのは、なかなか我々としても制度に乗せがたいというかですね、収入保険自体も多額の公費を投入して運営させてもらっているところもありますので、お気持ちはよく分かるんですが、制度としてなかなか組みにくいとこでありまして、残念ながら土台のお米そのものの価格販売の部分という形で対応させていただいているものでございます。

◯上岡部会長
 ありがとうございます。
 他にはいかがでしょうか。
 本日は15時半までを予定しておりますけれども、何かございましたら、もう1人ほど、御意見賜りたいと思いますけれども。
 リモートのお2人の委員はよろしいでしょうか。
 本日はないようでございますので、また、ございましたら事務局の方にメール等でご連絡いただければと思います。
 それでは、本日は長い時間にわたりご議論いただきまして、いろんなご意見を賜りましてありがとうございました。
 以上をもちまして、農業保険部会を閉会とさせていただきます。
 ありがとうございました。

15時20分  閉会

 

 

 

お問合せ先

経営局保険課

担当者:数理班
代表:03-3502-8111(内線5261)
ダイヤルイン:03-6744-2172

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