令和5年度第4回畜産部会議事概要
令和5年度第4回畜産部会議事概要 PDF版(PDF : 416KB)1.日時
令和6年3月19日(火曜日)14:30~16:402.場所
農林水産省 第2特別会議室(web併催)3.出席委員
小針美和部会長、石田陽一委員、小椋茂敏委員、小山京子委員、駒井栄太郎委員、里井真由美委員、畠中五恵子委員、馬場利彦委員、前田佳良子委員、松田克也委員(駒井委員、里井委員、馬場委員、前田委員はリモート出席)
4.概要
各委員からの主な発言内容は以下のとおり。食料・農業・農村政策審議会令和5年度第4回畜産部会概要
【日時】令和6年3月19日(月曜日)14時30分~16時40分
【場所】農林水産省第2特別会議室
【出席委員】小針部会長、石田委員、小椋委員、小山委員、駒井委員、里井委員、畠中委員、馬場委員、前田委員、松田委員
【ヒアリング御協力者】平勇人氏(株式会社ファームノートデーリィプラットフォーム)、青沼光氏(株式会社clover farm)、吉澤克次氏(二ツ山牧場)、北村篤氏(計根別農業協同組合)
【当省出席者】渡邉畜産局長、関村審議官、新井畜産総合推進室長、木下企画課長、郷畜産振興課長、廣岡飼料課長、須永牛乳乳製品課長、猪口食肉鶏卵課長、星野畜水産安全管理課長ほか
<概要>
(ファームノートデーリィプラットフォーム平氏からの発表概要)
〇当牧場では、グループ会社のファームノートと連携して、北海道中標津町で畜産生産におけるDX化モデルを構築しながら4牧場を経営している。
〇ICT等を活用した情報の可視化による飼料コストの低減や労働時間の削減によって収益性を追求した経営を実現している。
〇当牧場のモデルを導入した牧場においても同様に収益性が向上できている事例や、別経営形態においても当社の考え方を導入することにより収益改善が図られている事例がある。
〇GHG排出削減の取組により、メタンの発生をCO2換算で年間149トン削減し、Jクレジット制度を活用して販売収益化している。また、消化管内から発生するメタン削減のための飼料添加物の利用にも取り組んでいる。
(意見交換)
〇松田委員
畜産経営のDX化や牛の個体ごとの可視化、メタンの削減などの環境への配慮といった概念が、業界全体に浸透していないのは、なぜだと考えるか。
また、飼料価格を17%削減できたということだが、具体的にはどのような取組によって削減したのか。
〇平代表取締役
経営改善のためにデータを活用するという考え方が浸透していないというのがひとつだが、すべての生産者が当牧場の水準のDX化の取組を実践する必要はないとも考えている。家族経営として地域を支えている方々は、利益だけを追求する経営に無理に転換する必要はない。一方で、企業化しながら経営を発展させていく方々は、会社経営の仕組みの中にDX化の考え方を取り入れていくことが必要。ただし、DX化するだけで経営が良くなるわけではなく、組織のマネージメント力との掛け算で考える必要。また、環境負荷低減の概念が浸透していないことについては、そのためだけに設備投資して牛の飼養方法を変更するのは生産者にとってハードルが高いということが挙げられる。環境負荷低減の取組が乳価に反映されるなど何らかのインセンティブが必要ではないか。飼料コストについては、日々生産している乳量に対して必要な飼料量を計算して飼料を設計し、その通りに飼料がされているか、想定した通り牛が飼料を食べているか、段階ごとにデータをとって分析・検証することで削減している。
〇馬場委員
現在、配合飼料価格安定制度のあり方について議論が行われているが、ファームノートDPは本制度に加入しているか。加入しているとすれば、本制度に対する評価を聞きたい。
〇平代表取締役
経営開始当初は加入していなかったが、一昨年から加入している。配合飼料価格安定制度は、飼料の上昇局面においては非常に助かる。一方、高止まりしている状況の中では、十分に補填金が得られるか気をもんでいる。
〇石田委員
自給飼料を生産していないということだが、今後生産していくつもりなのか、それとも、生産しない方が却って良いという経営判断なのか。
〇平代表取締役
弊社の成り立ちとして、離農経営等から牛舎を継承するという形で経営を開始した経緯がある。牛舎を継承した離農農家には、離農後も飼料生産だけお願いするという形で連携しているため、自ら飼料の生産は行ってこなかった。一方、飼料コストの低減は、経営努力が可能な部分であり、非常に重要だと考えているため、今後は、当牧場自ら飼料生産を開始したいと考えている。
(cloverfarm青沼氏からの発表概要)
〇耕畜農家や地域事業者との連携、エコフィードの活用、水田放牧に取り組んでいる。
〇今後は、耕種農家とのさらなる連携、地域計画の実現、TMR工場の誘致、第二、第三牧場の計画を進めていく。
〇都市と農村が共存する循環システムを構築することが目標。
(意見交換)
〇石田委員
新規就農者を増やすためには制度、行政上どのような支援が必要と考えるか。また、新規就農者に対して、我々のような少し上の世代はどのような姿勢で接することが大切か。
〇青沼代表
酪農が中長期的に存続していくために、技術を持った人を育てることが我々の使命だと考える。よって支援なくとも酪農家がやるべきであり、人が育つような経営をしていきたいと考えている。
〇小山委員
稲わらの値段等について、農家からの批判は出ていないのか。
〇青沼氏
今後出るかもしれないが、今のところ出ていない。耕種農家と酪農家はお金を取り合う関係ではなく、同じ地域として発展していくという共通認識を持っている。短期的な所得向上よりも、より良い農業、より良い町を残すという中長期的な視点で考えている。
〇馬場委員
地域計画の実現に向けた課題や耕種農家に期待することがあれば教えていただきたい。
〇青沼氏
TMR工場の誘致の話も進んでいることから耕種農家も協力的であり、地域計画はかなり前向きに進んでいる。
(二ツ山牧場吉澤氏からの発表概要)
〇かつては濃厚飼料を多給し、乳量を多く搾る経営を行っていたが、牛への負担も大きく失敗した。このため飼養管理を見直し、産次数を増やし乳量も抑えた経営を行っている。
〇地元野菜農家と協力して飼料生産を行っており、自給飼料を中心とした経営に取り組んでいる。
〇自給飼料の収穫作業や堆肥の散布作業は有償化している。
〇地元野菜農家にとっても堆肥散布などが農閑期の副収入になっている。
(意見交換)
〇松田委員
感想になるが、皆さんの取組が素晴らしいと感じた。それぞれ酪農経営の考え方は異なるが、根本には日本の酪農業の維持・発展を考えておられる。一消費者として初めて知ることも多くあった。これからも生乳生産にご努力ただきたい。
〇石田委員
デントコーンの2期作について、技術力のある人材が確保できれば可能だと思うが、いかがか。また、デントコーンは相対熟度118日の品種を使用されているか。
〇吉澤氏
標高が高いため2期作はできない。群馬県の高崎市や前橋市では可能だと思う。デントコーンは108日の品種を使用している。気温が高い年は112日でも良いが、天候の影響を受けるため、日数の短い108日を使っている。
〇前田委員
私は養豚農家で自給飼料を生産している。借地の割合や堆肥の散布量、有償か無償か、運搬費を教えて欲しい。
〇吉澤氏
堆肥は10t車(25m3)で、運搬込みで35,000円(税込)で販売している。1haあたり10万円で厚めに散布している。自己所有地は15ha(うち、牧草が8ha、トウモロコシ7ha)、借地約84haである。
(計根別農業協同組合北村氏からの発表概要)
〇新規就農者に積極的にTMRセンターの構成員になってもらう事で、管内TMRセンターが占める酪農家戸数、面積、出荷乳量の割合は高い。
〇個人で機械を持たなくていいようにしているため、播種から給餌までTMRセンターの構成員や従業員で行う。また、構成員となることで支出が平準化され、乳飼比のばらつきが抑えられる。
〇JAけねべつ管内のTMRセンターの更新率は高く、スマート技術も活用しながら今後も草地改良を進めていく。
〇農地を有効に活用しながら地域の生産性を高めることで、TMRセンターが国産粗飼料の供給基地になりうる。
(意見交換)
〇小針部会長
TMRセンターでは、どのように改良する草地を決めているのか。
〇北村組合長
TMRセンターを立ち上げた時に構成員から農地を集めている。そのため、TMRセンターのみんなで集まり、どこから改良していくか決めている。
〇小針部会長
それはエトスでやっているのか。JAけねべつ管内のTMRセンター全てでやっているのか。
〇北村組合長
管内全てのTMRセンターでそのようにやっている。そうしないと安定した粗飼料を生産できない。
(以上)
お問合せ先
畜産局総務課畜産総合推進室
担当者:請川、河田、松山
代表:03-3502-8111(内線4888)
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